バレニン
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バレニン(balenine) | |
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別称
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 331-38-4 |
PubChem | 10198648 |
日化辞番号 | J11.406E |
特性 | |
化学式 | C10H16N4O3 |
モル質量 | 240.26 g mol−1 |
関連する物質 | |
関連物質 | イミダゾールジペプチド |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
バレニン(英語:Balenine[1])とは、イミダゾールジペプチドの一つ[2]。Nα-β-アラニル-1-メチル-L-ヒスチジン。別名:オフィジン (ophidine)。β‐アラニンに3‐メチルL-ヒスチジンが結合したもの[3]。ヒゲクジラの筋肉中に多量に含有され、抗疲労作用のある生体物質とされる[2]。
研究
[編集]バレニンは、1962年にヒゲクジラの筋肉から初めて同定[3]。 1976年には、マッコウクジラ、スジイルカ、ヒキガエル、ホタテガイの筋肉中に確認された[4]。 2009年までに、マッコウクジラの筋肉にはバレニンはそれほど含まれていない(100g中に数mg)ものの、ミンククジラ、イワシクジラ、クロミンククジラ、ナガスクジラ、ニタリクジラの筋肉には多量に含まれていること(100g中に千数百mg)がわかった[5]。
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※筋肉とのみ表示してあるものは数個体あるいは数種および異なる筋肉における範囲を示す。
機能
[編集]2006年の日本鯨類研究所が指摘する様に、イミダゾールジペプチド化合物3つ(ほかはカルノシン、アンセリン)のうち、バレニンの実験結果は少なかった[7]。 2006年までに、ミンククジラ肉から抽出したバレニンで筋肉疲労の発生を予防し、回復を早める作用を有する可能性が確認され[5]、 2013年、日本鯨類研究所など[どこ?]が、ヒトに対して、疲労を軽減する効果がある試験結果を得た[2]。疲労による副交感神経機能の低下が抑えられ、疲労感が改善したという[2]。
日本の農林水産省は、「大海原を泳ぎ続ける鯨のスタミナは、体内に大量に含まれているアミノ酸物質「バレニン」に秘密があると考えられています。」と紹介した[7]。
2011年に、東京大学名誉教授(水圏生命科学)の阿部宏喜は「バレニンには抗疲労効果だけでなく、細胞を保護したり、傷を治したりするなど多彩な効用がある。ところが、あまりにも効用が多すぎ、どの作用がどの症状を軽減するかが、まだ特定できていない」と説明した[8]。
食品加工
[編集]鯨肉の缶詰などを作る際の煮汁をフリーズドライ製法によりサプリメント化する[8]。従来、煮汁は捨てるしかなかったという[8]。
脚注
[編集]- ^ 日本化学物質辞書web
- ^ a b c d 【りこめんど】クジラ肉に疲労軽減効果 鯨類研究所+(1/2ページ)2013.9.20 - MSN産経ニュース
- ^ a b カルノシンとアンセリン カルノシン・アンセリン研究会
- ^ イオン交換クロマトグラフィーによる筋肉中のカルノシン,アンセリン,バレニンの定量、294頁(PDF) 西沢直行、高野やすし、神立誠。分析化学 25(5), 294-298, 1976-05-10。社団法人日本分析化学会。
- ^ a b c 鯨類捕獲調査で得られた鯨類体内におけるイミダゾールジペプチド類の比較(短報) 25、26ページ。北海道立水産試験場研究報告 (74), 25-27, 2009-03、北海道立水産試験場。地方独立行政法人 北海道立総合研究機構水産研究本部。
- ^ a b 鯨研通信(PDF) 3頁、第429号、2006年3月、ISSN 1340-9409、財団法人日本鯨類研究所
- ^ a b c d e 特集1 鯨を学ぶ(1) - 鯨肉にはヘルシーな魅力がたくさんです。 農林水産省
- ^ a b c マル秘サプリメントの原料はクジラ更新 2011/2/23 〈週刊朝日〉-朝日新聞出版 dot.(ドット)
関連項目
[編集]- カルノシン、アンセリン - これらも抗酸化作用と抗疲労効果を有するイミダゾールジペプチドである。
外部リンク
[編集]- ChemicalBook
- 鯨のパワーいま注目される健康栄養源バレニンを手に入れる(PDF) - 日本捕鯨協会