ワールドニュースアワー
ワールドニュースアワー(英語: World News Hour)は、日本のNHK BSで放送されている国際報道番組である。実際の放送でのタイトルは英語表記になっていた。本項では「ワールドニュース」(1984年 - 2004年、2014年 - )についても触れることとする。
概要
[編集]NHKが放映権を持っている世界各国の放送局の報道番組を数分ずつ抜粋して順次放送する形で伝える。主音声はボイスオーバー形式の日本語通訳で、副音声は原語のままの2か国語放送を行う。
放送される放送局は、時間帯によって異なる(詳しくは後述)。通常放送する放送局で、特別番組などのために該当する時間帯のニュースが中止になった場合、同じ国の別の放送局のニュースを放送することもある。
2006年11月20日よりデジタル放送では画角16:9(標準画質)のサイズで放送されている。しかし、サイズ変更当初はほとんどの映像が4:3で送られてきたため、両端にサイドパネルが付くが、徐々に画角16:9で送られてくるようになってきた。
ワールドニュース(1984年度 - 2004年度)
[編集]元々、1984年に衛星放送が開始された当初から1日数時間『ワールドニュース』という番組が放送されていたが、1987年7月にNHK衛星第1テレビが本格的24時間放送を実施するに当たり放送時間を大幅に拡大していった。
1987年の放送時間拡大後、平日の日中のスタジオ進行に平野次郎(当時NHK外信部記者)[1][2]、週末のスタジオ進行は饗庭孝典[1]、ニューヨーク滞在キャスターに国谷裕子(NHK契約キャスター)[2][3]、パリ滞在キャスターに岸恵子(女優)が参加していた。テーマソングは早見優「PLACE IN MY HEART A」[4]のアレンジ版。
ワールドニュースアワー(2005年度 - 2010年度)
[編集]2005年4月から2006年12月28日まで、平日17時15分 - 17時58分に『ワールドニュースアワー・アジア』(キャスター:小林央子→鈴木康子、城向あかり→岩渕梢)を放送していたが、『アジアクロスロード』[注 1]の開始に伴い、『ワールドニュースアワー・アジア』は翌日の4時10分に時間を移行[注 1][注 2]。毎回放送されていた香港・フェニックステレビの討論番組『時事弁論会』は毎週木曜日17時台に放送されるようになった。
2005年9月、日曜日8時台に放送していたイタリア・RAIのニュースが終了、2006年からイギリス・BBCの番組『Newsnight』を放送。
2006年まで『メジャーリーグ中継』のため、本来『おはよう世界』の枠内で放送されるアメリカ『ワールド・ニュース・トゥナイト』などをNHK衛星第2テレビの8時台に『ワールドニュースアワー』として放送することがあった。しかし、2006年11月から『ワールド・ニュース・ウィズ・チャールズ・ギブソン』の同時通訳放送が始まり、メジャーリーグ中継の時期でも『おはよう世界』の7時台でほぼ放送可能となったため、2007年以降は行われていない。
2006年10月、月曜日8時15分 - 9時59分に放送していた『ワールドニュースアワー』枠が休止。月曜日に『おはよう世界』の放送がなかったためで、11月からは『おはよう世界』として放送。
2007年3月25日、日曜日8時台に放送していたイギリス・ITNの週間ニュース番組『World Focus』が終了。翌週からフランス・France 2に。
2010年3月29日から放送時間が10分繰り上がり、オープニングがリニューアル。イギリス・BBCの番組『ニュースナイト』が終了。オーストラリア・ABCが新たに追加され、放送内容は国際放送のオーストラリア・ネットワークのものを放送。ワールドニュースアワー・アジアでは、ベトナム・VTVの放送がシンガポールCNAの後になり、順番が入れ替わった。
2011年3月11日、東日本大震災発生。NHKは発生当初から衛星・地上波の総合編成全チャンネルで震災特別報道を開始しBS1独自編成も中断。3月14日から3月18日はNHK総合との終日同時編成のため『ワールドニュースアワー』と関連各番組を全て休止。3月19日からNHK総合との同時編成による震災報道を交えつつ通常編成も再開(『おはよう世界』『きょうの世界』『アジアクロスロード』を含む)するが、『ワールドニュースアワー』は引き続きNHK総合と同時の震災放送を続けるため、休止状態が続いた。2011年3月31日24時まではその震災報道をNHK総合と一部同時放送するため、22日から再開した『ワールドニュースアジア』(15時台のみ。3月31日まで)を除けば、事実上震災発生前の3月11日の12時台の放送が、3チャンネル体制での当番組の最終放送となった。
ワールドWave(2011年度 - 2013年度)
[編集]2011年4月1日の抜本的な編成の見直しで、『ワールドニュースアワー』『おはよう世界(日曜日・祝日以外の早朝)』『きょうの世界(祝日を除く平日22時台)』の番組タイトルを統合して『ワールドWave』として放送することになったが、基本的な進行は旧来とほとんど変わらず[注 3]。
ワールドニュース(2014年度 - 2020年度)
[編集]2014年3月31日の番組改訂で「ワールドWave」が終了するのに伴い、『ワールドWaveモーニング』を継承する『キャッチ!世界の視点』(日曜日・祝日を除く7時 - 7時49分、2016年4月4日から『キャッチ!世界のトップニュース』にタイトルを変更)と、『ワールド・ニュース・トゥナイト』を継承する『国際報道2014』[注 4](祝日を除く平日22時 - 22時50分[注 5])を除き『ワールドニュース』の題名を復活させる[5]。
2019年3月31日の番組改訂で日曜日の放送が消滅。月曜日の5時台と11時台、火曜日から土曜日の4時台と11時台、土曜日の8時台の放送も廃止された。また、月曜日から金曜日の8時台は7時台の『キャッチ!世界のトップニュース』と時間帯が入れ替わり、11時台は『キャッチ!世界のトップニュース』の再放送となった。
このため、 アメリカ合衆国のCNNのヘッドラインニュース、インドネシアのMetroTVの放送が消滅。アメリカABCの『ABCワールドニューストゥナイト(ウィズデヴィッド・ミュアー)』の放送はトップニュースが『キャッチ!世界のトップニュース』で同時通訳されて放送されるのみとなり、ドイツ ARDの ターゲスシャウの定期放送も無くなった。
2019年9月30日の4K放送の開始で、『NHK BSニュース4K』の放送が始まり、BS1と同時放送されることにより、12時台の放送が5分短縮された。これに伴い、BBC のNews at Tenが消滅し、『キャッチ!世界のトップニュース』内で取り上げるのみになった。ただ、アメリカABCの『ABCワールドニュース』の放送、France 2 の20 Heuresの再放送が復活した。
2019年から世界全域にて感染が拡大している新型コロナウイルスの影響を受け、2020年4月から土曜日の日中帯に『週刊ワールドニュース・新型コロナに揺れた世界』を放送している。これは当該1週間に放送された『ワールドニュース』で取り上げた日本国外の放送機関のニュースのうち、新型コロナウイルスに関係したニュースに特化して再編集したものである。特別番組扱いであったが、同年10月改編から定時番組化すると共に放送当日の深夜(日曜日の未明)にも再放送枠を設置した[6]。進行は2018年から『ニュース シブ5時』などに出演しているAIアナウンサーの「ニュースのヨミ子」が担当している[7][8]。
2020年3月に新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ニューヨーク証券取引所の取引が無人化されたため、 ブルームバーグの放送が休止された。その後、有人取引は復活したものの、ブルームバーグの中継は行われていない。
2020年5月、フィリピンのABS-CBNが、2016年の大統領選挙でドゥテルテ候補の選挙コマーシャルの一部を正確に放送しなかったことを理由として、フィリピン議会から停波命令を出された。同局はネットやYouTubeで配信を続行しているが、NHKでの放送は2021年以降停止している。
ワールドニュース(2021年度 - )
[編集]2021年3月29日からは『NHK BSニュース4K』の12時台が廃枠となり、通常のBSニュースに戻ったために、オーストラリアのABCの再放送が組み込まれている。また『攻略、ニュース英語』の放送が終了し、早朝はABS-CBNの枠も空いたため、6時台の香港のTVBを前倒しで(6時台も引き続き放送している)、午後は ABCワールドニューストゥナイト(ウィズデヴィッド・ミュアー)を再放送している。また『国際報道2021』が地上波・NHK総合の深夜に再放送されるようになった[9][10]。
なお、同年度は東京オリンピック・パラリンピック[注 6]および北京オリンピック中継のため、当番組を始めとするBS1の国際報道番組を休止した期間が生じた[11][12][13][14]。
2022年2月24日に勃発したロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、一方のプロパガンダになる可能性もあるので「ワールドニュース」では、ロシアTVの放送を「現地の放送をそのまま放送しています」のスーパーを挿入して放送されたが、3月7日からロシアTVの放送を中断して『キャッチ!世界のトップニュース』で放送することになった。紛争当事国のバランスを取るためか、3月14日からウクライナユナイテッドニュース(主に放送されるのは公共放送)のYouTube配信を『キャッチ!世界のトップニュース』で放送している。
国際情勢が緊迫化しているため、地上波・NHK総合でも2022年3月1日より『キャッチ!世界のトップニュース』を10時5分 - 10時54分に時差放送[注 7]。また『国際報道2022→2023』も視聴の機会を増加させるため、通常の4時20分 - 5時に加え、前日23時45分 - 当日0時25分にも放送された[注 8][15]。
前述の事情から、NHK総合での『週刊ワールドニュース』の放送は、2022年3月5日と12日は『週刊まるわかりニュース』の後の9時30分 - 9時59分に特別番組として時差放送を行い、NHKプラスでも配信された[16]。3月19日は第94回選抜高等学校野球大会の中継を11時5分からEテレに迂回し、11時5分 - 11時54分に放送[注 9]。3月26日は同日の高校野球は全試合順延となったが、前週と同じ時刻に放送された。4月2日からは土曜日18時5分 - 18時43分[注 10]に放送され、2023年3月25日を最後に終了した[注 11]。
このため、2022年4月から土曜日18時5分 - 18時43分(近畿地方のみ火曜日23時50分 - 水曜日0時28分[26])で放送開始の予定であった『これって攻めすぎ!?世界旅行/3分ドキュメンタリー』(どちらかの番組を交互に随時放送[27])は、両番組とも当面の間、延期(凍結)されていたが、その後、前者は2022年7月24日 - 2023年3月19日の日曜日0時25分 - 1時3分に放送された[28]。一方、後者は2022年7月18日より不定期で放送されている[29]。
2023年度は『キャッチ!世界のトップニュース』がNHK総合の平日10時台に移動したため、7時台が8時台に移動。また、5時台はNHKワールドTVの番組(後述の14時台から移動)を編成する時間に充てるなどしたため、土曜日を除き廃止。このほか、16時台の『ワールドニュースアメリカ』を廃止して『ワールドニュースアジア』の枠に充てていた14時台の枠を拡大し、統合することになった。日曜日の放送が完全に廃止された[30]。
2023年12月1日に実施されたBS放送波再編に伴い、以後はBS1から改称のBSにて放送。また、BSプレミアムの放送番組がBSに移行することによる改編により、平日朝の放送が、6時 - 7時14分[注 12]、8時 - 8時50分、9時 - 9時30分となり、7時台に『連続テレビ小説』の先行放送などを挟む形で放送。長らく無かった9時台の放送が復活した。このほか、13時から『プレミアムシネマ』がBSプレミアムからそのままの時刻で移動したため、14時台を16時台に移設した[31][32]。土曜日の6時台も6時 - 7時14分に延長された。
2024年度は『BSニュース World+Biz』の終了に伴い、平日8時台は8時 - 9時に延長。9時台は9時24分にまでに短縮したものの、別番組扱いではあるが8時台と連続した。12時台が12時30分 - 13時に移設し、16時台は16時 - 17時に延長した[33][34]。
4月3日に発生した花蓮地震の報道のため、4日・5日の8時台のCCTVの枠を台湾のTVBSに振り替えた。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ a b 17時台の『ワールドニュース・アジア』のキャスターは事実上『アジアクロスロード』に異動し、放送時間の変更に伴って早朝放送になってからは全体進行者が無くなる。
- ^ 『アジアクロスロード』は2011年・2012年度は『ほっと@アジア』として継続したが、2013年からワイド枠を解消し、『ワールドWaveアジア』を15時台と17時台(ワイド番組内包)を統合して放送し、解説員による解説コーナーを含む各種コーナーは廃止された。
- ^ 『おはよう世界』は『ワールドWaveモーニング』、『きょうの世界』は『ワールドWaveトゥナイト』にそれぞれ改題して前番組からの機能を引き継ぐ。
- ^ 毎年1月にタイトル名がその年の西暦に変更され、2024年1月現在のタイトル名は『国際報道2024』
- ^ 2019年4月1日からは、22時 - 22時40分に縮小。
- ^ 新型コロナウイルスの影響により、1年遅れて開催された。
- ^ 2023年4月4日からは、NHK総合で定時放送(後述)。
- ^ 4時20分 - 5時の放送は、2023年3月18日までは前日の再放送扱い(2022年4月2日までは、通常1 - 2時台での放送を前日23時台に繰り上げ放送)。2023年3月21日より、4時20分 - 5時の放送のみとなった。
- ^ 11時40分 - 12時は『週間手話ニュース』を放送のため、高校野球中継を「Eテレサブチャンネル」に迂回。
- ^ 近畿地方では『ほっと関西サタデー』を放送するため、2022年夏ごろまでは17時10分 - 18時(スポーツ中継や特番時は10時30分 - 11時20分)に先行放送。2022年7月下旬ごろからは翌日の0時25分 - 1時3分に遅れ放送。
- ^ 2022年4月30日は『第98回競泳日本選手権』[17]、5月7日は『みんなで解決!子ども科学電話相談』[18]、6月4日は『NHKプロ野球』(「巨人」対「ロッテ」)[19]、8月6日は『ライブ・エール 2022』[20]、8月13日は『NHKニュース』(「台風8号」関連)[21]、9月17日は『NHKプロ野球』(「巨人」対「阪神」)[22]、11月19日は『2022NHK杯フィギュア』(「アイスダンス フリーダンス」)[23]、12月31日は『まもなく紅白!今年もすごいぞスペシャル2022後半』[24]、2023年1月7日は『武将温泉 選徳川家康編』[25]を放送のため休止した。
- ^ 月曜日は6時30分 - 7時14分
出典
[編集]- ^ a b 「NHKトピックス」『放送教育』第42巻第5号、日本放送教育協会、1987年8月1日、96 - 97頁、NDLJP:2341064/49。
- ^ a b 「情報は地球を駆けめぐる――衛星24時間放送に取り組んで/伴野文夫」『月刊アドバタイジング』第32巻第9号、電通、1987年9月25日、43 - 45頁、NDLJP:2262064/23。
- ^ “国谷裕子委員(キャスター)” (PDF). 2020年11月25日閲覧。
- ^ JASRAC作品データベース検索サービス J-WID 作品コード:081-1502-8
- ^ NHK2014年度(上半期)放送番組時刻表より。
- ^ “2020年度 後半期の国内放送番組の編成について”. 日本放送協会. p. 11 (2020年9月23日). 2021年3月29日閲覧。
- ^ “NHKに"AIアナウンサー"が登場「ヨミ子さん」がニュース読みます”. ハフポスト (2018年3月26日). 2022年2月5日閲覧。
- ^ “新開発「第2世代音声合成システム」“初”の放送利用”. NHK広報局. p. 1 (2020年10月21日). 2022年2月5日閲覧。
- ^ NHK広報局 (2021年2月10日). “2月放送総局長記者会見要旨”. 日本放送協会. p. 1. 2022年9月7日閲覧。
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- ^ 日本放送協会. “国際報道2022”. NHK. 2022年8月23日閲覧。
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- ^ “水泳2022 第98回競泳日本選手権「第3日」”. NHKクロニクル (2022年4月30日). 2023年7月31日閲覧。
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- ^ “まもなく紅白!今年もすごいぞスペシャル2022後半”. NHKクロニクル (2022年12月31日). 2023年7月31日閲覧。
- ^ “武将温泉 選徳川家康編”. NHKクロニクル (2023年1月7日). 2023年7月31日閲覧。
- ^ “2022年度前半期 定時番組の部門種別(各地域)”. 日本放送協会. p. 3 (2022年3月22日). 2022年5月19日閲覧。(近畿ブロックの項)
- ^ 2022年度国内放送編成計画(P19・20)
- ^ “NHK紀行番組「これって攻めすぎ!?世界旅行」が放送開始 しずちゃん「今まで生きてきて一番しゃべった」”. WEBザテレビジョン (2022年7月15日). 2022年9月7日閲覧。
- ^ “『3分ドキュメンタリー』不定期放送が決定 高橋ひかる、NEWS加藤シゲアキらが語り合う”. ORICON NEWS (2022年7月8日). 2022年9月7日閲覧。
- ^ 2023年度放送番組時刻表(5-6ページ BS1参照)
- ^ “2023年度後半期 放送番組時刻表(種別入り)”. 日本放送協会. pp. 5-6 (2023年7月26日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “NHK、衛星放送再編もレギュラー番組廃止“ほぼなし”『ザ少年倶楽部』&朝ドラ・大河ドラマ先行放送も継続”. ORICON NEWS (2023年7月26日). 2023年11月28日閲覧。
- ^ “2024年度前半期 放送番組時刻表(種別入り)”. 日本放送協会. p. 5 (2024年2月27日). 2024年3月26日閲覧。
- ^ “NHK『BSニュース』今年度で終了へ 福永美春アナ「最後まで、丁寧にお伝えしたい」”. ENCOUNT (2024年3月28日). 2024年3月28日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- ワールドニュース - NHK
- ワールドニュース <1986 - 2004> - NHK放送史
- ワールドニュースアワー - NHK放送史
- ワールドニュース <2014 - > - NHK放送史
- ワールドニュース アメリカ - NHK放送史
- 週刊ワールドニュース - NHK放送史
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