のんのんばあとオレ
ウィキペディアから無料の百科事典
のんのんばあとオレ | |
---|---|
ジャンル | 自伝 |
小説 | |
著者 | 水木しげる |
出版社 | 筑摩書房 |
発売日 | 1977年10月25日 |
ドラマ:のんのんばあとオレ | |
原作 | 水木しげる |
制作 | NHK鳥取放送局 |
放送局 | NHK総合テレビ |
放送期間 | 1991年8月19日 - 1991年8月23日 |
話数 | 5話 |
その他 | 文化庁芸術作品賞(1992年) |
ドラマ:続・のんのんばあとオレ | |
原作 | 水木しげる |
制作 | NHK鳥取放送局 |
放送局 | NHK総合テレビ |
放送期間 | 1992年8月24日 - 1992年8月28日 |
話数 | 5話 |
漫画:のんのんばあとオレ | |
作者 | 水木しげる |
出版社 | 講談社 |
発表期間 | 1992年8月 - 1992年10月 |
巻数 | 単行本 全2巻 文庫版 全1巻 |
その他 | 第34回アングレーム国際マンガフェスティバル 最優秀作品賞 |
テンプレート - ノート |
『のんのんばあとオレ』は、漫画家の水木しげるの自伝的エッセイ。また、このエッセイを原作としたNHKのテレビドラマ、および漫画。
概要
[編集]筑摩書房のちくま少年図書館シリーズとして1977年(昭和52年)10月25日に初版が発行された。現在はちくま文庫におさめられている。
楽しみが多くて勉強どころではなかった水木の少年時代のこと、のんのんばあが語って聞かせてくれたお化けや妖怪の世界のこと、隣町のガキ大将との熾烈な攻防戦のこと、のんのんばあの死のことなど、主に水木の少年時代の楽しく、また切ない思い出がつづられている。
のんのんばあ
[編集]「のんのんばあ」とは、少年時代の水木しげる(本名・武良茂)の家にお手伝いに来ていた「景山ふさ」という老婆のこと。境港では神仏に仕える人を「のんのんさん」と呼び、ふさは拝み屋の妻だったため「のんのんばあ」と呼ばれた。のんのんばあはしげる少年にお化けや妖怪の世界を語って聞かせ、後年の妖怪漫画家・妖怪研究家への素地を作ったとも言える人物である。のんのんばあは1933年(昭和8年)に肺結核で死去した。
テレビドラマ
[編集]- NHK鳥取放送局制作のテレビドラマとして、1991年(平成3年)8月19日から8月23日まで放映された。続編として「続・のんのんばあとオレ」が1992年(平成4年)8月24日から8月28日に放送された。いずれも『ドラマ愛の詩』枠(18時00分 - 18時30分の30分間)にて5話連続での放送だった。実写とアニメの合成が用いられている。1992年に文化庁芸術作品賞を受賞している。
- ちくま少年図書館の「のんのんばあとオレ」を基本にしているが、オリジナルのストーリーも多く取り入れられている。また、水木しげるの本名は「武良茂」だが、このドラマでは「村木茂」と設定されている。また「続・のんのんばあとオレ」の時代は1934年(昭和9年)に設定されているが、史実としてはこの時点ではのんのんばあ(景山ふさ)は世を去っている。しかし、ストーリー展開上の必要性からのんのんばあ存命としてドラマが展開されている。
- 本作品の放送後に、ドラマの漫画版である「のんのんばあとオレ」(1991年)「続・のんのんばあとオレ」(1992年)が講談社から刊行された。現在は講談社漫画文庫に全1巻でおさめられている。なお漫画版「のんのんばあとオレ」はフランス語に訳されて出版され、2007年(平成19年)に第34回アングレーム国際マンガフェスティバルの作品大賞を受賞した。
のんのんばあとオレ
[編集]1932年(昭和7年)。鳥取県の境町で暮らす村木茂は小学校4年生。住み込みのお手伝いであるのんのんばあの語る妖怪やお化けの世界に魅せられている。学校では居眠りをしたり、空想の世界にひたったりして先生や母から怒られてばかりだが、毎日楽しく遊び回っていた。
ある日、茂は千草という少女に出会う。彼女は肺病のため東京から境港に療養に来ていた。不治の病を嘆き拗ねていた千草だったが、茂やのんのんばあの語る不思議な世界に引き込まれ、いつしか茂と千草は仲良くなっていた。
夏休みに入ったある日、茂は兄・弟と一緒に米子の街に「ドーナツ」を買いに行く。千草に食べさせてやろうかと一瞬迷う茂だったが、結局自分がドーナツを食べてしまう。あとになって千草の好物がドーナツだと知り、後悔の思いから彼女に食べさせようとドーナツを買ってきた茂だったが、千草は病が進行して危篤に陥っていた。茂は、千草を励ますために彼女と約束していた十万億土の絵を必死になって描き上げるが、時すでに遅く、千草は茂への感謝の言葉を口にしながら息を引き取っていた。
千草の早すぎる死を悲しむ茂を、のんのんばあは「しげーさん(茂さん)の心には千草さんの魂が入ったのだよ。たくさんの人の魂が心に宿るから人は優しくなれるのだよ」と励ますのだった。
続・のんのんばあとオレ
[編集]1934年(昭和9年)。小学校6年生になった茂は、次のガキ大将候補となる。ライバルのかっぱと、住んだら不幸になると評判の「たたりものけの家」での肝試しで勝負を決めようとするが、二人とも奇怪な妖怪に襲われ、たたりものけの家を逃げ出してしまい、勝負なしとなる。結局ガキ大将を決める勝負は腕力での直接対決となるが、勝負の前日に食べた牡蠣が原因で食中毒にかかってしまい、不戦敗となった。茂を敵前逃亡と見なした新しいガキ大将・かっぱは、茂に「相手なし(仲間はずし)」を宣告する。茂は傷ついた心を隠して、大好きな絵に打ち込み始める。
ある日、たたりものけの家に猪熊鷹寅という粗暴な男が越してくる。彼は人買いの仲介をしていた。茂は、猪熊と一緒に暮らす7歳の孤児・吉川美和と仲良くなる。美和は自然界の声を聞くことができる不思議な力を持っており、茂はそんな美和と親しくなっていくが、美和は神戸の芸者置屋に売られていく運命にあった。
一方、町の子供達はかっぱの横暴に耐えかね、茂に決起するよう懇願する。無駄な戦いはしたくない茂はかっぱを説得しようとするが、彼は暴力で対抗し、遂に力での勝負となる。卑怯な暴力で茂を圧倒するかっぱだったが、自分の味方が誰もいないことに気づいて逃走し、茂はガキ大将となった。
ついに美和が神戸に売られていく日がやってきた。美和は猪熊の家を抜け出し、茂とお化けの世界について語り合った弓ヶ浜に来ていた。美和を探しに来た茂とのんのんばあは、沖合に無数の光の球が浮かび、美和がその光と語り合っている姿を見る。光の球は美和の亡くなった母の魂で、みんなに迷惑をかけないために神戸に行くよう美和を諭した。美和は茂とのんのんばあに感謝しながら境港を去っていくのだった。その後、美和がいた間は大人しくしていたたたりものけが暴れ出したのか、猪熊一家は相次いで大怪我をして家を引き払った。
ガキ大将となった茂は、平和主義でいくことを仲間に宣言し、軍事教練も相手なしもやめにすること、かっぱとも自由に遊んでよいことを告げる。そして、いつか画家になる日を夢見て、絵の勉強に打ち込むのだった。
スタッフ
[編集]キャスト
[編集]- 村木茂:佐藤広純
- 村木望(茂の父):岸部一徳
- 村木道(茂の母):もたいまさこ
- 村木正(茂の兄):西野貴律
- 村木有(茂の弟):長沼哲郎
- のんのんばあ:山田昌
- 小豆はかり:青野武(声)
- 小豆とぎ:はせさん治(声)
- 油すまし:郷里大輔(声)
- 千草:加山由実
- 村木惣右衛門(茂の祖父):浜村純
- 吉川美和:清水香里
- 猪熊鷹寅:阿藤海
- 猪熊雪絵(鷹寅の妻):黒田福美
- 猪熊峰子(鷹寅の娘):西野まり
- カッパ(ガキ大将):高野真吾
備考
[編集]- 鳥取県境港市にある「水木しげる記念館」に「のんのんばあとオレ」のブロンズ像がある。
- 『のんのんばあとオレ』の作品中には一畑薬師(島根県出雲市)に参詣するエピソードが登場するが、2012年4月8日に一畑薬師で「のんのんばあまつり」が開かれ、新たに建立された「のんのんばあとしげる少年」のブロンズ像の除幕式が行われた[1]。
関連商品
[編集]書籍
[編集]- エッセイ
-
- 筑摩書房〈ちくま少年図書館〉、1977年10月、ISBN 4-480-04037-4
- 筑摩書房〈ちくま文庫〉、1990年7月、ISBN 4-480-02444-1
- 漫画
-
- 講談社、全2巻
- 1巻、1992年ISBN 4-06-313354-0 8月、
- 2巻、1992年10月、ISBN 4-06-313359-1
- 講談社〈講談社漫画文庫〉、1997年7月、ISBN 4-06-260333-0
- 角川書店、2007年10月、ISBN 978-4-04-854134-3 - アングレーム国際漫画祭受賞を記念し、フランス版の装丁で刊行された特別限定愛蔵版。
- 講談社〈水木しげる漫画大全集〉、2015年10月、ISBN 978-4-06-377564-8
- 講談社、全2巻
映像ソフト
[編集]東映からDVD2点が2011年1月21日に発売。
- のんのんばあとオレ - 1991年放送のドラマ全5話を収録。
- 続・のんのんばあとオレ - 1992年放送のドラマ全5話を収録。
脚注
[編集]- ^ “水木しげるに影響“のんのんばあ”がブロンズ像に!”. ZAKZAK (産経デジタル). (2012年4月10日) 2019年3月15日閲覧。