テネシー (装甲艦・2代)

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テネシー
CSS/USS テネシー
基本情報
建造所 Henry D. Bassett
運用者  アメリカ連合国海軍
 アメリカ合衆国海軍
艦種 砲郭型装甲艦
艦歴
起工 1862年10月
進水 1863年2月
就役 1864年2月16日
最期 1864年8月5日、モービル湾の海戦で北部海軍に鹵獲
1865年8月19日に退役、1867年11月27日に解体のため売却
要目
排水量 1,273ロングトン (1,293 t)
長さ 209 ft (63.7 m)
48 ft (14.6 m)
吃水 14 ft (4.3 m)
ボイラー 4基
推進 蒸気機関 2基
2軸スクリュー
速力 5ノット
乗員 133人(士官、下士官兵合計)
兵装 7 in (178 mm)二重帯補強型ブルック施条砲 x 2
6.4 in (163 mm) 二重帯補強型ブルック施条砲 x 4
衝角
装甲
  • 砲郭: 5–6 in (127–152 mm)
  • 甲板: 2 in (51 mm)
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テネシー (CSS Tennessee、後にUSS Tennessee)は南北戦争中の砲郭型装甲艦で、アメリカ連合国海軍(南部海軍)が建造したが、アメリカ合衆国海軍(北部海軍)に鹵獲された。南軍においてはフランクリン・ブキャナン提督が司令官を務めるモービル川艦隊に所属した。1864年8月5日にモービル湾の海戦で北軍に鹵獲され、8月9日-23日のモーガン要塞包囲戦(Siege of Fort Morgan)では北軍艦艇として参加した。戦争終了後の1867年に解体のために売却された。

CSS テネシー[編集]

テネシーはアラバマ州セルマで建造され、1864年2月16日に就役した。進水後、CSS バルティックにアラバマ州モービルまで曳航され、そこで艤装されている。

起工は1862年10月であり、船体および木材部分はヘンリー・バセット(Henry D. Bassett)が担当し、1863年2月に進水した。その後モービルにおいて蒸気機関と武装の搭載が行われた。蒸気機関は蒸気船アロンゾ・チャイルドのものを使用した。砲郭は素材だけがCSS コロンビアCSS テキサスと違っていた。装甲板は厚さ2インチ・幅10インチであり、CSS ハンツビルCSS タスカルーサのものと同じであったが、これらの艦が2層装甲であったのにたいし、テネシーは3層装甲を採用していた。装甲板はアラバマ州シェルビー(Shelby)のシェルビー鉄工所(Shelby Iron Company)で製造された。

フランクリン・ブキャナン提督は1863年9月20日付けの海軍長官スティーブン・マロリー宛ての手紙で以下のように述べている:

この数週間、ピアース氏の下で、彼の力が及び限りにおいては、テネシーの建造は進捗している。装甲板とボルトに関しては遅れが大きい。船体両側のスポンソンに装甲板を取り付けるには、船体を数フィート傾ける必要があり、従って同時に装甲板を取り付けるのは不可能である。その場合でも、作業員は水に腰まで使って作業を行う必要がある - テネシーを傾けるためには、12フィート四方の大きなビームをポストに固定し、その上に何トンもの鉄板を装着しなければならない。スポンソンへの鉄板取り付け作業中には、他の装甲板の取り付けはできない。それが有利に働く場合は、作業は昼夜兼行で行われた。私はメカニックの作業を管理し確実なものにするために、ナッシュビルとテネシーの建造現場をしばしば訪問し、私の詳細な指示通りに徴集員の作業をすすませた。以前は、作業は極めて個人的であり、気が進まないときには作業を止めていた。
(ピアース氏とは、モービル地域での海軍の造船管理官代理を務めていたジョセフ・ピアースのことである)

テネシーはブキャナン提督の旗艦となり、1864年8月5日のモービル湾の海戦では勇敢に戦った。その朝、テネシーと木造砲艦CSS ゲインズ(CSS Gaines)、CSS モーガン(CSS Morgan)およびCSS セルマ(CSS Selma)は、北軍デヴィッド・ファラガットが指揮する有力な艦隊に向かって出撃した。北軍艦隊は4隻の装甲モニター艦と14隻の木造艦から構成されていた。北軍艦艇の方が優速で衝角攻撃は実施できなかったため、テネシーは近距離から激しい砲撃を行った。南軍砲艦は全て沈没するか行方不明となった。北軍艦隊はモービル湾内部に進入し投錨した。ブキャナンはテネシーを自軍要塞の援護下におくべきだったかもしれないが、圧倒的戦力差にもかかわらず北軍艦隊を追った。テネシーは北軍全艦艇の標的となった。何隻かの北軍艦艇に衝突され、脆弱であった操舵チェーン(なぜか後部甲板の露出部にあった)が砲撃により破壊された。動くことができなくなったテネシーには、重い実体弾が繰り返し命中した。ブキャナンと他に8人が負傷し、艦自体の損傷も大きかったため、テネシーは降伏を余儀なくされた。

USS テネシー[編集]

テネシーを鹵獲した後、北軍は直ちに損傷箇所を修理し、合衆国海軍に編入した。艦長にはピエール・ジロード大尉が任命された。テネシーは8月23日のモーガン要塞の攻撃に参加し、同日の要塞降伏をもたらした。秋に入って、テネシーはモービルからルイジアナ州ニューオーリンズに移動し、修理後にミシシッピ川艦隊に加わった。翌年4月の戦争終了後もしばらくの間、テネシーはミシシッピ川に留まった。1865年8月19日、テネシーは退役しニューオーリンズでドックに入った。1867年11月27日にオークションでJ.F. アームストロングに売却されるまでその地にあった。船体はスクラップにされたが、7インチブルック施条砲2門および6.4インチブルック施条砲2門は、現在もワシントン海軍工廠の兵器博物館に展示してある。二重帯補強型6.4インチブルック施条砲1門がバージニア州ノーフォークアメリカ艦隊総軍に展示してある。

参考文献[編集]

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  • Gardiner, Robert (1979). Conway's All The World's Fighting Ships 1860–1905. Conway Maritime Press. ISBN 0-85177-133-5 
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  • CSS Tennessee”. Dictionary of American Naval Fighting Ships. Naval History & Heritage Command (NH&HC). 2013年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月25日閲覧。
  • USS Tennessee”. Dictionary of American Naval Fighting Ships. Naval History & Heritage Command (NH&HC). 2013年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月25日閲覧。
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  • Silverstone, Paul H. (2006). Civil War Navies 1855–1883. The U.S. Navy Warship Series. New York: Routledge. ISBN 0-415-97870-X 
  • Still, William N., Jr. (1985). Iron Afloat: The Story of the Confederate Armorclads (Reprint of the 1971 ed.). Columbia, South Carolina: University of South Carolina Press. ISBN 0-87249-454-3 
  • United States, Naval War Records Office (1921). Official Records of the Union and Confederate Navies in the War of the Rebellion. Series II. Volume 1: Official records of the Union and Confederate Navies in the War of the Rebellion. ; Series II – Volume 1: Statistical Data of Union and Confederate Ships; Muster Roles of Confederate Government Vessels; Letters of Marque and Reprisals; Confederate Department Investigations. Washington, D. C.: Government Printing Office. http://digital.library.cornell.edu/cgi/t/text/text-idx?c=moawar;idno=ofre2001 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

Photos of CSS Tennessee