エリオジクチオール

ウィキペディアから無料の百科事典

エリオジクチオール
識別情報
CAS登録番号 552-58-9
PubChem 440735
ChemSpider 389606
UNII Q520486B8Y チェック
KEGG C05631 チェック
特性
化学式 C15H12O6
モル質量 288.25 g/mol
精密質量 288.063388
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

エリオジクチオール(Eriodictyol)とは、イエルバサンタ(Eriodictyon californicum)という植物から抽出された、フラバノンの1種である。この物質は、味覚修飾物質(味覚を狂わせる作用をもった物質)であることが知られている。

概要

[編集]

エリオジクチオールは、シムライズ社に所属する科学者によって、アメリカ州に育つイエルバサンタから抽出されて同定された、味覚を修飾する性質を持った4つの物質のうちの1つである。なお、その他の3つは、ホモエリオジクチオールとそのナトリウム塩ステルビンである [1] 。 以上4つの物質は、いずれも味覚を一時的に変える作用、具体的には、ヒトに対して苦味遮蔽効果(苦味を感じにくくする作用)を持っている [2] 。 ただし、エリオジクチオールの苦味遮蔽効果は、ホモエリオジクチオールのナトリウム塩の苦味遮蔽効果よりも小さい。

また、エリオジクチオールはイエルバサンタから抽出された物質だと述べたが、イエルバサンタ以外の植物にも含有されている。例えば、マメ科のMillettia duchesneiの小枝 [3]レモンといった植物である。さらに、エリオジクチオールの配糖体の1つは、ローズヒップからも発見されている [4]

その他の味覚修飾物質

[編集]

エリオジクチオールの構造とホモエリオジクチオールの構造とを比較したことにより、2,4-ジヒドロキシベンゼン酸バニリルアミドにも苦味遮蔽効果が見い出された。0.1g/Lで、このバニリン誘導体は、0.5g/Lのカフェイン水溶液の苦味を30%減らすことができた [5]

配糖体

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ Ley JP, Krammer G, Reinders G, Gatfield IL, Bertram HJ (July 2005). “Evaluation of bitter masking flavanones from Herba Santa (Eriodictyon californicum (H. and A.) Torr., Hydrophyllaceae)”. J. Agric. Food Chem. 53 (15): 6061–6. doi:10.1021/jf0505170. PMID 16028996. 
  2. ^ Patricia Kaminski and Richard Katz. Yerba Santa Eriodictyon californicum. Flower Essence Society.
  3. ^ Ngandeu F, Bezabih M, Ngamga D, et al. (January 2008). “Rotenoid derivatives and other constituents of the twigs of Millettia duchesnei”. Phytochemistry 69 (1): 258–63. doi:10.1016/j.phytochem.2007.05.038. PMID 17640692. 
  4. ^ Hvattum E (2002). “Determination of phenolic compounds in rose hip (Rosa canina) using liquid chromatography coupled to electrospray ionisation tandem mass spectrometry and diode-array detection”. Rapid Commun. Mass Spectrom. 16 (7): 655–62. doi:10.1002/rcm.622. PMID 11921243. 
  5. ^ Ley JP, Blings M, Paetz S, Krammer GE, Bertram HJ (November 2006). “New bitter-masking compounds: hydroxylated benzoic acid amides of aromatic amines as structural analogues of homoeriodictyol”. J. Agric. Food Chem. 54 (22): 8574–9. doi:10.1021/jf0617061. PMID 17061836. 

外部リンク

[編集]