能楽師
能楽師(のうがくし)は、職業的に能楽を演じる人。
概要
[編集]能楽師には、シテ方、ワキ方、狂言方、囃子方(笛方・小鼓方・大鼓方・太鼓方)という職掌があり、各方はそれぞれに流儀がある。また、特にワキ方・狂言方・囃子方を総称して三役ともいう。これらの職能区分は厳格に守られており、他の職掌を兼務することはない。
「狂言師」という呼称が「能楽師」と並列して使われることもあるが、元来、狂言は能楽の一分野であるので、歴史的にも現実的にも「狂言方の能楽師」とする理解の方が一般的であり、能楽協会の会員名簿において「狂言方能楽師」という扱いであるのはその例である。
能楽の玄人の資格は各流儀によってまちまちであるが、現代においては各流儀とも玄人として承認した者は能楽協会に登録するという申し合わせがあり、原則的には能楽協会会員をもって職業として能楽を行う者ということができる。
能楽協会においては、正会員は能楽師であることが明記されている[1]。そして、能楽は重要無形文化財であり[2]、存命の人物については、総合認定の技能保持者(当該芸能を高度に体現する者)である社団法人日本能楽会会員をもって技量の目安とすることで差し支えない[3]。若手については、重要無形文化財能楽の保持者と認定されず日本能楽会への入会を許されていないが、それは修行中ということである。
それ以外にも、名誉師範(シテ方観世流)や教授嘱託(シテ方宝生流)など、流儀から一定の免状を受け、素人への謡曲教授などを行っている人々もいるが、重要無形文化財である能楽を演じる得る技能を有している者、及び能楽協会正会員の能楽師には区分されない。