二重門
二重門(にじゅうもん)とは、2021年現在日本で使われている2種類の2階建の門の一つである。なお、もう1種類は楼門である。二重門は、ほとんどの日本の寺院に見られる[1]。二重門は、楼門と異なり、2階の任意の地点から鉛直下向きの半直線を下ろすと必ず1階の上の屋根を通るために、他の似た種類の門と区別できる[2]。すなわち、一まとまりの組物が1階と2階両方の庇を支えているというわけである[3]。なお、楼門では、持ち送りが縁側を支えている。組物は通常、3段構造になっており(三手先)、3段目に垂木がある[3]。二重門は通常、入母屋造の屋根で覆われている[2]。
楼門は2階に行くことができず、2階を使うこともできないのに対し、二重門には2階に行くための階段がある。端に2間x1間の山廊二つがあり、そこに階段が収容されている二重門もある[2]。二重門の2階には通常、釈迦か観音の仏像、十六羅漢があり、定期的な宗教行事もここで開かれる[4]。大きな二重門は幅5間、深さ2間の大きさで、入口も3か所にある。しかし、徳川家の菩提寺である東京都の増上寺には5間x3間の門がある[2]。より小さな二重門は3間x2間の大きさで、1-3か所の入り口を持つ[2]。
全ての寺院の門の種類の中でも、二重門は最も高貴なものであるため、法隆寺のような古代の寺の中門といった、重要な門に使われている[3]。 三門は最も高貴な禅寺の門であるが、これも通常二重門である[note 1]。いくつかの二重門が中門と呼ばれるのは、入口と寺の間にあるためである[2]。
注釈
[編集]脚注
[編集]- ^ 藤田 & 古賀 2008, pp. 84–85
- ^ a b c d e f “nijuumon”. Japanese Architecture and Art Net User System. 2010年6月22日閲覧。
- ^ a b c 濱島正士『寺社建築の鑑賞基礎知識』至文堂、1999年、pp.105–107頁。
- ^ 岩波日本史辞典
参考文献
[編集]- 『岩波日本史辞典』CD-ROM版、岩波書店、1999-2001年。
- “roumon”. Japanese Architecture and Art Net User System. 2009年6月19日閲覧。
- 藤田勝也、古賀秀策 編『日本建築史』(2008年9月30日)昭和堂、1990年4月10日。ISBN 4-8122-9805-9。