法四依
法四依(ほうしえ)とは、大乗経典に説かれる4つの法義をいう。
維摩経の法供養品や大智度論、成実論の第2にも見られるが、特に涅槃経の四依品では、仏滅後の末世(すなわち末法)に正しく依るべき4つの法義をいい、涅槃了義の観点から法四依を再説している。
- 依義不依語(義に依りて語に依らざれ)
- arthapratiśaraṇatā na vyañjanapratiśaraṇatā
- 依於義不以厳好(支謙)、依趣於義不依於文(玄奘)
- 意味に依拠して、文辞に依拠しない
- 依智不依識(智に依りて識に依らざれ)
- jñānapratiśaraṇatā na vijñānapratiśaraṇatā
- 依於慧不為文飾(支謙)、依趣於智不依於識(玄奘)
- 智慧に依拠して、知識に依拠しない
- 依了義経不依不了義経(了義経に依りて不了義経に依らざれ)
- nītārthasūtrāntapratiśaraṇatā na neyārthasaṃvṛtyabhiniveśaḥ
- 依於経不習非義(支謙)、依趣了義所説契経終不依於不了義説(玄奘)
- 仏の教えが完全に説かれた経典に依拠して、意味のはっきりしない教説に依拠しない
- 依法不依人(法に依りて人に依らざれ)
- dharmatāpratiśaraṇatā na pudgaladṛṣṭyupalambho na grāhyābhiniviṣṭatā
- 依於法不用人所見(支謙)、依趣法性終不依於補特伽羅見有所得(玄奘)
- 真理(法性)に依拠して、人間の見解に依拠しない