最終兵器 (アルバム)
『最終兵器』 | ||||
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キングギドラ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル | ヒップホップ | |||
時間 | ||||
レーベル | デフスターレコーズ | |||
プロデュース | K DUB SHINE | |||
チャート最高順位 | ||||
キングギドラ アルバム 年表 | ||||
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『最終兵器』収録のシングル | ||||
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『最終兵器』(さいしゅうへいき)は、キングギドラによる2枚目のアルバム。2002年10月17日発売。発売元はデフスターレコーズ。映像作品「最終兵器」、「凶気の桜」オリジナルサウンドトラックと同時発売。
解説
[編集]前作『空からの力』から7年ぶりとなるアルバム。メンバーのZeebraは自身の自伝にて『空からの力』完全版という意識で今作を制作したと述べている[2]。『空からの力』の制作当時はメンバー3人がキングギドラでしか表現する場所がなかった為にメンバー同士エゴのぶつかり合いがあったというが、それぞれがソロ活動を経て、本作では100%グループとしてのアルバム制作に集中できたという[3]。
『最終兵器』のプロモーションとしてメンバーで出演したCDTVの放送でZeebraは「話題にもなっていると思うが、最終兵器って言うだけあって超問題作。」とコメントしている。
Zeebraは本作でパブリック・エナミーのようなグループを日本でやりたいという『空からの力』の頃の目標がようやく達成できたと述べている[3]。
オリコンの週間アルバムチャートでは初登場3位を記録[4][5]。アルバム発売後に全国ツアーを開催した[6]。
翌年の2003年、本作のリミックス作品『最新兵器』を発売した[7]。
「UNSTOPPABLE」に収録されている「ドライブハイ」、「ミヤコ」は収録されていない。
収録曲
[編集]# | タイトル | 作詞 | 作曲 | プロデュース | 時間 |
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1. | 「最終兵器」 | ZEEBRA, K DUB SHINE | DJ OASIS | DJ OASIS | |
2. | 「UNSTOPPABLE」 | ZEEBRA, K DUB SHINE | DJ OASIS | DJ OASIS | |
3. | 「公開処刑 feat.BOY-KEN」 | ZEEBRA, K DUB SHINE, BOY-KEN | ZEEBRA | ZEEBRA | |
4. | 「トビスギ(Don't Do It)」 | ZEEBRA, DJ OASIS, K DUB SHINE, Sylvia Robinson, Melvin Glover | ZEEBRA, Sylvia Robinson, Melvin Glover | ZEEBRA | |
5. | 「F.F.B.(Album Version)」 | ZEEBRA, K DUB SHINE | INOVADER | INOVADER | |
6. | 「リアルにやる」 | ZEEBRA, K DUB SHINE | D.O.I | D.O.I | |
7. | 「911(Original Version)」 | ZEEBRA, DJ OASIS, K DUB SHINE, Rick James | ZEEBRA, Rick James | ZEEBRA | |
8. | 「真実の爆弾」 | ZEEBRA, K DUB SHINE, DJ OASIS, Jeffrey Bowen Donald Baldwin, Jim Ford | DJ OASIS, Jeffrey Bowen Donald Baldwin, Jim Ford | DJ OASIS | |
9. | 「平成維新 feat.童子-T&UZI」 | ZEEBRA, K DUB SHINE, 童子-T, UZI | DJ OASIS | DJ OASIS | |
10. | 「マネーの虎」 | ZEEBRA, K DUB SHINE | DJ WATARAI | DJ WATARAI | |
11. | 「友情」 | ZEEBRA, DJ OASIS, K DUB SHINE, George Del Barrio | DJ OASIS, George Del Barrio | DJ OASIS | |
12. | 「ジェネレーションネクスト」 | ZEEBRA, K DUB SHINE, Tony Hester | DJ OASIS, Tony Hester | DJ OASIS | |
13. | 「夜明け」 | - | DJ OASIS | DJ OASIS | |
合計時間: |
楽曲解説
[編集]- 最終兵器
- 「UNSTOPPABLE」「F.F.B.」の発売停止について触れられている。
- UNSTOPPABLE
- シングル。PV監督は薗田賢次
- 公開処刑 feat.BOY-KEN
- 物議を呼ぶ楽曲となる(後述)。
- トビスギ(Don't Do It)
- 作詞:ZEEBRA, DJ OASIS, K DUB SHINE, Sylvia Robinson, Melvin Glover 作曲:ZEEBRA, Sylvia Robinson, Melvin Glover
- 覚醒剤をテーマとした作品。ニュースのアナウンスから楽曲が始まる。歌詞カードには各メンバーのヴァースの所に"〜BAD CASE 数字:メンバー名〜"と表記され、8つのケースが登場する。サビはZeebraが単独でラップをしているが、〜MESSAGE FROM KG〜となっている。
- ドラック問題をラップしたグランドマスター・フラッシュ&フューリアス・ファイヴの「White Lines」をサンプリングしている[8]。
- F.F.B.(Album Version)
- シングルで発売されたものとは歌詞が一部違う。
- リアルにやる
- 2004年発売のKダブシャインのソロ・アルバム『理由』に収録されている「理由」のサビではこの楽曲の自身のヴァースの冒頭部分を引用している。
- 911(Original Version)
- シングル「911 (Remix)」のオリジナルバージョン。リック・ジェイムスの「Love In The Night」をサンプリングしている。本来はこちらがシングルとして発売される予定だった。アメリカ同時多発テロ事件を題材とした楽曲である。PV監督は薗田賢次。
- 真実の爆弾
- 平成維新 feat.童子-T&UZI
- シングル「F.F.B.」のカップリング曲。
- マネーの虎
- 友情
- Calderaの「Teiste」をサンプリングしている。
- ジェネレーションネクスト
- シングル。映画「凶気の桜」主題歌。PV監督は薗田賢次
- 夜明け
- インスト曲。シングル「F.F.B.」カップリング曲。
公開処刑
[編集]3曲目に収録されている「公開処刑」において、Zeebraのヴァースでは降谷建志を「お前だKJ」と名指しでDIS(批判)している(経緯についてはGrateful Days、Summer Tribeを参照。)。インターネット上では発表時から双方のファンによる論争が勃発した[9]。KダブシャインのヴァースではポップなラッパーをDISしており、歌詞の中にKICK THE CAN CREW、RIP SLYMEを揶揄した部分が存在する[10]。
KダブシャインはZeebraの降谷批判についてグループのパートナーのビーフは自分のビーフだと思っていたと後に語っている[11]。一方のZeebraはKダブシャインのヴァースでのポップなラッパー批判はKダブシャイン個人の意見として捉えている。Zeebraが最終兵器のリリース後、RIP SLYMEのPESに「俺はRIP SLYMEのことは言ってないからね」と声をかけてあげていたことがRYO-Zによって語られている[12]。
この曲を聴いた降谷は精神的なダメージを受けることとなる。その後これはヒップホップだから許されるとインタビューで語っており、買う人がいるということは評価されているということを認めている。ただ、自分は人と競い合ったり傷つけるために音楽をやっている訳ではないと述べている[13]
RIP SLYMEがアルバム『最終兵器』発売後の2002年11月に発売したシングル「BLUE BE-BOP」のミュージック・ビデオの最後に"THANK YOU FOR YOUR KIND ADVICE AND SUPPORT!"というメッセージがあり、これがこの曲に対するアンサーではないかと推測された[14]。
2019年4月28日に渋谷駅ハチ公前の特設ステージで行われたフリースタイルダンジョンとWEEKEND BOMBのトークイベントにZeebraが出席した際にKJとの現在の関係性を質問され、ラッパ我リヤのQの結婚パーティーで遭遇し、Zeebraから話しかけ会話したことを明かしている。
2019年に配信されたYouTubeチャンネル「愛韻TV #2」では、KダブシャインとKICK THE CAN CREWのメンバーLITTLEが共演している。この際に公開処刑の件にKダブシャインが触れ、公開処刑という曲のタイトルが悪かったとし、反省していると語っている。
影響
[編集]脚注
[編集]- ^ “プロフィール”. ソニーミュージック オフィシャルサイト. 2020年5月14日閲覧。
- ^ 「第5章『公開処刑』の真相」『ZEEBRA自伝 HIP HOP LOVE』、ぴあ株式会社、2008年11月28日、187頁、ASIN B00H6WJNSU。
- ^ a b 『interview with KGDR(ex. キングギドラ) 1995年、曲がり角の名盤。 』(インタビュアー:磯部涼)、ele-king、2015年6月17日 。2020年5月14日閲覧。
- ^ “キングギドラ、少年院で慰問ライブ ツアーも検討”. SANSPO.COM. 株式会社産業経済新聞社. 2002年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月30日閲覧。
- ^ “伝説的ヒップホップグループ・キングギドラが20年ぶりに復活 『THE FIRST TAKE』で「UNSTOPPABLE」披露”. ORICON MUSIC (オリコン株式会社). (2022年10月28日) 2022年11月1日閲覧。
- ^ “話題のアルバム『最終兵器』を引っ提げ、最初で最後の全国ツアー!”. BARKS. (2002年10月9日) 2019年3月12日閲覧。
- ^ “キングギドラ、またも問題作となるか?(Musicnet)”. Yahoo!ミュージック. 2003年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月20日閲覧。
- ^ “文字通りシーンを淘汰する“最終兵器”となるか?”. BARKS. (2002年10月16日) 2019年3月12日閲覧。
- ^ “キングギドラ、ドラゴンアッシュに「公開処刑」”. SANSPO.COM. 株式会社産業経済新聞社. 2002年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月30日閲覧。
- ^ “キングギドラが“言いてぇ事言うのがヒップホップであること”を示した傑作アルバム『最終兵器』”. music.jpニュース. (2016年11月16日) 2019年8月23日閲覧。
- ^ “Kダブシャイン、Zeebraと降谷建志(Dragon Ash)のビーフを振り返る「あとからガッカリした」”. 耳マン. (2018年3月18日) 2019年12月25日閲覧。
- ^ “【RYO-Z×Zeebra】ヒップホップは常に新しいものであってほしいと思ってる。新しいものを良いと思えなくなっちゃったら、ヒップホップじゃない。”. McGuffin. 2019年8月23日閲覧。
- ^ 「ドラゴンアッシュレーベル設立を経て復活へ動き始めた現在をKjが告白!「まだKjは帰ってきてない」その真意とは?」『ROCKIN'ON JAPAN』2003年5月 Vol.245、ロッキング・オン、2003年、[要ページ番号]。
- ^ DJ Fumiya『interview with DJ Fumiya ダンスは人を苦しめない 』(インタビュアー:斎藤辰也)、ele-king、2012年11月6日 。2020年9月10日閲覧。
- ^ 唾奇 x Sweet William『唾奇 x Sweet William』(インタビュアー:伊藤雄介(Amebreak))、Amebreak[アメブレイク]、2017年4月18日。オリジナルの2019年4月12日時点におけるアーカイブ 。2020年5月14日閲覧。