ウルトラマンの登場怪獣

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ウルトラマンの登場怪獣(ウルトラマンのとうじょうかいじゅう)では、特撮テレビドラマ『ウルトラマン』に登場する架空の怪獣宇宙人ウルトラマンを除く)、その他の生物について詳述する。本項において並び順は、登場話数順である。ウルトラシリーズメディアミックスを含む他作品での再登場についても解説する。

前作『ウルトラQ』での怪獣人気により、各話1体以上の怪獣が登場するようになった[1]。造形面では、前作や東宝特撮からの流用・改造も多いが、次第に独自性を確立し、ウルトラ怪獣の基礎を築いた[1]

宇宙怪獣 ベムラー[編集]

諸元
ベムラー
別名 宇宙怪獣
身長 50 m[出典 1]
体重 2万5,000 t[出典 1]
出身地 M35星[出典 2]

第1話「ウルトラ作戦第一号」に登場。

「宇宙の平和を乱す、悪魔のような怪獣」として恐れられている狂暴な性質の宇宙怪獣。全身にのような硬い皮膚と毒が含まれた鋭いが生え、小さな前肢と長い尾を持ち、2足歩行を行う[12]。青い球体に変身して宇宙空間をマッハ1.3(竜ヶ森上空では約マッハ2[出典 3])の速度で移動できるほか、水中でも活動できる。40万馬力の力を持つ[14]が、両腕が退化していることから接近戦は苦手である[出典 4][注釈 1]。武器は口から吐く青色の熱光線[出典 5][注釈 2]

ウルトラマンによって宇宙の墓場へ護送される途中で逃走して地球に飛来し、竜ヶ森湖の湖底に潜伏して長旅の疲れを癒していた。科学特捜隊の上空と湖底の両面から攻撃を仕掛けるウルトラ作戦第1号によって水上へいぶり出され、その際にハヤタの乗るS16号も地上に引きずり上げて噛み砕こうとするが、彼の変身したウルトラマンと戦い、最後は青い球体に変身して逃亡を企てたところをスペシウム光線で爆破される。

  • スーツアクター:荒垣輝雄[2][8]
  • 名前はウルトラマンの企画段階での名称「科学特捜隊ベムラー」に由来する[出典 6]
  • デザインは成田亨が担当した[8][18]。顔は獅子をイメージしている[8][18]
  • 造型は高山良策が担当した[8]。スーツの素材には、プールでの撮影を想定して吸水性のウレタンではなく発泡性ゴム素材のフォームラバー[19]が使用されている[15]。腕部はスーツアクターの腕が入らないサイズであり、人間が入っていることを隠すためにその細さを強調しているとされる[20][10]。成田は、内部にスーツアクターが腕を上げて入り、頭部の角を動かすという案も想定していた[20][18]。その後、スーツはギャンゴに改造された[出典 7]
  • 脚本ではウルトラマンと戦った末に青い球体の姿で逃亡を図り、そこで力尽きる予定だった[15]
  • ベムラーが送られるはずだった「宇宙の墓場」について、劇中では具体的な説明はない。第35話には怪獣墓場という類似した名称の場所も登場しており、資料によってはこれらを同一視しているもの[24]と、両者を明確に区別しているもの[25][26]がある。書籍『ウルトラマンベストブック』では、宇宙の墓場は宇宙の平和を乱した怪獣が光の国の掟で死刑を執行される処刑場としており、怪獣墓場とは天国と地獄ほどの違いがあると記述している[25]
  • 青色の熱光線は、『ウルトラマンM730 ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑』にて「ペイル熱線」と名付けられた。
  • ウルトラマンティガ』に登場するヤナカーギーや、『ULTRAMAN』に登場するビースト・ザ・ワンのモデルであり[17]、『ティガ』でヤナカーギーが封印されていた場所は、ベムラーが出現する場所と同じく竜ヶ森湖となっている。また、『ネオ・ウルトラQ』でニルワニエが向かう場所も竜ヶ森である。
  • 『ウルトラQ』と『ウルトラマン』の間の出来事を描いた円谷プロ公認のPCゲームウルトラ作戦 科特隊出撃せよ!』第5話「龍伝説を追え」に登場する女神竜ミドのボディはベムラーに近いものになっており、造形を担当した稲田喜秀も「ミドはこの後、ベムラーになった」とイメージしていた旨を語っている[27]。なお、同ゲーム最終話「首都戒厳令!!」のエンディングでは、青い球体の姿で地球に飛来するベムラーが描かれている。

宇宙忍者 バルタン星人[編集]

本編に先立って1966年7月9日に杉並公会堂で開催されたイベント「ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生」(放映は翌10日)にも登場している。

初代[編集]

諸元
バルタン星人
ALIEN BALTAN[28][29]
VALTAN[30]
別名 宇宙忍者
身長 ミクロ - 50 m[出典 8][注釈 3]
体重 0 - 1万5千 t[出典 9][注釈 3]
出身地 バルタン星[出典 10]

第2話「侵略者を撃て」に登場。

故郷のバルタン星を狂った科学者が行った核実験によって失い、たまたま宇宙旅行中だったことから難を逃れた20億3千万人の同胞と共に、宇宙船で放浪していた異星人。「宇宙忍者」という異名どおり、多彩かつ特異な能力を持っている種族である。作中世界の火星に存在する架空の物質「スペシウム」を弱点としている。宇宙船内部ではほとんどの乗員がミクロ化されて地球のバクテリア大で眠っており、科特隊と接触することになる1名のみが、人間大のサイズで活動している。地球には重力バランスの狂った宇宙船の修理と欠乏した予備パーツのダイオード[38]の調達のために偶然立ち寄っただけであるが、自分たちの居住できる環境と判明したため、移住を強行しようとする。

武器は両手のハサミから出す、赤色凍結光線[出典 11][注釈 4]白色破壊光弾[出典 12][注釈 5]。足の内部には、物体を腐らせる液体が入った袋が存在する(設定のみ)。また、防御能力として数多の分身を作ることが可能。空間に姿を映す投影術を使用可能だが、影が攻撃されると影だけでなく本体もダメージを負う[8]。そのほか、地球人の身体に乗り移り、その脳髄を支配して日本語を解するという能力も持つ。

手始めに科学センターに侵入し、緑の光とともに凝固させ、完全に生物の活動を停止させる赤色凍結光線で職員を仮死状態にして占拠する。この時点では地球の言語を理解できなかったため、同じく仮死状態にしたアラシの身体に乗り移ってイデやハヤタと会話し、自分たちの事情を説明した後に地球への移住について交渉する。前述のように最初の攻撃では人間を殺害しておらず、ハヤタから「地球の法律や文化を守るなら移住も不可能ではない」と言われた際には即座に丁寧語で話すなど、当初は地球人を尊重して共生する姿勢も見せていたが、バルタン星人の人口の多さを聞いたイデに難色を示されたうえ、スペシウムが存在する火星への移住をハヤタに提案されたことから、交渉を一方的に打ち切って移住の強行を宣言し、巨大化して侵略破壊活動に移行する。防衛軍の核ミサイル「はげたか」によって一度は倒されるが、すぐに脱皮によって攻撃を無力化して復活する。その後、コンビナートを破壊しながらウルトラマンと空中戦を繰り広げ、左のハサミを損傷させられつつも右のハサミから破壊光弾を発射して反撃するが、最後はスペシウムが含まれたスペシウム光線を浴びせられ、炎上して墜落する。

他のミクロ化したバルタン星人の乗っていた母船は、上空に潜んでいたところをウルトラマンに発見され、宇宙まで運び出された後にスペシウム光線で爆破されたとされている。

  • スーツアクター:佐藤武志[出典 14]
  • 戦闘中にハサミが破損するのは、撮影現場で本当にハサミが破損したため、割れるシーンをフォローとして追加撮影したためである。造型を担当した佐藤保は、当初のハサミはカポックの削り出しをFRPでコーティングしたものであったが、後にFRPのみで造り直したと証言している[43]
  • 「単に強い異星の人間」という後続エピソードでの扱いとは違い、深夜に無人のビルの闇に潜む怪物という怪奇色の強い扱いだった(前作『ウルトラQ』の影響が強い)。また、「生命」の意味を理解できないなど人類とは根本的に異質な存在であることが徐々に明かされ、クライマックスでは「街中で撃たれた核ミサイル2発を受けてもたやすく復活する」といった、地球人の力ではどうにもできない存在であることが明示される。
  • 地球人側が謎の宇宙人による科学センター占拠に対して科特隊のムラマツキャップや防衛軍の幹部らによって会議を開くシーンでは、相手の正体が未だ判明していないにもかかわらず、黒板には「バルタン星人対策会議」と書かれている。
聖徳記念絵画館
  • 映画『ウルトラマン怪獣大決戦』では、第2話でのウルトラマンとの空中戦の途中で、聖徳記念絵画館前に降り立って地上戦を繰り広げる新撮シーンが追加されている(スーツアクターは二家本辰己)が、初代の着ぐるみはこの時点で現存していなかったため、形状の異なるものが分身体を含めて2体、新規に造型されている。これは後に『ウルトラマン80』の五代目や六代目(後述)に改造される[44]
  • 白色破壊光弾は、『大怪獣バトル』では「白色破壊光線」、『ウルトラファイト』では「バルタンファイヤー」とも表記されている。
  • 楳図かずおの漫画版では、原典の放送開始前に先行連載された[注釈 6]ためもあり、「ウルトラマンを最初から登場させたい」という編集部の意向で本エピソードが最初となっているうえ、ウルトラマンもバルタン星人と対峙する時点ですでに人々に認知されている[46]。また、エピソードの展開もバルタン星人の容姿も楳図のオリジナル要素やホラー要素が強く、地球人が精神を汚染されてガソリンを飲む、肉体を寄生されてバルタン星人に変貌する[47]などの様子を含む内容が、全10話構成の長編として描かれている[46]
  • 幻冬舎の書籍『21世紀ウルトラマン宣言』では、セミに近い昆虫から進化した知的生命体とされている。「バルタンの木」という植物を食べて生活していたが、肉食を覚えると残虐で好戦的な種族に変化し、腕もより確実に獲物を狩れるよう、現在のハサミ状へ進化した。また、アリやハチのようにフェロモンを用いる社会となっており、個体の感情がないはずなのに持つことになるウルトラマンへの復讐心も、そのためだとされている。
  • 円盤は『ウルトラQ』のセミ人間の宇宙船を流用したもの[8]。その後、メフィラス星人の円盤(第33話)に再度流用された[48]

二代目[編集]

諸元
バルタン星人
(二代目)
別名 宇宙忍者
身長 ミクロ - 50 m[出典 15]
体重 0 - 1万5千 t[出典 16]
出身地

第16話「科特隊宇宙へ」に登場。

先にウルトラマンによって壊滅的な被害を受けたが、何とか生き延びた一部のバルタン星人たちは太陽系に存在すると言われているR惑星[38][注釈 7]に移住していた。新たな仮の住まいを見つけたものの、地球侵略とウルトラマンや全人類への復讐の機会をうかがっていた者たちは、地球で毛利博士による人類初の有人金星探査が行われようとしていることを知ると、ロケットで旅立った彼を移動用の宇宙船である発光する青い球体で強制ドッキングして捕らえてボス格が憑依する。バルタン星人たちは科特隊とウルトラマンをおびき寄せた隙に大挙して地球を制圧しようと襲いかかるが、新兵器・マルス133を開発した科特隊とテレポーテーションを使用したウルトラマンにより、その計画は失敗に終わる。

当話においても、特徴として無数の人間大のミニバルタンに分身することが可能であることが描写されている。また、胸部にスペルゲン反射光[出典 18][注釈 8]を装備し、弱点のスペシウム光線を跳ね返すことが可能になった。さらには光波バリヤー[出典 19]を全身に張り巡らせることが可能になり、これによって八つ裂き光輪を防ぐ。武器はハサミから発せられる1000倍にした重力でダメージを与える重力嵐[出典 20]。テレパシーによって思い通りに重力バランスを操ることが可能[53]。その他、分身が手から白色破壊光弾を発射する[53]

R惑星におけるウルトラマンとの1回目の対戦では、飛行中に放たれたスペシウム光線をスペルゲン反射光で反射して浴びせ、墜落させる。そこに重力嵐を浴びせ、動きを止めたウルトラマンに襲いかかろうと飛翔したところに八つ裂き光輪を受け、縦真っ二つにされる。地球では等身大の14体[38]の分身が群れを成して襲いかかるが、迎撃に出たイデが小型ビートルのフロントグラス越しにマルス133で狙撃し、多数が撃墜される。R惑星からテレポーテーションで地球の羽田空港に戻ったウルトラマンに対し、分身状態から青い球体に吸い込まれて合体巨大化した2回目の対戦では、光波バリヤーにより一度は八つ裂き光輪を防ぐが、ウルトラアイスポットにより光波バリヤーを無力化された後、同じく飛翔したところを八つ裂き光輪で縦真っ二つにされ、寸断された半身はそれぞれスペシウム光線で爆破される。

  • 声:西田昭市[50][53]
  • スーツアクター:飛鋪正直[出典 21]
  • 脚本では、スペルゲン反射光は「スペシウム抗体反射板」と表記されている[53][57]
  • 初代の着ぐるみが劣化により撮影に使用できなくなったため[60]佐々木明によって新たに着ぐるみが作られた[61]。頭部やハサミの形状が鋭角的になり、初代よりも成田亨のデザイン画に近くなった[62][61]。色彩は全体的に茶色で、顔のT字ラインとハサミが銀色。目玉の回転が初代と逆である[59]。目玉部分はカラータイマーと同口径の押し型が使用されており、目の内側にエポキシ接着剤を1滴ずつ垂らして凹凸を作っている[63]
  • バルタン群のミニチュアは、当時市販されていたマルサン商店製のソフビ人形に塗装したもの[53]
  • ミニバルタンが石油コンビナートを破壊するシーンは、第13話でペスターが製油所を破壊するシーンの流用[注釈 9]
  • 『ウルトラファイト』の「バルタン真っ二つ」では、スペルゲン反射鏡がミラーに、重力嵐が怪光線によるガスに変更されており、目から放つ光線も光波バリアーには通じず、本編と違い正面からではなく頭上目がけてウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)を放つことで、バルタン星人に光波バリアーを張らせることなく勝利を収められたとなっている。
  • 一峰大二の漫画版『ウルトラマン』では、ウルトラマンをおびき寄せた際に地球のビル街を砂に変える。ウルトラマンとの対決では、反射鏡に跳ね返されないようジャンプで飛び越したウルトラマンに、着地前に逆さまの姿勢でスペシウム光線を背中に放たれて倒される。
  • バルタン星人に乗っ取られた毛利博士の安否は劇中では不明だが、井上英沖の漫画版[注釈 10]では乗っ取られた際に死亡したことが語られ、上記の一峰の漫画版ではバルタン星人が分離したために無事であるとされている。
  • 金城哲夫による小説『怪獣絵物語ウルトラマン』では、作戦決行前にメフィラス星人や他の宇宙人たちとともにウルトラマンを倒すための作戦会議に参加しており、その中での第二作戦として地球とウルトラマンへの攻撃を担当したことになっている。
  • 書籍『ウルトラマンベストブック』のコラムでは、ゼットンのバリアー能力はこのバルタン星人が使用した光波バリヤーを移植されたと記述されている[64]
  • テレビマガジン版『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス』ではR惑星が登場し、ザラブ星人マグマ星人などの宇宙人軍団がウルトラ兄弟と対決していた(バルタン星人は未登場)。

三代目[編集]

諸元
バルタン星人
(三代目)
別名 宇宙忍者
身長 50 m[出典 22]
体重 1万5千 t[出典 22]
出身地

第33話「禁じられた言葉」に登場。

地球人に対し、自分の力を誇示せんとしたメフィラス星人の手により、威嚇の目的で東京・丸の内の28番街に出現した。特に暴れ回ることはなく、すぐに消え去っている。

  • スーツアクター:渡辺白洋児[出典 24]
  • 着ぐるみは2代目のリペイント[48]。体色は黒と銀を基調に、頬に青い模様があり、頭部が金色になっている。また、目から口吻が白くなっている。
  • 資料によっては実態のない投影像であった可能性を記述している[出典 25]
  • 『ウルトラ怪獣列伝』では、巨大フジ隊員が姿を消した直後に出現したことから、巨大フジ隊員はバルタン星人の変身であったものと推測している[66]
  • 未映像化に終わった『ジャイアント作戦』にも登場が予定されていた[71]

透明怪獣 ネロンガ[編集]

諸元
ネロンガ
別名 透明怪獣
体長 45 m[出典 26]
体重 4万 t[出典 26]
出身地

第3話「科特隊出撃せよ」に登場。

普段は体全体が透明化および半透明化した状態で眼に見えないが、電気を鼻先の太い一本角と左右に1本ずつある触角で十分に体内に吸収した時だけ姿を現す。透明化は電子イオンの働きによるものかもと、科学特捜隊のフジ隊員に推測されている。最大の武器は回転させた頭部の触角2本を前部に回転させて鼻先の一本角に接触させてスパークさせて発射する電撃[出典 28][注釈 11]であるが、人間のアラシ隊員に対してショックを与える程度の威力しかないため、ウルトラマンに対してはまったく効果がない。劇中の登場人物の会話では、かつて江戸時代に一度村井 強衛門むらい せいえもんというに退治されたという怪物の言い伝えがあるが、関係性は不明[76][注釈 12]。最初に潜んでいた300年前に掘られた古井戸に通じる抜け穴の近くの水力発電所を破壊した後、伊和送電所を経て第三火力発電所に現れ、待ち構えていた防衛隊火器部隊のロケット砲や、熱線砲を中心とした集中砲火を受ける。発電所に隣接するボタ山の上で透明状態で攻撃を受けた後、ボタ山の向こう側からタンカーを抱えて姿を現し、タンカーを投げつける。タンカーの存在からボタ山の向こう側は水場のようで、ネロンガも体から水を滴らせて以降は倒されるまで透明化しない。やがて、再開された攻撃をものともせず発電所を破壊する。ホシノ少年のスパイダーショットで左目を潰され、ウルトラマンとの激闘の末にひざ蹴りで鼻先の角を圧し折られてもがき苦しんでいるところを高々と持ち上げられて岩石落としで叩きつけられたことが致命傷となり、動きを止めたところにスペシウム光線を受けて爆死する。

第35話では怪獣墓場に眠っている姿が映っている[72]

『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』に登場するネロンガ[編集]

諸元
ネロンガ
別名 透明怪獣
体長 45 m[出典 32]
体重 4万 t[出典 32]

特撮テレビドラマ『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』第3話「透明怪獣襲撃!」、第7話「怪獣を呼ぶ石」に登場。

第3話では惑星ボリスのテラフォーミング用発電施設を餌場にするが、それだけでは飽き足らずスペースペンドラゴンの電力も吸い取る。透明化してゴモラとの戦いを優勢に進めるが、レイの人間離れした鋭い感覚で位置を突き止められ、ゴモラに振り向きざまの零距離超振動波を叩き込まれて爆死する。

第7話ではブルトンに呼び出された別個体が出現し、肉弾戦のみでゴモラと戦うが、前回のゴモラを苦戦させた個体とは違って散々叩きのめされたうえ、ゴモラがかわしたテレスドンの火炎を受け、爆死する。

  • スーツアクター:西村郎(第3話)、岩崎晋弥(第7話)
  • オープニングではテレスドンと対決している。
  • 登場話数が第3話なのは『ウルトラマン』へのオマージュである[87]

『ウルトラマンR/B』に登場するネロンガ[編集]

諸元
ネロンガ
別名 透明怪獣
体長 45 m[出典 33]
体重 4万 t[出典 33]

ウルトラマンR/B』第16話「この瞬間が絆」に登場。

美剣サキによって怪獣クリスタルから召喚され、市街地に出現する。ウルトラマンロッソやウルトラマンブルと交戦するが、サキによって一時撤退させられた後、愛染ワンダーランドにて再びサキによって召喚され、ロッソとブルを暴君電撃[89][90]と電気エネルギーのイオン化作用による透明化能力[89][90]で追い詰める。アサヒの言葉で奮起したロッソとブルの共同作戦で砂を全身にまとわされて透明化能力を無効化され、最後は彼らが合体変身したウルトラマンルーブのルーブコウリンショットを受け、爆散する。

  • スーツアクター:新井宏幸
  • 第16話監督の辻本貴則によれば、ウルトラシリーズの映像作品への登場は10年ぶりであり、スーツは新造したものが用いられている[91]。辻本は円谷プロダクション造形部LSSで制作中のネロンガを目撃し、ネロンガの登場を要望したという[92]。戦闘シーンはオリジナルを尊重しつつ、現代に相応しいよう派手さも追求している[93]。透明化の描写は光学迷彩をイメージしている[93][92]。ネロンガがビル街を歩くカットでは、セットの下から床を金槌で叩いてミニチュアを揺らしている[93]。角の回転や目の動きなどはCGを用いている[92]

『ウルトラマンZ』に登場するネロンガ[編集]

諸元
ネロンガ
NERONGA[94]
別名 透明怪獣[95]
体長 45 m[出典 34]
体重 4万 t[出典 34]
出身地 不明[94][95]

ウルトラマンZ』第2話「戦士の心得」に登場。

過去の作品と同様に保護色で周囲の景色を捉えて同化して姿を消し去る能力と角から体内に貯めた高圧電流を放電する暴君電撃を有するほか、透明時に体温をサーモグラフィーでも感知不可なほどに周囲の外気温に同調できる能力が追加されている[出典 34]

静岡県熱山市に初出現し、セブンガーを透明化能力によって翻弄した末、動力源の電気を吸収して活動停止に追い込む。その後、電気を求めて茨城県筑波にあるクリーンインフィニティ発電所を襲撃し、透明化と暴君電撃によってセブンガーやウルトラマンゼットに対して優位に立ち回る。しかし、ゼットとハルキが視覚に頼らなくなると次第に捕捉されるようになり、さらにセブンガーの電界放出弾によって角の根元と首付近の変圧器官[95]に貯めていた電気を放電させられ、最後はゼットのゼスティウム光線を受けて爆散する。

戦闘後、散らばった破片はストレイジによって回収され、ウインダムの急速充電システムに活用される[94]

  • スーツアクター:新井宏幸
  • 皮膚はビニールのようにつるんとしていたため、おがくずを混ぜたラテックスを塗り、ザラザラの表面にしている[97]。中のウレタンがパンパンであったことから、しわを少しでもつけようと着ぐるみをわざと折り曲げて重しをその上に乗せ、大勢で踏んで生物感を出している[97]。実験のシーンに登場するツノの破片は、ダイコンなどで作られたものである[98]

『シン・ウルトラマン』に登場するネロンガ[編集]

映画『シン・ウルトラマン』に登場。

禍威獣第7号として電気を求めて首都圏郊外の山中に出現し、善和変電所の電気を頭部から捕食してエネルギーを蓄えたことでその姿を現した、透過率ほぼ100パーセント、吸収率・反射率0パーセントの体表組織を形成可能な透明禍威獣[出典 35]。透明状態でもおおよその位置が周囲の粉塵で視認できるほか、形状も赤外線映像で明瞭に確認できる[101]。電気を吸収して可視状態となるが、禍特対の指示によって変電所の送電が断たれたことに怒って電力設備を破壊し、再度透明となって次なる場所へ動き出す[99][101]。防災庁に「ネロンガ」と命名された後、陸上自衛隊特科大隊に頭部を集中攻撃されたことによって可視化するが、特科大隊のMLRSから発射された誘導弾を角から吸収した電気を用いた放電攻撃で迎撃してすべて撃ち落とし、怒って周辺を無差別放電で壊滅させる[出典 36]

その後、出現したウルトラマンに電撃を放射するもののまったく効かず、危機を察知して透明になるが、ウルトラマンの発射した光波熱線(スペシウム光線)によって瞬時に粉砕される[99][101]

  • 少しでもCGモデルのコストが削減できるようにパゴス→ネロンガ→ガボラと繋がるように選ばれた[103]。デザインコンセプトは生物兵器としての発想で、背中などは成田亨のデザイン画を踏襲して前田正宏がまとめている[103]
  • 雛型はステンレス板の上に左半身のみがレリーフ上に作成され、斜めから見ることで全体像がイメージできるものとなった[104]。雛型のボディは同作品に登場するガボラに流用された[105]
  • ウルトラマンとの交戦地は、山梨県身延町の山間の町がイメージソースとなっている[106]
  • 公式サイトでの発表に先駆け、特報映像やバンダイのソフビフィギュアでガボラと共に全身が公開された。黄色系の色や背中の突起などの処理が、『ウルトラマン』のネロンガよりも鉱物的なイメージを想起させる。また、鼻先の角のストロボ発光も、よりメカのように感じられる[107][74]

『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』に登場するネロンガ[編集]

データカードダスおよびそれを元にしたCGショートムービー『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』に登場。

プラズマソウルを取り込んだプラズマ怪獣として第1弾から登場するが、能力設定は初代と異なり、電気を吸うと一定時間だけ透明になる。角そのものがプラズマソウルになっているほか、触角の根元にもプラズマソウルがある。テレビ放送版「NERONGA Hunting」では、電気を放出し尽くして姿を現したところをバルタンバトラー・バレルに拘束された後、ガッツガンナー・ガルムの狙撃でプラズマソウルをすべて破壊され、倒される。

『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS EX』に登場するネロンガ[編集]

大怪獣バトル ULTRA MONSTERS EX』第12話「襲撃!宇宙有翼骨獣」に登場。

ギギの配下の怪獣として登場。エレキングと共に呼び出され、巨大化したギギと共に主人公を襲うが、バトルナイザーの怪獣に撃退される。

ステータスはバランスが取れており、ディフェンスとスピードを重視している。必殺技は角からの電撃「暴君電撃」、体を透明にして攻撃をしかける「インビジブルテールアタック」、「インビジブルアタック」が使用できる。NEO第3弾より、同じく電気攻撃を得意とするエレキングとのタッグ必殺技「サンダーコネクション」が追加された。

その他の作品に登場するネロンガ[編集]

その他のネロンガに関する補足[編集]

海底原人 ラゴン(巨大ラゴン)[編集]

諸元
ラゴン
(巨大ラゴン)
別名 海底原人
身長
体重 2万 t[出典 37]
出身地

第4話「大爆発五秒前」に登場。関連書籍では巨大ラゴンとも表記される[5]

太平洋上に墜落した木星開発用原子爆弾の1個が日本海溝の深海5000メートルで爆発し、その放射能を浴びた影響で突然変異を起こして巨大化した雄の個体[注釈 13]。左肩に未発見であった安全装置の外れた原爆をぶら下げている。小笠原海域を北上中に原爆捜索中の調査船を沈め、神奈川県三浦半島の葉山マリーナ[121]へ上陸して暴れ回る。放射能の影響で精神状態に異常を来しており、かつて大好きだったショパンのピアノ曲にも激しい嫌悪反応を示し、さらに凶暴化する[5]。口から放射する白色光線[出典 40][注釈 14]と放射能の影響によって有した深海の水圧にも耐える強靭な体と凄まじい怪力でウルトラマンを苦しめるが、原爆が体から落ちた後、最後はスペシウム光線を浴びて深海へ飛ばされて沈む。起動した原爆はウルトラマンの手によって運ばれ、地球から遠く離れた宇宙空間で爆発した。

怪奇植物 グリーンモンス[編集]

諸元
グリーンモンス
別名
  • 怪奇植物
  • 植物怪獣[10]
身長 2 - 40 m[出典 44]
体重 10 - 2万 t[出典 44][注釈 15]
出身地 オイリス島[出典 45][注釈 16]

第5話「ミロガンダの秘密」に登場。

南洋のオイリス島に繁殖する食肉植物ミロガンダが、品種改良のために植物学者の山田博士が照射したガンマ線の影響で、幼年期の姿への退行を経て突然変異を起こして狂暴化し、動物の要素を併せ持ったことによって自らの意思で移動できるようになったもの。移動後にはムチンを含む跡が残される。

後述する理由からオイリス島の水を飲んで帰ってきた同島調査団の団員3人や団長の山田博士を次々と襲って捕食し、鉢植えサイズから等身大まで成長する。そして、調査団で唯一生き残った女性カメラマンの浜口節子を捕食しようと彼女の屋敷の階段に隠れ、パトロール中の科特隊アラシ隊員の足を掴み倒して襲いかかるものの投げ飛ばされて毒霧を噴射し、苦しむ彼に改めて襲いかかる。抵抗中のアラシ隊員のもとへ駆けつけたハヤタ隊員に蹴飛ばされ、スーパーガンで撃たれて川に沈むが、そのエネルギーを吸収して巨大化し、丸の内のビル街に出現する。武器は花弁奥のクロロフィル核から放射する霧状の緑色の麻酔液[出典 46][注釈 17]であり、これを浴びせてウルトラマンを麻痺させる。しかし、このクロロフィル核は弱点でもあり、最後はウルトラマンによってそこにスペシウム光線を浴びせられ、炎上して灰と化した。

ミロガンダは幼年期にオイリス島の河川周辺に沿って群生・繁殖して虫や動物を捕食するが、やがて自らの成長に欠かせない同島の川の水にのみ存在する特殊な珪素を栄養分として摂取するようになるため、同島の川の水を飲んで珪素が体内に残っていた調査団の団員たちが襲われる理由となった。一定の時期を過ぎると食虫植物の性質がなくなり、美しい赤い花を咲かせた成体が日本へ持ち込まれる。幼年期のミロガンダは自立して動くことこそないが、グリーンモンスと同一の形態であり、銃で撃たれておとなしくなる。

  • スーツアクター:中村晴吉[2][8]
  • デザインは成田亨[18]サボテンをもとにアンバランスな形状でデザインされた[18][133]
  • 初期脚本ではレッドマンの口から吐く火焔によって倒された[134]
  • 後頭部に頭、花弁の部分に左手を入れている[135]
  • ミロガンダが調査団の団員を襲うシーンは、グリーンモンスの着ぐるみを寝かせて撮影された。特撮班の撮影後に本編班での撮影が行われたため、本編撮影時には足元がすり減っていた[136]。最後の炎上シーンでは、着ぐるみが実際に燃やされた[136]
  • 怪獣図鑑のイラストでは1本しかない枝が腕のように1対になり、正面の発光体も目のように描かれるなど、実物とは若干異なるデザインになっており、それを元にして怪獣消しゴムも作られた。
  • ウルトラファイト』では緑色の麻酔液を「モンスガス」と呼び、『ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑』では「ミスティ・ポワゾン」と呼んでいる。
  • 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの胴体を構成する怪獣の1体となっている[111]
  • 劇場版 ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』に登場する閻魔獣ザイゴーグの胸は、グリーンモンスをモチーフとしている[113]

『ウルトラマン THE FIRST』に登場するグリーンモンス[編集]

漫画『ウルトラマン THE FIRST』に登場。

基本設定は原作と同様。調査隊の隊員をほぼ全滅させた後、唯一残った研究員・浜口節子を科学特捜隊による護衛中に襲撃する。科特隊イデ隊員のスパイダーショットを吸収して巨大化し、浜口とムラマツの乗ったエレベーターを破壊して襲おうとしたところをウルトラマンに阻まれる。しかし、ウルトラマンが焦って放ったスペシウム光線を吸収してさらに巨大化すると、今度は彼の太陽エネルギーを求めて身体ごと吸収しようとするが、最後はウルトラマンによって宇宙へ運ばれ、太陽に投げ込まれて燃え尽きる。

海獣 ゲスラ[編集]

諸元
ゲスラ
GUESRA[出典 47]
別名 海獣
身長 60 m[出典 48]
体重 1万 t[出典 48]
出身地 ブラジル[出典 49]

第6話「沿岸警備命令」に登場。

南米ブラジルに生息する、カカオビーンズや害虫を好んで食べる水陸両棲のオオトカゲ[注釈 18]が、輸出されたカカオ豆とともに卵が日本へ運ばれてきて孵化して東京湾の工場廃液によって汚染された海水を飲み、その影響で怪獣化した。武器は口から吐くバネ光線[注釈 19]。全身に生えている毛[注釈 20]には猛毒が含まれており、自分より大きな敵をも倒す。また、大きな音や強い刺激に敏感で怒り狂うという性質があり、カカオを積んだ貨物船「コロンビア丸」の斧山船員の話によれば、怒ったゲスラはジャガーも倒すという。設定ではマッハ2.1で泳ぐとされる[4]

宝石密輸団のダイヤモンド・キックが発砲したピストルの音と刺激で狂暴化し、港のカカオ倉庫を破壊する。その猛毒でウルトラマンにも苦戦を強いるが、弱点である頭部のヒレ(劇中のセリフでは「触覚」と呼称)[注釈 21]をもぎ取られ、弱体化して横浜の海に沈む。

  • スーツアクター:荒垣輝雄[2][8]
  • デザインは成田亨、造型は高山良策が担当した[8][18]。本編で登場するのは『ウルトラQ』に登場した「ピーター」の着ぐるみを改造したもの[出典 50]。頭部と背中、腕部と胸部に鰭、背面に棘を追加し、ピンクを唇に入れ、緑に全体を塗装している[22][133]。首は挿げ替えていない[22][133]。成田はデザインコンセプトを「怪獣と怪魚の中間」と称している[18]
    • 当初はモスラの幼虫の着ぐるみを改造し、ゲラン蜂の幼虫が突然変異して巨大化するという初期設定だったため[出典 51]、古い怪獣図鑑[要文献特定詳細情報]には初期設定が記載されていることもある。モスラの幼虫を元にしたデザイン画も存在する[2]。だが、格闘がしづらいことからトカゲに変更となった[141]
  • 名前の由来は下水から[144][140]
  • トカゲは本来爬虫類だが、ゲスラは劇中の船員の話では「水中でも生きられる両生類」とされている[137]
  • 一部書籍ではチョコレート怪獣と表記されていた[145][137]

『大決戦!超ウルトラ8兄弟』に登場するキングゲスラ[編集]

諸元
キングゲスラ
別名 海獣
身長 68 m[出典 52]
体重 2万1千 t[出典 52]
出身地 不明[148]

映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』に登場。

かつて初代ウルトラマンに倒されたゲスラに、スーパーヒッポリト星人が生体改造を施して強化復活させたものと推測されている怪獣[146][147][注釈 22]。外見は以前のゲスラとあまり変わらないが、体毛が黄色がかった太い棘に、金色の背鰭の形状が王冠をあしらった形状に変化している。

怪力自慢で、得意技は横浜赤レンガ倉庫を一撃で破壊するほどの突進攻撃ゲスラ・ヘビーアタック[146][147]と、体表の棘と全身の鰭から敵の体に流し込むことで相手を麻痺させたりショック死させるほどの猛毒ショッキング・ベノム[146][147]がある。しかし、毒が集中している背鰭が弱点なのは改造前と変わっていない。

ミライの世界に迷い込んだマドカ・ダイゴの前に出現し、赤レンガ倉庫街周辺で暴れまわっていたところに駆けつけたウルトラマンメビウスと対決。ショッキング・ベノムでメビウスを追い詰めるが、少年時代にウルトラマンとゲスラとの戦いをテレビで見ていたダイゴから弱点を教えられたメビウスに背鰭をもぎ取られて戦闘力が低下した後、立て続けにメビュームシュートを受けて倒される。

その後、影法師の手によって悪意のエネルギーと他の怪獣軍団の残存エネルギーと融合させられ、ギガキマイラの下半身と化す。

  • スーツアクター:横尾和則[147]
  • ダイゴが少年時代に見ていたテレビの映像は、『ウルトラマン』第6話の流用。
  • 劇中では単に「ゲスラ」と呼ばれる。
  • 横浜が舞台であることから、過去に横浜に出現した怪獣として登場キャラクターに選ばれた[149]。特撮では「昭和特撮」の再現が目指された[149]
  • デザインは酉澤安施[150]。初稿は可愛すぎると評価されたため、2稿では成田亨による初代のデザインに近づけて牙や棘を強調したデザインとなった[150]。初代当時はブルーバック撮影が主流だったためもあり体色は緑色だったが、後年にはグリーンバック撮影が主流となり初代のままでは不向きであるため、青と黄色の配色に変更された[150]

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場するキングゲスラ[編集]

映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場。

ウルトラマンベリアルのギガバトルナイザーの力で怪獣墓場から復活し、ベリアルが操る怪獣軍団の1体となる[151]。怪獣墓場の決戦では、バルタン星人アントラーゼットンと共にウルトラマンと激突するが、ウルトラマンに投げ飛ばされ、頭を強く打ち絶命する。

『ウルトラマンX』に登場するキングゲスラ[編集]

諸元
キングゲスラ
別名 海獣
身長 68 m[出典 53]
体重 2万1千 t[出典 53]
出身地 多々良町[155]

ウルトラマンX』第17話「ともだちは怪獣」に登場。

容姿は過去作品の登場個体と同様であるが、新たに頭部のとさかからを連射する能力ベノムショット[出典 54]が追加されている。

多々良町のショッピングモール付近にダークサンダーエナジーが落ち、そこの地中より出現。多々良町で暴れまわり、現れたウルトラマンエックスをショッキング・ベノムで苦しめたうえ、ベノムショットでベムスターアーマーをも破壊し、エックスを圧倒する。さらに弱点である背鰭もダークサンダーエナジーによって強化されており、スカイマスケッティやジオアラミスの攻撃も通用しないほどである。エックスがエクシードXに強化変身してもなお互角の戦いを繰り広げるが、エクシードエクスラッシュで浄化され、最後はザナディウム光線でスパークドールズに縮小された。

  • スーツアクター:横尾和則
  • 第17話の脚本を担当した勝冶京子は、スパークドールズが世界中に散らばっているという設定から、本来は海にいる怪獣が街中に出現したら面白いのではないかと考え、キングゲスラを登場させた[156]
  • ベノムショットは、第17話の監督を担当した辻本貴則飛び道具好きであることから設定された[156]

『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』に登場するキングゲスラ[編集]

諸元
クグツキングゲスラ
別名 海獣
身長 68 m[157][158]
体重 2万1千 t[157][158]

ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』episode 1「きらぼし 〜煌星〜」に登場。

惑星ザインにおいてサイキが、自らの元を訪れた王立惑星カノンのシンラに、ベゼルブの持つクグツの力を証明するための見せしめとして、アーストロンと共にベゼルブの毒牙にかかりクグツキングゲスラと化す。同じくクグツ化したアーストロン共々、ベゼルブを統率するクイーンベゼルブとサイキの意のままに戦いを始め、敗北した。

『ウルトラマンタイガ』に登場するキングゲスラ[編集]

諸元
キングゲスラ
別名 海獣
身長 68 m[159][160]
体重 2万1千 t[159][160]

ウルトラマンタイガ』第2話「トレギア」に登場。

ヴィラン・ギルドのレキューム人に操られる怪獣兵器。正体は、ヒロユキが12年前に育てていたチビスケが改造された姿である[159]。全身から放つ赤い光弾ベノムショットを武器とする[159]

レキューム人により、怪獣オークション前のテストとして第三埠頭の倉庫群に出現し、カカオ豆を収蔵する六花製菓のチョコリッカの工場を襲撃する[161]。その後、タイガと戦闘になり、チビスケのころの記憶と正気を取り戻すが、出現したウルトラマントレギアの放ったトレラアルディガイザーからタイガをかばって爆死する[出典 55]

  • スーツアクター:新井宏幸
  • 監督の市野龍一は、トレギアの残忍性を印象づけるためにチビスケ(キングゲスラ)を殺す展開とした[163][164]。特撮監督の神谷誠も、トレギアがキングゲスラをいたぶる場面で、いかにかわいそうに見せるかがテーマであったと述べている[163][165]
  • 神谷は、自身が特殊技術として参加した映画『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』のリベンジで海から出現するシーンに力を入れようとしていたが、実現には至らなかった[165]背負投げ(タイガスウィング)の描写は、映画『キングコング対ゴジラ』をイメージしていたが、同作品のような描写はオープンセットでクレーンを用いなければならなかったため、軸に棒を入れてスーツを回すという手法を用いた[165]。神谷は背負投げをどうしてもやりたかったというが、結果として回転ギミックを合成で消してトゲを追加する作業を自らやることとなり、苦労した旨を語っている[165]

幼海獣 チビスケ[編集]

諸元
チビスケ
別名 幼海獣
身長 75 cm[159][160]
体重 7 kg[159][160]

『ウルトラマンタイガ』第2話「トレギア」に登場。

12年前にヒロユキが保護して育てていたゲスラの幼体[出典 55]。レキューム人にさらわれ、行方不明となっていた[159][160]

  • デザインは井野元大輔が担当した[出典 56]。小さな子供(12年前のヒロユキ)が可愛いと思って接するという存在のため、怪獣ではなくマスコットキャラのような方面に寄せ、前話のベビーザンドリアスと異なり、初見ではゲスラに見えないよう要望されたため、ウーパールーパーサンショウウオなど両生類のイメージでデザインされた[166][167]。正面の顔の雰囲気はキングゲスラの雰囲気を崩さず[166]、尻尾にキングゲスラの意匠が取り入られている[168]

『ウルトラマンZ』に登場するキングゲスラ[編集]

諸元
キングゲスラ
別名 海獣[169]
身長 68 m[169][170]
体重 2万1千 t[169][170]
出身地 海中[169]

ウルトラマンZ』第23話「悪夢へのプレリュード」に登場。

ウルトロイドゼロの起動に反応して鶴賀湾から暴走状態で出現[169]。暴走状態の影響で高熱火球を口から放つようになった[169][170]タッコングとともに上陸してウルトラマンゼットと戦い、港を破壊する[169][170]

  • スーツアクター:永地悠斗
  • 脚本では多数出現した地球怪獣をゼットが倒していくとの展開だったが、担当監督の坂本浩一が本話までのナツカワハルキの言動(特に第11話での言動)を踏まえてメイン監督の田口清隆に修正を希望し、登場させるのはキングゲスラとタッコングのみにしたうえで最後はどちらも逃がすとの提案が快諾され、本編の内容に落ち着いたという[171]

『ウルトラマンデッカー』に登場するキングゲスラ[編集]

諸元
キングゲスラ
別名 海獣[172]
身長 68 m[172]
体重 2万1千 t[172]

ウルトラマンデッカー』第10話「人と怪獣」に登場。

ネオメガスと戦闘するも、圧倒的な力の前に敗れる[172]

その他の作品に登場するゲスラ[編集]

  • ウルトラセブン』の未発表作品「宇宙人15+怪獣35」では、他の宇宙人により蘇生させられ東京湾から出現し、ピグモンが提案した怪獣ファイトによってネロンガと戦い、ネロンガに食べられるというシナリオが予定されていた。
  • ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』では、ウルトラ警備隊の過去のデータファイルとしてモニターに写るシーンがある。
  • ウルトラゾーン』第3話「怪獣マッサージ」では、キングゲスラがマッサージ店に客として訪れる(声:熊本浩武[173]。第13話アイキャッチでは、キングゲスラが女子高生に傘を貸そうとする姿が描かれている[174]。第16話のミニコーナー「怪獣ことわざ」では、「ぼうず憎けりゃゲスラまで憎い」ということわざが紹介されている[175]
  • ウルトラマンZ』第2話ではゲネガーグの襲来以降に目覚めた地球怪獣の1体として名前が出ている。出現場所は南米のブラジル。
  • ウルトラマンブレーザー』第2話では名前のみ登場。アオベエミの経歴について書かれた地球防衛隊勤務記録書においてその名前が記載されている。
  • データカードダス『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』の「ウルトラ大集結!前編」では、キングゲスラがプラズマ怪獣として登場。
  • 漫画
    • ジャンボーグA』の企画段階の漫画作品『ジャンボーX』第1回では、主人公まもるくんの乗った豪華客船を襲って島に上陸するが、飛来したウルトラセブンに退治された。
    • ウルトラマン超闘士激伝』では、バルキー星人が率いるエンペラ海軍のメタルモンスの中にゲスラをモデルにしたものが存在する。
    • ウルトラマン THE FIRST』では、多々良島に生息する怪獣として登場。大きさはピグモンと同程度で描かれている。
    • 『酩酊! 怪獣酒場』では、怪獣酒場の客として登場。後輩相手に大口を叩き周囲の客を不愉快な気分にさせていた。

磁力怪獣 アントラー[編集]

諸元
アントラー
別名 磁力怪獣
身長 40 m[出典 57]
体重 2万 t[出典 57]
出身地

第7話「バラージの青い石」に登場。本編に先立ち、1966年7月9日に杉並公会堂にて開催されたイベント「ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生」(放映は翌10日)にも登場している。

中東・アララット山の麓にある幻の街・バラージ付近の砂漠の地中に太古から生息していた怪獣[184]。5千年前に交易地として栄えていたバラージの街を襲ってシルクロードの交易を衰退させたことがあり、当時は初代ウルトラマンに酷似した姿の巨人「ノアの神」によって倒された。その姿はアリジゴクのようで、頭部には巨大な1対の大顎を持つ。砂漠にすり鉢状の巨大なアリジゴクを作り、獲物を捕食する習性を持つ[184]。大顎の間から発射する、金属を含んだ物体だけでなく初代ウルトラマンさえも吸い寄せる強力な虹色の磁力光線[出典 59][注釈 23]により、航空機を墜落させる。

唯一苦手とするのは、かつてノアの神が持ってきたと伝えられる「青い石」だけである。現代に復活してバラージの街を襲撃した際には科学特捜隊スーパーガンも受けつけず、逆に磁力で吸い寄せる。初代ウルトラマンとの戦いでも磁力光線や砂煙、大顎による締めつけなどで苦しめたうえ、スペシウム光線も硬い皮膚で平然と受けきる。激しい格闘戦で右の大顎をねじ切られても大ダメージには至らなかったが、青い石をムラマツキャップによって頭部へ投げつけられると体中から大爆発が起き、地面に倒れて絶命する。

第35話では、怪獣墓場に漂っている姿が描かれている[179]

  • スーツアクター:荒垣輝雄[177][181]中村晴吉(ノンクレジット)
    • 当時の製作日報によればクランクイン当初は中村が演じていたが、スケジュールの変更を受けて5月30日と31日の撮影で荒垣に交代したという[186]
  • デザインは成田亨[18]。成田は人体にカブトムシのイメージを被せたものとしている[18]高山良策が初めて『ウルトラマン』で新規造型した怪獣である[143]。頭部はFRP樹脂製[187]
  • 資料によっては、隕石に乗って地球へ飛来した宇宙怪獣であった可能性が記述されている[出典 60]。また、中近東地域に落下した隕石によって活発化したとも記述されている[183]
  • 鳴き声はラドンのハイスピード再生[188]。角の開閉音は、録音担当の西本定正による歯ぎしりの音を加工したもの[189][120]
  • 書籍『ウルトラマン ベストブック』(竹書房・1993年)では、最終話に登場するゼットンの角はアントラーのものを参考にしているとの岩本博士による推測を記述している[190][191]
  • 『ウルトラマン』の放送開始前週に放送された『ウルトラマン前夜祭』では、暴れる怪獣の1体として先行登場し、ウルトラマンと戦う。他の着ぐるみとは違ってファスナーの位置が前にあり、着ぐるみの胴体が前後逆になっていた[192]。このスーツアクターは泉梅之助
  • 劇中に登場する「ノアの神」の正体には諸説ある。
  • ウルトラファイト』の「ひきょうだぞアントラー」と映画『ウルトラマン物語』における流用映像では、スペシウム光線で倒される[注釈 24]。前者では、砂煙はアントラー自身が吐き出す猛毒ガスとされている[注釈 25]
  • 『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS NEO』では、虹色の磁力光線は「キャプチャ光線」、大顎による締めつけは「ライジングシザース」と表記されている。
  • 市街地に立っているという、実際の劇中には出てこないスチール写真が存在する[193]
  • 台本では、ムラマツがアントラーを見て「蟻地獄だ!!!」と叫ぶシーンが存在する[181][189]
  • 手足は4本だが、台本では「6本足でウルトラマンを抑え込む」との一文が書かれている[181][189]

どくろ怪獣 レッドキング[編集]

第15話で名前を挙げられるまで、劇中で「レッドキング」の名は呼称されていない。

初代[編集]

諸元
レッドキング
別名 どくろ怪獣
身長 45 m[出典 62]
体重 2万 t[出典 62]
出身地 太平洋・多々良島[出典 63]

第8話「怪獣無法地帯」に登場。

地震と火山噴火の影響で有史以前の無人島となっていた多々良島[注釈 26]に生息する怪獣として、チャンドラーマグラーらと共に登場する。

チャンドラーの右翼を片手で引き千切って退散させたり、その咆哮を耳にしたマグラーが地中に姿を隠すなどの様子から、島に生息する怪獣のうち上位の存在であることが描写されている。自慢の腕力を使った岩石投げや頭突き、体当たりなどを得意とする。知能はそれほど高くなく、岩石投げを狙って行える程度の知能こそあるものの、頭上に掲げた大岩を自分の足に落として大袈裟なポーズで痛がるなど、コミカルな一面を見せる。また、自分より小柄なピグモンを岩石投げで殺害するなど、本質的には非常に狂暴な性質である。

ウルトラマンとの戦いでは、岩石投げの際にスペシウム光線を受けて岩石をまたもや足に落とし、首筋を掴まれてのチョップを一閃された後にネックハンギングを決められる。そのままウルトラスウィングで振り回され、地面に叩きつけられて弱ったところに首投げを受け、全身を震わせながら絶命する。

第15話では子供たちのイラストで登場している。

  • スーツアクター:荒垣輝雄(第8話)[199][205]
  • 着ぐるみはアボラスに流用・改造された[出典 64]後、後述のレッドキング(二代目)に再改造された。
  • カバーに覆われていないので見えにくくなっているが、目には白い輪郭も造形されている[205]
  • アクションを付けやすくするため、脇の付け根の下部分には切り込みが入れられている[205]
  • 劇中の多々良島に登場する怪獣(操演のスフランを除く)で、唯一着ぐるみが新規に作成された怪獣である。
  • 本話に先駆けて1966年7月9日に杉並公会堂にて開催されたイベント『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』(放映は翌10日)にも、『ウルトラQ』の登場怪獣に続いて『ウルトラマン』の登場怪獣では最初に舞台へ現れ、ウルトラマンと立ち回りを披露する。
  • 放送当時に連載されていた一峰大二の漫画版では、マグラーやチャンドラーと共に3対1でウルトラマンと戦うが、3匹まとめて八つ裂き光輪で倒される。

二代目[編集]

諸元
レッドキング
(二代目)
別名 どくろ怪獣
身長 45 m[出典 65]
体重 2万 t[出典 65]
出現地

第25話「怪彗星ツイフォン」に登場。

初代とは別の金色の体を持つ個体で[出典 68][注釈 27]、新彗星ツイフォンの最接近によって地球上の水爆が爆発する可能性が生じた騒動の中、かつてオホーツク海の海底へ廃棄されていた6個の水爆を飲み込んで喉に詰まったまま、ギガスドラコと日本アルプスの山中で激突する。初代と異なり、強靱な腕力を使った羽交い締めや怪力パンチなど、主にプロレス技を駆使して戦う。

当初はギガスとドラコの戦闘を第三者的立場で傍観しつつ、ギガスに戦闘の手本を見せる、ドラコの羽根を千切り取って戦いやすくするなど、ギガスに加勢するような動作を見せており、やがてドラコがギガスに対して優勢になると覚醒して戦闘に乱入する。水爆の存在に手をこまねく科特隊をよそにドラコを倒し、正面衝突したギガスを怒り任せに負傷させたうえ、ハヤタを腕を振り上げた際の風圧で崖から転落させた。ウルトラマンとの戦いでは、水爆の影響で迂闊に手出しできないウルトラマンを苦しめるが、最後はウルトラ念力とウルトラエアキャッチを併用した八つ裂き光輪で体を切断され、絶命する。切り離された水爆の詰まった首部はウルトラマンによって宇宙に運ばれ、爆破処理された。

第35話の怪獣供養では写真が遺影として飾られている。

  • スーツアクター:鈴木邦夫(第25話)[209][214]
  • 金城哲夫の『小説 ウルトラマン』では、レッドキングが腹に抱えていた水爆は6個でなく5個であり、そのうちの1個は宇宙線の影響で爆発している。また、各怪獣の描写も違っており、レッドキングはドラコとギガスの両方に敵意を燃やし、ドラコを難なく倒してギガスも30秒で殺害した後、ピグモンを殺害する。
  • 着ぐるみはアボラスからの再改造で、頭部は初代の型を基に新造されたもの[出典 69]。全体を金色に塗り直し、黒目を白目の中心に入れている[207][61]。腕などの体表には、一部改造前の青色が残っている。着ぐるみのほか、切断シーン用の人形と切断された頭部の造形物が製作された。
  • 脚本段階ではレッドキングではなく、氷河怪獣としてゴルゴスの登場が予定されていた[216][215]
  • 第37話ではジェロニモンによって復活したという設定のもと、ゴモラと共に再登場が予定されていた[217]が、再改造でスーツが痛んでおり撮影に耐えられないとスタッフに判断されたため、ドラコに変更された。『小説 ウルトラマン』ではこの初期案に沿った展開となっており、ジェロニモンによる復活を経てゴモラと共に登場する。
  • 書籍『ウルトラの常識 ウルトラQ・ウルトラマン編』では、知能・筋力共に優れた上位種とされ、実際に劇中では岩を投げつける程度しかなかった初代と比べると、知性的な部分が垣間見られる[218]
  • ウルトラファイト』第64話では、ナレーションで「アルプスの怪獣王」と紹介された。第196話「怪獣死体置場」では、円谷プロの着ぐるみ倉庫に吊り下げられていることが確認できる。

有翼怪獣 チャンドラー[編集]

諸元
チャンドラー
CHANDLAR[出典 70]
別名 有翼怪獣
身長 36 m[出典 71]
体重 1万5,000 t[出典 71]
出身地 太平洋・多々良島[出典 72]

第8話「怪獣無法地帯」に登場。

レッドキングマグラーピグモンなど他の怪獣とともに多々良島に棲息しており、島の火山活動と地震によって復活した太古の生物と設定されている。両腕の翼で空は飛べないものの、風速60メートルの強風を起こせる[出典 73]。また、鋭く長い牙や手の爪も武器であり、レッドキングとの戦いでは肩に噛みついて負傷させるが、右側の翼を引き裂かれて戦意を喪失して敗走する。その後の消息は不明[出典 74][注釈 28]

  • デザイン、造形:高山良策
  • スーツアクター:清野幸弘[出典 75]鈴木邦夫(前夜祭)[227]
  • 着ぐるみは、前作『ウルトラQ』に登場したペギラの頭部に耳状の突起や牙、角を追加し、赤い瞳にして、全身を乳白色から褐色に塗り替えたもの[出典 76]。学年誌などではペギラとチャンドラーが「兄弟怪獣」と設定されている資料[228]や、「他人の空似」と解説されている資料も存在する[229][230]。このうち兄弟説と亜種説は、『週刊ウルトラマンオフィシャルデータファイル』にも記載されている[要ページ番号]。書籍『ウルトラマン ベストブック』では、イデの言葉としてペギラの変異体または個体差であるとの推測を記述している[219]。書籍『ウルトラマン大怪獣図鑑』では突然変異型や同種の進化系と記述している[225]。書籍『ウルトラ怪獣列伝』では、後年の『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』での言及から亜種と推測している[222]
  • 本編に先立ち、1966年7月9日に杉並公会堂で開催されたイベント「ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生」(放送は翌10日)でも舞台で暴れている。
  • 放送当時に連載されていた一峰大二の漫画版『ウルトラマン』では、翼で強風を起こす能力を前面に出して描かれている。レッドキングやマグラーと共闘してウルトラマンを苦しめるが、最後は八つ裂き光輪で3匹まとめて倒される。

地底怪獣 マグラー[編集]

諸元
マグラー
別名 地底怪獣
身長 40 m[出典 77]
体重
出身地 太平洋・多々良島[出典 78]

第8話「怪獣無法地帯」に登場。オープニング表記はマグラーだが[8]マグラと呼ばれることもある[出典 79]

多々良島の地底に棲息する四足歩行の怪獣。二足で立つこともできる[235]。鼻にある一本角のほか、頭部と背中にはそれに似た、ダイヤモンドよりも硬い棘が多数ある。大きく左右に裂けた赤い口以外の全身が黒い。臆病な性質で、設定では、普段は地下数百メートルに潜んでおり、頭部を地中から出して周囲の気配を窺い、地上に出た際は自らよりも強い存在を本能的に察知して戦闘を避けて弱そうな相手を攻撃するとされる[129][131]

地中から出現したところ、チャンドラーを倒した直後のレッドキングの咆哮を聞いて、恐れをなして再び地中に戻る。その後、測候所員の捜索中だった科学特捜隊のハヤタ隊員とムラマツキャップの前に現れ、捜索の邪魔になるとして2人に2発のナパーム手榴弾を投げつけられ、倒される。科特隊が初めて倒した怪獣となった[235]

  • スーツアクター:泉梅之助[231][8]
  • 鳴き声はパラゴンの流用[236]
  • 着ぐるみはネロンガの改造[出典 80]。棘を体表に追加し、全身を黒くし、頭部を作り変えている[82]。その後、第9話に登場する新怪獣ガボラに改造された[80][81][注釈 29]。造型は佐々木明が担当[80]。棘はウレタンを切って着色したものを貼り付けており、ラテックスは使われていない[238]。当初は東宝怪獣のアンギラスを改造する予定だった[239]
  • 本作品のリメイク作品『ウルトラマンパワード』の第3話「怪獣魔境へ飛べ!」にもレッドキングらと同様に登場が予定されていたが、予算の都合から実現しなかった[240]。当時の講談社から発売された書籍『新・ウルトラマン大全集』には、前田真宏によるアレンジされたデザイン画も掲載されている[241]
  • 放送当時に連載されていた一峰大二の漫画版『ウルトラマン』では、レッドキングやチャンドラーと共闘してウルトラマンを苦しめるが、最後はウルトラマンの八つ裂き光輪を受けて3体まとめて倒される。

『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』に登場するマグラー[編集]

諸元
マグラー
別名 地底怪獣
体長 40 m[242][243]
体重 2万5,000 t[242][243]
出身地 多々良島[242]

特撮テレビドラマ『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』第1話「レイオニクスハンター」に登場。

惑星ハマーに迷い込んだレイとヒュウガの乗るゴースタードラゴンの前へ、ゴメス(S)に続いて出現。ゴメスと死闘を繰り広げて蹴散らされた後、ゴモラとゴメスの戦いにも乱入するが、あえなく叩きのめされ、最後はゴモラの超振動波を受けて倒される。

  • スーツアクター:丸山貢治
  • 書籍では、野生だったのかレイオニクスに操られていたのかは不明と記述されている[244][245]
  • オープニングではエレキングと対決している。

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場するマグラー[編集]

映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場。

怪獣墓場に漂っていた魂が、ウルトラマンベリアルのギガバトルナイザーの力で怪獣墓場から蘇ったもの[151]。ベリアルが操る怪獣軍団の1体として、バルタン星人ゼットンなどと共に激突した初代ウルトラマンに投げ飛ばされ、爆散する。その後、百体怪獣ベリュドラの首を構成する怪獣の1体となっている[111]

その他の作品に登場するマグラー[編集]

怪奇植物 スフラン[編集]

諸元
スフラン
別名 怪奇植物
全長
重量
出身地

第8話「怪獣無法地帯」、第26話「怪獣殿下(前編)」に登場[注釈 31]

自らの意志で自由に動かせる、無数に地上に出てジャングルの木に絡みついた長細い帯状のを使って生物を捕らえて強く締め上げ、生き血や体液を吸い取る肉食植物。ワカメとウチワサボテンを融合させたようにも見える形状で[249]、設定では動物の体温に反応するとされる[129]

第8話では多々良島のジャングル、第26話ではジョンスン島に生息が確認されている。根を焼くしか完全に倒す方法はないが[235]、どちらの生息個体も絡みつかせた蔓をスパイダーショットの火炎放射で焼却されただけであり、アラシたち一行はその場を命からがら撤収していたので、倒されてはいない。ただし、多々良島の生息個体は第8話のラストまでに科学特捜隊によって退治されたことが、ラストにおける松井所員のセリフで明言されている。

  • デザインは成田亨[18]
  • 実業之日本社のこどもポケット百科『ウルトラマンvs怪獣軍団』のウルトラマンの章には写真ではなく、根まで描かれたイラストが掲載されていた。小学館のコロタン文庫『ウルトラ怪獣500』には写真が掲載されている[要ページ番号]
  • 書籍によっては、第26話に登場したものをスフランIIと表記している[出典 83]

『ウルトラゾーン』に登場するスフラン[編集]

諸元
スフラン
別名 怪奇植物
身長 100 m[250]
体重 8 t[250]
出身地 スフラン島[250]

ウルトラゾーン』第11話・第12話「スフラン島の秘蜜(前編&後編)」に登場。

スフラン島に生育する食人植物で、島に上陸した探検隊を襲う。火が弱点。

その他に登場するスフラン[編集]

友好珍獣 ピグモン[編集]

諸元
ピグモン
別名 友好珍獣
身長 1 m[出典 85]
体重 10 kg[出典 85]
出身地

第8話「怪獣無法地帯」、第37話「小さな英雄」に登場。

第8話では多々良島に生息しており、怪獣たちに襲われた測候所員の松井を助けるが、レッドキングに蹴り飛ばされたに潰されて命を落とす。

第37話では60匹以上の怪獣の復活を目論むジェロニモンによって再生し、その計画を科学特捜隊に知らせようと東京を訪れるが、松屋デパートのおもちゃ売場でマルサン商店製のガラモンのプラモデル(人形)を見つけて喜び、暴れ疲れて眠る。その後は科学特捜隊によって保護され、イルカ言葉研究している権田博士によってその声を翻訳され、当初の目的に成功する。その後、科学特捜隊と共に怪獣たちのいる大岩山へ向かうがイデを庇い、再生ドラコに叩き潰されて命を落とす。この行動に感銘した科学特捜隊は、ピグモンに特別隊員の称号を贈る。

  • スーツアクター:藤田修治[260][265](第8話)、小宅雅裕[262][266](第37話)
  • 声の出演:江戸家猫八(鳴き声)[266](第37話)、小宮山清[266](怪獣語翻訳機)(第37話)
  • 着ぐるみは『ウルトラQ』に登場した怪獣ガラモンの改造[265]。小学生が演じることから首と足を改造して30センチメートルほど身長が伸びている[267]。第37話では演技者が代わったほか、経年劣化によって印象が変わっている[267]
  • 第37話登場時は再生ピグモン[261]またはピグモン(再生)[出典 88]などの名称で記載されることが多い[269][270]。書籍『ウルトラマン白書』ではピグモン(2代目)と記載している[271]
  • 第37話の脚本では、レッドキングに摘ままれて捻り潰されたうえ、大地に叩き付けられるという最期になっていた[272]
  • 金城哲夫の『小説 ウルトラマン』ではレッドキング(二代目)が登場する回にて登場。レッドキングの注意をそらすが、第8話と同じように命を落とす。その後、ジェロニモンにより復活するが、科学特捜隊はヒマラヤで会ったはずが多々良島で会ったという。
  • 初登場時に追跡のために特殊風船爆弾を撃ち込まれ、風船をつけた状態のイメージが強く、後年の『ウルトラマンマックス』の登場個体や『アニメちゃん』での風船売りなどにも踏襲されている。
  • ガラモンと姿が同じであるため、何らかの関係があるのではないかとも指摘されることが多いが、円谷プロの公式見解では「他人の空似」となっている。放送当時の書籍では「姿がガラモンに似ている」と記述されていた[235]。非公式な見解ではあるが、『ウルトラQ』第16話「ガラモンの逆襲」で「複数登場したガラモンの1体が多々良島に落下し、異様な磁場の影響で命をもってピグモンになった」という説が円谷の掲示板で紹介されたこともある[信頼性要検証]。映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』に登場するピグモンはガラモンとの見分け方について、「複数いるのがガラモン、1人でいるのがピグモン」と教えている。
  • 『21世紀ウルトラマン宣言』では、主な生息地は沼地。成長しても生まれた状態の身体から変態せず、人懐こいのはその「童心のまま大きくなる」ことが理由であり、それが弱点でもある。人間でいう「腕」にあたる前足が退化しているが、「手」の先のみ木の幹や岩壁にしがみつくために大きくなったのではないかとの仮説が立てられている[273]

ウラン怪獣 ガボラ[編集]

諸元
ガボラ
GAVORA[出典 89]
別名 ウラン怪獣
身長 50 m[出典 90]
体重 2万5千 t[出典 90]
出現地

第9話「電光石火作戦」に登場。

大きく口が裂けた首の周囲にある6枚の赤いヒレを閉じて頭部を防護し、尖った頭部で好物のウラン235を求めて地底を掘り進む。皮膚は鋼鉄の5倍の硬度を持つ[出典 92]。武器は口から吐く高い放射能を含み、物体を一瞬で破壊する青い放射能光線[出典 93][注釈 32]。普段は四足歩行で行動するが、戦う際には後肢で立ち上がる。また、ウランを1日に1万トン食べ、食べる際には周囲に放射能を放出する[282]。熱に弱い[283]

伊豆半島に位置し、台風13号からの復旧工事中のウラン鉱山がある宇浪利町の復旧工事現場に地盤沈下を起こし、地上に出現する。阿部町のウラン貯蔵庫を狙って進撃するが、防衛隊と科学特捜隊の戦車による火炎放射を経てウラン235を詰めたカプセルを吊るしたヘリコプターで阿部町から30キロ離れた山へ誘導され、これを撃墜して進行方向を変えてウランを食べようとするが、ウルトラマンの飛び蹴りにひるんだところでヒレを2枚むしり取られて弱り、連続パンチからの首投げで絶命する。

  • スーツアクター:中島春雄[出典 95]
  • 劇中では初登場にもかかわらず、名前や嗜好、特徴を復旧作業員や科学特捜隊、キャンプに来ていた少年団などにまで知られている。これは、準備稿から決定稿までの段階では前作『ウルトラQ』の第18話「虹の卵」の後日譚という設定でパゴスが再登場する予定であったのが、ぬいぐるみが既に改造されていたため、最終決定稿で新怪獣に変更されたためである[280][284][285]。パゴスと同じくウランを好物としているのも、その名残りである。書籍『ウルトラ怪獣列伝』では、過去に同種の怪獣が出現していたものと解釈している[279]
  • 台本では「パゴス」と書かれている箇所があった[82]ほか、最後は富士山の雪崩で生き埋めになると書かれていた[284]
  • 着ぐるみバラゴン→パゴス→ネロンガマグラーからの改造[出典 96][注釈 33]。頭部を付け替え、表皮を取り去っており[22]、赤い花びらのような襟巻きを付けている[82]。デザインを担当した成田亨は、頭部を隠すことで別の怪獣であるという印象を与えるとともに、改造箇所が少なく済むよう工夫している[287]。撮影終了後はアトラクション用ネロンガとして活躍した後[80]東宝に返却されて東宝映画のゴジラシリーズ第9作『怪獣総進撃』にて再びバラゴンとなった[出典 97]。そういった経緯から、後年の『シン・ウルトラマン』で監督を務めた樋口真嗣には、ネロンガ共々造型の特徴を「東宝怪獣と円谷怪獣のハイブリッド」と説明されている[288]
  • 着ぐるみは鰭をつけたために重くなっており、頭部の上にフックをつけてピアノ線で吊って補助することにより、重量を軽減させていた[289]。劇中にも、フックとピアノ線が映り込んでいる。ネロンガにあった角を取ってその穴を埋め、新たに鼻の穴が作られている[290]
  • 第39話ではゼットンに倒されたウルトラマンの走馬灯に登場(映像は第9話の流用)。
  • ウルトラ怪獣大百科』では、着ぐるみの改造元となった怪獣について「進化の過程にあって同じ種族から枝分かれした」という説を取り上げている[291]
  • 放射能光線は、『ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑』で「リュームレーザー」と名づけられた。

エリ巻き恐竜 ジラース[編集]

諸元
ジラース
別名 エリ巻恐竜
身長 45 m[出典 98]
体重 2万 t[出典 98]
出身地

第10話「謎の恐竜基地」に登場。

元々はネス湖に生息していた恐竜の生き残りで、首の周りに大きな襟巻状の皮膜を持つ。「モンスター博士」の異名を持つ動物学者の中村博士(正体はネス湖で行方不明になった二階堂教授)によって日本へ運ばれ、ネス湖に酷似した環境を持つ静岡の北山湖[注釈 34]で秘密裏に15年間育成された結果、怪獣化した。その際における体質変化に伴い、口から100万ボルトの青い熱線[出典 101][注釈 35]を吐けるようになっている[注釈 36]。普段は北山湖の底に潜み、餌を与えられる深夜にのみ姿を現していたが、食べこぼした餌によって異常繁殖した魚を釣り人が捕ろうと撒いたカーバイドに刺激され、日中に姿を現す。

正体を現した中村博士を踏み潰してウルトラマンと交戦するが、接近戦の際に襟巻をもぎ取られ、それをムレータのようにひらつかせるウルトラマンへ突進しては回避され、翻弄される。最後はすれ違いざまのウルトラ霞斬りで急所を突かれて吐血しながら絶命し、襟巻はウルトラマンによって遺体に被せられる。中村博士はかろうじて生きていたが、ジラースの遺体にすがりながら絶命する。

  • スーツアクター:中島春雄[出典 102]
  • 命名は脚本家の金城哲夫沖縄方言で「次郎叔父さん」を意味する「ジラースー(次郎主)」からとった[301]
  • 台本では、襟巻を剥がされると戦意が喪失するという描写がなされていた[300]
  • 小説家などでも知られるフリーライターの市川大賀によれば、脚本準備稿ではモンスター博士の正体は『ウルトラQ』に登場していた一ノ谷博士だったほか、中学生当時の市川が円谷プロダクションを訪れて営業担当者の梅本正明から聞いたところによれば、「どうしてもゴジラとウルトラマンを対決させたい」との円谷英二の思いから後述のようにスーツがゴジラの流用となったという[302][303]

ゴジラとの関係[編集]

着ぐるみ東宝ゴジラシリーズで使用されたゴジラのスーツを流用したもの[出典 103]。襟巻を付け、腹部、頭部、背びれを黄色く塗ったこと以外には目立った改変はない[304][注釈 37]。ウルトラマンとの戦闘で襟巻を失った姿はゴジラのイメージをほぼそのまま残しており[出典 104]、デザインを担当した成田亨も「ゴジラに襟巻をつけた」と称している[307]。鳴き声もまたゴジラの音源を早回ししたものであり、演じたスーツアクターも当時のゴジラと同じく中島春雄であった。ゴジラの流用は制作費削減のためであり、脚本もそれを想定したものであった[304]

頭部は『怪獣大戦争』のゴジラ、胴体は『モスラ対ゴジラ』のゴジラから改造された『ウルトラQ』のゴメスを経て、再びゴジラの意匠へ復元されたものを使用している[出典 105]。『怪獣大戦争』の撮影後、『モスゴジ』のゴジラの胴体に『怪獣大戦争』のゴジラの頭部を取り付けたものが上野の赤札堂で展示され、これが原型となった[305]。その後、頭部は再び『怪獣大戦争』の胴体へ戻され、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』のゴジラとして使用された[出典 106]。書籍によっては、ボディは『三大怪獣 地球最大の決戦』のものを使用しており、頭部は『南海の大決闘』と同様の型から作られたと推測している[309][注釈 38]

戦闘中に襟巻を剥ぎ取られる演出について、監督の満田かずほは「ゴジラの状態で東宝に返却する条件だったため、劇中で意図的に元へ戻した」と語っている[310]。この演出は、結果としてゴジラとウルトラマンの対決を彷彿とさせるものとなった[出典 107]

書籍『ウルトラ怪獣列伝』では、その容姿から映像作品での再登場は難しいものと推測していた[295]が、2021年に『セブンガーファイト』で再登場を果たした。

脳波怪獣 ギャンゴ[編集]

諸元
ギャンゴ
GANGO[出典 108]
別名 脳波怪獣
身長 2.2 - 50 m[出典 109]
体重 60 - 6万 t[出典 110][注釈 39]
出身地

第11話「宇宙から来た暴れん坊」に登場。

突如宇宙から飛来した、半径2メートル以内の人間の脳波や声を感知してその思い描く物体に変形する性質を持つ地球には存在しない未知の化合物である隕石[注釈 40]が、金儲けを企み悪知恵が働く愉快犯の男性・鬼田によって盗まれ、彼が「怪獣になれ」と願ったためにその思念によって怪獣化した姿[22]。棘だらけの全身に、金属質の左右で逆回転するアンテナ耳[289]、マジックハンド状の磁石の手[313]、トーテムポール風の腹部の模様が目立つ、脈絡のない二足歩行怪獣である。出現時は人間ほどの大きさであり、ホテル内で従業員を驚かせるなど他愛のない悪戯行為に利用されていたが、やがて増長した鬼田が「もっと大きくなれ」と言ったために巨大化する。しかし巨大化と同時にホテルを破壊し、それに巻き込まれた鬼田が昏睡状態に陥ったため、彼が意識を取り戻してギャンゴへの思念が消えない限り実体を保ったままという状況となる[22]。また、有機体の生命ではないことから、体が傷ついても戦闘力は低下しない[224]。出動した防衛軍の熱線砲によって右耳のアンテナを破壊されるが、そのまま暴れ続ける。

ウルトラマンとの戦いでは駄々っ子のように腕を振り回して殴りかかる一方、ウルトラマンを真似て空を飛ぼうとして転ぶ、スペシウム光線の構えを取った瞬間に両手を合わせたことでスパークして火花が飛び慌てふためくなど、コミカルな動きを見せる。ウルトラマンの方も、「腹部をくすぐる」「海水をかける」「跳び箱風に飛ぶ」「海へ蹴落とす」という同様の動きで応酬し、カラータイマーが赤に変わったところで意識が回復した鬼田が科学センターの山本博士に詰め寄られてギャンゴの思念が消えたため、隕石へ戻る。その後、隕石はウルトラマンの手で宇宙に返された。

第35話では怪獣墓場に漂っている姿が描かれている[311]

  • スーツアクター:荒垣輝雄[231][8]
  • 着ぐるみはベムラーの改造[出典 113]で、頭頂部の棘を切って側頭部左右の回転する耳を取り付け、尻尾を外して両腕を新調している[315][22]。デザインを手がけた成田亨は、ベムラーの印象を変えるために角やトーテムポール風の柄の塗装など抽象的な形状とした[18][23]
  • 石はギャンゴ以外にも、ビー玉スロットレーシングデコレーションケーキグランドピアノ、花嫁姿の美少女、怖そうなオヤジ、ドロドロの赤い液体、超小型ロケットなどに化けている。
  • 名前の由来はギャングから[144]
  • 一峰大二による漫画版では、鬼田は人体実験も厭わない冷酷非道のマッドサイエンティストにして脱獄囚という設定であり、科学特捜隊による逮捕歴も持ち、手に入れたギャンゴの隕石を悪用して科特隊に復讐を挑んでくる。ギャンゴも凶悪怪獣という設定で、街を破壊したり人間を踏み潰したりとやりたい放題に暴れて科特隊本部を襲い、ウルトラマンと互角に渡り合うが、ギャンゴは戦いの最中に突然消えてしまう。実は鬼田とギャンゴは脳波でつながっていたため、ギャンゴが受けたダメージがそのまま鬼田に伝わり、その苦痛に鬼田は耐えられなかったのである。事件は解決し、隕石はテレビ版と同じくウルトラマンの手で宇宙に返される。
  • 『ウルトラファイト』では、水に落ちたギャンゴが合わせた両手から火花が飛び、そのダメージで倒れたということになっている。

その他の作品に登場するギャンゴ[編集]

ミイラ怪人 ミイラ人間[編集]

諸元
ミイラ人間
別名 ミイラ怪人
身長 2 m[出典 114]
体重 110 kg[出典 114]
出身地 奥多摩・鬼の台丘陵[出典 115]

第12話「ミイラの叫び」に登場。

古代に描かれたとみられる壁画が発見された、奥多摩の鬼ノ台丘陵にある洞窟で、約7千年前の一種の冬眠状態にあったミイラとして発掘される[注釈 41]。科学センターに保管された夜、自らの念動力で第一研究室のイオン化器を作動させ、その電流で蘇る。怪力で、ドドンゴのものと同様の両目から放つ怪光線[出典 116][注釈 42]と、念動力とテレパシーを有する[224]

警備員の1人・原田を絞殺し、もう1人・森を目から放つ怪光線で殺害して科学センターから逃走し、再び眠りにつくために洞窟へ向かう。出動した機動隊に下水処理場へ追いつめられ、不気味な咆吼で怪獣ドドンゴ(後述)を目覚めさせる。科学センターの岩本博士は生け捕りにこだわるが、ミイラ人間はさらに暴れて警官5人を殺害したため、スパイダーショットで射殺される。

  • スーツアクター:満月英世[231][8]
  • 製作した高山良策の当時の日記には「ミイラ人間に入る東宝の大仲氏が来訪」と書いてある[322]。満月は大仲のことは知らないが、自分が演じたのかどうか記憶がない場面があるため、別人が演じた場面はありそうと語っている[323]
  • デザインは成田亨[18]。オーソドックスなミイラの形状としつつ、身体は原人風としている[18]。眼の発光ギミックのため、眼には覗き穴が開けられた[324]

その他の作品に登場するミイラ人間[編集]

  • ウルトラゾーン』第23話のミニコーナー「怪獣漫才」では、セミ人間とのコンビ「人間」として登場。造形物は怪獣消しゴム[325]
  • ライブステージに登場するミイラ人間
    • 『ウルトラマンフェスティバル2001』ライブステージ第一部「新世紀のヒーロー! ウルトラマンコスモス登場!!」では、カオスヘッダーに取りつかれてドドンゴを操り、ウルトラマンダイナを苦しめる。最後はカオスヘッダーがバルタン星人へ憑依したため、分離される。
    • 『ウルトラマンフェスティバル2007』ライブステージ第2部では、ジオルゴンとエンディール星人が率いる怪獣軍団の1体として登場。終盤では、ウルトラマンとプロレス技を繰り出し合う戦いを繰り広げる。

ミイラ怪獣 ドドンゴ[編集]

諸元
ドドンゴ
DODONGO[出典 117]
別名 ミイラ怪獣
身長 30 m[出典 118]
体重 2万5,000 t[出典 118]
出身地 奥多摩・鬼の台丘陵[出典 119]

第12話「ミイラの叫び」に登場。

ミイラ人間の伴侶動物であることがうかがえる怪獣。古代に描かれたとみられる壁画が発見された、奥多摩の鬼ノ台丘陵の洞窟に7千年眠っていた。最大の武器はミイラ人間と同じく両目から出す黄色い怪光線[出典 120][注釈 42]と口から噴射する有毒の黒煙[328][327]。設定では水素が内部に含まれた羽根によってマッハ1.8で走るとされ、走る際には火を噴くと言われている[4][327]

同じ洞窟から発掘されたミイラ人間の呻き声(テレパシー)によって目覚め、その絶命と同時に洞窟から現れると、進路沿いの奥多摩化工工場を破壊しながらミイラ人間の遺骸を目指して東京へ向かう。科特隊アラシ隊員による攻撃で右目を潰されて怒り、彼を負傷させた後はイデ隊員に左目を潰され、両目の視力や怪光線を失って暴れ始める。そこへ現れたウルトラマンと交戦し、背中に馬乗りされるも何とか撥ね飛ばすが、最後はスペシウム光線を受けて絶命する。

  • スーツアクター:荒垣輝雄、清野幸弘[231][8]
  • デザインは成田亨、造型は高山良策が担当した[8][18]。着ぐるみはウルトラシリーズ初の2人用のものであり[7][289]、それゆえ「ドーンとやろうぜ」ということからドドンゴと命名されたとのこと[329]。体表の模様はウレタンをハサミで削ることにより、刻まれている[330]。それまでの怪獣よりも大きいため、スタジオの床を1メートルほど掘ってホリゾントの高さを確保し、撮影された[出典 121]
  • デザインモチーフは麒麟[8]。NGデザインはガヴァドンBに流用された[出典 122]
  • 鳴き声はモスラ(成虫)のものを加工したもの[332]
  • 外見が麒麟麦酒のシンボルに似ているため、円谷プロダクションのグッズとしてドドンゴがプリントされたビア・ジョッキ「ドドンゴ搾り」が販売されている[333]

その他の作品に登場するドドンゴ[編集]

  • 甦れ!ウルトラマン』では、科特隊に倒されたゼットン星人の断末魔の叫びと同時に最初に鬼ノ台丘陵の洞窟から出現。合成でピグモンを殺害するシーンが作られ、ウルトラマンに倒される場面は本作品から流用されている。
  • 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの右腕を構成する怪獣の1体となっている[111]
  • 楳図かずおの漫画版『ウルトラマン』では、ミイラ人間の家畜にあたる生物という設定になっており、完全に死亡したミイラ人間の前で涙を流すなど、伴侶動物としての側面が強調されている。ミイラ人間の復讐のために街を襲うが、最後はウルトラマンのスペシウム光線で絶命し、亡骸はミイラ人間と共に鬼ノ台洞窟に埋葬される。
  • 『ウルトラマンフェスティバル2001』ではミイラ人間に操られ、ウルトラマンダイナを追い詰める。
  • 『大怪獣バトル』の第3弾に技カードとして登場。スキルはドドンゴが出現する「ミイラの叫び」。
  • ウルトラマンオーブ』のメイン監督を務めた田口清隆とメインライターを務めた中野貴雄による私案「エピソード10構想」では、第4章に登場[319]。紀元前1800年のイシュタール文明で新興宗教マガ教の神殿に出現し、ウルトラマンオーブに倒されるが、その怪獣カードはジャグラーによってマガガタノゾーアの復活に利用された[319]

油獣 ペスター[編集]

諸元
ペスター
別名 油獣
身長 50 m[出典 123]
体重 2万5,000 t[出典 123]
出身地

第13話「オイルSOS」に登場。

2匹のヒトデが横に連結したような広い横幅の体格を持つ怪獣であり、身体の中心にコウモリに似た頭部を有する。オイルを常食としており、攻撃を受けると興奮して口から火炎熱線を放射する[注釈 43]。海中を移動する際には、青い怪光(青い怪光線[344])を全身から発する[55][342][注釈 44]。水中において、大きな耳(ソナー耳[344])は障害物を避けるためのソナーになり、上陸時の脚部(ペスターひれ[344])を用いて時速100キロメートルで移動する[345][344]

中近東諸国で油田タンカーを襲うが、科学特捜隊中近東支部に警戒されて日本まで逃げ延び、東京湾から出現する。なおも油田やタンカーを襲い、タンクローリーを襲撃した際に酔っ払いに目撃され、通報を受けた科特隊にオイル缶でおびき出されて海上で攻撃されるが、生き延びて日本への上陸を果たす。京浜工業地帯の精油所を火炎で破壊した後、腹部にビートルのロケット砲を受けて致命傷を負い、瀕死状態に陥って炎の中に倒れる。ウルトラマンが精油所の大火災を消火するために現れると倒れたまま息を吹き返し、背後から火炎攻撃を浴びせて多少のダメージを与えるものの、すぐさま頭部にスペシウム光線を受けて止めを刺される。その後、大火災はウルトラマンのウルトラ水流によって消火される。

  • スーツアクター:荒垣輝雄清野幸弘[337][339]
  • 準備稿でも決定稿でも、ペスターはビートルのロケット弾攻撃によって木端微塵に破壊されており、ウルトラマンは製油所の消火作業に終始している[346]
  • 名前の由来は「Petroleum(ペトロリウム、石油)Starfish(スターフィッシュ、ヒトデ)」の略[347]
  • 着ぐるみは第12話に登場したドドンゴに続く、2人で着込んで操演するタイプである[338][348]。口の開閉はマペット方式によって表現されている[349]
    • スーツアクターを担当した荒垣と清野は撮影終了後、「今無事でいるのが不思議だよ」と思うくらい過酷な撮影であったことを語っている[350]
  • 書籍『ウルトラ怪獣列伝』では、ヒトデが海洋汚染物質や石油などを浴びたことによって怪獣化したものと推測している[338]。また、大伴昌司による内部図解では、大気中での肺呼吸から水中ではえら呼吸に切り替えられることが記述されている[344]
  • デザインは成田亨[348]。コウモリの顔[348]の左右にヒトデを1つずつ並べた姿となっている[339]。なお、フジ隊員がムラマツキャップらに見せる想像図はデザイン画の流用である。
  • 一峰大二による漫画版では、初戦ではウルトラマンを粘着性の油の塊に閉じ込めて動きを封じ、決戦では口から火を吐いて火達磨にしたうえ、タンカーをも真っ二つにする強力な絞め技でカラータイマーが赤になるまで絞め上げるが、組み合っている途中でウルトラマンが無理矢理ガソリンタンクへ飛び込んだために絞めが外れ、油まみれになったところにスペシウム光線を浴びせられ、跡形もなく消し飛ぶ。
  • ウルトラファイト』では、ウルトラマンが駆けつけた際には油を飲みすぎた状態で炎に包まれてすでに虫の息となっており、自壊作用を起こしたとナレーションで説明されている。

汐吹き怪獣 ガマクジラ[編集]

諸元
ガマクジラ
別名
身長 35 m[出典 126]
体重 1万 t[出典 126]
出身地

第14話「真珠貝防衛指令」に登場。

ガマガエルクジラを足し合わせたような容姿の海に生息する怪獣[49][7]真珠のエッセンスを常食とし、50メートルある管のような舌を伸ばして先端から掃除機のように吸い取る[出典 128]。その食性に従い、世界各地の真珠貝の産地を襲って真珠価格の高騰を招く。また、背中から凄まじい勢いで上空100メートルまで噴射する高熱の汐[55]も武器である。

三重県志摩市英虞湾)、南伊勢町五ヶ所湾)の真珠養殖場や輸送トラックを襲撃し、科学特捜隊の真珠爆弾による体内攻撃を受けるが、攻撃によってそれに対する耐性が口や胃袋に作られ、汐とともに同様の元素を噴き出すなど体質が強化され、同様の攻撃が通用しなくなるようになった[353]。最後は科特隊の小型ジェット噴射器を尻に撃ち込まれて上空へ飛ばされ、空中でウルトラマンと激突し、爆発四散する。

第35話の怪獣供養では遺影として写真が飾られている。

  • スーツアクター:荒垣輝雄[351][8]
  • 「ガマクジラ」というネーミングは、ガマガエルとクジラと足し合わせたもの[354]。脚本を担当した佐々木守によると、「ガマクジラ」はあくまでも仮名であり、円谷プロ側でふさわしい名前がつけられることを期待していたが、そのまま採用された[355]
  • デザインは成田亨、造型は高山良策が担当した[8][18]。デザインもガマとクジラの合成として描かれた[18]。成田は、高山が全身のおもちゃのビーズ[356]の埋め込みに苦労していたことを証言している[18]ケムラー(第21話に登場)に改造される案もあったが、スカイドン(第34話に登場)に改造された[出典 129]
  • 準備稿では、初戦でウルトラマンの腕に噛みついて勝利する。救出されたハヤタも腕から血を流していることを見たムラマツがハヤタに不審を抱くというものだったが、決定稿の段階で完全に削除された[357]金城哲夫による『小説 ウルトラマン』では、この準備稿に沿った展開になっている。なお、ウルトラマン[注釈 45]との格闘場面は、現存する2種の番宣スチールでのみ見ることができる[351][8]
  • 鳴き声は多くのキャラクターに流用されている[357]

その他の作品に登場するガマクジラ[編集]

二次元怪獣 ガヴァドン[編集]

諸元
ガヴァドン
GAVADON[出典 130]
別名 二次元怪獣
出身地
ガヴァドン(A)
身長 30 m[出典 132]
体重 2万 t[出典 132]
ガヴァドン(B)
身長 60 m[出典 132]
体重 4万 t[出典 132]

第15話「恐怖の宇宙線」に登場。劇中では呼称の区別はないが、関連書籍などでは、最初に登場する魚のような形態をガヴァドンA、見た目の強そうな怪獣らしい容姿に描き換えられた方をガヴァドンBと表記している[出典 133]。放送当時発売された書籍の中にはガバドンと表記してあるものも存在する[360]

ムシバ少年が一人で遊び場の土管に描いた想像上の怪獣「ガヴァドン」の絵に、未知の宇宙線である新元素を含有する放射線と太陽光線が降り注ぎ、閃光とともに実体化して誕生する[22]。この宇宙線は太陽光線と融合することでエネルギーが強まるため、実体化が起こるのは日中のみであり、日没とともに一番星が出るころには実体化が解け、元の絵に戻る。

悪意はまったく持っていないが、出現後は動かずに寝てばかりいるうえ、特にBは出現箇所が丸の内ということもあり、強風をも起こすそのいびきが酷い騒音公害となって東京の経済生活に悪影響を及ぼす。科特隊のイデ隊員は「夜のうちに絵を消せば現れなくなるのではないか」と提案するが、アラシ隊員による反論を経てムラマツキャップに却下される。科特隊と自衛隊火器部隊に武力で排除されることとなるが、「ガヴァドンを殺さないでほしい」との子供たちの願いを聞き入れたウルトラマンによって宇宙に運ばれ、星とされる。ウルトラマンは「毎年、7月7日の七夕の夜、きっとガヴァドンに会えるようにしよう。この星空の中で」と約束し、夜空にガヴァドンの星座を浮かび上がらせることで子供たちの気持ちに応える。しかし、その後にムシバ少年が発した「七夕の日、雨が降ったらどうなるんだよ」という疑問には、ウルトラマンは答えずに終わる。

第35話の怪獣供養では、遺影としてガヴァドンBの写真が飾られている。

  • スーツアクター:荒垣輝雄(A・B共に)[351][8]
  • ストーリー展開は『ウルトラQ』の未発表脚本「バクたる」を元にしている[出典 134]。脚本では、「ガヴァドンの影響で交通がマヒして東京に食べ物が届かなくなり、やたらと即席ラーメンが売れた」「日当たりのいい場所を選び、国会議事堂の上でもある時は寝た」という場面があった[363]。なお、佐々木守実相寺昭雄が最初に構想していたサブタイトルは「朝と夜の間に」であり、これは後年の『ウルトラマンブレーザー』でガヴァドンの登場エピソードを描く第15話のサブタイトルにそのまま引用されている[364]
  • 名前は佐々木によるもので、『ひょっこりひょうたん島』のドン・ガバチョをもじって付けられた[出典 135]。準備稿ではイヤミラーという名前だった[362]
  • デザインは成田亨、造型は高山良策が担当した[8][18]。ガヴァドンAの着ぐるみはエバーソフト製[365]。ガヴァドンBのデザインはドドンゴの没デザインが元になっている[出典 136]。骨怪獣のイメージでデザインされ、脚部にその片鱗が見える[139]。Bの没デザインでは全身に落書きをされた黄色いセイウチのような姿で描かれていたが、脚本のイメージと異なることから変更された[18]。成田はガヴァドンAのデザインを「動く抽象形態」と称している[18]
  • ガヴァドンBの絵が土管から実体化する様子はミニチュアで表現している[8]
  • ガヴァドンBの着ぐるみはグビラに改造される予定だったが取り止めになり(グビラは新造)、ザンボラーに改造された[出典 137]

『ウルトラマンブレーザー』に登場するガヴァドン[編集]

諸元
ガヴァドン
別名 二次元怪獣
身長 40 cm - 30 m[出典 138]
体重 400 g - 2万 t[出典 138]

ウルトラマンブレーザー』第15話「朝と夜の間に」に登場。

地球に降り注いだ特殊な宇宙線を浴び、それに含まれていたある種の未知の元素が太陽光線と融合した影響で落書きが三次元に変動した二次元怪獣[371]。ヒルマゲントの息子のジュンに絡む友人のアラタにより、「ガバッと出てきて、ビルをドーンとぶっ壊す」ことから「ガヴァドン」と命名された[372]。基本的にはただ寝ているだけであり、太陽が沈むと同時に元の落書きに戻るが、防衛隊にはライフラインを阻害して市民生活を脅かす危険な存在と判断される。弾力性のある柔らかい身体は、防衛隊の誘導弾もウルトラマンブレーザーの攻撃も寄せつけない[出典 139]。なお、本作品の登場個体には「晴れた日に干した布団のような良い匂い」[373]や「描かれた大きさのままに実体化」[364]との設定も追加されており、それゆえに後述のような経緯をたどることとなる。

ジュンがアラタに勧められるまま描いた絵から実体化した当初は40センチメートル程度とまだ小さく、挙動も段ボールに印刷されたミカンを吸い込んで食べるなどに過ぎなかったが、彼らがスケッチブックをつなぎ合わせて描いた大きな絵から実体化した際には2メートル超となったため、大人たちに発見されて騒動に発展する[373]。さらには、大人たちに捕まらないようにとアラタの妹のツムギも加わった3人が地面にさらなる大きな絵を描いた結果、30メートル超で実体化して美多摩市中央通りに出現したため、防衛隊に危険視され、起きて暴れ出す前に誘導弾で無力化すべく発動した作戦で攻撃されるが、誘導弾は跳ね返ってビル群を破壊し、パニックとなった自身ともども周囲を危機に陥らせてしまう[出典 140]。3人にも危機がおよびそうになったところへ駆けつけたブレーザーも攻撃がまったく通じないため、ひとまず3人から遠ざけようとスパイラルバレードをクレーンゲームのように変化させて吊り上げようとするが上手くいかず、ブレーザーが翻弄される[374]だけの肉弾戦は夕方までおよぶ。最後は、ガヴァドンを思いやって自分たちの浅はかさを謝る3人の言葉を聞き入れたブレーザーによって抱え上げられ、空の彼方へ運ばれた末にきらめく星と化した。

  • スーツアクター:新井宏幸[370]
  • スーツはガヴァドンAに準拠したデザインとなっており、新規製造[375][376]。これは、メイン監督の田口清隆がブルトンともども造形部に要望し続けた果てにようやく叶ったものであり(ブルトン (ウルトラ怪獣)#『ウルトラマンZ』に登場するブルトンも参照)、本作品の企画時点で新規製造中であることを造形部からこっそり教えてもらえた田口は絶対に自身で撮影したいとの思いから、他の監督たちには知られないよう内緒にしてもらったという[375][376]
  • 上記の理由から脚本の制作はガヴァドンありきで開始され、シリーズ構成兼メインライターの小柳啓伍ではなく、田口が『ウルトラマンギンガS』第11話や『ウルトラマンオーブ』でコンビを組んだ中野貴雄が、唯一の例外として招聘された[376][注釈 46]。田口の当初のプロットではガヴァドンを描いた少年がすでに故人であるなどと暗い内容だったため、それを少年たちとガヴァドンの交流を描く心温まる物語に変更したり、初代にはなかったガヴァドンが段階的に大きくなる描写を追加したりした中野の手腕を、田口は高く評価している[376]。40センチメートルのガヴァドンの登場シーンについては当初こそ困ったが、『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』の本放送当時にツブヤラストア限定で発売されたガヴァドンAのぬいぐるみを造形部へ持ち込み、表面をスーツと同様にラテックス処理して撮影に用いた[376]。本編内にて報じられた目撃シーンは、このぬいぐるみを操演部が引っ張って走らせながら撮影されている[376]。なお、同シーンを経てインタビューに答える第1発見者の内野タカシを演じたのは、かつて『ウルトラマン』第15話「恐怖の宇宙線」[注釈 47]で少年のタカシを演じていた内野惣次郎であり[364][378]、当時に倣ってバットを担いだボーダーシャツ姿となっている[372]

その他の作品に登場するガヴァドン(A,B含む)[編集]

  • 初登場エピソード「恐怖の宇宙線」は、映画『実相寺昭雄監督作品ウルトラマン』に含まれて劇場公開されている。
  • ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』では、ウルトラ警備隊の過去のデータファイルとしてモニターに写るシーンがある。
  • ウルトラマンマックス』第24話では、ガヴァドンAを描いた土管が登場する。
  • 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、ガヴァドンAが百体怪獣ベリュドラの胴体を構成する怪獣の1体、ガヴァドンBが首を構成する怪獣の1体となっている[111]
  • ウルトラゾーン』第2話のミニコーナー「怪獣ことわざ」では、「ガヴァドンには旅をさせよ」ということわざが紹介されている[379]。また、第14話のアイキャッチではガヴァドンAの上で子供たちが花火見物を行う様子が描かれている[380]
  • 映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』では、ガヴァドンA・B共にスパークドールズとして登場[381]。ガヴァドンの設定が、物語の根幹に深く関わっている。
  • 楳図かずおの漫画版『ウルトラマン』では、基本的にテレビ版と同じ展開だが、ガヴァドンが主食のダイヤモンド(ムシバ少年が考えた設定)を食べるために火を吐いたりして町を暴れ回る点と、最後はウルトラマンによって空中に投げ飛ばされ、スカイドンのような方法で倒される点が異なる。
  • ファミコン用ゲーム『ウルトラマン倶楽部3』では、ガヴァドンAが「コガヴァドン」と表記されており、いずれも仲間にするとHP回復アイテムの役割を果たす。
  • 漫画『酩酊!怪獣酒場』では、ガヴァドンAとガヴァドンBがそれぞれ怪獣酒場の客として登場する。「新人漫画家のムシバが少年期に描いた絵から実体化した」という設定になっている。

四次元怪獣 ブルトン[編集]

諸元
ブルトン
別名 四次元怪獣
身長 60 m[出典 141]
体重 6万 t[出典 142]
出身地

第17話「無限へのパスポート」に登場。

宇宙(無重力圏)から落下し、バローン砂漠で世界的な探検家のイエスタデイによって採取された隕石が、科学特捜隊の基地で同じ場所に保管され、スペキュラー熱線を照射されたことによって引き合い、核融合結合して誕生する[出典 145][注釈 48]

科特隊の基地を霧状の四次元空間で覆い、科特隊のメンバーを無限の階段に上がらせるなどの現象で翻弄した(青い隕石だけでも、刺激を受けると開いて人間を四次元空間に閉じ込めることが可能)後、出動した防衛軍も体表の孔から伸ばした四次元繊毛からの光線[注釈 49]や発光で、「戦車が空を飛ぶ」「戦闘機が地面を這う」などの四次元現象を起こして全滅させる。

奇怪な攻撃でウルトラマンをも苦戦させるが、ウルトラマンのハイスピンで攻撃を狂わせられ、四次元繊毛を爆破されて空へ逃げようとしたところをスペシウム光線の2連発で小さくなる。最後はウルトラマンの手で握り潰され、宇宙へ運ばれる。

凶悪宇宙人 ザラブ星人[編集]

初代[編集]

諸元
ザラブ星人
別名 凶悪宇宙人
身長 1.8 - 40 m[出典 149]
体重
出身地 第8銀河系ザラブ星[出典 151]

第18話「遊星から来た兄弟」に登場。

これまでにも多くの星を滅ぼしたザラブ星の工作員の1人。母星は第8銀河系にあると語る。ザラブ星人は他の星の文明や人々の命を滅ぼすことを目的としており、さまざまな惑星で暗躍している。短時間で地球の言語を翻訳する携帯用電子頭脳を完成させるなど、優れた知性と科学技術力を誇る[22][403]。破壊怪音波とそれを利用した目から出す催眠光線、瞬間移動能力や飛行能力、指先から発射する光弾[出典 152][注釈 50]、肝臓で生成して凹凸状の皮膚から噴出する放射能霧[出典 153]に加え、高い耐久性ゆえに動くとより強力に拘束する拘束用テープ[注釈 51]を持つが、これは地球人の涙を浴びると劣化する性質を持つ。等身大時には、地球人の言語を理解するために箱状の赤い耳を出している[405]。一人称は「わたし」。

突如として地球上に広まった放射能霧を簡単に除去したうえ、軌道を外れたという地球側の土星探検ロケットを地球まで誘導し、地球人に対して友好的であるかのような行動をとるが、それらはすべて演技であり、雄弁で尊大な態度をとる。イデ隊員を怪音による催眠術(念力[22])で意のままに操り、フジ隊員に化けてアラシ隊員に睡眠薬入りのコーヒーを飲ませて昏倒させ、秘密会議を盗聴する。ウルトラマンであるハヤタ隊員を捕獲してベーターカプセルを奪おうとするが、彼がそれを持ち忘れていたために失敗した後、にせウルトラマンに変身して街を破壊することにより、地球侵略の障害となるウルトラマンへの信頼を貶めて地球人の敵と思わせようとたくらむ。しかし、ハヤタのもとへ駆けつけたホシノ少年が流した悔し涙が拘束用テープを切った結果、彼にハヤタを救出されたために本物のウルトラマンと戦うことになり、スペシウム光線を撃ち込まれて変身が解け、格闘の末にスペシウム光線で倒される。

  • スーツアクター・声:青野武[出典 154]
  • デザインは成田亨によるもので[61]、首や肩をなくして人間のシルエットを感じさせないデザインとしている[407][408]。目の中央がくぼんだデザインは、ウルトラセブンや『突撃! ヒューマン!!』のヒューマンに通じる意匠となっている[408]
  • 頭部はFRP樹脂製だったが、途中からラテックス製となった[409]。等身大時には五角形の耳が頭よりせり出しているが、巨大化(戦闘)時には収納されて窪みになっている[410]
  • 着ぐるみは巨大ラゴンの改造[出典 155]。巨大ラゴンから流用した胴体のうち、側面や背面にあった鰭は取り外され、表面の形状のみを活かしてボディ全体の彩色が塗り直されている[61]
  • 金城哲夫によるノベライズ『怪獣絵物語ウルトラマン』では、他の宇宙人と共にウルトラマンの対策会議に参加している姿が挿絵で確認できる[411][注釈 52]。その後、描写は無いがウルトラマンに倒されたことが語られている。
  • 青野は『ウルトラ怪獣大百科』のナレーターを務めているが、ザラブ星人の回のみ自らの声で解説しているような表現となっている。

にせウルトラマン[編集]

諸元
にせウルトラマン
身長 40 m[出典 156]
体重 2万 t[出典 156]
出身地

ザラブ星人が地球人とウルトラマンの関係を険悪化させようと化けた偽者。ただし、ウルトラマンの外見を真似ただけなので、スペシウム光線などの光線技の発射能力や、ウルトラマンに匹敵する戦闘力などは持っていない[出典 157]。本物よりも目が赤みを帯びて吊り上がっており、耳やつま先、頭部のとさか、顎が尖っていてボディの赤いラインに黒縁が見られるなどの異なる点が多いが、ムラマツたちは見分けが付かずに困惑していた[注釈 53]

ハヤタを拉致したうえで夜の市街地を破壊した後、彼を監禁しておいたビルに戻り、そこでハヤタとの脱出を試みているホシノ少年を発見すると、彼らの用いていたロープごと摘み上げて宙吊り状態で捕らえ、窮地に陥れる。しかし、出現した本物のウルトラマンにホシノ少年を奪還され、そのまま本物のウルトラマンと対峙する。本物のウルトラマンのチョップにひるむなど、格闘で敵わないと判断して空への逃亡を試みるが、スペシウム光線を受けて本来の姿に戻る。

  • スーツアクター:池田文男[出典 158]
  • デザインは成田亨[414]
  • マスクは新造[注釈 54]だが、スーツはウルトラマンのAタイプを改造したもので[401][415]、足の形状はBタイプと同一である[415]。撮影後、スーツは最終回(第39話)に登場するゾフィーに改造された[415]
    • 古谷敏が2020年のインタビューで明かしたところによれば、本物のウルトラマンがにせウルトラマンのマスクをチョップした直後の右手を振って悶絶する姿は、古谷がマスクの硬さに思わず悲鳴を上げるほど本当に痛がったことによるものであり、彼はカットの声がかかるまで小指の痛みを我慢していたという[416]。また、2022年のインタビューで明かしたところによれば、チョップは「人間的な動きはダメ」という注意を受けた直後だったうえ、寸止めを狙ったもののあまり組まない相手役(池田)だったこともあって全力で入り、(目の)強化FRPを粉砕してしまうという完璧なNGであったが、第18話監督の高野宏一が頑なに出した(使った)という[417]
  • 出演者クレジットではニセ・ウルトラマンと表記されていた[注釈 55]。「ウルトラ怪獣シリーズ」のソフビ人形のタグカードなど、一部ではニセウルトラマンとも表記されていた[注釈 56]。書籍『ウルトラ怪獣大全集』ではにせ・ウルトラマンと表記している[49]
  • 劇中で攻撃を行う装軌式ミサイル車両の映像は、映画『モスラ』からの流用である[401]

2代目[編集]

諸元
ザラブ星人
(二代目)
別名 凶悪宇宙人
身長 40 m[出典 159]
体重 2万 t[出典 159]
出身地 ザラブ星[出典 160]

第33話「禁じられた言葉」に登場。

地球侵略を狙うメフィラス星人に操られ、バルタン星人(三代目)ケムール人(二代目)と共に28番街に現れる。体色はメフィラス星人と同じく、黒と銀のツートンカラーとなっている。不思議な音を発しながら立っていたが、すぐに他の宇宙人と共に消え去った。

  • 着ぐるみは初代の流用であるが、耳が無く[418]体色は黒くなり、胸に銀色の模様が見られる。
  • 資料によっては実体のない投影像であった可能性を記述している[出典 161]

青色発泡怪獣 アボラス[編集]

諸元
アボラス
別名 青色発泡怪獣
身長 60 m[出典 162]
体重 2万 t[出典 162]
出身地
  • ミュー帝国[385][402]
  • 3億5千万年前の地底[114]
  • 鉱物試験場[420]
  • 宇宙→μ帝国[419]
  • 3億5千万年前のカプセル・鉱物試験場[179]
  • 3億5千万年前の地球→東京のビル工事現場→鉱物試験場[399]
  • 3億5,000年前の地球[423]

第19話「悪魔はふたたび」に登場。

3億5,000年前[注釈 57]超古代文明ミュー帝国で「青い悪魔」と恐れられ、液化されて円筒形のアンプルを収めたタイムカプセルに封印されていた青い古代怪獣。眉間が一本角状に伸びた巨大な頭部や大きく横に裂けた口が特徴であり、強靭な体力を持つ。口からは、何でも溶かす白い泡状の溶解液(溶解泡[422][55])を放射する。東京のビル工事現場で出土され、調査のために運ばれた鉱物試験場で高圧電流による10万ボルト以上の電気ショックを受けてアンプルが開けられた結果、復活する。

その後、都心部を横断して首都高速を進撃しながら、野獣の闘争本能によって引き寄せられるように先んじて復活した怪獣バニラ旧国立競技場[注釈 58]にて激突する。科学特捜隊の原子弾で弱ったバニラを倒し、ウルトラマンと対決する。ウルトラマンに溶解液を浴びせてスペシウム光線を阻止するが、溶解液はウルトラマンに弾き飛ばされる。持ち前の体力で2発のスペシウム光線に耐えるが、3発目には耐えられず倒される。

第35話「怪獣墓場」の怪獣供養では、遺影として写真が飾られている。

  • スーツアクター:中村晴吉[出典 164]鈴木邦夫(ノンクレジット)[425]
  • 着ぐるみは初代レッドキングを青く塗装して改造したものであり、頭部は新規造形である[出典 165]。本話の撮影後、頭部を差し替えて全体を金色に塗り直すという再改造を経て、2代目レッドキングになった[出典 166]
  • デザインは成田亨によるもので、頭部は恐竜の頭骨をモデルとしている[429][61]
  • 山田正弘が単独執筆した準備稿「前世紀からの使者」では、前世紀人に操られる液体怪獣であり(バニラは登場しない)、普段は小型の瓶に収められている。この設定は『ウルトラセブン』のカプセル怪獣の原型になっている[430]。最後は自分の吐いた泡をウルトラマンに跳ね返され、膝打ちとウルトラチョップの連打を受けて消滅する[425]。南川龍(野長瀬三摩地)が加筆した決定稿「悪魔はふたたび」で、アボラスはウルトラスラッシュ光線を受けて木端微塵となり、「ウルトラマンの足もとで切れ切れに飛び散ったアボラスの残骸」というト書きで終了している[425][431]
  • 第26話「怪獣殿下(前篇)」では、治少年のイメージイラストに登場している。
  • 一峰大二の漫画版の「怪獣アボラスの巻」やPS2用ゲーム『ウルトラマン』では、バニラ共々ウルトラマンに八つ裂き光輪で倒される。なお、漫画版ではバニラと体色が入れ替わっている。
  • 書籍『ウルトラマン白書』掲載の金城哲夫の文芸ノートでは、バニラ共々「宇宙怪獣」と区分されている[要ページ番号]
  • 『ウルトラファイト』では、溶解液は終始「冷凍光線」とされているため、映像で溶けている建物が「凍っている」とナレーションされている。
  • ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑』では、溶解液は「メルトバブル」と命名された[432]

赤色火焔怪獣 バニラ[編集]

諸元
バニラ
別名 赤色火焔怪獣
身長 55 m[出典 167]
体重 2万 t[出典 167]
出身地
  • ミュー帝国[385][402]
  • 3億5千万年前の地底[114]
  • 東名高速道路建設現場[420]
  • 宇宙→μ帝国[419]
  • 3億5千万年前のカプセル・関東北部[39]
  • 3億5千万年前の地球→東京のビル工事現場→東京郊外の空き地[399]
  • 3億5,000年前の地球[434]

第19話「悪魔はふたたび」に登場。

3億5千年前[注釈 59]超古代文明ミュー帝国に「赤い悪魔」と恐れられ、液状化された状態でランタン形のアンプルに封印されていた赤い古代怪獣。武器は体内に有した強大な熱エネルギーによって口から放射する2万度の高熱火炎で、周囲の生命体や物体を一瞬で焼却させる[出典 169]。外観は鼻がとがって口は横に開き、体は骨張ってやや平らで、大きく二股に分かれた尻尾は細く8の字状に絡み合っている。

土砂と共にダンプカーで郊外のビルの工事現場に廃棄されて風雨にさらされていた赤いアンプルから夜間に落雷の影響を受けたことで復活し、東名高速道路第四工事現場付近から進撃しながら防衛隊と科学特捜隊に夜通しで航空攻撃された末、同じく現代に復活したアボラスとオリンピック競技場で決戦を繰り広げる。アボラスの吐いた溶解泡を一度は火炎で相殺するが、その後はアラシの原子弾で右目を潰され、弱ったところをアボラスに溶解泡を吐きかけられて全身を溶かされる。

  • スーツアクター:田尻康博[422][425]
  • 着ぐるみは新規造形[433]。その後、『快獣ブースカ』に登場したイモラへ改造された[436]。これは、『ウルトラマン』第25話に『ブースカ』主演の宮本智弘がゲスト出演したことへの返礼の意味が込められている[436]
  • デザインは成田亨によるもので、デザインイメージはタツノオトシゴ[出典 170]
  • 山田正弘が単独執筆した準備稿「前世紀からの使者」は、前世紀人と彼に操られる液体怪獣アボラスのみ登場し、バニラは登場しない[425]。その後、南川龍(野長瀬三摩地)の大幅な加筆によって決定稿「悪魔はふたたび」が起こされ、赤い怪獣バニラと青い怪獣アボラスが激突する内容となった[425]
  • 一峰大二の漫画版「怪獣アボラスの巻」(『ぼくら』1967年1月号掲載)では火炎攻撃でウルトラマンを一度撃退し、再戦時にアボラス共々八つ裂き光輪で倒される展開となっている。また、火炎はスペシウム光線を相殺し、ウルトラマンの腕を溶かしかけるほどの火力を発揮した。なお、カラーイラストではアボラスと体色が逆転している。
  • TBSの朝の情報番組『ヤング720』1966年11月4日放送分において、ウルトラマンのスーツアクターである古谷敏のゲスト出演に際し、取材役で当時同局アナウンサーだった大沢悠里の提案により、古谷の演によるウルトラマンとバニラとの格闘シーンが収録された。この時のバニラは、そのアイデアを提案した大沢自身が着ぐるみの中に入って演じた[438]
  • 書籍『ウルトラマン白書』に載っている金城哲夫の文芸ノートでは、アボラス共々宇宙怪獣と区分されている[要ページ番号]
  • 火炎は『ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑』で「クリムゾン炎」と名づけられた[432]

高原竜 ヒドラ[編集]

諸元
ヒドラ
HYDRA[出典 171]
別名 高原竜
身長 60 m[出典 172]
体重
出身地 伊豆・大室山[出典 176]

第20話「恐怖のルート87」に登場。

伊豆の大室高原に建っている高原竜ヒドラの石像に瓜二つの怪獣。先史時代から日本に生息する始祖鳥の一種[278]とされるほか、半年前に国道87号線のトラックによる轢き逃げ事故で死んだ山鳥が好きなムトウ・アキラ少年の魂が乗り移っている[420][439]、もしくはその化身[441][7]や交通事故で亡くなった少年たちの化身や守り神[440]とされる。大室山の火口から現れると、自動車を憎むアキラの意思のまま、轢き逃げ事故を起こしたトラックを探して事故現場となった国道87号線のトラックやタンクローリーを襲う。設定ではマッハ2の突風を放つとされる[4]。ウルトラマンとの戦闘では、高熱火炎[439]で攻撃したり、素早い動きでスペシウム光線を回避したりと優勢に渡り合う。やがて、ウルトラマンは空中へ逃げたヒドラにスペシウム光線で止めを刺そうとするが、その背中にアキラの魂が乗っていることに気付き、静かに見送る(魂はウルトラマンとフジ隊員にしか見えない)。轢き逃げ犯が自首した後、ヒドラは出現しなくなった。

  • スーツアクター:荒垣輝雄[351][8]
  • デザインは成田亨が担当[8][18]。金城哲夫によるプロットでは、ハイドンマジャースと名付けられていた[442][443]。モデルは舞台にもなっている伊豆シャボテン公園の温室の入口に建っている荒原竜(現在は高原竜)の石像であり[出典 177][注釈 60]、第20話監督の樋口祐三ロケハンに赴いた際に即決した[445]。そこに子供や、当時社会問題になっていた交通事故を絡めた話となった[447]が、踏襲しているのは尻尾以外である[448]。観光地のシンボルであるため、悪い怪獣にするなどの描写は避けられた[445]
  • 造形はエキスプロダクションによる[8][445]。着ぐるみのほか、山頂から出現する場面でのミニチュアと飛び人形が制作された[8]。着ぐるみは後にギガスに改造された[23]
  • 名前の由来はギリシア神話に登場するヒュドラーからと「Hill Dragon」の2つの説があり[8]、書籍『ウルトラマン大辞典』では後者が有力としている[257]。書籍によっては、「悲道(哀しみの道)」+ラという説もあると記述している[345]
  • 本話のヒドラと第30話「まぼろしの雪山」のウーは、ウルトラマンのスーツアクターを務めた古谷敏の願いが聞き入れられて作られた怪獣でもある。詳細はウーを参照。
  • ウルトラファイト』では、アキラ少年の話はカットされている。

その他の作品に登場するヒドラ[編集]

  • 映画『甦れ!ウルトラマン』では、ゼットン星人が暴れさせる怪獣として登場。国道87号線を襲撃し、分身したウルトラマンと戦う。映像は『ウルトラマン』の流用だが、スペシウム光線で逃げ去ったヒドラを爆破するシーンが合成で作られている。
  • 帰ってきたウルトラマン』第12話では、MATの特別訓練の的にヒドラのものがある。
  • ウルトラマンギンガ』では、「ダークスパークウォーズ」に参戦した際に異形の手のモノによってスパークドールズへ変えられる。
  • 漫画
    • 楳図かずおの漫画版『ウルトラマン』では、アキラ少年が轢き逃げされてから死ぬまでの間にベッドの上で描いた空想の怪獣という設定であり、彼の死後に大室公園にはその絵を元にした高原竜ヒドラの石像が建てられるが、その目の前で少女が轢き逃げされた結果、石像が本物の怪獣ヒドラとなって犯人を追いかけ回す。犯人が自首を宣言しても後足でトラックを掴み、中腰で飛行するなどしてその命を奪おうとするが、ウルトラマンに尻への鉄拳で倒されてトラックを救出されると、石像に戻った。
    • 漫画『ウルトラマンSTORY 0』では、暗黒宇宙の惑星エレメンターの「風の国」を守護する怪獣として登場。初代ウルトラマンに懐き、共にアーストロンゴーストロン兄弟の襲来に立ち向かう。最後は、パンドンに仕掛けられた爆弾で共に爆死する。また、第56話に登場する究極怪獣は背中にヒドラの翼を持っている。

毒ガス怪獣 ケムラー[編集]

諸元
ケムラー
KEMULAR[出典 178]
別名 毒ガス怪獣
身長 35 m[出典 179]
体重 1万 t[出典 179]
出身地 大武山火口[出典 180]

第21話「噴煙突破せよ」に登場。

数千年前から死火山と思われていた大武山が火山活動を再開したことにより、突如噴火口から出現した怪獣。爬虫類的な外観を持ち[注釈 61]、同様の外耳がない耳を持ち、どんな音も聞き分ける[345]。ダイヤモンドの10倍の硬さを持つ背面の甲羅は打撃時に開閉し、内側の極彩色の部分を盾のように見せる。口から喉奥の発光とともに吐き出す黒い猛毒ガス[注釈 62]が最大の武器であり、その成分は火山ガスと同じく高濃度の亜硫酸ガスの微細な粒子で構成されていることから、どこにでも浸透する[439][注釈 63]。また、サソリのような二股になった尻尾の先から二条の破壊光線を発射する。見た目以上に強敵で、スペシウム光線が効かないほどの頑丈な皮膚を持つ。さらに、約100メートルはジャンプできる強い脚力を持つ[345]

当初は山頂付近の野鳥や魚を死滅させ、やがて観光客を襲うようになり、麓の街に出現して毒ガスをまき散らしたため、防衛軍が出動するが、撤退に追い込まれる。

急所は展開する甲羅に隠れた発光する心臓で、最後はここをイデ隊員が開発したマッド・バズーカで攻撃されて破壊され、瀕死の状態で火口へ落下して爆死する。

第35話では怪獣墓場を漂っている姿が描かれている。

  • スーツアクター:鈴木邦夫[452][458]
  • 名前の由来はから[459]
  • ウルトラQ』時にまとめられた「怪獣アイデア票」には「ケムラー」の名前が「少年の絵の妄想的所産」としてあり、この時は東京タワーを襲う怪鳥であった[443]成田亨のデザイン画では、下顎が左右2つに分かれて開くように描かれており[460][461]、デザイン画どおりに造型された。着ぐるみの下顎に存在する割れ目は、その名残である[462][458]。背中の甲羅について、成田はガボラと同様の発想であると述べている[461]
  • 高山良策の日記には、当初はガマクジラの着ぐるみを改造する予定だったが、改造怪獣は手間がかかるので新造することにしたと記述されている[458]。ケムラーの体の型自体は、ガマクジラと同じものを使用している[458]
  • 脚本の時点では背中の甲羅が開く描写はなく、尾をクジャクの羽のように広げると記述されていた[458]
  • デザイン画の時点では甲羅は顔の部分まで覆っていたが、高山によってアレンジされた[458]。弱点は、台本の時点では口内の喉の発光器官だったが、造形の時点で背中に変更された[458][443]。ガスを吐くときに口内が光るのは、その名残である[458]。この変更のため、口内が光るのを見たホシノがそこが弱点だと気づく展開が削除され、本編では特に理由のないまま背中が弱点だと気づくという、不自然な展開になっている[458]
  • 本放送当時、講談社の『ぼくら』に連載されていた一峰大二による漫画作品『ウルトラマン』と、現代芸術社『現代コミクス』に掲載された井上英沖による漫画作品『ウルトラマン』のいずれにも、初戦でケムラーと対峙したウルトラマンが、大武山の地中に埋まってしまう描写がある[要ページ番号]
    • 一峰による漫画版では、尻尾が無い。大武山からトンネルを掘ってふもとの町に出現し、好物の毒ガスを摂取するために工場地帯を襲う。科学特捜隊によってマッド・バズーカを喉元に打ち込まれるが不発に終わり、現れたウルトラマンをも毒ガスと噛みつきで苦しめる。この毒ガスには、建造物を浮かせたりスペシウム光線を拡散させたりするという効果があることも、漫画版では追加されている。最後は2つの八つ裂き光輪を空中でぶつけ合わせて炸裂させるというウルトラマンの奇策で毒ガスを打ち払われ、スペシウム光線で不発弾を起爆させられて木端微塵に吹き飛んでいる。
  • 書籍『ウルトラマン ベストブック』(竹書房、1993年)では、岩本博士の言葉として最終話に登場するゼットンの甲羅はケムラーのものを参考にしているとの推測を記述している[190]
  • ウルトラファイト』では、ウルトラマンによって無理な体勢に持ち上げられて急所のこぶを破壊され、倒される。

地底怪獣 テレスドン[編集]

初代[編集]

諸元
テレスドン
別名 地底怪獣
身長 60 m[出典 181]
体重 12万 t[出典 181]
出身地

第22話「地上破壊工作」に登場。

地下4万メートルの世界に生息し、地上への侵出を目論む地底人たちの地上侵略用の尖兵。主な武器は、口から放射する強力な火炎[出典 184][注釈 64]と毒を持つ手の爪[468]。頭部以外の全身に渡って節状の皺が目立つ皮膚は、科学特捜隊のジェットビートルのナパーム弾を耐えきる硬さを持つ。

地底人たちがウルトラマンを洗脳するまでの間、科学特捜隊の注意を引きつけておくため、東京テレビセンター付近の地中から出現し、夜間に赤坂の都市部を破壊する。しかし、ウルトラマンとの戦いでは火炎を放射する暇を与えられないまま、投げ技の連続攻撃で地面に叩きつけられて絶命する。

第35話では、怪獣墓場で漂っている姿が登場する。

  • スーツアクター:鈴木邦夫[出典 185]
  • デザインは成田亨が担当した[出典 186]。地底を掘り進むイメージで鋭角的なデザインとなっている[469]
  • 造型は高山良策が担当した[466][469]山村哲夫は、ショーで着用した際に入りやすく動きやすかったことを証言している[469]。ウレタン製の表面に布を張ることにより、皺を表現している[471]。尻尾の先には操演用の吊り金具が付けられている[471]
  • 第22話の監督を担当した実相寺昭雄はスペシウム光線でとどめを刺すパターンを嫌い、自分の監督回では一度も使用させていない。今回の夜間の激闘もそういった経緯から生まれた。
  • 実相寺の作品に登場する怪獣ということで、映画『実相寺昭雄監督作品ウルトラマン』にも登場している(映像は本話の流用)[注釈 65]。作中では、ガヴァドン(B)の事件の翌日における出来事となっている。
  • 実相寺は「オケラのような奴」と呼んでいた[472]
  • 戦え! マイティジャック』第12話「マイティ号を取り返せ!!(前編)」では本話のシーンが流用されているが、そのカットの1つにテレスドンの後ろ姿が明確に映ってしまっている[473][469]

再生テレスドン[編集]

諸元
再生テレスドン
別名 地底怪獣
身長 60 m[出典 187]
体重 12万 t[出典 187]
出身地 大岩山[出典 188]

第37話「小さな英雄」に登場。資料によってはテレスドン(再生)とも表記される[出典 189][注釈 66]

ジェロニモンの力で復活する。外見に変化はない[263][475]が、以前と異なり、昼間でも活動できる[266][10]

同時に復活した再生ドラコと小競り合いを演じるが、大岩山から響くジェロニモンの唸り声を聞いておとなしくなる。決着がつかないまま再生ドラコと共に科学特捜隊と戦い、科学特捜隊のムラマツ、フジ、アラシのスーパーガン3丁によるトリプルショットで倒される[注釈 67]

凶悪地底怪人 地底人[編集]

諸元
地底人
  • UNDERGROUND MAN[4]
  • THE UNDER THE GROUND HUMAN[3]
別名 凶悪地底怪人
身長 2 m[出典 191]
体重 100 kg[出典 191]
出身地 地底40,000 m[出典 192]

第22話「地上破壊工作」に登場。

氷河期以前に発生した地殻変動によって地底に潜って暮らしていたとされる種族(地底人)であるため、目が完全に退化しており、を閉じたような状態になっている。地上へ出る際は地上人と異なるこの特徴を隠すため、サングラスを着用している。リーダー格は地底人Xと名乗る[8][10]

科学特捜隊パリ本部から派遣されたアンヌ・モーハイム隊員を誘拐し、彼女に化けて科学特捜隊へ潜入する。まもなく拉致したハヤタを仮眠マスクで催眠状態にし、ウルトラマンに変身させることで自分たちの下僕怪獣であるテレスドンと共に地上を破壊させ、地上人に取って代わろうとする。アンヌに化けた地底人以外にも、地下4万メートルにある基地では十数名の地底人が登場する。当初からハヤタがウルトラマンであることを知っており、ハヤタを洗脳することやベーターカプセルのスイッチを押させることには成功するが、ベーターカプセルのフラッシュビームの眩しさに全員絶命する。

『ウルトラパワード』に登場する地底人「太陽の民」[編集]

ウルトラマンパワード』第4話「闇からの使者」に登場。

フード付きローブをまとった、人間の老人のような風貌の3体が登場する。眼は巨大で、白目がなく、真っ黒である。『ウルトラマン』の地底人と同様に、テレスドンを使役して都市を破壊させる。

ウルトラマンに酷似した「エルドラの神」像を崇拝しており、防衛組織W.I.N.R.(ウィナー)のケンイチ・カイ隊員を地底に誘い込んで語ったところによると、太古に地上を支配していたが、巨大な岩石が宇宙から落下して地上が破壊されるとエルドラの神の導きで地底に逃れ、「再び光が訪れる時を待て」と告げられた。太陽が地上を照らすようになってすでに長いが、彼らにとって「光」とは太陽でなくエルドラの神がもたらすものであり、パワードの地球来訪をきっかけとして、パワードに変身できるカイに「光」を感知して捕らえる。だが、奪った変身カプセルをカイの挑発に乗って渡して変身されてしまい、テレスドンは地底から脱出したパワードに倒される。カイは幽閉時、話し合えば地上人類は移住を受け入れるはずだと問うが、地底人は「人類が地上を汚して腐らせた」と不信感をあらわにしており、夜明けとともにテレスドンがいったん退却した後、マイクロ波通信で人類に降伏を要求している。

W.I.N.R.本部に生還したカイは、くぼみに落ちて地底をさまよっていたとだけ説明し、地底人について報告せず物語は終わる。

『ウルトラゾーン』に登場する地底人[編集]

諸元
地底人
身長 2 m[250]
体重 100 kg[250]
出身地 地底[250]

ウルトラゾーン』第14話・第15話「東京ジュラ紀」(前編、後編)に登場。

怪盗赤色からオーパーツ「アカンバロの瞳」を守るために集められた4人の名探偵の1人、歩く百科事典探偵・西園寺ユウヤに化けて潜入する。常時サングラスをかけている。推理に集中する時は相棒役の腹話術人形と対話する。依頼人で元怪獣特捜隊の隊員だった白石深月に正体を見破られ防衛軍に連行されるが、エレキングとともに暴れるテレスドンに「すべてを破壊しろ」と笑いながら命令する。

『ウルトラマンX』に登場する地底女[編集]

ウルトラマンX』第3話「夜を呼ぶ歌」に登場。

本編開始の2か月前に死亡したエステティシャンの間伏涼子になりすまし、「夜を取り戻す」ために、夜でも常に明るい(当人曰く「偽りの光に満ちている」)地上を破壊しようと暗躍する、謎の地底人類の女[154]。絶叫[注釈 69]により、テレスドンを操る。これまでの地底人と同じく眼が完全に退化しており、サングラスで隠しているほか、光線銃[153](謎の銃[154])を武器とする。

経営するエステサロンに潜入した大地とアスナによって正体を暴かれそうになると、拳銃で応戦して逃走する。再登場時はテレスドンを撃滅されて大地ら4人を襲撃するもワタルとハヤトに銃撃され、テレスドンのスパークドールズと着用していたサングラスを残し、姿を消す。

今回の事件現場では、「地底女が地底に人を引きずり込むという都市伝説が存在する」や「地下工事現場で何かが封印されていたことを示す500年前の石碑が発見された」など、意味深な要素が存在しているが、最後までこれらとの関係性は不明だった[154][注釈 70]

棲星怪獣 ジャミラ[編集]

諸元
ジャミラ
別名 棲星怪獣
身長 50 m[出典 194]
体重 1万 t[出典 195]
出身地 地球[211][487][注釈 71]

第23話「故郷は地球」に登場。

元々は、宇宙開発競争が頻発した時代に某国が打ち上げた人間衛星に乗る宇宙飛行士「ジャミラ」[注釈 72]であり、正真正銘の地球人であった[484]。事故に遭って水や空気のない惑星[注釈 73]へ不時着し、救助を待つ間にその異常な気候風土に身体が適応して皮膚が粘土質に変化した結果、ずっと欲していた水を不要として生きられる怪獣と化した[484]。ミッションの失敗を国際批判されることを恐れて事故を隠蔽し、救助を出さず自分を見捨てた母国へ復讐するため、修理・改造を施し常人には視認不可能な高速回転を可能とした見えないロケット[439]不可視の円盤[484])で地球へと帰還。国際平和会議の出席者たちを乗せた旅客機や船舶を乗機からの攻撃で次々と墜落させるが、科学特捜隊にスペクトルα、β、γ光線で乗機の位置を見破られて撃墜され、その姿を現す[484]。最大の武器は、口から吐く100万度の高熱火炎[出典 196]サッチファイヤー[484])と、インド象の5000倍の腕力[489][488]

前述の適応ゆえに火や熱には強いが、水が最大の弱点となっている[484]。アラン隊員を介して「ジャミラが元は人間だった事実を公表せずにあくまでも1匹の怪獣として倒せ」とパリ本部からの命令を受けた科特隊による人工降雨弾攻撃には苦しみながらも耐えぬいた。しかし、ウルトラマンのウルトラ水流には耐えられず、這いつくばって国際平和会議会場の万国旗を潰し、絶命する[484]

その後、国際平和会議会場の傍らには生前の功績を称えた後述の墓碑が建てられる[484]が、それを見たイデ隊員は「犠牲者(ジャミラ)に対する人間のエゴにすぎない」と唾棄し、最後にジャミラの鳴き声で本話は締められた[注釈 74]

  • スーツアクター:荒垣輝雄[出典 197]
  • 名はアルジェリアの独立運動家であるジャミラ・ブーパシャから取られており[491]、彼女を扱ったノンフィクション『ジャミラよ朝は近い』[注釈 75]をヒントにしたという[493]。また、劇中でジャミラの正体を最初から知っていたのがアラン隊員のみである。ジャミラの墓碑銘がフランス語で綴られている[注釈 76]など、前述のヒントによって劇中での一連の件にはフランスが深く関与していたことが示唆されている。
  • ジャミラの断末魔の悲鳴は、人間の赤ん坊の泣き声を加工したもの[491]
  • 番組終盤に一瞬写る墓碑銘の記載によれば、ジャミラの生没年は1960年 - 1993年とされている。
  • 本話で監督を務めた実相寺昭雄は、後年に監督を担当した映画『実相寺昭雄監督作品ウルトラマン』にも組み込み、劇場公開されている。予告でのクレジットは「せい星怪獣 ジャミラ」。
  • デザイン担当は成田亨。頭部と同等の高さに配置された肩、変形させた人体のシルエットを崩したプロポーションや、干からびたイメージで構成された全身など、人が中身に入った着ぐるみにおける制約への挑戦を意図していたとされる[出典 198]。脚本では、頭部以外が鱗に覆われ、関節から炎が噴き出しているという描写であった[486][133]。特徴的な外見は、こぞって放送当時の子供たちが衣服の丸首の部分を頭に引っかけて真似されることがあった[487][494][注釈 77]
  • 造型は高山良策が担当した[491]。第9話「電光石火作戦」に敏男役で出演していた山村哲夫は、フォームラバーの一枚成形であったと証言している[491]
  • 準備稿ではウルトラマンとの戦闘中でもつれ合い、海中に落ちるという展開であった[491]
  • 悲劇的なシナリオで知られる怪獣である反面、かつてジャミラを見捨てた某国とは無関係な人々の旅客機を墜落させる、民家を焼き払う、国際平和会議会場を破壊するなど、無差別の殺戮や破壊活動を行ったことは事実であり、その点からジャミラを一方的に被害者として扱うことには否定的な見解が語られることもある[注釈 78]。劇中でも、ジャミラの理不尽な破壊活動に憤ったイデの叫びに、ジャミラが一瞬我に返ったかのように破壊を止めて立ち止まるシーンが入っており、復讐によって「被害者」が「加害者」に転じる不条理をも描いている。
  • 劇中でジャミラの目から光が消えるシーンは断線による想定外のアクシデントだったが、特技監督の高野宏一は「この方がジャミラの悲しみをより表現できる」と瞬時に判断し、撮影を続行した。結果的に、この演出は大成功となる[498]。また、ウルトラマンのスーツアクターを担当した古谷敏によれば、撮影はリハーサルなしのぶっつけ本番だったうえ、ジャミラの絶命シーンは荒垣が鬼気迫るほどの熱演を見せてくれたことから尊敬の言葉しか見つからず、後年に見返しても涙が出てきてしまうという[499]

資料での記述[編集]

『21世紀ウルトラマン宣言』では、ジャミラの身体が変貌した理由についての仮説が詳述されている。顔と肩と首が一体化したのは、肩に作った脂肪のこぶラクダのように水分と脂肪を蓄える[注釈 79]ためではないかとされ、眼球の窪みは日差しや砂漠の砂から目を護るためではないかとされている[500]

ウルトラマンメビウス』における資料の一部では、CREW GUYSの保有するアーカイブドキュメント「ドキュメントSSSP」からジャミラに関する記録が大幅に削除されていることが示唆されている[501]。また、朱川湊人の小説版『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』では、ジャミラの死後にアラン(同作でのフルネームは「アラン・ビロッツ」)が科特隊を除隊してジャーナリストとなり、一連の事件の告発書籍『故郷は地球』を出版したものの、某国やフランス当局から起訴や冤罪などの妨害を受けて絶版に追い込まれたことが語られている[502]

深海怪獣 グビラ[編集]

諸元
グビラ
別名 深海怪獣
身長 50 m[出典 199]
体重 3万5,000 t[出典 199]
出身地

第24話「海底科学基地」に登場。

海棲哺乳類に似たフォルムを有する、海底に棲む怪獣で、鼻先にある鋭いドリルのように高速回転して硬い岩盤にも穴を開ける。設定では光波バリヤーを張る能力を持つ[420]

水深200メートルに建設された海底センターのパイプラインドックにドリルで大きな損傷を与え、同センターの救助に出動した科学特捜隊の前に現れて特殊潜航艇S25号を襲おうとするが、ウルトラマンの出現に方向転換して岩壁を掘り進み、地上に現れる。ドリル攻撃や背中の孔から出す強烈な潮吹き[注釈 80]やフライングボディアタック[3][504]でウルトラマンを苦しめ、八つ裂き光輪も高速回転させた角で受け止めて弾き返すが、最後はウルトラマンにチョップで角を折られて力尽き、スペシウム光線を受けて爆散する。

第35話の怪獣供養では遺影として写真が飾られている。

  • スーツアクター:荒垣輝雄[503][8]
  • デザインは成田亨が担当した[8][18]。デザインモチーフはモンガラカワハギ[8]。当初はガヴァドンBを改造する予定で初稿デザインも改造を前提として描かれていたが、結局はデザインを修正し、新規に造形された[239]。成田は魚の怪獣化は難しいことを述べている[18]
  • 造型は高山良策、水中用のギニョールは佐々木明が担当した[8][505]。着ぐるみによる撮影はウルトラマンとの格闘場面のみで、海中の場面では60センチメートル大の操演用ミニチュアが使用されている[8]。そのほかに爆発用の造形物も制作された[8]。角のドリルはFRP樹脂製で、クローズアップ用も製作された[505]
  • 脚本では、スペシウム光線を光波バリヤを張って遮断するというくだりがあった[215]
  • 水を使った大掛かりな特撮は第14話を最後に行わない方針になったため、水槽をセットの手前に置くなどの方針が取られた[215]
  • ウルトラマンM730 ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑』では、鼻先のドリルに「ダイハード・ドリル」[504]と名称がつけられ、紹介されている。

『ウルトラマンサーガ』に登場するグビラ[編集]

諸元
グビラ
別名 深海怪獣
身長 50 m[出典 201]
体重 3万5千 t[出典 201]
出身地 フューチャーアース[509]

映画『ウルトラマンサーガ』に登場。

バット星人によって、怪獣墓場から捕獲されて連れて来られた個体[506]。鼻先の回転ドリルを武器とする。1頭目はバット星人に操られて街で暴れ、タイガ・ノゾムとタケルに襲いかかったところに現れたウルトラマンコスモスと戦い、フルムーンレクトでおとなしくなる。その後、2頭目がゴメス(S)と共にバット星人に操られて出現し、コスモスや身長が約5メートルのウルトラマンゼロと戦う。1頭目と同様、コスモスに鎮められるが、それを良しとしないバット星人に粉砕される。

『ウルトラマンX』に登場するグビラ[編集]

諸元
グビラ
別名 深海怪獣
身長 50 m[出典 202]
体重 3万5千 t[出典 202]
出身地 日本近海[155]

ウルトラマンX』第16話「激撮!Xio密着24時」に登場。

ダークサンダーエナジーによって凶暴化した状態で生鮮市場に出現した。Xioでの分類ではタイプF。ドリル状の角を振り回して暴れ回るも、ウルトラマンエクシードXの前には為す術もなく、生鮮市場の屋根に横倒しで乗せられた後、エクシードエクスラッシュによってダークサンダーエナジーを除去され、ザナディウム光線によってスパークドールズに縮小された。なお、その戦闘の一部始終は、Xioの密着取材番組によってテレビ放送された。

  • スーツアクター:新井宏幸
  • 第9話の初期案では、「グビラ」と「ラグビー」をかけて子供のグビラがラグビーボール代わりにされるという展開が予定されていたが、蹴り飛ばすのは可哀想だという意見が出てこの展開はなくなり、キャラクターもサメクジラ(ジョリー)に変更された[510]

『ウルトラマンオーブ』に登場するグビラ[編集]

諸元
グビラ
別名 深海怪獣
身長 50 m[出典 203]
体重 3万5千 t[出典 203]
出身地 深海[513]

ウルトラマンオーブ』第8話「都会の半魚人」、第24話「逆襲の超大魔王獣」に登場。

餌を求めて日本沿岸に出現し、近海の魚を食い尽くして地底から海産物倉庫を狙って東京に上陸する。その際に遭遇したラゴンの母子を餌と認識して襲い、子供のラゴン(ラゴンJr.)を丸呑みにするが、ハリケーンスラッシュ形態で現れたウルトラマンオーブの連続パンチを受け、汐ごとラゴンJr.を吐き出す。その後、ドリルや怪力でオーブを追い詰めるもオーブスラッガーランスで押し倒され、最後はスペシウムゼペリオン形態に変身したオーブのシャットダウンプロテクトで海へ運ばれていく。

第24話ではラゴンの母子を乗せて日本近海から避難していく様子が、SSPによってインターネットで報道されている。

  • スーツアクター:新井宏幸[514]
  • 脚本ではオーブがグビラを倒すという展開であったが、監督の市野龍一はラゴンを生かすならば餌を求めているだけのグビラも生かさなければ理屈に合わないと考え、グビラを海へ帰す展開とした[515][516]

『ウルトラマンジード』に登場するグビラ[編集]

諸元
グビラ
別名 深海怪獣
身長 50 m[出典 204]
体重 3万5千 t[出典 204]
出身地 深海[520]

ウルトラマンジード』第21話「ペガ、家出する」に登場。

ペガッサ星人ペガが朝倉リクと喧嘩して彼のもとから飛び出すも途方に暮れていたところ、突如深海から街中へ出現する。それに先行し、火浦海岸や街中では人々が原因不明の身体の痺れを訴える事件が起こっていたが、それはリトルスター発症の影響でグビラの背中から噴き出す光を帯びた汐ショッキングブロウ[518][519]に麻痺効果が加わるようになったためだった。そこへリトルスターを奪取すべくペダニウムゼットンと化した伏井出ケイが現れ、グビラを痛めつける。グビラが本来は深海に生息していることを知ったリクはウルトラマンジード プリミティブに変身し、ペダニウムゼットンに立ち向かうが、ロイヤルメガマスターすら圧倒するその強さに苦戦を強いられる。グビラは汐でペダニウムゼットンを痺れさせ、ジードの勝機を作る。まもなく、ジードの勝利を見届けたグビラの身体からリトルスターが離脱し、ゾフィーカプセルが起動する。その後、グビラはジードによって深海へ帰されたことがラジオで報じられている。

  • スーツアクター:梶川賢司
  • 第21話の脚本を担当した森江美咲は、このグビラはリトルスターの影響で仲間に迷惑をかけないよう地上に上がってきたと想定しており、当初は家出したペガと寂しさを共感するという案も存在した[521][522]

『ウルトラマンR/B』に登場するグビラ[編集]

諸元
グビラ
別名 深海怪獣
身長 50 m[523][90]
体重 3万5千 t[523][90]

ウルトラマンR/B』第13話「秘密はイヤです!」、第14話「お前は誰だ」に登場。

愛染マコトに怪獣クリスタルから召喚され、ロッソやブルと交戦してブルのアクアジェットブラストを口から飲み込むと鼻から吐き出して虹を作り出したほか、ロッソが投げてきた火球をドリルで受け止め、高速回転で空中に放った火球を花火のように爆発させるなどのコミカルな行動が目立った。また、虹を見てはしゃぐ、花火を見て拍手をするなどの仕草も見られたが、ロッソと直接戦おうとした途端に愛染のAZジャイロに不調が起こったことで全身から稲妻を放ち、鼻から蒸気機関車のように黒煙を吐きながら縮小する。自動車サイズまで縮んだ後もロッソの右足をドリルで攻撃し、ブルには可愛らしい踊りを見せていたが、時間切れで煙とともに消滅して怪獣クリスタルに戻った。

  • スーツアクター:横尾和則[524]
  • 元々は第14話のみの登場予定であったが、第13話監督の伊藤良一総集編である同話の後半がドラマパート中心になってしまうことからグビラの先行登場を要望し、第14話の制作時に第13話分のカットも追加で撮影している[525][526]
  • 第14話の脚本を担当した森江美咲は、前作『ジード』第21話も執筆しており、今回もグビラを倒さない展開で良かったと述べている[524]。脚本では小さくなるのみであったが、監督の市野龍一によって、や花火などの可愛らしい描写が加えられた[524]。また、踊る仕草はスーツアクターの横尾のアドリブである[524]

古代地底獣 オカグビラ[編集]

諸元
オカグビラ
OKA-GUBIRA[527

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