γ-グルタミルトランスフェラーゼ
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γ-グルタミルトランスフェラーゼ1 | |
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識別子 | |
略号 | GGT1 |
他の略号 | GGT |
Entrez | 2678 |
HUGO | 4250 |
OMIM | 231950 |
RefSeq | NM_001032364 |
UniProt | P19440 |
他のデータ | |
EC番号 (KEGG) | 2.3.2.2 |
遺伝子座 | Chr. 22 q11.1-11.2 |
γ-グルタミルトランスフェラーゼ2 | |
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識別子 | |
略号 | GGT2 |
他の略号 | GGT |
Entrez | 2679 |
HUGO | 4251 |
OMIM | 137181 |
RefSeq | NM_002058 |
UniProt | P36268 |
他のデータ | |
EC番号 (KEGG) | 2.3.2.2 |
遺伝子座 | Chr. 22 q11.1-11.2 |
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、γ-glutamyltransferase; γ-GT, GGT; EC 2.3.2.2)は、グルタチオンなどのγ-グルタミルペプチドを加水分解し、他のペプチドやアミノ酸にγ-グルタミル基を転移させる酵素である。γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-glutamyl transpeptidase; γ-GTP, GGTP)とも呼ばれる。
健康診断ではガンマジーテイー、ガンマジーテイーピーとして報告される。
発現部位
[編集]γ-GTPは生体内で、そのほとんどが膜結合型酵素として存在し、膜を介したアミノ酸の移動に関与している。ヒトでは腎臓で最も活性が高く、さらに膵臓、肝臓、脾臓、小腸、精巣、前立腺など広く全身に分布する。
肝臓では、肝細胞のミクロソーム分画で産生され、細胆管、毛細胆管などの細胞膜に移動して機能している。
臨床検査値としての意義
[編集]γ-GTPは血液試料から逸脱酵素の1つとして検出され得る。つまり、γ-GTPは本来ならば細胞内に存在しているのだが、何らかの理由で細胞が破壊されたりしたことによって、血中へと遊離したことによって、この値は上昇する。また、ヒトなどでは特に疾患が無くともγ-GTPは血中から検出されるものの、疾患があると、その値は異常に上昇する場合がある。特に、胆道系疾患の胆嚢炎や胆道炎[1]、さらに胆道閉塞などによって上昇する[2]。また、肝臓疾患の肝ガンやアルコール性肝障害などによっても値が上昇する[3]。このため、肝・胆道系疾患のスクリーニングのための検査項目の1つとして利用され得る。なお、γ-GTPはエタノールのほか、フェニトイン、フェノバルビタール、ジアゼパムなどの薬物によって発現量が増加する、つまり、酵素誘導がなされることが知られている[4]。特に、過度の飲酒によってγ-GTPが誘導され、これがアルコール性肝障害で肝細胞が破壊され、結果として血中に通常よりも多くのγ-GTPが逸脱してくることは、よく知られている。したがって、過度の飲酒による肝障害かどうかの鑑別、適切な飲酒量が守られているかどうかの鑑別に、血中のγ-GTPの値が利用されることもある[4]。
単位は IU/l(国際単位/l)で示される。基準値は検査機関にもよるが、男性は10 - 50単位が、女性は9 - 32単位が基準値とされることが多い。100以上になると精密検査が必要と判定され、医療機関への受診が強く推奨される[5]。
出典
[編集]- ^ 千々岩 一男 『急性胆嚢炎、急性胆管炎の病態・診断・治療』
- ^ 松本俊治, 細川義則, 阿部寛 ほか、「胆道閉塞時の血清γ-glutamyl transpeptidaseの上昇機序についての組織化学的研究」『肝臓』 1986 年 27巻 4号 p.442-451, doi:10.2957/kanzo.27.442, 日本肝臓学会
- ^ 肝臓の検査 (γ-GTPの節を参照のこと)
- ^ a b (γ-グルタミルトランスペプチターゼ:γ-GTP)の項
- ^ γ-GTP-検査数値あれこれ-「ニュートンドクター」全国医療機関・病医院・歯科医院情報