ゲドガキのバケモン

ウィキペディアから無料の百科事典

ゲドガキのバケモン長崎県福江島に伝わる妖怪南松浦郡岐宿町二本楠(現・五島市)と玉之浦町字荒川(現・同)との間にあるゲドガキという土地に住んでいたとされる。「バケモン」は「化け物」の意味で、「ゲドガキの化け物」とも呼ばれる。

概要[編集]

昔、玉之浦中須にいた丑松という子供がある晩に大泣きしたので、父親が「そんなに泣くとゲドガキのバケモンに食わすぞ!」と叱りつけた。すると家の外から「そんなら俺に食わせろ」と大声が返った。驚いた父は咄嗟に「これが一人前になったら食わすで」と言い逃れをしてしまった。

やがて一人前の若者に育った丑松がある日、用事で荷物を背負って帰宅する途中にゲドガキを通ると、バケモンが現れ「汝の父から汝は貰ったぞ」と襲いかかってきた。丑松も腕に覚えがあったので大格闘となったが、バケモンが丑松を捕らえようと背の荷物に手をかけたところ、背負い紐が切れたので丑松は逃げることができた。

しかし後日、丑松が同じように酒樽を背負ってゲドガキを通ったところ、バケモンが再び襲ってきた。このときは背負い紐が切れにくい丈夫な紐であったことが災いした上、バケモンが引っ張った酒樽から酒がこぼれ、滑って転んだ丑松は、バケモンに捕まって食べられてしまった。

丑松の家にいる父のもとには「お前の子を貰ったぞ!」とバケモンの声が響いたという。

参考文献[編集]

  • 伊藤清司監修宮田登責任編集『ふるさとの伝説 4 鬼・妖怪』ぎょうせい、1990年。ISBN 978-4-324-01739-5 
  • 今野圓輔編著『日本怪談集 -妖怪篇-』社会思想社〈現代教養文庫〉、1981年。ISBN 978-4-390-11055-6 
  • 水木しげる著『水木しげるの妖怪図鑑(下)』講談社〈講談社X文庫〉、1986年。ISBN 978-4-06-1900653 

関連項目[編集]