不二家の時間

不二家の時間(ふじやのじかん)は、ラジオ東京テレビ(KRT)→TBS東京放送)で1955年10月16日から1973年6月3日に、日本の菓子メーカー・不二家1社単独提供で放送された番組のタイトルである。

初期は国産コメディ、そして「ポパイ」を始めとした海外作品が放送され、その後はTBS制作によるアニメ、後期はドラマが放送された。

解説

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1955年10月16日に放送を開始したテレビドラマ猿飛佐助旅日記」より開始。当初は日曜 18:00 - 18:30枠にて放送されたが、同作品の最終回直前となる12月16日より放送時間が1時間30分繰り下がるとともにゴールデンタイムへと昇格し、日曜 19:30 - 20:00枠にて放送された。

その後、1957年5月26日から6月30日まで放送された『おかしな人々』を最後に一旦国産ドラマの放送を終了。単発特別番組を挟み、同年7月21日より海外アニメ『マイティ・マウス』を開始。

その後、翌1958年4月にタケダアワーの『月光仮面』が月曜 - 土曜 18:00 - 18:15枠から日曜 18:00 - 18:30枠へ移動することとなり、後番組として移動。空いた本枠には1958年5月より海外ドラマ『ラマー・オブ・ジャングル』が開始した。

同番組終了後の1959年6月7日より海外アニメ『ポパイ』が放送。6年以上放送され、本枠で最も放送期間が長い作品となった。

その後、1965年8月に藤子不二雄原作の漫画を原作とした本枠初の国産テレビアニメかつ日本初のギャグアニメオバケのQ太郎 (第1作)』(以下、『オバQ』)が開始。初回から視聴率が30%を超す大ヒット番組となり、スポンサーである不二家も関連商品を複数販売したり、同社製造の乳飲料「ハイカップ」を購入すると同番組のエンディングテーマ「オバQ音頭」のソノシートが購入できるというキャンペーンが行われたりした。また、前番組までTBS系列局でも放送の遅れに差が出ていたが、本作の開始によって原則全局同時ネットへと切り替えられた[1]

『オバQ』終了後もしばらく本枠で藤子不二雄アニメが放送されたが、1969年3月に終了した「怪物くん (第1作)』をもって一旦アニメの放送を終了[注 1]

同年3月末より再び国産ドラマ枠へと転換し、当時大人気だったピンキーとキラーズが主演の『青空にとび出せ!』が開始し、『美人はいかが?』までテレビドラマが放送された。

1972年4月より再び国産アニメ枠へと転換。1972年ミュンヘンオリンピックへ向け、松平康隆当時バレーボール日本代表監督の依頼により制作された『アニメドキュメント ミュンヘンへの道』が放送開始。なお、同作は諸事情によりタイトル通りアニメに実写のドキュメンタリーを混合させた内容となっていた[2][3]がオリンピック開幕を前に打ち切り。8月27日より大和和紀原作のアニメ『モンシェリCoCo』が、『ミュンヘンへの道』の制作会社である日本テレビ動画によって制作されるも、スタッフ同士の揉め事が原因となり当時としては珍しく全13話(1クール)で打ち切りとなった[4]。また、これをもってTBSが日曜19時台にアニメを編成することがなくなった[注 2]

同年12月より再びドラマ枠となり、『新諸国物語・笛吹童子』が放送されたが、翌1973年6月3日に同作が終了するとともに本枠も終了。後番組の『がんばれ!兄ちゃん』以降は不二家を含む複数社提供へと切り替わった。

番組構成

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東映動画(現:東映アニメーション)制作、いずみたく作曲によるオープニングキャッチが存在し、不二家のシンボルマーク「ファミリーマーク」の右の「花模様」が回転しながらアップで映されると、それがズームアウトして「ファミリーマーク」全体が映されるという構成だった[5]。このなお音楽は直前に放送されていた「タケダアワー」のような歌詞は存在せず、提供コメントも無かった。

『オバQ』から『怪物くん』にかけて、オープニングキャッチ以外にもオープニングテーマとエンディングテーマの終盤にペコちゃんが登場する提供アナウンスが挿入されていた。オープニングは、「お菓子は不二家! テレビは○○(「○○」は番組名)! みんなで見てね! 」。エンディングは、「○○ー! はーい! ペコちゃんー! はーい! ぼくらはゆかいな仲間でーす! 不二家、不二家、でーはまた来週! 」[注 3]となっていた(最終回での対応については不明)。なおエンディングの音楽は、作品によってエンディングテーマと同系列にアレンジされている[注 4]

『オバQ』に関しては、シネテープに記録された音声は残っているものの、放送時のフィルムは散逸されており、現在で見る事は出来ない[注 5]

放送時間

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放送期間 放送時間(JST)
1955年10月16日 1956年12月9日 日曜18:00 - 18:30
1956年12月16日 1973年6月3日 日曜19:30 - 20:00

作品リスト

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タイトル 放映期間 話数 製作会社 出演者・声優 備考
猿飛佐助旅日記 1955年10月16日 - 1956年12月23日 61 千葉栄大木民夫富沢志満浅川裕子沖竜太野々浩介 1956年12月16日より日曜19:30に移動
エノケンの孫悟空
(ドラマ版)
1957年1月6日 - 5月19日 20 榎本健一花柳寛由利徹八波むと志 1956年12月30日の17:15にプロローグを放送
不二家コミック劇場
おかしな人々
1957年5月26日 - 6月30日 5 千葉信男八波むと志川田孝子
ミスター星くず 1957年7月7日 1 小畑やすし小鳩くるみ松田トシ、千葉信男 単発作品
ミュージカル
パリ祭
1957年7月14日 1 石井好子
マイティ・マウス 1957年7月21日 - 1958年4月27日 テリートゥーン 声:関敬六 海外アニメ作品
1958年5月19日より月曜 - 土曜18:00に移動
ラマー・オブ・ジャングル 1958年5月4日 - 1959年5月17日 シンジケーティッド・アメリカン・テレビジョン 声:大木民夫 本枠唯一の海外ドラマ
ポパイ 1959年6月7日 - 1965年8月15日 フライシャー・スタジオ 声:浦野光京田尚子熊倉一雄 本枠最後の海外アニメ
オバケのQ太郎
(第1作)
1965年8月29日 - 1967年3月26日 96 東京ムービー 声:曽我町子田上和枝野沢雅子喜多道枝 1967年4月より水曜18時に移動
パーマン
(第1作)
1967年4月2日 - 1968年4月14日 54 東京ムービー
スタジオ・ゼロ
声:三輪勝恵大竹宏栗葉子加茂喜久
怪物くん
(アニメ第1作)
1968年4月21日 - 1969年3月23日 49 声:白石冬美、大竹宏、兼本新吾今西正男 アニメ枠一旦終了
青空にとび出せ! 1969年3月30日 - 9月28日 26 国際放映 ピンキーとキラーズ田崎潤水森亜土加藤和彦 ここから国産ドラマ枠
サインはV
(岡田可愛版)
1969年10月5日 - 1970年8月16日 45 東宝 岡田可愛中山麻理范文雀岸ユキ中山仁
アテンションプリーズ
(紀比呂子版)
1970年8月23日 - 1971年3月28日 32 紀比呂子、范文雀、高橋厚子皆川妙子黒沢のり子
美しきチャレンジャー 1971年4月5日 - 10月17日 29 国際放映 新藤恵美森次浩司進千賀子高樹蓉子左時枝
美人はいかが? 1971年10月24日 - 1972年4月16日 26 大映テレビ 奈良富士子寺尾聰夏夕介内田喜郎西川鯉之亟 ドラマ枠一旦終了
アニメドキュメント
ミュンヘンへの道
1972年4月23日 - 8月20日 17 日本テレビ動画 声:小林昭二辻村真人、兼本新吾、森功至仲村秀生 ここから再びアニメ枠
9月24日に特番を放送
モンシェリCoCo 1972年8月27日 - 11月26日 13 声:広川あけみつかせのりこ、森功至、北浜晴子富田耕生 アニメ枠終了
新諸国物語・笛吹童子 1972年12月3日 - 1973年6月3日 26 大映テレビ 岡村清太郎、内田喜郎、瞳順子藤岡重慶神太郎市毛良枝 ここから再びドラマ枠
『不二家の時間』枠廃止

ネット局

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※系列は放送終了時点のもの(打ち切り時はネット打ち切り時のもの)。

放送対象地域 放送局 系列 備考
関東広域圏 東京放送 TBS系列 制作局、現:TBSテレビ
北海道 北海道放送
青森県 青森放送 日本テレビ系列 1969年11月まで
青森テレビ NETテレビ系列
TBS系列
1969年12月開局から[6]
岩手県 岩手放送 TBS系列 現:IBC岩手放送
宮城県 東北放送
秋田県 秋田放送 日本テレビ系列
山形県 山形放送
福島県 福島テレビ TBS系列
フジテレビ系列
1971年9月までは日本テレビ系列局
山梨県 山梨放送 日本テレビ系列 1970年3月まで
テレビ山梨 TBS系列 1970年4月開局から
長野県 信越放送
新潟県 新潟放送
静岡県 静岡放送
中京広域圏 中部日本放送 現:CBCテレビ
富山県 北日本放送 日本テレビ系列
石川県 北陸放送 TBS系列
福井県 福井放送 日本テレビ系列
近畿広域圏 朝日放送 TBS系列 現:朝日放送テレビ(テレビ朝日系列)
1975年の関西地区ネットチェンジ以降の再放送は毎日放送でも実施
岡山県 山陽放送 現:RSK山陽放送
当時の放送エリアは岡山県のみ
鳥取県 日本海テレビ 日本テレビ系列
(フジテレビ系列)
(NETテレビ系列)[7]
当時の放送エリアは鳥取県のみ
1972年9月の鳥取・島根の電波相互乗り入れまで
島根県
→島根県・鳥取県
山陰放送 TBS系列 1972年9月までの放送エリアは島根県のみ
1972年9月より鳥取・島根の電波相互乗り入れで山陰放送に一本化
広島県 中国放送
山口県 山口放送 日本テレビ系列 1970年3月まで
テレビ山口 TBS系列
フジテレビ系列
NETテレビ系列
1970年4月から
徳島県 四国放送 日本テレビ系列
香川県 西日本放送 当時の放送エリアは香川県のみ、『怪物くん』を放送した実績あり
愛媛県 南海放送
高知県 高知放送 1970年3月まで
テレビ高知 TBS系列 1970年4月開局から
福岡県 RKB毎日放送
長崎県 長崎放送
熊本県 熊本放送
大分県 大分放送
宮崎県 宮崎放送
鹿児島県 南日本放送
沖縄県 琉球放送

脚注

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注釈

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  1. ^ その後、藤子不二雄原作アニメは不二家を含む複数社提供番組となって火曜18:00枠へ移動し、『ウメ星デンカ』が半年ほど放送されているが、同作の終了をもって藤子不二雄原作のアニメはTBSから長らく姿を消した。
  2. ^ 余談だが、直前の枠である日曜19時台前半にアニメ番組が放送されたことは開局以来現在に至るまで1本もない。また在京キー局で日曜19:00開始のアニメ番組が放送されたことがないのはTBSのみ。
  3. ^ ただし「オバQ」では、「ぼくらはゆかいな仲間でーす」が「2人は仲良しコンビでーす」となっており、このパートのみ声は石川進が担当。そして最後の「♪不二家、不二家~」の部分はオバQ・ペコちゃんと共に石川も歌った。
  4. ^ 『オバQ』は『オバケのQ太郎』→『オバQ音頭』、『パーマン』は『ぼくらのパーマン』。これに対し『怪物くん』はEDテーマが『おれは怪物くんだ』時代は同系列アレンジだったが、『怪物くん音頭』に代わってからはオリジナルアレンジに変更された。
  5. ^ 『パーマン』も2014年のDVD-BOX発売まではオープニングテーマでの共演場面は見ることは出来なかった。

出典

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  1. ^ 当時の朝日新聞、讀賣新聞、毎日新聞、産経新聞、中国新聞などで確認[いつ?]
  2. ^ 安藤健二『封印作品の憂鬱』洋泉社、2008年、p.75
  3. ^ 『福島民報』1972年4月17日付夕刊、4面。
  4. ^ 記憶のかさブタNo・87 昭和オリジナルビデオアニメの世界・大人の番外編
  5. ^ ACC CM年鑑. '65
  6. ^ 当時はJNNには番販で参加していた。
  7. ^ フジテレビ系列・NETテレビ系列には正式に加盟していなかったが、一部ニュース番組のネット受けや加盟局並みの番組編成を行っていた。

関連項目

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KRテレビ 日曜18:00枠
前番組 番組名 次番組
童話番組

スポーツ中継
(放送枠不定)
不二家の時間
(1955.10.16 - 1956.12.9)
KRテレビ→TBSテレビ 日曜19:30枠
舞台中継ほか
(放送枠不定)
不二家の時間
(1956.12.16 - 1973.6.3)