カトウコトノ

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カトウ コトノ
別名義 tono[1]
生誕 ????6月15日
日本の旗 日本新潟県見附市
職業 漫画家
活動期間 2007年 -
ジャンル 少年漫画
受賞 第5回シリウス新人賞入選(『アナスタシアの親衛隊長』)
第41回(平成29年度)講談社漫画賞少年部門(『将国のアルタイル』)
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カトウ コトノ6月15日[2] - )は、日本漫画家[3]。女性[3]新潟県見附市出身[4]、新潟県在住[2]血液型はO型[2]日本アニメ・マンガ専門学校マンガクリエイト科出身[5][6]2007年に『月刊少年シリウス』(講談社)に掲載された『アナスタシアの親衛隊長』でデビュー[1]。同年から同誌にて『将国のアルタイル』を連載した[1]

来歴[編集]

生い立ち[編集]

幼少期は『オバケのQ太郎』『ドラえもん』などのテレビアニメが好きだった[7]。漫画を描き始めたのは幼稚園のころで、アニメの真似をして、絵本のような感覚で画用紙1枚に1コマを描いていたという[7][8]。母親が手塚治虫のファンで、家に漫画があったことが描き始めたきっかけである[7]。幼稚園のころはとにかく「姫キャラに憧れていた」のだという[7]。このころからカトウは「ぼんやり漫画家になりたい」と考えていた[8]

学生時代には母の進言もあり、あえて文科系を選ばずに体育会系であるテニス部に所属していた[7]。部活動で経験したスポコン体験は生かされているという[7]

大学時代からデビューまで[編集]

明治大学に入学[5]。東京で一人暮らしをしていた大学4年生の時に新潟県中越地震を経験し[7]、それがきっかけとなり、カトウは新潟や家族への思いを再認識した[7]。家族の死を身近に感じ、自分が東京にいる間に家族が新潟で亡くなってしまったら後悔すると考え、新潟に帰ることを決意[7]。大学を卒業後[5]、新潟県で活動している理由は、ひと言でいえば「新潟が好き、家族が好き」だからだと答えている[7]。その後日本アニメ・マンガ専門学校のマンガクリエイト科に入学[7][6]

2006年冬に投稿し[9]、24歳の時にtono名義で投稿した『アナスタシアの親衛隊長』が第5回シリウス新人賞にて入選する[10][11]。2007年、同作が『月刊少年シリウス』(講談社)4月号に掲載され、デビューを果たす[2][9][1]。同年、日本アニメ・マンガ専門学校を卒業[5]。受賞後に読み切りとして考案した『将国のアルタイル』のネームを担当編集者に見せた後、当時の同誌の編集長が「これで連載を描いていい」と言ったことにより、同誌9月号より同作の連載を開始[2][9]。家族がいると精神的に楽だといい、共に暮らしながら漫画家の仕事をしている[7]

新潟での活動[編集]

2010年2月、新潟市民芸術文化会館で開催された「第12回 にいがたマンガ大賞フェスティバル」にて、新潟出身の漫画家6人の原画展が行われ、カトウの原画も展示される[12]。翌年の2月26日と27日に行われた「新潟国際アニメ・マンガフェスティバル2011」ではトークショーに出演し[13]、同時に原画展も開催され[13]、展示された描きおろしイラストを寄稿[14]

2012年2月に行われた「にいがたアニメ・マンガフェスティバル2012」では会場が万代・白山・古町の3つのエリアにわかれており、万代エリアで開催の原画展にカトウが参加[15]

漫画賞受賞とテレビアニメ化[編集]

2017年、『将国のアルタイル』が第41回(平成29年度)講談社漫画賞少年部門を受賞[16]。同年7月、同作がテレビアニメ化される[17][18]。テレビアニメのアフレコ現場にカトウが訪問している[19]。テレビアニメ化を記念して、同年9月9日から10月9日までGoFaにて原画展「将国のアルタイル原画展 〜大将国展〜」を開催[20][21]。本原画展は、10月21日から11月26日まで新潟・新潟市マンガ・アニメ情報館でも開催[22]

作風[編集]

画力[編集]

デビュー時には画力と心理描写が評され、新人賞を受賞[10]。『将国のアルタイル』にて、新人らしからぬ完成度の高い端麗で美しい絵柄と、重厚なストーリー構成で人気を集める[11][23]

声優の古川慎によるとカトウの描くキャラクターには色気があるといい、同じく声優の村瀬歩も「男性キャラクターにもすごく色気を感じ」、「流し目が美し」いと評している[19]。声優のKENNも「美しい絵」だと話している[24]。ロックバンドのシドマオは「キャラ達がカッコいい」[25]明希はカトウの絵のタッチが好きだといい、『将国のアルタイル』では「細かい設定やバトルシーン」も魅力的であると話している[26]

2017年ごろには「独創的な世界観と洗練されたキャラクター」、「戦略とアクションが織り成すストーリー」を描いたとして注目された[27]

漫画制作[編集]

まずプロットに約2日をかける[28]。担当編集者と相談して大まかな内容を決定する場合と、ワープロで章ごとに構想する場合がある[28]。「集中力を高めるため」、無音で作業を行っている[28]。ネームには約7日から15日ほど要する[28]。「重要なコマは表情までしっかりと」伝わるように描き、「複雑なシーンは文章で状況を説明」するように制作[28]。下書きの段階でアシスタントが入り、背景やそのペン入れ作業がカトウの執筆と同時進行で行われる[29]。作画作業中はカトウやアシスタントがそれぞれ好みの音楽を聴いて制作している[8]。カトウが聴いているのは「トルコの音楽や西洋のクラシックなど」、『将国のアルタイル』のアニメの劇伴」である[8]。すべてのページの下書きが終了した後にペン入れが行われ、仕上げをして完成となる[30]。作画はフルアナログで行われている[31]。カラーイラストは、ラフで1日、線画で1日、ペン入れに1日、色塗りで2日ほどかけて制作[8]。絵を描く上で「面倒くさがらずに描くこと」と「細かいところに好きなものを入れること」を大切にして制作している[8]

「お風呂やトイレなど、狭い空間で一人」になり、ネタを考えている[8]。「面白いと思える話を描けている時」を楽しいと感じ、「面白いと思える話を描けない時」を辛く感じるという[5]。2020年時点での目標は、「『将国のアルタイル』を、最後まで全力で描き切ること」である[5]

人物[編集]

影響を受けた作品[編集]

最も影響を受けた漫画家は、冨樫義博[7]。カトウによると、展開が全く読めずセオリー通りではない展開に、衝撃を受けたという。それに影響を受け、『将国のアルタイル』の結末に白黒つけない、世間一般の価値観を覆すような展開を心がけてられている[7]

2018年の『月刊少年シリウス』のインタビューでは、好きな漫画に『ヒストリエ』を挙げている[9]

新潟に対する考え[編集]

故郷である新潟が「アニメ・マンガ大国」として国内外に発信されていくことについて、「漫画家にとってやりやすい環境が新潟に整うことになると思うため、嬉しい」という[7]。新潟で良いところとして「腕のいいアシスタントが揃うこと」を挙げており、「日本アニメ・マンガ専門学校の教育の賜物」だと語っている[7]

東京にある出版社とはほぼFAXと電話でやり取りをしているが、不自由を感じたことはなく、このために良いFAXを入れたのだという[7]

新潟に対して「アニメや漫画を観光資源にして集客ができるようになるといい」と期待している[7]。出身である見附市にあるアンテナショップ「みらい市場」ではカトウをデビュー時から応援しており、市出身者応援企画として小説家や料理研究家とともにカトウの本が置かれている[4]

作品リスト[編集]

漫画作品[編集]

原案・監修[編集]

画集[編集]

  • 『画集 将国のアルタイル』講談社、2017年10月6日発売[38]ISBN 978-4-06-510441-5、A4変型[39] - 初の画集[38]

その他[編集]

活動[編集]

2011年8月9日から9月11日まで、『将国のアルタイル』の単行本第9巻の発売を記念して、有隣堂ヨドバシAKIBA店にてカトウの原画展を実施[42]。2014年12月6日より東京都の青山のギャラリーGoFaにて『将国のアルタイル』の原画展を開催し、同年12月21日にカトウによるライブペインティングやトークショーを実施[43]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d カトウコトノ”. マンガペディア. 2022年2月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 『将国のアルタイル(1)』(カトウ コトノ)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2021年6月8日閲覧。
  3. ^ a b カトウコトノの一覧 プロフィール”. BookLive!. 凸版印刷グループ. 2022年2月13日閲覧。
  4. ^ a b 見附市出身の漫画家カトウコトノさんが第41回講談社漫画賞を受賞 - 見附市役所 - ウェイバックマシン(2021年6月8日アーカイブ分)
  5. ^ a b c d e f カトウコトノさん - JAM 日本アニメ・マンガ専門学校 - ウェイバックマシン(2021年2月24日アーカイブ分)
  6. ^ a b “JAM卒業生マンガ家の原画展、新潟で開催中”. コミックナタリー (ナターシャ). (2009年3月14日). https://natalie.mu/comic/news/14377 2022年3月3日閲覧。 
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r ゲストインタビュー マンガ家 カトウコトノ先生 - にいがたアニメマンガフェスティバル - ウェイバックマシン(2011年6月11日アーカイブ分)
  8. ^ a b c d e f g 将星の書 2017, p. 191
  9. ^ a b c d e 【月刊少年シリウス創刊13周年記念スペシャル企画】★シリウス新人賞出身作家スペシャルインタビュー★カトウコトノ先生編”. 月刊少年シリウス編集部ブログ. 講談社 (2018年5月26日). 2021年6月8日閲覧。
  10. ^ a b 第5回「少年シリウス」新人賞 - 講談社 - ウェイバックマシン(2021年6月8日アーカイブ分)
  11. ^ a b “カトウコトノ「将国のアルタイル」4巻でサイン会”. コミックナタリー (ナターシャ). (2009年3月13日). https://natalie.mu/comic/news/14309 2021年6月8日閲覧。 
  12. ^ “カトウコトノ、夏海ケイら新潟出身マンガ家が凱旋原画展”. コミックナタリー (ナターシャ). (2010年2月26日). https://natalie.mu/comic/news/28311 2021年6月8日閲覧。 
  13. ^ a b “カトウコトノ、新潟のマンガフェスでトークショーに出演”. コミックナタリー (ナターシャ). (2011年1月30日). https://natalie.mu/comic/news/44125 2021年6月8日閲覧。 
  14. ^ “新潟シティが2次元まみれ!「アニメ・マンガフェス2011」”. コミックナタリー (ナターシャ). (2011年2月15日). https://natalie.mu/comic/news/45030 2021年6月8日閲覧。 
  15. ^ “ゆるゆり、パタリロほか人気作ずらり!新潟でマンガの祭典”. コミックナタリー (ナターシャ). (2012年2月16日). https://natalie.mu/comic/news/64572 2021年6月8日閲覧。 
  16. ^ “講談社漫画賞、将国のアルタイル、PとJK、ザ・ファブルの3作品に決定”. コミックナタリー (ナターシャ). (2017年5月9日). https://natalie.mu/comic/news/231840 2018年4月6日閲覧。 
  17. ^ TVアニメ『将国のアルタイル』、7月放送開始! 新PV&追加キャストを発表”. マイナビニュース (2017年3月26日). 2018年4月6日閲覧。
  18. ^ “「将国のアルタイル」TVアニメ化!村瀬歩や古川慎ら出演、ボイス入りPVも”. コミックナタリー (ナターシャ). (2016年12月25日). https://natalie.mu/comic/news/214460 2021年6月8日閲覧。 
  19. ^ a b “アニメ「将国のアルタイル」特集”. コミックナタリー (ナターシャ). (2017年7月3日). https://natalie.mu/comic/pp/altair 2022年2月13日閲覧。 
  20. ^ “カトウコトノ「将国のアルタイル」原画展がGoFaで開催、新潟でも実施”. コミックナタリー (ナターシャ). (2017年7月9日). https://natalie.mu/comic/news/239975 2021年6月8日閲覧。 
  21. ^ “「将国のアルタイル」原画展、サイン入りアートグラフの販売やコラボカフェ”. コミックナタリー (ナターシャ). (2017年9月5日). https://natalie.mu/comic/news/247471 2021年6月8日閲覧。 
  22. ^ “カトウコトノ「将国のアルタイル」の原画展が新潟で、缶バッジ付き入場券も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2017年10月17日). https://natalie.mu/comic/news/253029 2021年6月8日閲覧。 
  23. ^ 『将国のアルタイル』アニメ化決定にファン大興奮!「古橋監督とMAPPAのプロジェクトなんて感無量!」”. ダ・ヴィンチニュース. KADOKAWA (2017年1月9日). 2022年2月13日閲覧。
  24. ^ TVアニメ『将国のアルタイル』KENNさんが作中でグッとくる部分とは - アニメイトタイムズ - ウェイバックマシン(2021年3月24日アーカイブ分)
  25. ^ シドがアニソンタイアップの時、大切にしているコト――TVアニメ『将国のアルタイル』OPテーマで表現したシドならではの世界観/インタビュー”. アニメイトタイムズ. アニメイト (2017年8月1日). 2022年3月3日閲覧。
  26. ^ “シド「螺旋のユメ」特集”. 音楽ナタリー (ナターシャ). (2017年8月2日). https://natalie.mu/music/pp/sid03 2022年3月3日閲覧。 
  27. ^ 夏アニメ『将国のアルタイル』主演・村瀬歩さんとマフムートとの共通点とは/声優インタビュー”. animateTimes. アニメイト (2017年7月7日). 2022年2月13日閲覧。
  28. ^ a b c d e 将星の書 2017, p. 181
  29. ^ 将星の書 2017, p. 182
  30. ^ 将星の書 2017, p. 183
  31. ^ 『「将国のアルタイル」原画展〜大将国展〜』が開催決定! 原画展記念描き下ろしイラストを使用した限定アイテムも販売 - アニメイトタイムズ - ウェイバックマシン(2017年9月16日アーカイブ分)
  32. ^ 将国のアルタイル:17年の連載に幕 威風堂々、堂々完結 テレビアニメ化も話題に」『まんたんウェブ』MANTAN、2023年11月25日。2023年11月25日閲覧。
  33. ^ a b c “ラノベ「生徒会探偵キリカ」がマンガ化、シリウスで始動”. コミックナタリー (ナターシャ). (2012年4月26日). https://natalie.mu/comic/news/68475 2021年6月8日閲覧。 
  34. ^ 『小国のアルタイルさん』(ソガ シイナ、カトウ コトノ)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2021年6月8日閲覧。
  35. ^ “シリウスで「将国のアルタイル」外伝開幕、「獣の奏者」は7年半の連載に幕”. コミックナタリー (ナターシャ). (2016年1月26日). https://natalie.mu/comic/news/173783 2021年6月8日閲覧。 
  36. ^ 『将国のアルタイル嵬伝/嶌国のスバル(7)』(カトウ チカ、小林 裕和、カトウ コトノ)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2021年6月8日閲覧。
  37. ^ “「将国」の外伝「嶌国のスバル」1巻、東弓を巡る極東の小国の国土回復譚”. コミックナタリー (ナターシャ). (2017年1月17日). https://natalie.mu/comic/news/217177 2021年6月8日閲覧。 
  38. ^ a b “カトウコトノの初画集、「将国のアルタイル」のイラスト170点以上を収録”. コミックナタリー (ナターシャ). (2017年10月6日). https://natalie.mu/comic/news/251687 2022年2月13日閲覧。 
  39. ^ 『画集 将国のアルタイル』(カトウ コトノ)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2022年2月13日閲覧。
  40. ^ a b “マコリプ完結!羽海野らが尾玉なみえ愛を叫ぶ”. コミックナタリー (ナターシャ). (2014年10月25日). https://natalie.mu/comic/news/129594 2022年2月13日閲覧。 
  41. ^ a b “早稲田ちえ、松本光司らも登場!なかよし付録の豪華ポスター第2弾”. コミックナタリー (ナターシャ). (2015年3月3日). https://natalie.mu/comic/news/139928 2022年2月13日閲覧。 
  42. ^ “「将国のアルタイル」カトウコトノがサイン会&原画展”. コミックナタリー (ナターシャ). (2011年7月20日). https://natalie.mu/comic/news/53376 2022年2月13日閲覧。 
  43. ^ “将国のアルタイル原画展&サイン会が開催”. コミックナタリー (ナターシャ). (2014年11月3日). https://natalie.mu/comic/news/130283 2022年2月13日閲覧。 

参考文献[編集]

  • カトウコトノ『将国のアルタイル公式ファンブック 将星の書』講談社、2017年8月9日。ISBN 978-4-06-393275-1