雲 (戯曲)
『雲』(くも 古希: Νεφέλαι Nephélai, ネペライ、羅: Nubes)は、古代ギリシアのアリストパネスによるギリシア喜劇。ソフィストたちを風刺した。実在の哲学者ソークラテースが登場する。
オリジナル作品は紀元前423年の大ディオニューシア祭で上演されたが、最下位の3等で終わった。優勝はクラティノスの『酒壺(ピューティネー)』、2等はアメイプシアスの『コンノス』だった。その後、数年以内に手が加えられて改作され、現在の形になったが、上演されることはなかった[1]。
あらすじ
[編集]借金苦の田舎紳士ストレプシアデースは、乗馬にうつつを抜かす息子ペイディッピデースに、ソフィストであるソークラテースの道場で詭弁を習って来いと勧めるが、ぐうたらな息子は言うことをきかない。やむなく、ストレプシアデース本人が道場に赴く。そして事態は思わぬ方向に……。
その他
[編集]宮本百合子の『人間性・政治・文学(1)―いかに生きるかの問題―』によると、岸田國士、三島由紀夫、福田恆存、木下順二らによって結成された『雲の会』の名の由来はこの喜劇である。
日本語訳
[編集]- 高津春繁訳『雲』(生活社、1949年/岩波文庫、1957年、改版1977年)
- 「雲」-「世界文学全集」河出書房新社 収録
- 田中美知太郎訳「雲」-『ギリシア喜劇全集 第1巻』収録(人文書院、1961年)
- 橋本隆夫訳「雲」-『ギリシア喜劇全集 第1巻』収録(岩波書店、2008年)
- 戸部順一訳「雲」-『喜劇全集1』収録(西洋古典叢書:京都大学学術出版会、2024年)
脚注・出典
[編集]- ^ 『全集1』 岩波 pp.355-357
関連項目
[編集]- ソクラテスの弁明(プラトン)