体言・用言
体言(たいげん)と用言(ようげん)は、日本語や朝鮮語の品詞に関する文法用語。体言は「自立語で、活用がなく、主語となる語[1]」つまり名詞を主に指す。用言は「自立語で、活用があり、述語や連体修飾語となる語」つまり動詞・形容詞・形容動詞を主に指す。
日本語
[編集]学校文法を含め、現代日本語文法理論で広く使われている[2]。
体言は、名詞との関係が文法理論によって異なる[1]。通説になっているのは、体言イコール名詞(数詞・代名詞含む)とする橋本文法の説である[1][3]。山田文法における体言は、実在する概念を指すものとされ、名詞にあたる「実質体言」と数詞・代名詞にあたる「形式体言」とに分けられる[1][4]。時枝文法における体言は、「詞と辞」のうち語形変化しない詞とされ、名詞のほか形容詞・形容動詞の語幹や接頭辞なども含まれる[1][5]。
用言は、文法理論によって形容動詞を含まない場合や助動詞を含む場合がある[2]。
日本語学史においては、江戸時代の国学から使われており、賀茂真淵『語意考』[1]、契沖『和字正濫鈔』[1]、本居春庭『詞八衢』[2]、鈴木朖『言語四種論』[6]、東条義門『玉緒繰分』[6]、幕末の権田直助『語学自在』[6]などで使われている。そもそも「体・用」は中国哲学の伝統的な対概念であり、仏教や宋学、詩学書の『詩人玉屑』、二条良基『連理秘抄』などの連歌論で使われたものが、国学に伝わったと推定される[6][7][8]。
朝鮮語
[編集]日本語と同様に、朝鮮語学・朝鮮語文法でも「体言」(チェオン、체언)と「用言」(ヨンオン、용언)が使われている[9]。ただし、漢字語と同義の固有語の「イムジャシ」(임자씨、体言)[10]と「プリシ」(풀이씨、用言)[11]も多く用いられる。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h 鈴木 (2001), p. 427f.
- ^ a b c 『用言』 - コトバンク
- ^ 橋本進吉『国語法要説』1934年
- ^ 山田孝雄『日本文法論』1908年
- ^ 時枝誠記『日本文法口語篇』1950年
- ^ a b c d 工藤 (1993).
- ^ 永山 (1962), p. 27.
- ^ 山田孝雄『国語学史要』1935年 NDLJP:1216534/71
- ^ 趙義成. “朝鮮語を知る ― 文法”. www.tufs.ac.jp. 2023年1月7日閲覧。
- ^ “체언(體言)”. 韓国民族文化大百科事典. 2023年1月7日閲覧。
- ^ “국어풀이씨가름: 표해식국어문법(國語用言分類: 表解式國語文法) - 한국민족문화대백과사전”. 韓国民族文化大百科事典. 2023年1月7日閲覧。
参考文献
[編集]- 工藤浩「日本語学史:文法を中心に」『日本語要説』(1版)ひつじ書房、1993年。ISBN 4938669188 。2022年12月8日閲覧。
- 鈴木英夫 著「体言」、山口明穂; 秋本守英 編『日本語文法大辞典』明治書院、2001年、427-428頁。ISBN 9784625403002。
- 永山勇「連歌における体・用の説」『国文学 言語と文芸』第4巻、第1号、国文学言語と文芸の会、1962年。 NAID 40001363812。