NECモバイルコミュニケーションズ

ウィキペディアから無料の百科事典

日本電気 > NECモバイルコミュニケーションズ
NECモバイルコミュニケーションズ
株式会社
NEC Mobile Communications, Ltd.
ロゴ
種類 株式会社
市場情報 非上場
略称 NECモバイル、Nモバ
本社所在地 日本の旗 日本
211-8666
神奈川県川崎市中原区下沼部1753
NEC玉川事業場
設立 2009年(平成21年)12月22日
業種 情報・通信業
法人番号 8020001083514 ウィキデータを編集
事業内容 携帯電話の販売・開発・製造・保守等
代表者 代表取締役社長 小島立
資本金 4億円
従業員数 単独約30名(2015年10月1日現在)
決算期 3月
主要株主 日本電気 100.00%
外部リンク 閉鎖済み
テンプレートを表示

NECモバイルコミュニケーションズ株式会社(エヌイーシーモバイルコミュニケーションズ、NEC Mobile Communications, Ltd.)は、移動体通信端末の企画・開発・生産・保守および携帯電話向けコンテンツ運営等を行っていたNECグループの企業にして日本電気(NEC)の完全子会社であった。かつてはNECの連結子会社でカシオ計算機の持分法適用会社でもあった。単に「NECモバイル」と呼ばれる事が多く、更に縮めて「Nモバ」(NECカシオモバイルコミュニケーションズ時代は「Nカシ」)と呼ばれることもあった。2016年3月、携帯電話事業をNEC本体に再び「譲渡」[1]し、解散した。

概要[編集]

NECの携帯電話端末事業(モバイルターミナル事業本部)とカシオ日立モバイルコミュニケーションズ(CHMC)の統合の受け皿として、NECとカシオ計算機、日立製作所の3社の合弁会社となる「NECカシオモバイルコミュニケーションズ」(当時)が、まずNECの完全子会社として設立された。[2]

当初は2010年4月1日付けでNECのモバイルターミナル事業本部を吸収分割し、CHMCを吸収合併することで統合を行う予定であったが、海外における独占禁止法関連の審査が遅れたため2010年2月26日付けで5月1日へ延期(NECからの事業分割のみ実施)、4月20日付けで6月1日へ再度延期されることとなり、6月1日にCHMCを吸収合併し統合を完了した。

以上の統合経緯から日立製作所も主要株主であったが、事業統合以降日立ブランドの携帯電話端末は発売されなかった。ただし、日立コンシューマエレクトロニクス製のテレビWoooのネットワーク機能「スマホ持ち出し」「スマホ再生」の動作確認を行っている機種がN-04D以降のMEDIASシリーズであり、少なからず当社と日立との連携は図られていた。

また、CHMCからの流れで、トイズファクトリーのモバイルサイトも運営していた。実際トイズファクトリーのモバイルサイトのフッターは「(C)TOY'S FACTORY Inc. Powered by NEC CASIO Mobile Communications, Ltd.」であった[注釈 1]

海外市場での不振に加え、NEC時代は折りたたみ型携帯で一躍人気[注釈 2]となった同社も、2010年代に入り、日本国内でもスマートフォンの時代になると、スマートフォンへの対応・取り組みが遅れ魅力ある商品開発ができず[3]AppleiPhone)、サムスン電子GALAXYシリーズ)などの海外メーカーのシェアが拡大して赤字が続き、レノボとの携帯電話事業統合を検討するも結局断念[4]し、2013年7月にスマートフォンの新規開発を中止し在庫分のみを以って販売を終了した[5]。ただし、レノボには3800件の中核的な携帯電話関連特許を売却している[6]。また、スマートフォンの修理等の保守業務、およびフィーチャーフォン(従来型携帯電話)の開発、製造、販売は継続している。さらに2013年12月にはカシオと日立が保有する全株式をNECが買い取ることが発表され、NECの完全子会社に戻る[7]。これでカシオと日立は携帯電話端末事業からの完全撤退[注釈 3]と相成った。

NEC完全子会社となったこともあり、2014年10月1日付けで、NECモバイルコミュニケーションズに改称し、社名から「カシオ」が消滅した。

同社のウェブサイトの製品紹介では、端末画像をクリックするとそれぞれの企業ブランド別の製品情報サイトに移動するようになった。

2015年12月25日、同社の携帯電話端末事業を2016年3月1日付けで親会社のNECに「事業譲渡」することを発表した。これまでの同事業の段階的縮小に伴い「独立会社として運営するには非効率な事業規模となった」ことを踏まえての決定と説明している[8][9]。しかしこの「事業譲渡」とはNECも携帯電話端末事業から完全撤退することを意味していた[1]

2016年2月29日、NECはNECモバイルコミュニケーションズを同年3月24日付けで解散するとともに同社に対する1012億円の債権を放棄することを発表した[10]

解散から5年経った2021年3月31日をもって、お問い合わせ窓口によるNEC製携帯電話のユーザーへのサポートも終了し、その同年3月17日付の告知においてNECは2014年発売のモデル(N-01G)を最後に既に携帯電話端末事業から完全撤退していたことを発表した[1]。これをもって、自動車電話101型から約33年間(サポートのみの期間も含む)に及んだNECの携帯電話端末の歴史に遂に終止符が打たれた。またキャリアによる修理等のサポートも全機種で打ち切られており、どんなに遅くとも2026年3月31日にはFOMA停波によって全機種の命脈も完全に絶たれる[注釈 4]

端末[編集]

各ブランドの機種については、それぞれ以下も参照の事。

NTTドコモ[編集]

事実上も含めた全ての機種がN。なおデータ端末であるN-01HN-01Jは当社ではなくNECプラットフォームズが担当している。

MEDIAS(N-04C)

docomo PRIME series[編集]

docomo STYLE series[編集]

ドコモ ケータイ[編集]

  • N-01F
  • N-01G - 全キャリアを通して唯一のNECモバイルコミュニケーションズ名義の端末。

docomo SMART series[編集]

docomo PRO series[編集]

ドコモ スマートフォン[編集]

第1期
第2期

docomo with series[編集]

docomo NEXT series[編集]

業務用端末[編集]

KDDI沖縄セルラー電話連合(各au[編集]

主にCA。au唯一のNとなるIS11N(NEI11)も発売されていた。カシオ日立時代はHも発売されていた。なおカシオ日立時代同様、CAの製品カタログには表向きにはNECカシオの名前が出ない。
機種名の括弧内は実際の製造型番である。

G'zOne TYPE-X

CDMA 1X WINシリーズ(フィーチャーフォン[編集]

スマートフォンISシリーズ/Lシリーズ[編集]

ソフトバンクモバイル[編集]

主にN。カシオ日立時代はCAも発売されていた。

SoftBank 3G[編集]

SoftBank スマートフォン[編集]

海外市場向け[編集]

基本的にアメリカ合衆国向け・韓国向けに供給される機種がCAとなり、その他の国で供給される機種がNとなる。

CA[編集]

ベライゾン・ワイヤレス(アメリカ合衆国)
  • G'zOne Ravine - ベース機種は存在しない。NECカシオ初の海外向けモデル。
  • G'zOne Commando - IS11CAのベース機種。
  • G'zOne Ravine2 - ベース機種は存在しない。G'zOne Ravineのマイナーチェンジモデル。
  • G'zOne COMMANDO 4G LTE - CAL21/CA-201Lがベース。
LG U+(韓国)
  • G'zOne CA-201L - CAL21がベース。

N[編集]

AT&T(アメリカ合衆国)
  • NEC TERRAIN - ベース機種は存在せず、MEDIASブランドには含まれない。QWERTYキーボードを搭載した法人向けスマートフォン。
Telcel(メキシコ)
  • MEDIAS NEC-101T - N-06Cがベース。
  • MEDIAS U NE-103T - ベース機種は存在しない。
タイ市場向け
  • MEDIAS NEC-101S - N-06Cがベース。

その他[編集]

N

沿革[編集]

  • 2009年12月22日 - NECの完全子会社としてNECカシオ モバイルコミュニケーションズ株式会社が設立される[11]。この時点では「NECカシオ」と「モバイルコミュニケーションズ」の間に空白が入っていた。
  • 2010年5月1日 - CHMCの吸収合併を延期、NECのモバイルターミナル事業本部のみを承継し事業開始[12]。この時「NECカシオ」と「モバイルコミュニケーションズ」の間にあった空白が消え、NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社に改称。
  • 2010年6月1日 - CHMCを吸収合併。東大和事業場となる。
  • 2013年7月31日 - この日を以ってスマートフォンの新規開発を中止。スマートフォンの販売は現行製品の在庫のみとなる[5]
  • 2013年12月27日 - カシオ計算機と日立製作所が有する全株式をNECが買い取り、NECの完全子会社に戻る[7]
  • 2014年2月 - 資本金を50億円から4億円に減資。
  • 2014年10月 - 社名をNECモバイルコミュニケーションズ株式会社に改称。
  • 2016年3月1日 - 親会社のNECに「事業譲渡」。
  • 2016年3月24日 - 法人としてのNECモバイルコミュニケーションズが解散。
  • 2016年9月9日 - 清算結了に伴い、法人格消滅。登記簿閉鎖。

以下、補足。

  • 2021年3月31日 - NEC製携帯電話のサポートが終了[1]
  • 2022年3月31日 - CDMA 1X WIN(au 3G)サービス終了・停波に伴い、全ての日立製携帯電話が使用不能になる。
  • 2024年1月31日予定 - SoftBank 3Gサービス終了・停波に伴い、全てのカシオ製携帯電話が使用不能になる。
  • 2026年3月31日予定 - FOMAサービス終了・停波に伴い、全てのNEC製携帯電話が使用不能になる。

拠点[編集]

本社[編集]

生産拠点[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ CHMC時代は「(C)TOY'S FACTORY Inc. Powered by Casio Hitachi Mobile Communications Co., Ltd.」だった。
  2. ^ ただし2000年以降は他社からも折りたたみ型携帯電話が発売されており、NECの優位性が薄れたとも言える。
  3. ^ この影響でG'zOneシリーズ20周年記念モデルTYPE-XX京セラ製となった。
  4. ^ LTE対応機種であってもVoLTEに対応した機種が開発されなかったため、同様に命脈は絶たれる。

出典[編集]

  1. ^ a b c d 携帯電話の操作・取り扱いに関するお問い合わせ窓口終了のおしらせ”. 日本電気株式会社 (2021年3月17日). 2021年9月21日閲覧。
  2. ^ NEC携帯部門とカシオ日立が統合、「NECカシオ」設立へ
  3. ^ 「魅力ある商品開発ができなかった」……NEC、決算発表でスマホ撤退についてコメント
  4. ^ NEC、レノボへ携帯事業売却を断念 多額損失のおそれ
  5. ^ a b 携帯電話端末事業の見直しについて”. NECプレスリリース (2013年7月31日). 2013年7月31日閲覧。
  6. ^ Lenovo、NECの携帯関連特許3800件を買収”. ITmedia (2014年4月8日). 2016年7月18日閲覧。
  7. ^ a b NECカシオモバイルコミュニケーションズ社の 経営体制変更について
  8. ^ 携帯電話端末事業の体制見直しについて』(プレスリリース)日本電気株式会社、2015年12月25日http://jpn.nec.com/press/201512/20151225_02.html2015年12月26日閲覧 
  9. ^ “NECモバイルのケータイ事業、NEC本体に譲渡”. ケータイWatch. インプレス. (2015年12月25日). https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/737091.html 2015年12月26日閲覧。 
  10. ^ “NECモバイル解散、携帯事業はNECが引き継ぐ形に”. ITmedia. (2016年2月29日). https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1602/29/news134.html 2016年4月13日閲覧。 
  11. ^ NECカシオ モバイルコミュニケーションズ株式会社の設立について 日本電気 2009年12月21日
  12. ^ NECカシオモバイルコミュニケーションズとカシオ日立モバイルコミュニケーションズの統合時期の延期について 日本電気 2010年4月20日

関連項目[編集]