2020年東京オリンピック

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第32回オリンピック競技大会
東京2020オリンピック競技大会
Jeux de la XXXIIe olympiade
Games of the XXXII Olympiad
開催国・都市 日本の旗 日本 東京都
参加国・地域数 202並びに難民選手団
参加人数 11,420人[1]
競技種目数 非追加種目 28競技321種目
追加種目 5競技18種目
合計 33競技339種目
開会式 2021年7月23日
閉会式 2021年8月8日
開会宣言 天皇徳仁名誉総裁
選手宣誓 山縣亮太
石川佳純
審判宣誓 加藤将門
津崎明日美
コーチ宣誓 井上康生
宇津木麗華
最終聖火ランナー 大坂なおみ(国立競技場)
高橋礼華(夢の大橋)
主競技場 オリンピックスタジアム
国立競技場
夏季
冬季
オリンピックの旗 Portal:オリンピック
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(とうきょうニーゼロニーゼロオリンピックきょうぎたいかい[注釈 1]: TOKYO 2020)は、2021年令和3年)7月23日から8月8日までの17日間、日本東京都などで開催された第32回オリンピック競技大会[2]

205の国と地域[注釈 2]から11,092人が参加し、実質19日間(開会式に先立ち男女サッカーソフトボールの一部試合が行われた2日間を含む)に33競技339種目が行われた[3][4]。一般的には東京オリンピック東京2020オリンピックと呼称され、(とうきょうごりん)、TOKYO 2020などとも略称される。また、公用文では第三十二回オリンピック競技大会の表記も用いられている[5]

概要

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2013年9月の第125次IOC総会開催都市が東京に決定した。東京での開催は、1964年大会以来、57年ぶり[注釈 3]となり、競技は東京都の他に、埼玉県神奈川県千葉県茨城県静岡県福島県宮城県北海道(計9都道県)で行われた。大会組織委員会は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(TOCOG)。大会名誉総裁今上天皇[6]

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行を受け、2020年夏の開催日程(同年7月24日開会)から1年延期して開催された[7]。大会延期により開催年は変わったが「東京2020」の名称に変更はない[7]。開催の延期は近代オリンピック史上初めてのことであり、そして、奇数年に開催されたのも夏季・冬季問わず史上初となった。

参加国・地域

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2020年3月12日の時点で、以下の153か国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)が出場資格を得ている(ただし、ユニバーサリティ出場枠を通して、出場資格にかかわらず競技者を派遣することができる陸上競技および水泳競技の参加資格未取得競技者を有するのみのNOCを除く)。

2020年東京オリンピックの参加国・地域(アルファベット順)

2021年開幕時点で参加する205か国・地域の各国オリンピック委員会についての

なお、ロシアは2019年に起きたドーピングの検査データ改ざん問題による排除処分を受けて、国としての出場が事実上不可能になっているため、ロシア・オリンピック委員会(ROC)として、個人資格での出場となった[9][10]

当初、参加を予定していた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は「新型コロナウイルスによる世界的な保健の危機状況から選手たちを守るため」として、大会への参加を断念することを2021年4月6日に発表した[11]。IOCは参加に向けて話し合いを模索したが、同年6月8日に不参加を事実上容認することを発表した[注釈 5][14][15]。北朝鮮が夏季五輪不参加となるのは1988年のソウルオリンピック以来である[15][16]。その他の国・地域は予定通り参加したため、IOC加盟国としては唯一の不参加国となった。大会終了後の2021年9月8日、「オリンピック憲章に違反した」として、IOCは北朝鮮に対し、2022年末までの資格停止処分を科すことを決定した。これにより、同国は同年に開催予定の北京オリンピックに参加することが事実上不可能となり[17][18]、2022年1月7日に個人資格を含む同大会への出場を断念することを正式発表した[19]

開会式の入場行進の順番については、50音順で実施された。日本で過去に開催された1964年東京1972年札幌1998年長野はいずれもアルファベット順で入場行進しており、50音順での入場行進は初となる。なお、五輪発祥国のギリシャは最初、開催国である日本が最後に入場したほか、今後夏季オリンピックが開催される予定のアメリカとフランスが日本の直前に入場行進を行った[20]

公式マスコット

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東京2020オリンピックの公式マスコット・キャラクターとしてミライトワが作成されている[21]。これは、東京2020パラリンピックの同じく公式マスコットであるソメイティと一対のキャラクターとして作成されていて[22]、セットで事前の宣伝活動に登場しており、大会の気運を盛り上げている。 ミライトワという名前には、「素晴らしい未来を永遠に」 を意味した願いが込めており、伸びやかな眼差しをもって愛らしく語りかけてくるキャラクターに、未来の主人公となる子どもたちの支持が寄せられている(マスコットの最終選定は、小学生による投票をもって行われた[23][24])。

開会式

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東京オリンピックの開会式での1824台のドローンショーの様子。

入場の先頭は慣例によりオリンピック発祥地のギリシャ、最後部は日本、その前がホスト国に内定しているフランス(2024年パリ大会)、米国(2028年ロサンゼルス大会)で、その他の国が50音順の並びになる。今回のテレビ放送では日本人選手名のローマ字表記を「名・姓」でなく、日本語表記と同じ「姓・名」に変更することも決まっている[25]

閉会式

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実施競技

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2020年東京オリンピックでは、33競技339種目が実施される[26]。うち、非追加種目が28競技321種目、開催地の組織委員会提案の追加種目は5競技18種目となっている[26]。非追加種目はオリンピック憲章で定められた上限310種目を11種目上回った。下記の情報は2017年6月現在[26]。括弧内の数字は種目数、★は東京五輪における追加種目を含む競技、並びは競技名のアルファベット順。

実施競技の見直し

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2020年夏季五輪においては実施競技について見直しが行われた。

2013年

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  • 2月12日 - IOCは2012年のロンドンで実施された26競技のうち、レスリングを除く25競技を「中核競技[注釈 6]」として位置付けた。その上で、2020年夏季五輪においては「中核競技」25競技と2016年リオデジャネイロ五輪で追加される2競技を併せた27競技を実施するものとし、レスリングを実施競技から除外する勧告を行った[27]
  • 5月22日 - カナダケベックシティで行われたIOC理事会において、フィリップ・ボビIOCスポーツ局長が2020年大会での実施競技の選考過程を発表した。
  • 5月29日 - IOC理事会において、2月の理事会で除外されたレスリングと新たな候補競技7競技(野球ソフトボール空手ローラースポーツスカッシュウェイクボード武術太極拳スポーツクライミング)の計8競技から、レスリング、野球・ソフトボール、スカッシュを選出。
  • 9月8日 - 開催都市決定の翌日。アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれる第125次IOC総会において、5月29日の理事会で選出された3競技からIOC委員による投票で、追加する1競技がレスリングに決定した[28]

2015年

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  • 9月28日 - スカッシュ、ボウリング、武術太極拳以外の、5競技18種目のIOCへの提案が決定される。それぞれ、野球・ソフトボールは野球(男子)、ソフトボール(女子)。空手は組手3階級(男女)、形(男女)。ローラースポーツはスケートボードストリート(男女)、スケートボードパーク(男女)。スポーツクライミングはボルダリング・リード・スピード複合(男女)、サーフィンショートボード(男女)[30]

2016年

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2017年

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2018年

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  • 2018年までに度重なる不祥事によりボクシングの国際競技連盟であるAIBAのIOC除名やオリンピックからの除外がIOCで俎上にあがる。

2019年

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  • 6月26日、除外が検討されていたボクシングが上述のように主管団体は変更となったが、実施されることがローザンヌでのIOC総会で承認された[31]

2020年

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開催日程

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OC 開会式 予選 1 決勝 EG エキシビション CC 閉会式
2021年7月 / 8月 21
(水)
22
(木)
23
(金)
24
()
25
()
26
(月)
27
(火)
28
(水)
29
(木)
30
(金)
31
()
1
()
2
(月)
3
(火)
4
(水)
5
(木)
6
(金)
7
()
8
()
種目数
式典 OC CC
アーチェリー 1 1 1 1 1 5
陸上競技 1 3 4 5 6 5 8 8 7 1 48
バドミントン 1 1 1 2 5
バスケットボール バスケットボール 1 1 4
3×3 2
ボクシング 2 1 1 1 4 4 13
カヌー スラローム 1 1 1 1 16
スプリント 4 4 4
自転車競技 ロード 1 1 2 22
トラック 1 2 1 2 2 1 3
BMX 2 2
マウンテンバイク 1 1
馬術 1 1 2 1 1 6
フェンシング 2 2 2 1 1 1 1 1 1 12
ホッケー 1 1 2
サッカー 1 1 2
ゴルフ 1 1 2
体操 体操競技 1 1 1 1 4 3 3 EG 18
新体操 1 1
トランポリン 1 1
ハンドボール 1 1 2
柔道 2 2 2 2 2 2 2 1 15
空手 3 3 2 8
近代五種 1 1 2
ボート 6 4 4 14
ラグビー 7人制ラグビー 1 1 2
セーリング 2 2 4 2 10
射撃 2 2 2 2 2 1 2 2 15
ローラースポーツ スケートボード 1 1 1 1 4
野球ソフトボール 野球 1 1
ソフトボール 1 1
スポーツクライミング 1 1 2
サーフィン 2 2
水泳 飛込 1 1 1 1 1 1 1 1 8
競泳 4 4 4 5 5 4 4 5 35
マラソンスイミング 1 1 2
アーティスティックスイミング 1 1 2
水球 1 1 2
卓球 1 1 1 1 1 5
テコンドー 2 2 2 2 8
テニス 1 1 3 5
トライアスロン 1 1 1 3
バレーボール ビーチバレー 1 1 4
バレーボール 1 1
ウエイトリフティング 1 2 1 2 1 2 1 2 1 1 14
レスリング 3 3 3 3 3 3 18
決勝数 11 18 21 22 23 17 21 21 25 20 26 17 27 23 34 13 339
累計 11 29 50 72 95 112 133 154 179 199 225 242 269 292 326 339
2020年開催時の計画 7月 / 8月 22
(水)
23
(木)
24
(金)
25
()
26
()
27
(月)
28
(火)
29
(水)
30
(木)
31
(金)
1
()
2
()
3
(月)
4
(火)
5
(水)
6
(木)
7
(金)
8
()
9
()
種目数
2021年7月 / 8月 21
(水)
22
(木)
23
(金)
24
()
25
()
26
(月)
27
(火)
28
(水)
29
(木)
30
(金)
31
()
1
()
2
(月)
3
(火)
4
(水)
5
(木)
6
(金)
7
()
8
()

国・地域別メダル獲得数

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国・地域
1 アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 (USA) 39 41 33 113
2 ちゆうこく中国 中国 (CHN) 38 32 18 88
3 につほん日本 日本 (JPN)(開催国) 27 14 17 58
4 イギリス イギリス (GBR) 22 21 22 65
5 ろしあROC ROC (ROC) 20 28 23 71
6 オーストラリア オーストラリア (AUS) 17 7 22 46
7 オランダ オランダ (NED) 10 12 14 36
8 フランス フランス (FRA) 10 12 11 33
9 ドイツ ドイツ (GER) 10 11 16 37
10 イタリア イタリア (ITA) 10 10 20 40
11位以降 別表参照 137 150 206 493
合計 (93か国と地域) 340 338 402 1080

※閉会時点。
※金メダル獲得数順に掲載[34]

事故

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自転車競技のBMXレーシングにおいて、オランダニック・キンマン英語版が練習中、コースを横断したスタッフに衝突して転倒し[35]膝蓋骨を損傷した。なお、本番のレースには鎮痛剤を使用して参加し、金メダルを獲得した。

放送事業者

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アメリカ国内ではNBCがソチオリンピックから今大会までの4大会分の放映権を43億3000万ドルで獲得した[36]

ヨーロッパではディスカバリー・コミュニケーションズ平昌オリンピックからパリオリンピックまで、本大会を含む4大会分の欧州向け放映権を13億ユーロで獲得した[37][38]

以下は、現在[いつ?]までに確定した放送事業者である。

^1 – 22カ国の放送事業者に販売する権利。
^2 – フランスを除く。
^3馬術競技のみ。
^4 – 大会終了後に放送。
^5クック諸島フィジーキリバスマーシャル諸島ミクロネシアナウルニウエパラオサモアソロモン諸島トンガツバルバヌアツにおける権利。

東京国際展示場が報道陣向けのプレスセンターとして使用される。

スポンサー

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一業種1社を原則とするが、国際オリンピック委員会 (IOC) と協議して特例で2社共存したスポンサー[69]や、複数で共存したスポンサー[70][71]もある。

2020年夏季オリンピックのスポンサー
位置づけ 企業
ワールドワイド
オリンピックパートナー
ゴールドパートナー
オフィシャルパートナー
オフィシャルサポーター

批判と論争

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開会式に出席した来賓(2021年7月23日、国立競技場にて)

開幕前

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  • 2012年から「戦犯旗」問題を喚起する韓国は、旭日旗日本帝国主義の過去の象徴であり、ハーケンクロイツが「ヨーロッパ人に第二次世界大戦の悪夢を思い出させる」ように、韓国の人々に「歴史的な傷と痛み」を想起させた[127] [128]として、2020年夏季オリンピックでの旭日旗の使用禁止を国際オリンピック委員会(IOC)に要請した[129]真珠湾攻撃を含む太平洋地域の多くの国に対する攻撃ないし侵略戦争に使用されたとして、オリンピックなどの国際的なスポーツイベントでの旭日旗の使用は韓国のいわゆる告げ口外交VANKの活動により再三再四論議が喚起されている[130]
    2020五輪大会期間最終日の8月8日、大韓体育会李起興会長は記者会見で、IOCからオリンピック憲章50条をもって旭日旗の使用を禁止する旨の決定を書面で受け取ったと述べたが、すぐに虚偽であることが判明した。IOCは禁止にしていない旨の文書を改めて大韓体育会に伝えた[131]
  • 2020年に入り、韓国のVANKが、放射能汚染を連想させる白い防護服を着た聖火ランナーを描いた五輪ポスターを作成した。この種の印象悪化を狙った反日プロパガンダをIOCが強く非難する事態となった[132]
  • 韓国とロシアの政府関係者は、大会公式ウェブサイトに掲載された聖火リレーの地図で紛争中の竹島(1952年以降、日本側の見解では韓国が実効支配)と千島列島(1945年以降、日本側の見解ではソ連・ロシアが実効支配)が日本の一部であると描かれていることを問題視した[133]
  • これを受け、IOCは人権侵害への抗議や表彰台でのひざまずきなど五輪での抗議活動を禁止するガイドラインを選手委員会に諮った結果、禁止を維持することを決定した[140][141]。後にIOCは試合開始前や選手紹介などの一部に限り、抗議運動を容認する方向に緩和したため、大会ではイギリスやアメリカ、日本などの女子サッカーチームが試合前に片ひざをついて人種差別に抗議した[142][143]
  • 2021年7月9日、開催に反対する東京都と長野県の住民ら4人が開催強行により新型コロナウイルスの感染が拡大し生存権が侵害されるとして、東京都知事大会組織委員会会長を相手に開催差し止めを求める仮処分申し立てを行った[154][155][156][157]。これに対して、東京地方裁判所は同月15日付けで、「開催により、個人の生命や健康が侵害される具体的な危険が生じる恐れは認められない」との判断を示し、同申し立てを却下した[158][159]。この決定に対して、原告の1人は「東京で感染者が増えている現実から目を背けたもので、怒りを覚える」とコメントした[158]

開幕後

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  • 大会の公式サイトには、国・地域別のメダル獲得ランキングが掲載されているが、このランキングはオリンピック憲章が定めている「IOCと組織委員会は国ごとの世界ランキングを作成してはならない」などの文言に抵触するとして、元JOC職員の春日良一や日本オリンピック・アカデミー(JOA)の有志がランキングの再考や削除を求めている[160][161]
  • 出場選手を巡るSNS上での誹謗中傷もエスカレートしており、IOCや各国の競技団体などが対策を急ぐ事態になった