2020年東京オリンピックの馬術競技
2020年東京オリンピック 馬術競技 | |
馬事公苑 | |
会場 | 馬事公苑 海の森公園 |
---|---|
開催日 | 2021年7月24日-8月7日 |
« 2016 | 2024 » |
2020年東京オリンピックの馬術競技(2020ねんとうきょうオリンピックのばじゅつきょうぎ)は国際馬術連盟(FEI)管轄の下、2021年7月24日から8月7日まで開催されたオリンピックの馬術競技である。前回大会同様、障害馬術(障害飛越)・馬場馬術・総合馬術の個人・団体計6種目で開催された[1]。競技は馬事公苑のほか、総合馬術は海の森公園のクロスカントリーコースでも実施された。
出場資格
[編集]FEIにより、開催国日本は全種目の出場枠(計9人馬)が保証されている[2]。団体戦はいずれの種目も1チーム3人馬で構成され、2018年世界馬術選手権(アメリカ合衆国・トライオン)や地域別予選等により選出された障害飛越20チーム、総合馬術・馬場馬術は各15チームが出場する。個人戦には団体戦に出場する人馬に加え、地域別予選やFEIが定めるオリンピックランキング等により、団体戦の出場枠を得ていないNOCに出場枠が与えられる。障害飛越15人馬(団体戦の出場枠を得たNOCと合わせて75人馬)[3]、総合馬術20人馬(同65人馬)[4]、馬場馬術15人馬(同60人馬)[5]が出場する。1つのNOCからは団体戦の出場国からは3人馬、非出場国からは障害飛越と馬場馬術は1人馬、総合馬術は2人馬まで出場できる。
種目 | 開催国 | 2018年 世界選手権 | 地域グループ | ※ | 合計 | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A&B | C | D&E | F | G | ||||||
障害飛越 | 1 | 6 | 3 | 2 | 3 | 2 | 2 | 1 | 20 | ※2019年のFEIネーションズカップの上位1カ国 |
総合馬術 | 1 | 6 | 2 | 1 | 2 | 2 | 1 | 15 | ※FEI Eventing Nations Cup Series 2019の上位1カ国 | |
馬場馬術 | 1 | 6 | 3 | 1 | 2 | 1 | 1 | - | 15 |
種目 | 団体戦 出場国 | 地域グループ | ※ | 合計 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
A,B,C,F,G | D | E | |||||
障害飛越 | 60 | 各2 | 4 | 1 | 75 | ※オリンピックランキングの上位1カ国 | |
総合馬術 | 45 | 各2 | 2 | 2 | 6 | 65 | ※オリンピックランキングの上位6カ国 |
馬場馬術 | 45 | 各2 | 4 | 1 | 60 | ※オリンピックランキングの上位1カ国 |
グループA…北西ヨーロッパ、グループB…南西ヨーロッパ、グループC…中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ及び中央アジア、グループD…北米、グループE…中南米、グループF…アフリカ及び中東、グループG…東アジア、南アジア及びオセアニア
本大会に出場する人馬は2021年6月21日までに出場最低基準(MER:Minimum Eligibility Requirements)を満たす必要があり、満たせなかった場合は、出場枠は他の国に割り当てられる。(団体戦の出場国が3人馬を揃えられない場合は、個人戦1人馬の出場枠に置き換えられる。空いた団体戦の出場枠は、次点のNOC(障害飛越)か国ごとの上位3名のオリンピックランキングにおける成績合計が最も良いNOC(総合馬術、馬場馬術)に与えられる。)
出場国
[編集]- アルゼンチン (4)
- オーストラリア (8)
- オーストリア (3)
- ベルギー (8)
- ベラルーシ (1)
- ブラジル (9)
- カナダ (5)
- チリ (2)
- 中国 (7)
- コロンビア (1)
- チェコ (6)
- デンマーク (5)
- ドミニカ共和国 (2)
- エクアドル (1)
- エジプト (4)
- スペイン (5)
- エストニア (1)
- フィンランド (1)
- フランス (10)
- イギリス (10)
- ドイツ (10)
- 香港 (1)
- インド (1)
- アイルランド (8)
- イスラエル (3)
- イタリア (5)
- ヨルダン (1)
- 日本 (10)
- 韓国 (1)
- ラトビア (1)
- ルクセンブルク (1)
- モロッコ (4)
- メキシコ (5)
- オランダ (9)
- ノルウェー (1)
- ニュージーランド (7)
- ポーランド (3)
- ポルトガル (4)
- プエルトリコ (1)
- 南アフリカ (5)
- ロシア (1)
- シンガポール (1)
- スリランカ (1)
- スイス (9)
- スウェーデン (10)
- シリア (1)
- タイ (3)
- チャイニーズタイペイ (1)
- ウクライナ (2)
- アメリカ合衆国 (10)
競技概要
[編集]障害飛越
[編集]団体は1チーム3名の合計スコア(減点方式)で順位を決定する。団体決勝には予選の上位10チーム、個人決勝には予選の上位30名が進出するが、予選のスコアは決勝には持ち越されない。スコアが並んだ場合は、タイムで順位を決定するが、1位が並んだ場合はジャンプオフ(優勝決定戦)により優勝者を決定する。
団体には20チームが出場予定であったが、オーストラリアの選手1名が出場停止となった上[6]、交代選手も出場できなかったため、19チームが出場した。オーストラリアの残りの2選手は個人のみに出場する[7]。また、2名の交代選手が出場した一方、5名が棄権したため、合わせて54名が出場した。個人は2名が棄権したため、73名が出場した。団体と個人をあわせて、89名の選手が競技に出場した。日本は団体で福島大輔は予選に出場したが、斎藤功貴と佐藤英賢が棄権し失権となった[8]。個人では福島が予選、決勝ともに減点0で競技を終え、首位に並んだ。最終順位を決めるジャンプオフの結果、6位入賞となった。
総合馬術
[編集]団体は1チーム3名の合計スコアで順位を決定する。馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術(1回目)は団体と個人を兼ねる。団体は障害馬術(1回目)までの合計で順位を決定するが、個人は障害馬術(1回目)までの合計の上位25名が障害馬術(2回目)に進出し、障害馬術(2回目)までの合計で順位を決定する。
団体には15チームが出場したが、4名の交代選手が出場したため、合わせて49名が出場した。個人は3名が棄権した[9][10][11]ため、62名が出場した。団体と個人をあわせて、66名の選手が競技に出場した。日本からは団体に大岩義明、田中利幸、戸本一真が出場したが、最終種目の障害馬術のみ大岩に代わってリザーブの北島隆三が出場し、最終順位は11位となった。個人では大岩はクロスカントリーで脱落、田中は障害馬術(1回目)で敗退となったが、戸本が障害馬術(2回目)まで進出し、4位入賞を果たした。
馬場馬術
[編集]団体は1チーム3名の合計スコアで順位を決定する。グランプリ(予選)は団体と個人両方の予選を兼ねる。団体グランプリスペシャル(決勝)にはグランプリの上位8チーム、個人グランプリフリースタイル(決勝)にはグランプリの上位18名(6グループから上位2名ずつ+成績上位6名)が進出するが、グランプリのスコアはグランプリスペシャルやグランプリフリースタイルには持ち越されない。
団体には15チームが出場したが1名が棄権した[12]ため、44名が出場した。個人では更に1名が棄権した[13]ため、58名が出場した。団体と個人をあわせて、58名の選手が競技に出場した。日本勢(北原広之、佐渡一毅、林伸伍)は団体・予選ともに決勝進出はならなかった。
競技日程
[編集]競技会場は馬事公苑。8月1日のクロスカントリーのみ、海の森公園のクロスカントリーコースで実施される。
日付 | 種目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|---|
7/24 | 馬場馬術 | グランプリ1日目 | 団体予選・個人予選 |
7/25 | グランプリ2日目 | ||
7/27 | グランプリスペシャル | 団体決勝 | |
7/28 | グランプリフリースタイル | 個人決勝 | |
7/30 | 総合馬術 | 馬場馬術1日目 | 団体・個人 |
7/31 | 馬場馬術2日目 | ||
8/1 | クロスカントリー | ||
8/2 | 障害馬術 | ||
8/3 | 障害飛越 | - | 個人予選 |
8/4 | - | 個人決勝 | |
8/6 | - | 団体予選 | |
8/7 | - | 団体決勝 |
競技結果
[編集]種目 | 金 | 銀 | 銅 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
馬場馬術 個人[15] | イェシカ・フォン・ブレドフ=ヴァーンドル ドイツ (GER) | 91.732 | イザベル・ヴェルト ドイツ (GER) | 89.657 | シャーロト・ドュジャーデーン イギリス (GBR) | 88.543 |
馬場馬術 団体[16] | ドイツ (GER) ドロテー・シュナイダー(2652.0) イザベル・ヴェルト(2740.5) イェシカ・フォン・ブレドフ=ヴァーンドル(2785.5) | 8178.0 | アメリカ合衆国 (USA) エイドリアン・ライル(2504.0) ステファン・ピーターズ(2558.5) サビーン・シュット=ケリー(2684.5) | 7747.0 | イギリス (GBR) カール・ヘスター(2577.5) シャーロット・フライ(2528.5) シャーロト・ドュジャーデーン(2617.0) | 7723.0 |
総合馬術 個人[17] | ユリア・クライェフスキー ドイツ (GER) | 26.00 | トム・マクウェン イギリス (GBR) | 29.30 | アンドリュー・ホイ オーストラリア (AUS) | 29.60 |
総合馬術 団体[18] | イギリス (GBR) トム・マクウェン(28.90) ローラ・コレット(29.80) オリバー・タウネンド(27.60) | 86.30 | オーストラリア (AUS) ケビン・マクナブ(34.90) シェーン・ローズ(35.70) アンドリュー・ホイ(29.60) | 100.20 | フランス (FRA) ニコラ・トゥゼン(33.90) カリム・フローラン・ラグア(36.40) クリストフェー・シクス(31.20) | 101.50 |
障害飛越 個人[19] | ベン・マー イギリス (GBR) | 0(JO:37.85) | ペデル・フレドリクソン スウェーデン (SWE) | 0(JO:38.02) | マイケル・ファン・デル・フルーテン オランダ (NED) | 0(JO:38.90) |
障害飛越 団体[20] | スウェーデン (SWE) マリン・バーヤート=ヨンソン ペデル・フレドリクソン ヘンリク・フォン・エチェルマン | 8(JO:122.90) | アメリカ合衆国 (USA) ローラ・クロート ジェシカ・スプリングスティーン マクレーン・ウォード | 8(JO:124.20) | ベルギー (BEL) ピーター・デフォス ジェローム・ゲリー グレゴリー・ワトヘルト | 12 |
国・地域別のメダル獲得数
[編集]順 | 国・地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ドイツ (GER) | 3 | 1 | 0 | 4 |
2 | イギリス (GBR) | 2 | 1 | 2 | 5 |
3 | スウェーデン (SWE) | 1 | 1 | 0 | 2 |
4 | アメリカ合衆国 (USA) | 0 | 2 | 0 | 2 |
5 | オーストラリア (AUS) | 0 | 1 | 1 | 2 |
6 | ベルギー (BEL) | 0 | 0 | 1 | 1 |
フランス (FRA) | 0 | 0 | 1 | 1 | |
オランダ (NED) | 0 | 0 | 1 | 1 | |
合計 | 6 | 6 | 6 | 18 |
備考
[編集]脚注
[編集]- ^ “馬術”. 東京2020. 2021年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月18日閲覧。
- ^ “東京オリンピック延期に伴う選考基準改定について 公益社団法人 日本馬術連盟 《Japan Equestrian Federation》”. www.equitation-japan.com. 2020年7月11日閲覧。
- ^ “QUALIFICATION SYSTEM – GAMES OF THE XXII OLYMPIAD – TOKYO 2020 EQUESTRIAN - JUMPING”. 2021年11月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月27日閲覧。
- ^ “QUALIFICATION SYSTEM – GAMES OF THE XXII OLYMPIAD – TOKYO 2020 EQUESTRIAN - EVENTING”. 2021年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月27日閲覧。
- ^ “QUALIFICATION SYSTEM – GAMES OF THE XXII OLYMPIAD – TOKYO 2020 EQUESTRIAN - DRESSAGE”. 2021年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月27日閲覧。
- ^ “Aussie showjumper positive for cocaine” (英語). ESPN.com (2021年7月21日). 2021年8月28日閲覧。
- ^ Masters, Roy (2021年7月23日). “Equestrian duo get green light to compete as individuals” (英語). The Sydney Morning Herald. 2021年12月4日閲覧。
- ^ 共同通信 (2021年8月6日). “障害飛越団体で日本は失権 馬術・6日 | 共同通信”. 共同通信. 2021年12月4日閲覧。
- ^ Roome, Pippa (2021年7月29日). “Horse withdrawn from Tokyo Olympic eventing just before first trot-up” (英語). Horse & Hound. 2021年8月28日閲覧。
- ^ Almberger, Günter (2021年7月31日). “Kein Start von Katrin Khoddam-Hazrati: Pferd Cosma ging nicht lahmfrei” (ドイツ語). Tiroler Tageszeitung Online. 2021年8月28日閲覧。
- ^ “Tokyo 2020 eventing entries confirmed | An Eventful Life”. www.an-eventful-life.com.au. 2021年8月28日閲覧。
- ^ “Victoria Max-Theurer Withdraws from 2021 Olympic Games, Team Austria Out” (英語). Eurodressage. 2021年8月28日閲覧。
- ^ “Tanya Seymour's Sad Tokyo Ending, Ramoneur Out due to Laminitis” (英語). Eurodressage. 2021年8月28日閲覧。
- ^ “馬術 競技スケジュール”. 東京2020. 2021年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月1日閲覧。
- ^ “結果 - 馬場馬術個人グランプリフリースタイル - 7月28日” (日本語). olympics.com. 2021年7月28日閲覧。
- ^ “結果 - 馬場馬術団体グランプリスペシャル - 7月27日” (日本語). olympics.com. 2021年7月27日閲覧。
- ^ “結果 - 総合馬術障害個人決勝 - 8月2日” (日本語). olympics.com. 2021年8月2日閲覧。
- ^ “結果 - 総合馬術障害団体決勝及び個人予選 - 8月2日” (日本語). olympics.com. 2021年8月2日閲覧。
- ^ “結果 - 障害馬術個人決勝 - 8月4日” (日本語). olympics.com. 2021年8月4日閲覧。
- ^ “結果 - 障害馬術団体決勝 - 8月7日” (日本語). olympics.com. 2021年8月7日閲覧。
- ^ “【東京五輪】 イギリス、総合馬術団体で金 49年ぶり”. 『BBC』. (2021年8月3日). オリジナルの2021年8月4日時点におけるアーカイブ。 2021年8月4日閲覧。
外部リンク
[編集]- 馬術 競技紹介 - 東京2020オリンピック競技大会
- 馬術 スケジュール&結果 - 東京2020オリンピック競技大会
- リザルトブック