アカエリヒレアシシギ
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アカエリヒレアシシギ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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アカエリヒレアシシギ(夏羽) Phalaropus lobatus | ||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Phalaropus lobatus (Linnaeus, 1758) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
アカエリヒレアシシギ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Red-necked phalarope |
アカエリヒレアシシギ(赤襟鰭足鴫、学名:Phalaropus lobatus)は、鳥綱チドリ目ヒレアシシギ科(シギ科に含める説もあり)ヒレアシシギ属に分類される鳥。
分布
[編集]アフリカ大陸、オーストラリア大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸、インドネシア、キューバ、日本、ハイチ、パプアニューギニア、フィリピン、ブルネイ
北アメリカ大陸北部やユーラシア大陸北部で繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸や南アメリカ大陸等で越冬する。日本には渡りの途中に飛来する(旅鳥)。明石海峡では春・秋の渡りの時期に多いときには1万羽を越える群れが観察されることもある。
形態
[編集]全長19cm。背面の羽毛には褐色の斑点が入る。咽頭部や腹部の羽毛は白い。嘴は細い。
夏羽は腰に1対の白い斑紋がある。頸部の羽毛は赤く、和名や英名の由来と思われる。頸部の羽毛の赤味はメスの方が強い。冬羽は頭部が頭頂部を除いて白く、嘴から眼を通り側頭部にかけて筋模様(過眼線)が入る。過眼線は黒い。体格はメスの方が大きい。
生態
[編集]海岸や河川、湖、池沼等に生息する。鳴き声は日本語圏では、「プリープリー」と聞こえる。
ヒレアシシギ属の鳥類一般にあてはまることであるが、繁殖期にはメス同士が産卵場所をめぐって争い、交尾相手のオスと巣を激しく防衛する。産卵を終えたメスはすぐに南への渡りを開始し、抱卵と育雛はオスのみが行う。巣は沼地の付近の地面につくられる。雛は自ら餌を取ることが多く、孵化後20日以内に飛翔できるようになる。
国内におけるエピソード
[編集]2017年8月30日に宮城球場で行われた楽天対西武戦において、南下中に迷鳥となったと思われるアカエリヒレアシシギの大群が球場内にとどまり試合が一時中断された事例がある[1][2]。また、2022年9月20日にゾゾマリンスタジアムで行われたロッテ対オリックス戦でも試合中にアカエリヒレアシシギの群れが迷い込み、試合が一時中断される事態になった[3]。
2017年に宮城球場に飛来したアカエリヒレアシシギを追い払おうとした際、スタッフが笛を吹きながら追い掛け回したり、花火を打ち上げるなどしたが、球場内にとどまり続けたたが、照明を消したところ飛び去った[2]。
しかし、2022年のゾゾマリンスタジアムでは、観客協力の下スタジアム内やスマートフォンなどの消灯や、鳥対策用に事前に準備していた大型鳥類の鳴き声やバズーカ音などの大きな音を流すも効果がなく、群れの一部がグラウンド内に居座る事態になってしまった。最終的にロッテベンチから角中勝也がバットを持って出て、追いかけ回したところ鳥の群れが飛び立ち、その後試合が21分ぶりに再開された[3][4]。
その他、2010年9月に桐生競艇場でナイター照明でのレース中、約1000羽のアカエリヒレアシシギの群れが水面に飛来し、安全確保のためレースを一時中断する出来事が発生。2021年9月には、国立競技場で夜間帯に行われていた東京パラリンピックの陸上競技の開催中に同鳥の群れが会場に迷い込むなどしている[3]。
ゾゾマリンスタジアムでの珍事の翌日に、鳥類の研究をしている山階鳥類研究所は地元紙である千葉日報の取材に対し、「昔から時々はあることで、昭和時代には後楽園球場のナイター照明にアカエリヒレアシシギが引き寄せられたことがある[4][5] 」と回答。「アカエリヒレアシシギはなぜ、ナイター照明に引き寄せられるのか」という記者の質問に対し、「水辺の鳥であり、基本的には水面を探しているが、グラウンドが照明で光っていたり、雨で濡れたりしていると、水面と誤認するのかもしれない」と回答している。「照明の消灯や大きな音は、アカエリヒレアシシギが飛び立ってもらうのに効果はあるのか」という質問に対しても、「ナイター照明に引き寄せられていると考えられるため、照明を落とすのは効果があるかもしれない。音を鳴らすというのは、鳥の群れを驚かせるということだろうが、果たしてどうか」とした上で、「迷い込んだアカエリヒレアシシギを追い払うのに『これが特効薬である』というのは正直分からない」と回答している[3]。
画像
[編集]- 冬羽
- Museum specimen
脚注
[編集]- ^ “楽天本拠襲来した白い鳥の名はアカエリヒレアシシギ”. 日刊スポーツ. (2017年9月1日) 2020年7月24日閲覧。
- ^ a b “鳥の大群襲来!西武、2位"トリ"逃がした・・・勝ちムードのなか水差され痛恨ドロー”. サンケイスポーツ. (2017年8月31日) 2017年9月4日閲覧。
- ^ a b c d “ロッテ戦の鳥襲来、正体は―? 専門家が特定 井上靖作品にもエピソード登場 【急上昇ニュースのウラ】”. 千葉日報オンライン. 2022年12月14日閲覧。
- ^ a b “【珍ハプニング】ZOZOマリンに数十羽の鳥が居座り中断 照明暗転、バズーカ音も“退場”せず”. 日刊スポーツ. 2022年12月15日閲覧。
- ^ 上記の日刊スポーツの記事によると、後楽園球場では1958年9月13日の巨人-大洋戦で7分、1959年9月2日の大毎-東映戦で9分間、渡り鳥の襲来で中断を余儀なくされている。
参考文献
[編集]- 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年、83頁。
- 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、61頁。
関連項目
[編集]- 井上靖 - 小説『海峡』(1958年)の中で、先述した後楽園球場へのアカエリヒレアシシギが飛来したエピソードを登場させており、それが物語の軸になっている。井上が昭和33年3月に来村し、『海峡』の終局を執筆した青森県風間浦村の海峡いさりび公園内にある文学碑は、井上が関係する文学碑の中でも、名前の横に井上の落款を彫り込んだ数少ない碑の一つとして知られている。井上はこの碑文の構成を練るために平成元年に再び風間浦村に来村。その際に執筆した散文詩「アカエリヒレアシシギ」が文学碑に刻まれ、原稿用紙に井上が愛用の万年筆で書かれた原本は現在も風間浦村が保存している。[1]
外部リンク
[編集]- 2007 IUCN Red List of Threatened Species
- BirdLife International 2004. Phalaropus lobatus. In: IUCN 2007. 2007 IUCN Red List of Threatened Species.