systemd

ウィキペディアから無料の百科事典

systemd
systemdを使うFedora 17のスタートアップメッセージ
作者 Lennart PoetteringKay SieversHarald Hoyer、Daniel Mack、Tom GundersenおよびDavid Herrmann
開発元 Lennart Poettering、Kay Sievers、Harald Hoyer、Daniel Mack、Tom Gundersen、David Herrmannなど[1]
初版 2010年3月30日 (14年前) (2010-03-30)
最新版 249 - 2021年7月7日 (2年前) (2021-07-07)[2] [±]
リポジトリ ウィキデータを編集
プログラミング
言語
C[3]
対応OS Linux
種別 システムソフトウェア
ライセンス GNU LGPL 2.1+[4]
公式サイト systemd.io ウィキデータを編集
テンプレートを表示

systemdは、システム管理を担うソフトウェア群であり、従来のSystem V initに代わって導入された仕組みである。デーモン・ライブラリおよび各種ユーティリティで構成され、システム管理・設定における中心的プラットフォームとして、2010年、RedHat社のエンジニアにより、Linux OS用に設計された。

著者によるとsystemdはオペレーティングシステムの「基本的な積木」であると評され[5]UNIX System VBSDから継承された(Linuxスタートアッププロセス中のユーザー空間で最初に実行されるプロセスである)Linuxのinitシステムを置き換えることを第一の目標としている。

systemdという名前はファイル名の最後尾にdという文字を付けることでデーモンを区別しやすくするというUNIXの慣習を受け継いでいる[6]。また、この名称は言葉遊びの側面もある。フランスで最近よく言われている「システムD英語版」とは、「状況に迅速に適応し問題を即興で解決する個人の能力」を意味する。ここでの「D」は、「: débrouille=なんとかする」の頭文字である[6]

systemdはLinux用に設計され、Linux API専用にプログラミングされている。systemdはGNU Lesser General Public License (LGPL) version 2.1以降という条件でフリーなオープンソースソフトウェアとして公表されている[4]

systemdの設計はフリーソフトウェアコミュニティにおける重要な論争の元となった。これはsystemdのアーキテクチャはUNIX哲学に反しており最終的に相互依存でがんじがらめの塊を作ってしまうと批評家達を主張させるようになっているためである[7]。しかしながら2015年現在、主要なLinuxディストリビューションのほとんどはsystemdをデフォルトのinitシステムとして採用している。

設計[編集]

Tizenで使われているsystemdのアーキテクチャ。telephonybootmodedlogおよびtizen serviceなどのコンポーネントはTizen出身でありsystemdのコンポーネントではない[8]
統合階層のcgroupsにはsystemdのみがsystemd-nspawnでアクセスできる。

初期にsystemdを開発したソフトウェア技術者である[1]Lennart PoetteringKay Sieversはどうにかしてinitデーモンの効率をしのごうとした。彼らはシステムのブート中にたくさんの処理を並行または並列に行えるようにし、さらにシェルのオーバーヘッドを減少させるために、依存関係を表現できるようにそのソフトウェアフレームワークを改良したいと思っていた。

Poetteringはsystemdの開発を「決して終了せず決して完成しないが、技術の進歩を追い求める」ことと述べている。2014年5月にPoetteringはさらに進んで、systemdは以下の3つの一般的な機能を提供して「ディストリビューション間の無意味な違い」の統合を目指すものであると定義した[9]:

systemdは単なるinitデーモンの名前ではなく、systemd initデーモンに加えjournaldlogindおよびnetworkdの各デーモンとそれ以外の多くの低レベルコンポーネントを含む、ソフトウェアバンドル全体を指している。2013年1月、Poetteringはsystemdは1つのプログラムではなく、69個の個別バイナリから成る巨大なソフトウェア一式だと述べた[10]。systemdは統合されたソフトウェアスイートとして、伝統的なinitデーモンが自身の制御の元で実行するシェルスクリプトと協力して制御していた起動過程ランレベルを置き換える。その他にもsystemdは、ユーザーログイン、システムコンソール、デバイスホットプラグ(udevを参照)、計画された実行(cronを置き換える)、ロギング、ホスト名およびロケールを処理することで、Linuxシステムで共通するサービスの多くを統合する。

systemdはinitデーモンのように、systemd自身を含むバックグランドプロセスである全てのデーモンを管理するデーモンである。systemdはブート中に開始される最初のデーモンであり、シャットダウン中に終了される最後のデーモンである。systemdデーモンはユーザー空間のプロセスツリーのルートとなる。最初のプロセス (pid 1) は(親プロセスから分離した)デーモンプロセスが終了した際にSIGCHLDシグナルを受け取るため、UNIXシステムでは特殊な役割を持つ。このため、最初のプロセスはデーモンをモニタリングする目的のために特に適している。systemdはこの領域において、デーモンを自動的に再起動するのではなくデーモンを一度だけ開始してモニタリングをしないという伝統的なアプローチよりも改善しようとしている。

systemdはその起動過程の要素を並行に実行する。それは伝統的な起動過程のシーケンシャルなアプローチよりも高速である[11]プロセス間通信 (IPC) のため、systemdUNIXドメインソケットD-Busを実行しているデーモンから使えるようにする。将来の再呼び出しに備えて、systemd自身の状態をスナップショットに保存することもできる。

ユニットファイル[編集]

systemdは伝統的に使われるデーモンごとの起動シェルスクリプトを置き換えるため、宣言型言語を使う設定ファイル(これを「ユニットファイル」と言う)に各デーモン用の初期化命令を記録する。ユニットファイルの型にはservicesocketdevicemountautomountswaptargetpathtimercronライクなジョブスケジューラとして使用できる[12])、snapshotsliceおよびscopeなどがある[13]

コアコンポーネントおよびライブラリ[編集]

systemdは統合されたアプローチに従い、起動シェルスクリプト、pm-utils、inetdacpidsyslog、watchdog、cronおよびatdなどの様々なデーモンやユーティリティの代替も提供する。systemdのコアコンポーネントには以下が含まれる:

  • systemdはLinuxオペレーティングシステム用のシステムおよびサービスマネージャである。
  • systemctlはsystemdのシステムおよびサービスマネージャの状態を監視し制御できる。
  • systemd-analyzeはシステムブートアップパフォーマンス統計を決定し、システムおよびサービスマネージャからの他の状態と追跡情報を回収することために使うことができる。

MACHINECTL systemdプロセス識別子 (PID) ではなくLinuxカーネルのcgroupsサブシステムを使うことでプロセスを追跡する。このため、デーモンは2回forkしてもsystemdから逃れることができない。systemdはcgroupsだけを使うのではなく、ソフトウェアコンテナの作成と管理を容易にするユーティリティプログラムであるsystemd-nspawnmachinectlによりcgroupsを強化する[14]。バージョン205から、systemdはそのLinuxカーネルcgroupsへのAPIであるControlGroupInterfaceも提供する[15]。Linuxカーネルcgroupsはkernfsをサポートするよう改造されており[16]、さらに統一された階層構造をサポートするよう修正中である[17]

補助コンポーネント[編集]

systemd一式はLinux initシステムの代替を提供することを第一の目的としているが、それ以外にも以下のコンポーネントを含む追加機能を提供する:

consoled
systemd-consoledはユーザーコンソールデーモンを提供し、Linuxカーネルの仮想コンソールサポートをより能力のあるユーザー空間コンポーネントで置き換えようとしている[18]systemd-consoledのプレビューバージョンは2014年10月にsystemd バージョン217の一部としてリリースされた[19]
journald
systemd-journaldイベントロギングを担当するデーモンであり、そのログファイルは追加専用のバイナリファイルである。システム管理者はシステムイベントのログ出力をsystemd-journaldsyslog-ngまたはrsyslogのどれで行うかを決めることができる。
logind
systemd-logindは様々な方法でユーザーログインとシートを管理するデーモンである。これはマルチシートの改善を提供し[20]既に保守されていないConsoleKit[21]を置き換える、統合されたログインマネージャである。XディスプレイマネージャにおいてConsoleKitをlogindに置き換えるのは最小限の移植で済む[22]。これはsystemdバージョン30で統合された。
networkd
networkdによりsystemdは様々なネットワーク設定を行うことができる。バージョン209でnetworkdが最初に統合された時、静的に割り当てられたアドレスしかサポートせず、さらにブリッジ設定の基本的なサポートしかなかった。2014年7月に、IPv4ホストのDHCPサーバーやVXLANサポートといった新機能[23]を追加したsystemdバージョン215がリリースされた[24][25][26][27][28]
timedated
systemd-timedatedはシステム時間、システムタイムゾーン、またはUTCとローカルタイムゾーンシステムクロックとのどちらかの選択といった時間関連設定のコントロールに使えるデーモンである。D-Busでアクセスできる[29]。systemdバージョン30で統合された。
udevd
udevLinuxカーネル用のデバイスマネージャである。udevは/devディレクトリを処理し、さらにデバイスの装着および脱着時におけるファームウェアのロードなどのユーザー空間アクションを全て処理する。2012年4月、udev用のソースツリーがシステムソースツリーにマージされた[30][31]
libudev
libudevはudevを利用するための標準ライブラリで、これによりサードパーティアプリケーションがudevリソースを照会できる。

他のソフトウェアとの統合[編集]

systemdとGNOMEデスクトップ環境との相互運用性を向上させるため、systemdの共著者であるLennart PoetteringはThe GNOME Projectに対し、systemdをGNOME 3.2の外部依存にすることを考慮するよう要請した[32]

2012年11月にThe GNOME Projectは、基本的なGNOME機能はsystemdに依存すべきでないとの結論を出した[33]。しかしGNOME 3.8では当時systemdのみが提供していたlogindと、ConsoleKit APIとのどちらかをコンパイル時に選べるようになった。Ubuntuは独立したlogindを提供したが、ほとんどのLinuxディストリビューションにおいてはsystemdは事実上GNOMEの依存ソフトウェアになった。こうなったのはConsoleKitがもはや保守されている状態ではなく上流ではsystemd-logindの使用を推奨していることが主な理由である[34]Gentoo Linuxの開発者達もOpenRCをこれらの変化に対応させようとしたが、その実装には多くのバグがあったため、systemdをGNOMEの依存ソフトウェアにした[35][36]

GNOMEはさらにlogindを統合した[37]Mutterはバージョン3.13.2現在、Waylandセッションにおいてlogindを依存ソフトウェアとしている[38]。gnome-sessionをsystemdに置き換える計画があるが、systemdはPID 1として実行されないでさらにgnome-sessionはLinux以外のシステムでも利用できるままである。systemdはLinuxカーネルAPIを大量に使うため、Linuxしかサポートせず他のオペレーティングシステムへの移植は容易ではない。このため、OpenBSDのようなLinux以外のオペレーティングシステムは互換APIを提供する必要がある。

2014年9月のZDNetのインタビューでセオドア・ツォーは、技術的な課題よりも多いsystemdの中央集権型設計哲学をめぐる議論は、Linux生態系の均一化に向かう危険な一般的傾向の兆候であり、オープンソースコミュニティのあちこちを疎外して排斥することで代替プロジェクトの可能性がほとんど残らなくなるという意見を述べた。この中で彼は標準でない設定に対するThe GNOME Projectの姿勢との類似点を見い出した[39]。後にツォーはソーシャルメディアで、2人の重要な開発者の姿勢とGNOME開発者の姿勢とを比較した[40]

グラフィカルフロントエンド[編集]

GTK+ベースのsystemd用フロントエンドであるsystemd-uiのスクリーンショット

以下に示すグラフィカルフロントエンドが利用できる:

SYSTEMD-UIsystemd-ui
systemadmとしても知られるシンプルなGTK+ベースのsystemd用フロントエンドである[41]。サービスを管理するシンプルなユーザーインタフェースとユーザーからのパスワード要求へのグラフィカルエージェントを提供する。2014年現在、開発の中心がsystemctlsystemd-analyzeのようなコマンドラインツールへと移ったため、systemadmプログラムはここ数年の間ほとんど開発や保守を受けていない。
KCMSYSTEMDKcmsystemd
systemd-manager、systemdのグラフィカルフロントエンド
KDE SC 4デスクトップ環境用のグラフィカルsystemdフロントエンドを提供する。これはKDEのシステム設定ウインドウに統合されており、設定ファイルのグラフィカルな編集だけではなくsystemdサービスのモニタリングと制御もできる。

フォークおよび代替実装[編集]

eudev
2012年、Gentoo Linuxプロジェクトはsystemdアーキテクチャへの依存を避けるためにudevのフォークを作成した。これによって生まれたフォークはeudevと呼ばれ、systemdなしでudevの機能を利用できる[42]。このプロジェクトの決められた目標は、eudevをLinuxディストリビューションやinitシステムに依存しないようにすることである[43]
uselessd
2014年、uselessdがsystemdの軽量フォークとして作られた。このプロジェクトは他のはっきりとした欠点に対処するだけではなく、initシステムに必要ないと考えられる機能とプログラムを削除し、実装のモジュール性を高め、プラットフォーム間の移植性を改善しようとしている[44]
uselessdはmuslμClibcライブラリをサポートするため組み込みシステムで使えるが、systemdはglibcしかサポートしていない。uselessdはLinux以外のプラットフォームの初期サポートをしようとしている(現在のところ準備状態におけるビルド時のみ)が、systemdプロジェクトはBSDシステムとの互換性を一切保とうとしていない[44]。uselessdプロジェクトは将来のLinuxビルドにおけるアーキテクチャ上のオーバーホールやリファクタリングだけではなく、クロスプラットフォーム互換性のさらなる改善を計画している[45]
systembsd
2014年、OpenBSD用のsystemd代替API実装を提供するための"systembsd" と名付けられたGoogle Summer of Codeプロジェクトが開始された。systembsdプロジェクトの開発者達は元々、LinuxからOpenBSDへの移行を容易にするためにこのプロジェクトを始めた[46]
systembsdプロジェクトはinitの代替を提供しないが、とりわけhostnamedtimedatedlocaledおよびlogindと互換性のあるデーモンをOpenBSDに提供することを狙いとしている。このプロジェクトは新しいsystemdライクな機能を作らず、単なるネイティブOpenBSDシステムのラッパーとして動作するよう意図されている。開発者はsystembsdを基本システムの一部としてではなく、Portsコレクションの一部としてインストールできるようにすることを狙いとしており、「systemdと*BSDは哲学と開発習慣の点で根本的に異なる」と発言している[46]
consolekit2
2014年10月、Xfceの開発者達は依然としてConsoleKitの機能をLinux以外のオペレーティングシステムで保守し利用できるようことを望んでいたため、ConsoleKitをフォークした。ConsoleKit2の主な開発者は長期的には元のリポジトリを復活する可能性を除外していないが、systembsdが成熟するまでConsoleKit2が一時的に必要となると考えている[47]

採用および反響[編集]

ほとんどのディストリビューションはデフォルトでsystemdをブートするが、systemd以外のinitシステムを使えるディストリビューションもある。systemd以外のinitシステムに変更する場合は、適切なパッケージをインストールすればよい。DebianのフォークであるDevuanはsystemdを避けるつもりである[48]

主なLinuxディストリビューションのsystemd採用例
Linuxディストリビューション リポジトリに追加された日[注釈 1] デフォルトで使用可か デフォルトとしてリリースされた日
Angstrom distribution 2013年6月 Yes 2014年12月 (v2014.12)
Arch Linux 2012年1月[49] Yes 2012年10月[50]
CoreOS 2013年7月 Yes 2013年10月 (v94.0.0)[51][52]
Debian 2012年4月[53] Yes 2015年4月 (v8)[54]
Fedora 2010年11月 (v14)[55] Yes 2011年5月 (v15)
Gentoo Linux[注釈 2] 2011年7月[58][59][60] No N/A
Mageia 2012年5月 (v2.0)[61] Yes 2012年5月 (v2.0)
openSUSE 2011年3月 (v11.4)[62] Yes 2012年9月 (v12.2)[63]
Red Hat Enterprise Linux 2014年6月 (v7.0)[64] Yes 2014年6月 (v7.0)
Slackware N/A N/A N/A
SUSE Linux Enterprise Server 2014年10月 (v12) Yes 2014年10月 (v12)
Ubuntu 2013年4月 (v13.04) Yes 2015年4月 (v15.04)

歴史と論争[編集]

2011年5月、Fedoraはsystemdをデフォルトとして利用できるようにした最初のメジャーLinuxディストリビューションとなった。[65]

2011年7月、Lennart PoetteringはDebianFreeBSD版 (kFreeBSD) もあるためsystemdの正式採用をためらっていた[66]ことを問題とは考えず、「Debian kFreeBSD はおもちゃのOSだ」と発言した[67]

2012年のインタビューでSlackwareの代表であるPatrick Volkerdingは、systemdアーキテクチャについての不安を述べ、systemdの設計が狭義に定義された機能による相互接続ユーティリティというUNIX哲学に反しているという彼の信念を表明した[68]。2014年8月現在、Slackwareはsystemdのサポートや使用をしていないが、Volkerdingはsystemdへ変更する可能性を否定していない[69]

2013年10月から2014年の間、Debian Technical Committee内でDebian 8 "jessie" のデフォルトとしてどのinitシステムを使うかを話し合うための長期に渡る議論がDebianメーリングリストで起こり[70]、その結果としてsystemdを選ぶことになった。この議論は広く公開され[71][72]、この結論に引き続き議論がDebianメーリングリストで続いている。

2013年1月、Lennart PoetteringはThe Biggest Mythsと呼ばれるブログポストでsystemdについての懸念に対処しようとした[10]。systemdをめぐり続いている論争の後の2014年10月、Poetteringは「オープンソースコミュニティはくそったれだらけで、他の誰よりも私が彼らの最もお気に入りの標的になっているのだろう」と不満を漏らした。続けてPoetteringはオープンソースコミュニティの状態をリーナス・トーバルズなどのカーネル開発者のせいにした[73]

2014年2月Debianの決定がされた後、ubuntuコミュニティのマーク・シャトルワースは2013年10月初期のコメントでsystemdは「非常に侵略的で正当化されることはほぼない」と評した[74]にもかかわらず、systemd実装についてはUbuntuもやり抜くとブログでアナウンスした[75]

2014年3月、エリック・レイモンドはsystemdの設計目標はミッションクリープソフトウェアの肥大化の傾向があると言った[76]。2014年4月、リーナス・トーバルズはユーザーやバグレポートに向けてsystemdの中心開発者であるKay Sieversの姿勢についての不安を表明した[77]

2014年4月後期、systemdの採用に反対する様々な理由を並べたWebサイトを使って、systemdのボイコットキャンペーンが行われた[78][79]

2014年4月のInfoWorldで発行された記事で、Paul Veneziaはsystemd論争について書き、この論争をUNIX哲学の破壊と「自分達は何も間違っていないはずだと固く信ずる巨大なエゴ」にあると考えた[80]。この記事はsystemdのアーキテクチャを、幅広い機能範囲で使われ酷評されるMicrosoft Windowsのシステムコンポーネントであるsvchost.exeのアーキテクチャとよく似ていると述べた[80]

2014年11月、DebianのメンテナーでTechnical CommitteeのメンバーであるJoey Hess[81]Russ Allbery[82]イアン・ジャクソン[83]と、systemdパッケージメンテナーであるTollef Fog Heen[84]が自らの地位を辞した。Debianのメンテナーであった3人は全員、通常のメンテナンスを事実上不可能にしてしまうDebianやオープンソースコミュニティ内におけるsystemd統合についての論争に関係する並外れたストレスレベルに身をさらしながら、公開されているDebianメーリングリストや個人ブログで決定を正当化した。

2014年12月、自身を"Veteran Unix Admins"と呼ぶグループがDevuanと呼ばれるDebianのフォークをアナウンスした。この意図はデフォルトでsystemdをインストールしないDebian派生を提供することである[85]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 一般的に利用できるようになったリリース日
  2. ^ Gentooではsystemdはデフォルトinitシステム[56]であるOpenRCの代替として、「systemdを代わりに使いたいか、(systemdが必要な)GNOME 3.8以降を使うことを計画している」人のためにサポートされる[57]

出典[編集]

  1. ^ a b systemd README, http://cgit.freedesktop.org/systemd/systemd/tree/README 2012年9月9日閲覧。 
  2. ^ Releases”. GitHub. 2020年11月29日閲覧。
  3. ^ systemd Analysis Summary, Ohloh, http://www.ohloh.net/p/systemd 2011年6月16日閲覧。 
  4. ^ a b Lennart Poettering (2012-04-21), systemd Status Update, http://0pointer.de/blog/projects/systemd-update-3.html 2012年4月28日閲覧。 
  5. ^ Lennart Poettering (2010年9月). “Beyond Init: systemd (LinuxKongress 2010)”. 2014年10月28日閲覧。
  6. ^ a b Lennart Poettering, Kay Sievers, Thorsten Leemhuis (2012-05-08), Control Centre: The systemd Linux init system, The H, オリジナルの14 October 2012時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20121014173559/http://www.h-online.com/open/features/Control-Centre-The-systemd-Linux-init-system-1565543.html 2012年9月9日閲覧。 
  7. ^ Vaughan-Nichols, Steven. “Linus Torvalds and others on Linux's systemd”. http://www.zdnet.com/article/linus-torvalds-and-others-on-linuxs-systemd/ 
  8. ^ Gundersen, Tom E. (2014年9月25日). “The End of Linux”. 2014年10月25日閲覧。 “"It certainly is not something that comes with systemd from upstream."”
  9. ^ A Perspective for systemd: What Has Been Achieved, and What Lies Ahead” (2014年5月). 2014年11月30日閲覧。
  10. ^ a b The Biggest Myths” (2013年1月26日). 2015年5月16日閲覧。
  11. ^ Debate/initsystem/systemd - Debian Documentation”. Debian (2014年1月2日). 2014年12月4日閲覧。
  12. ^ systemd Dreams Up New Feature, Makes It Like Cron”. Phoronix (2013年1月28日). 2014年1月22日閲覧。
  13. ^ http://www.freedesktop.org/software/systemd/man/systemd.unit.html
  14. ^ Jake Edge (2013年11月7日). “Creating containers with systemd-nspawn”. LWN.net. 2014年7月30日閲覧。
  15. ^ ControlGroupInterface”. freedesktop.org. 2014年11月9日閲覧。
  16. ^ cgroup: convert to kernfs” (2014年1月28日). 2015年5月16日閲覧。
  17. ^ cgroup: prepare for the default unified hierarchy” (2014年3月13日). 2015年5月16日閲覧。
  18. ^ Michael Larabel (2014年10月7日). “systemd 217 Will Introduce Its New "Consoled" User Console Daemon”. 2015年1月24日閲覧。
  19. ^ Lennart Poettering (2014年10月28日). “[systemd-devel [ANNOUNCE] systemd 217]”. 2015年1月23日閲覧。
  20. ^ systemd-logind.service”. freedesktop.org. 2014年2月17日閲覧。
  21. ^ ConsoleKit official website”. freedesktop.org. 2014年11月9日閲覧。
  22. ^ How to hook up your favorite X11 display manager with systemd”. freedesktop.org. 2015年5月17日閲覧。
  23. ^ Michael Larabel (2014年7月4日). “systemd 215 Works On Factory Reset, DHCPv4 Server Support”. 2014年11月8日閲覧。
  24. ^ Networking in +systemd - 1. Background” (2013年11月27日). 2014年2月22日閲覧。
  25. ^ Networking in +systemd - 2. libsystemd-rtnl” (2013年11月27日). 2014年2月22日閲覧。
  26. ^ Networking in +systemd - 3. udev” (2013年11月27日). 2014年2月22日閲覧。
  27. ^ Networking in +systemd - 4. networkd” (2013年11月27日). 2014年2月22日閲覧。
  28. ^ Networking in +systemd - 5. the immediate future” (2013年11月27日). 2014年2月22日閲覧。
  29. ^ timedated”. freedesktop.org. 2014年11月9日閲覧。
  30. ^ Sievers, Kay, The future of the udev source tree, http://article.gmane.org/gmane.linux.hotplug.devel/17392 2013年5月22日閲覧。 
  31. ^ Sievers, Kay, Commit importing udev into systemd, http://cgit.freedesktop.org/systemd/systemd/commit/?id=19c5f19d69bb5f520fa7213239490c55de06d99d 2012年5月25日閲覧。 
  32. ^ Lennart Poettering (2011-05-18), systemd as an external dependency, GNOME, http://mail.gnome.org/archives/desktop-devel-list/2011-May/msg00427.html 2011年5月26日閲覧。 
  33. ^ Frederic Peters (2011-11-04), 20121104 meeting minutes, https://mail.gnome.org/archives/release-team/2012-November/msg00015.html 2013年1月14日閲覧。 
  34. ^ ConsoleKit”. 2014年11月15日閲覧。 “ConsoleKit is currently not actively maintained. The focus has shifted to the built-in seat/user/session management of Software/systemd called systemd-logind!”
  35. ^ Vitters, Olav. “GNOME and logind+systemd thoughts”. 2014年4月24日閲覧。
  36. ^ GNOME 3.10 arrives with experimental Wayland support”. ZDNet. 2014年4月24日閲覧。
  37. ^ GNOME initiatives: systemd”. 2014年5月1日閲覧。
  38. ^ Mutter 3.13.2: launcher: Replace mutter-launch with logind integration” (2014年5月19日). 2014年5月28日閲覧。
  39. ^ Linus Torvalds and others on Linux's systemd”. 2014年11月21日閲覧。
  40. ^ A realization that I recently came to while discussing the whole systemd...” (2014年3月31日). 2014年7月8日閲覧。
  41. ^ Details of package systemd-ui in Debian "Jessie" 8”. Debian. 2014年7月31日閲覧。
  42. ^ README”. 2014年10月28日閲覧。
  43. ^ Gentoo eudev project”. 2014年10月28日閲覧。
  44. ^ a b Michael Larabel (2014年9月21日). “Uselessd: A Stripped Down Version Of systemd”. Phoronix. 2014年10月26日閲覧。
  45. ^ uselessd :: information system”. uselessd.darknedgy.net. 2014年10月26日閲覧。
  46. ^ a b GSoC 2014: systemd replacement utilities (systembsd)”. OpenBSD Journal. 2014年11月28日閲覧。
  47. ^ Koegel, Eric (2014年10月20日). “ConsoleKit2”. 2015年3月7日閲覧。
  48. ^ “Meet Devuan, the Debian fork born from a bitter systemd revolt”. http://www.pcworld.com/article/2854717/meet-devuan-the-debian-fork-born-from-a-bitter-systemd-revolt.html 
  49. ^ Git clone of the 'packages' repository”. Web interface to the Arch Linux git repositories (2012年1月12日). 2015年5月17日閲覧。
  50. ^ systemd is now the default on new installations”. Arch Linux. 2015年5月17日閲覧。
  51. ^ coreos/manifest: Releases: v94.0.0”. github.com (10月3日2013年). 9月22日2014年閲覧。
  52. ^ CoreOS's init system, https://coreos.com/using-coreos/systemd/ 2014年2月14日閲覧。 
  53. ^ systemd”. debian.org. 2014年11月19日閲覧。
  54. ^ Bdale Garbee (2014年2月11日). “Bug#727708: call for votes on default Linux init system for jessie”. 2015年5月16日閲覧。
  55. ^ Fedora 14 talking points”. 2015年5月16日閲覧。
  56. ^ systemd”. 2015年5月16日閲覧。
  57. ^ Installing the Gentoo Base System § Optional: Using systemd”. 2015年5月16日閲覧。
  58. ^ Comment #210 (bug #318365), https://bugs.gentoo.org/show_bug.cgi?id=318365#c210 2011年7月5日閲覧。 
  59. ^ systemd, http://www.gentoo.org/proj/en/base/systemd/ 2011年7月5日閲覧。 
  60. ^ systemd, http://wiki.gentoo.org/wiki/systemd 2012年8月26日閲覧。 
  61. ^ Fabian Scherschel (2012-05-23), Mageia 2 arrives with GNOME 3 and systemd, The H, オリジナルの8 December 2013時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20131208100442/http://www.h-online.com/open/news/item/Mageia-2-arrives-with-GNOME-3-and-systemd-1582479.html 2012年8月22日閲覧。 
  62. ^ Directory view of the 11.4 i586 installation showing presence of the systemd v18 installables, (2011-02-23), http://download.opensuse.org/distribution/11.4/repo/oss/suse/i586/ 2013年9月24日閲覧。 
  63. ^ OpenSUSE: Not Everyone Likes systemd”. Phoronix. 2015年5月16日閲覧。 “The recently released openSUSE 12.2 does migrate from SysVinit to systemd”
  64. ^ Red Hat Unveils Red Hat Enterprise Linux 7, (2014-06-10), http://www.redhat.com/about/news/press-archive/2014/6/red-hat-unveils-rhel-7 
  65. ^ “F15 one page release notes”, fedoraproject.org, (2001-05-24), https://fedoraproject.org/wiki/F15_one_page_release_notes 
  66. ^ Jake Edge (2011-07-27), Debian debates systemd, http://lwn.net/Articles/452865/ 2011年12月14日閲覧。 
  67. ^ Un entretien avec Lennart Poettering, (2011-07-05), http://linuxfr.org/nodes/86687/comments/1249943 2011年12月14日閲覧。 
  68. ^ Interview with Patrick Volkerding of Slackware”. linuxquestions.org (2012年6月7日). 2014年3月19日閲覧。
  69. ^ I'm back after a break from Slackware: sharing thoughts and seeing whats new!”. linuxquestions.org. 2014年3月14日閲覧。
  70. ^ #727708 - tech-ctte: Decide which init system to default to in Debian.” (2013年10月25日). 2014年9月14日閲覧。
  71. ^ Which init system for Debian?” (2013年11月5日). 2014年9月14日閲覧。
  72. ^ Debian Still Debating systemd Vs. Upstart Init System”. Phoronix (2013年12月30日). 2014年9月14日閲覧。
  73. ^ Steven J. Vaughan-Nichols (2014年10月6日). “Lennart Poettering's Linus Torvalds rant”. ZDNet. 2014年10月31日閲覧。
  74. ^ Quantal, raring, saucy...” (2013年10月18日). 2014年9月14日閲覧。
  75. ^ Losing graciously” (2014年2月14日). 2014年9月14日閲覧。
  76. ^ Interviews: ESR Answers Your Questions”. Slashdot.org (2014年3月10日). 2014年3月19日閲覧。
  77. ^ Linux-Kernel Archive: Re: [RFC PATCH cmdline: Hide "debug" from /proc/cmdline]” (2014年4月2日). 2014年7月8日閲覧。
  78. ^ Is systemd as bad as boycott systemd is trying to make it?”. LinuxToday. 2014年9月22日閲覧。
  79. ^ Boycott systemd.org (Archive.org copy)”. 2014年12月31日閲覧。
  80. ^ a b Paul Venezia (2014年8月18日). “systemd: Harbinger of the Linux apocalypse”. 2014年9月20日閲覧。
  81. ^ on leaving”. 2014年11月19日閲覧。
  82. ^ Resigning from the Technical Committee”. 2014年11月19日閲覧。
  83. ^ Resignation”. 2014年11月19日閲覧。
  84. ^ Resignation from the pkg-systemd maintainer team”. 2014年11月19日閲覧。
  85. ^ The "Devuan" Debian fork”. LWN.net. 2014年12月8日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]