シカゴ大学

ウィキペディアから無料の百科事典

シカゴ大学
モットー Crescat scientia; vita excolatur (ラテン語)
モットー (英語) Let knowledge grow from more to more; and so be human life enriched[1]
種別 私立共学 四半期制
設立年 1890
宗教的提携関係 特定宗教と無関係
資金 US $5.578 billion[2]
学長 ロバート・ジマー
教員数
2,859人[3]
学部生 6,286人[4]
大学院生 10,159人[4]
所在地 イリノイ州シカゴ
キャンパス 都市, 211 acres (85 ha)[5]
ノーベル賞受賞者数 100人[6]
スクールカラー Maroon   White  [7]
運動競技 NCAA Division III UAA
ニックネーム マルーンズ
マスコット フェニックス[7]

アメリカ大学協会

Committee on Institutional Cooperation
公式サイト www.uchicago.edu
テンプレートを表示

シカゴ大学(シカゴだいがく、University of Chicago、略称UChicago)は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴにある研究型私立大学

Main Quadrangles
Harper Quadrangle
Rockefeller Chapel
Ratner Athletic Center
シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス (Chicago Booth)
シカゴ大学ロー・スクール(UChicago Law)
シカゴ大学ハリス公共政策大学院(UChicago Harris: Harris School of Public Policy)
シカゴ大学プリツカー医学部(UChicago Med: Pritzker School of Medicine)

設立当初から研究に重点が置かれ、ノーベル賞受賞者を100名輩出しており世界で最も評価が高い大学の一つである。特に経済学の分野では、同校の卒業生や教員を中心とした「シカゴ学派」はしばしば政策立案や遂行に登用されている。大学のモットーは、"Crescat scientia; vita excolatur (知識を創出し人類の生活を啓発せよ)"。また、ペンシルベニア大学ウォートン・スクール(Wharton)に次いで全米で2番目に設立されたビジネススクール経営大学院)である「シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス」(Chicago Booth、1898年設立)は、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)、スタンフォード大学経営大学院(Stanford GSB)、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールと共に、世界最高峰のMBA提供校として名高い(M7の参加校)。1902年設立のシカゴ大学ロー・スクール(UChicago Law)は、ハーバード大学イェール大学スタンフォード大学ニューヨーク大学コロンビア大学と共に全米トップクラスのロースクール法科大学院)として知られている。1988年設立のシカゴ大学ハリス公共政策大学院(UChicago Harris: Harris School of Public Policy)は、政策分析(Public Policy Analysis)の分野で全米TOP10となっている。1927年設立のシカゴ大学プリツカー医学部(UChicago Med: Pritzker School of Medicine)は、全米TOP20となっている。

歴史[編集]

アイヴィー・リーグの一校であるブラウン大学に同名の息子を送った資産家のジョン・D・ロックフェラーが「中西部にもブラウンの様な卓越した学問の場が必要」と莫大な資金提供をし1890年設立した。初代学長ウィリアム・ハーパーは1906年に、49歳で在職死するまで学長をつとめ、大学の基礎を築いた。

1929年、30歳の若さで第5代学長に就任した教育哲学者ロバート・M・ハッチンスen:Robert Maynard Hutchins)は、「ハッチンス革命」と呼ばれる大学改革を断行した[8]。彼は「大学の教育は余りにも重大であり、これを学ぶにあたっては、学生は全力を投入しなければならない」として、体育系・文化系を問わずすべての課外活動を禁止した。それまで全米10位のなかに入っていたシカゴ大フットボール部も廃止し、競技場の南側の施設の地下室を「中性子研究所」(後の「原子力研究所」)に当てた[8][9]。また、在来の学部は全廃され、3年制の少人数学部のみとし、シカゴ大学の本体はすべて大学院にした。こうしてシカゴ大学は当時世界で唯一の「大学院大学」となった[8]。1941年に学科類似の組織として社会思想委員会(en:Committee on Social Thought)が設立されたのもハッチンス学長時代である。ハッチンスは1951年、フォード財団の副理事長になるため学長を辞任した[9]

マンハッタン計画においては、グレン・シーボーグ率いる化学者らが、シカゴ大学において、当時製造されて間もなかったプルトニウムの研究を行った。1942年12月2日には、エンリコ・フェルミ率いる科学者のチームが、世界初の核反応実験に成功した。

その他にも、放射性炭素年代測定法の開発、ジェット気流の発見、レム睡眠の発見、ユーリー-ミラーの実験の実施、ベトナム戦争にて用いられた枯葉剤の発明等がシカゴ大学で行われた。

2007年には、匿名で1億ドルにのぼる寄付が贈られ、これは学生の奨学金の補てんに使われる見通しである。

評価[編集]

ノーベル賞受賞者を100名輩出しており世界で最も評価が高い大学の一つである。2023年度における学部の合格率は6%。2009年Times Higher Education-QS World University Rankingsで7位。シカゴ学派で有名な経済学2008年U.S. News & World Report誌で全米1位。更に、ビジネススクールChicago Booth)もU.S. News & World Report誌で全米1位(2022年)、Forbesでは2019年から2021年にかけて全米1位、The Economistでは過去12年間で9回全米1位になっている。ロー・スクール2021年のU.S. News & World Report誌で全米4位[10]学部でもシカゴ大学はU.S. News & World Report誌の"2020 Best National Universities"でスタンフォード大学と同率の全米6位にランクされている[11]。その他にも、政治学全米7位、社会政策学全米3位、数学全米TOP5、神学全米1位、メディカル・スクールU.S. News &World Report誌全米17位[12]、シカゴ大学病院は2007年News & World Report誌 全米病院ランキング17位。

なお、マッキンゼー・アンド・カンパニーオラクルベーカー&マッケンジーボストン・コンサルティング・グループ日本支社、ゴールドマン・サックス日本支社といった企業がシカゴ大学の卒業生によって設立されており、企業家の卵としての側面も持っている。

シカゴ大学出版局で出版されているシカゴ・マニュアル・オブ・スタイル(通称「シカゴ・マニュアル」、CMOS)は、学術論文を始め、アメリカ英語での表記規則として出版業界で広く採用されている。

キャンパス[編集]

シカゴ大学のキャンパスは、シカゴ中心部郊外から南に約11km、ハイドパーク地区とウッドローン地区の間に位置する。キャンパスの南部には1893年に行われたシカゴ万国博覧会の会場、ミッドウェー・プレサンスが横断しており、その北側にキャンパスの大部分が集中している。建造物の多くは19世紀後半に石灰岩ゴシック・リヴァイヴァル建築を採用して建てたもので、キャンパス中心部のデザインには、オックスフォード大学や、ケンブリッジ大学のそれを模倣したものが多くある。初夏のキャンパスには、夕べに、蛍が飛び交う。

近年、総額20億ドルにものぼる計画により、ジェラルド・ラトナー・アスレティクス・センター(プール、ジム等完備の体育館)、マックス・パレフスキー・レジデンシャル・コモンズ(学生寮)等の施設が建設された。中でもジェラルド・ラトナー・アスレティクス・センターは、アルゼンチンの著名な建築家シーザー・ペリによってデザインされている。

また、シカゴ大学が保有するヤーキス天文台は、世界最大の屈折望遠鏡であり、銀河系が渦巻構造であることがここで初めて確認された。

シカゴ大学内の学校は以下の通り。

大学ランキング
国内
フォーブス[13] 16
USNWR[14] 6
WM英語版[15] 24
世界
ARWU[16] 10
QS[17] 9
タイムズ[18] 10

関係者[編集]

かつて所属した学生、教授、研究者をすべて考慮すると、シカゴ大学は総勢100名のノーベル賞受賞者を輩出している。

日本人卒業生[編集]

日本人関係者[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ About the University”. The University of Chicago (2007年). 2007年4月20日閲覧。
  2. ^ As of July 9, 2010. Office of Investments”. University of Chicago. 2010年7月9日閲覧。
  3. ^ https://data.uchicago.edu/at_a_glance.php?cid=16&pid=2&sel=atg
  4. ^ a b https://data.uchicago.edu/at_a_glance.php?cid=12&pid=1&sel=atg
  5. ^ Facts for Journalists”. University of Chicago News Office. 2009年8月30日閲覧。
  6. ^ University of Chicago Nobel Laureates, University of Chicago Nobel Laureates
  7. ^ a b Traditions”. University of Chicago Office of College Admissions. 2009年9月10日閲覧。
  8. ^ a b c 西山千明「ハイエクとシカゴ大学のこと─訳者あとがきにかえて」(F.A.ハイエク『隷属への道』春秋社, 1992年)372頁。
  9. ^ a b Robert Maynard Hutchins | Office of the President | The University of Chicago
  10. ^ 2021 Best Law Schools”. 9/6/2020閲覧。
  11. ^ 2020 Best Colleges”. 9/6/2020閲覧。
  12. ^ 2021 Best Medical Schools: Research”. 9/6/2020閲覧。
  13. ^ America's Top Colleges”. Forbes.com LLC™. 2013年10月19日閲覧。
  14. ^ Best Colleges”. U.S. News & World Report LP. 2013年10月19日閲覧。
  15. ^ About the Rankings”. Washington Monthly. 2013年10月19日閲覧。
  16. ^ World University Rankings”. ShanghaiRanking Consultancy. 2013年10月19日閲覧。
  17. ^ University Rankings”. QS Quacquarelli Symonds Limited. 2013年10月19日閲覧。
  18. ^ World University Rankings”. TSL Education Ltd.. 2013年10月19日閲覧。

外部リンク[編集]

座標: 北緯41度47分23秒 西経87度35分59秒 / 北緯41.78972度 西経87.59972度 / 41.78972; -87.59972