キューバソレノドン
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キューバソレノドン | |||||||||||||||||||||||||||
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キューバソレノドン Solenodon cubanus 1913年撮影(ニューヨーク動物学会) | |||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Solenodon cubanus Peters, 1861[2] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
Atopogale cubana: Cabrera, 1925[2] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
キューバソレノドン[3] | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Cuban solenodon[3] | |||||||||||||||||||||||||||
生息図 |
キューバソレノドン(Solenodon cubanus)は、真無盲腸目ソレノドン科ソレノドン属(Atopogale属とする説もあり)に分類される哺乳類。
キューバの切手や記念コインになるなど同国を象徴する希少動物で、現地ではアルミキと呼ばれている[4]。
分布
[編集]キューバ東部[3][5]固有種。アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園などに生息。種小名cubanusは「キューバの」の意で、和名や英名と同義。
形態
[編集]頭胴長(体長)25 - 31センチメートル[3]。尾長17 - 25センチメートル[3]。体重0.7 - 1キログラム[5]。頭部や腹面の毛衣は黄褐色、背面の毛衣は灰褐色や暗褐色[3]。
前肢の爪は、指よりも長い[3]。ハイチソレノドンと比較して尾がわずかに短く、吻の軟骨と顎骨を結合する球窩関節を欠く[6]。
分類
[編集]ソレノドン科には、キューバに生息している本種と、東隣のイスパニョーラ島にいるハイチソレノドンの2種しか現存しない[4]。
ハイチソレノドンとともにソレノドン属Solenodonに分類されているが、分子系統解析による分岐年代が古いことから独立したAtopogale属に分類する説もある[7]。
生態
[編集]熱帯雨林に生息し[5]、哺乳類としては珍しく唾液に毒を持つ。主に地表棲だが[3]、木に登ることもできる[5]。夜行性[5]。
繁殖形態は胎生。1回に1 - 3頭の幼獣を産む[3]。幼獣は生後数か月は、母親と生活する[5]。
人間との関係
[編集]開発による生息地の破壊、人為的に移入されたノイヌ、ノネコやマングースなどによる捕食などにより生息数は激減している[3][5]。1890年代から1960年代まで確認例がなかったため絶滅したと考えられていたが、1970年代にキューバ東部で再発見された[3][5]。
2012年から、キューバと日本の合同研究チームが、同年3月から4月にかけての調査で、キューバ東部において生体個体7匹の捕獲に成功した。今回の捕獲で、毒のある唾液のサンプル採取にも初めて成功している[8]。キューバでは外国人による調査活動が許可されにくく、詳しい生態が長年不明だったが、宮城教育大学に研究員として採用されたキューバ環境省の元職員が橋渡し役となり合同研究が実現した[9]。
脚注
[編集]- ^ Kennerley, R., Turvey, S.T. & Young, R. 2018. Atopogale cubana. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T20320A22327125. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2018-1.RLTS.T20320A22327125.en. Accessed on 03 April 2022.
- ^ a b Neal Woodman, “American Recent Eulipotyphla: Nesophontids, Solenodons, Moles, and Shrews in the New World,” Smithsonian Contributions to Zoology. Number 650, Smithsonian Institution Scholarly Press, 2018, Pages 1-107.
- ^ a b c d e f g h i j k 阿部永「キューバソレノドン」小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』、講談社、2001年、76-77頁。
- ^ a b 大舘智志「謎多き稀少動物「キューバソレノドン」の研究最前線 : 従来の説を覆す!」『academist journal』、アカデミスト株式会社、2017年2月、NAID 120005955481。
- ^ a b c d e f g h i 『絶滅危惧動物百科4 カザリキヌバネドリ―クジラ(シロナガスクジラ)』 財団法人自然環境研究センター監訳、朝倉書店、2008年、76-77頁。
- ^ Martin E. Nicoll箸、今泉吉晴訳「ソレノドン」、今泉吉典監修、D.W.マクドナルド編 『動物大百科6 有袋類ほか』、平凡社、1986年、16-17頁。
- ^ Alfred L. Roca, Gila Kahila Bar-Gal, Eduardo Eizirik, Kristofer M. Helgen, Roberto Maria, Mark S. Springer, Stephen J. O'Brien & William J. Murphy, “Mesozoic origin for West Indian insectivores,” Nature Volume 429, Nature Publishing Group, 2004, Pages 649–651.
- ^ 謎の生物:唾液に毒、キューバ固有の哺乳類捕獲 毎日新聞 2012年5月14日16時36分掲載
- ^ 謎の哺乳類?世界最大級モグラの生態に迫る | 河北新報オンラインニュース - 河北新報
参考文献
[編集]- 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科6 有袋類ほか』、平凡社、1986年、16-17、157頁。
- 大舘智志, 北将樹, ラザロ・エチェニケ, ヘラルド・ベゲ, 保尊脩「キューバソレノドン(アルミキ)の多数捕獲の成功と調査顛末 : 「珍獣」でなくなる日を目指して」『どうぶつと動物園』第65巻第1号、東京動物園協会、2013年1月、24-29頁、ISSN 0288-4887、NAID 120005353236。
- Echenique-Díaz, Lázaro M.; Ohdachi, Satoshi; Kita, Masaki; Begué-Quiala, Gerardo; Páez, Rafael Borroto; Labañino, Jorge L. Delgado; Díez, Jorgelino Gámez; Hoson, Osamu; Saito, Chiemi (March 2014). “Assessing Local People's Knowledge of the Endangered Cuban Solenodon (Solenodon cubanus) in Alejandro de Humboldt National Park, Cuba”. 環境教育研究紀要 (宮城教育大学環境教育実践研究センター) 16: 89-95 .
- 大舘智志、ラザロ・エチェニケ-ディアス、ヘラルド・ベゲ-キアラ、溝田浩二、北将樹「野生のキューバソレノドン(アルミキ)Solenodon cubanusの生態を垣間見る」『哺乳類科学』第58巻第2号、日本哺乳類学会、2018年、204-204頁、doi:10.11238/mammalianscience.58.204。