地方文学賞
地方文学賞は、日本国内の地方自治体や地方新聞社、地方の文芸協会などが実施する文学賞。
概要
[編集]地方文学賞には、大きく分けて、既刊の作品が対象の賞・公募の文学賞の2つがある。前者は、著名な文学者の出身地となっている自治体が主催するものが多く、泉鏡花の出身地である石川県金沢市が主催する泉鏡花文学賞(1973年 - )[1] や、坪田譲治の出身地である岡山県岡山市が主催する坪田譲治文学賞(1984年 - )[2] などが長い歴史を持つ。
一方、公募の文学賞では、新聞社や自治体が主催する賞がある。受賞作は主催元の新聞や文芸誌に掲載される。広島県福山市が主催するばらのまち福山ミステリー文学新人賞(2008年 - )のように、受賞作が大手出版社により全国で刊行される賞もある。北日本文学賞(北日本新聞社)、埼玉文学賞(埼玉新聞社)、南日本文学賞(南日本新聞社)、さきがけ文学賞(秋田魁新報社)などが長い歴史を持ち、新人作家の登竜門として機能している。
全国から作品を公募する地方文学賞は、新人作家の発掘などを目的にしたものだが、一方で地域の文芸活動の振興のため、ある地域内に限定して作品を募る場合もある。
既刊作品・人物が対象の文学賞(全国から選考)
[編集]市区町村主催
[編集]- 現行のもの
- 福岡市文学賞(福岡県福岡市、1970年 - )
- 泉鏡花文学賞(泉鏡花/石川県金沢市、1973年 - )
- 坪田譲治文学賞(坪田譲治/岡山県岡山市、1984年 - )
- 富田砕花賞(富田砕花/兵庫県芦屋市、1990年 - )
- 紫式部文学賞(紫式部/京都府宇治市、1991年 - )
- 中山義秀文学賞(中山義秀/福島県白河市、1993年 - )
- 萩原朔太郎賞(萩原朔太郎/群馬県前橋市、1993年 - )
- 島清恋愛文学賞(島田清次郎/石川県白山市、1994年 - )
- 丸山薫賞(丸山薫/愛知県豊橋市、1994年 - )
- 舟橋聖一文学賞(舟橋聖一/滋賀県彦根市、2007年 - )
- 終了したもの
その他団体主催
[編集]既刊作品・人物が対象の文学賞(地域内から選考)
[編集]全国から公募する文学賞
[編集]主に短編・中編の小説の公募である。
地方新聞社主催
[編集]- 現行のもの
- 北日本文学賞(北日本新聞社、1966年 - /小説を募集/北日本新聞に掲載)
- 埼玉文学賞(埼玉新聞社、1969年 - /小説、詩、短歌、俳句の4部門/埼玉新聞に掲載)
- 南日本文学賞(南日本新聞社、1973年 - )
- さきがけ文学賞(秋田魁新報社・さきがけ文学賞渡辺喜恵子基金 1984年 - /秋田魁新報紙面に掲載)
- 北日本児童文学賞(北日本新聞社、2003年 - )
- 阿波しらさぎ文学賞 (徳島新聞社・徳島文学協会、2018年 - /掌編小説を募集/徳島新聞に掲載)
- 終了したもの
- 日本海文学大賞(中日新聞北陸本社、1990年 - 2007年)
- 浦安文学賞(浦安ニュース社、1990年 - 2008年)
- 長野文学賞(長野日報社、1990年 - 2008年)
- 九州さが大衆文学賞(笹沢左保賞/佐賀新聞社ほか、1994年 - 2017年/推理小説または歴史小説・時代小説)
- 岩手日報文学賞(岩手日報社)
地方自治体主催
[編集]都道府県主催
[編集]市区町村主催
[編集]- 現行のもの
- 太宰治賞(太宰治/東京都三鷹市・筑摩書房、1965年 - 1978年、1999年 - )
- 坊っちゃん文学賞(愛媛県松山市、1989年 - /青春小説)
- 舟橋聖一顕彰青年文学賞(舟橋聖一/滋賀県彦根市、1989年 - )
- 北九州市自分史文学賞(福岡県北九州市、1992年 - /自分史を募集)
- 奥の細道文学賞(埼玉県草加市、1992年 - )
- 小諸・藤村文学賞(島崎藤村/長野県小諸市、1992年 - )
- 長塚節文学賞(長塚節/茨城県常総市、1996年 - )
- 湯河原文学賞(神奈川県湯河原町、2001年 - /小説部門(現代を舞台にした小説)および俳句部門)
- 北区 内田康夫ミステリー文学賞(内田康夫/東京都北区、2002年 - /推理小説を募集)
- ちよだ文学賞(東京都千代田区、2006年 - )
- ばらのまち福山ミステリー文学新人賞(広島県福山市、2008年 - /長編の本格推理小説を募集)
- かつしか文学賞(東京都葛飾区、2010年 - )
- 木山捷平短編小説賞・木山捷平文学選奨(木山捷平/岡山県笠岡市)
- 西の正倉院みさと文学賞(宮崎県美郷町、2018年 - )
- 終了したもの
- 堺自由都市文学賞(大阪府堺市、1989年 - 2010年)
- さいたま市スポーツ文学賞(埼玉県さいたま市)
- 鳥羽市マリン文学賞(三重県鳥羽市)
その他団体主催
[編集]- 現行のもの
- 大阪女性文芸賞(大阪女性文芸協会主催、1983年 - )
- 織田作之助賞 青春賞(織田作之助/大阪文学振興会、関西大学、毎日新聞社主催、1983年 - )
- ゆきのまち幻想文学賞(ゆきのまち通信(青森県)主催、1990年 - )
- ふくい風花随筆文学賞(「ふくい風花随筆文学賞」実行委員会主催、1997年 - )
- 小島信夫文学賞(小島信夫文学賞の会主催、1999年 - )
- ちゅうでん児童文学賞(公益財団法人ちゅうでん教育振興財団主催、1998年 - )
- 宮古島文学賞(宮古島市文化協会主催、2017年 - )
- 仙台短編文学賞(「仙台短編文学賞」実行委員会主催、2017年 - )
- 随筆春秋賞(一般社団法人随筆春秋主催、1995年-)
- 空華文学賞(文藝同人無刀会主催、2021年-)
- 終了したもの
- 北海道文学賞(『月刊クォリティ』主催、1974年 - 2013年)
- 北海道文芸賞(『月刊クォリティ』主催、2014年 - 2018年)
- さばえ近松文学賞(近松の里づくり事業推進会議主催、2013年 - 2018年)
- 関西文學新人賞(2001年 - 2007年)
- さくらんぼ文学新人賞(さくらんぼテレビジョン(山形県)主催、2007年 - 2010年)
地方・都道府県内から公募する文学賞
[編集]ある地方や都道府県の在住者・在学者・在勤者または出身者などに限って公募を行う文学賞。地域の文芸活動の振興などを目的とする。
地方新聞社主催
[編集]- 福島県文学賞(福島県在住・在学・在勤者。ただし東日本大震災以降は県外避難をしている者及び学生・生徒をも対象に入れている。/福島民報社、福島県、1948年 -)
- 中国短編文学賞(中国地方在住・在学・在勤者/中国新聞社、1955年 - /小説)
- 北海道新聞文学賞(原則として道内在住者もしくは3年以上の道内居住経験者/1967年 - )
- 琉球新報短編小説賞(琉球新報社、1973年 - )
- 新沖縄文学賞(沖縄県出身者・在住者、1975年 - )
- 山之口貘賞(琉球新報社、1978年 - )
- 新潟日報文学賞(新潟県在住・出身者/新潟日報社、1987年 - )
- 琉球新報児童文学賞(沖縄県出身者・在住者/琉球新報社、1988年 - )
- ちぎり文学賞(東三河在住・在学・在勤者/東愛知新聞社、1990年 - )
- 南日本文学大賞(南日本新聞社、2001年 - )
- 福井文学賞(中日新聞社他、2003年 - )
- 東奥文学賞(青森県在住・出身者/東奥日報社、2008年 - )
- とっとり文学賞(鳥取県出身・在住・在勤者/新日本海新聞社、2014年 - )
- ふくいジュニア文学賞(福井新聞社)
- 熊日文学賞(熊本日日新聞社)
- 終了したもの
地方自治体主催
[編集]- 香川菊池寛賞(香川県在住・出身者/高松市・高松市教育委員会・菊池寛顕彰会主催、1965年 - )
- 埼玉文芸賞(埼玉県在住・在学・在勤者/埼玉県主催・さいたま文学館主管、1969年 - )
- とやま文学賞(富山県在住・出身者/富山県・富山県芸術文化協会主催、1982年 - )
- とくしま文学賞(徳島県在住・出身者/徳島県・徳島県立文学書道館主催、2003年 - )
その他団体主催
[編集]- 東北北海道文学賞(東北地方および北海道在住・出身者/文芸東北新社、1990年 - )
- おきなわ文学賞(沖縄県在住者など/公益財団法人沖縄県文化振興会、2005年 - )
- みやざき文学賞(宮崎県在住・在学者/公益財団法人宮崎県芸術文化協会)
市区町村内から公募する文学賞
[編集]市区町村の範囲で公募される文学賞は無数にあるため、一覧は掲載しない。地方自治体の協力のもとに刊行される地方の文芸誌などで、応募資格を市区町村内に限った文学賞の公募が行われている。