フォッサ
ウィキペディアから無料の百科事典
フォッサ | ||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フォッサ Cryptoprocta ferox | ||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1][2][3] | ||||||||||||||||||||||||||||||
VULNERABLE (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ワシントン条約附属書II | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Cryptoprocta ferox Bennett, 1833[3][4][5] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
フォッサ[5][6][7][8] | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Fossa[3][4][5][7][8] | ||||||||||||||||||||||||||||||
フォッサ(学名:Cryptoprocta ferox)は、マダガスカルマングース科フォッサ属に分類される哺乳類。本種のみでフォッサ属を構成する(単型)[5]。
分布
[編集]形態
[編集]体長61 - 80センチメートル[7]。尾長65 - 90センチメートル[7]。肩高37センチメートル[5][7]。体重オス6 - 12キログラム、メス5 - 7キログラム[7]。マダガスカルに分布する食肉目では最大種[7][8]。体形は長い[5][7]。頭部はやや短い[5]。頭部の形状は角張る[7]。全身は短く柔らかい体毛が密生する[7]。背面は赤褐色や暗褐色、腹面はクリーム色[7]。
眼は大型[5][8]。眼は顔の正面に位置する[7][8]。耳介は丸みを帯びる[5][7][8]。口髭の長さは、頭長とほぼ同程度に達する[5][7]。歯列が門歯が上下6本、犬歯が上下2本、小臼歯が上下6 - 8本、大臼歯が上下2本の計32 - 36本の歯を持つ[5]。裂肉歯が発達する[7][8]。四肢は短い[5][7]。足裏にはほぼ体毛がなく、樹上での生活に適していると考えられている[5]。指趾には小型の爪があり、爪を収納する鞘がないものの自由に出し入れができる[5][7][8]。指趾には水掻きがある[7][8]。胸部には臭腺が発達する[5]。肛門周辺の臭腺(肛門腺)が発達し[7][8]、肛門が隠れる[5]。属名Cryptoproctaは古代ギリシャ語で「隠れた肛門」の意[5]。染色体の数は42[5]。
出産直後の幼獣は体重100 - 150グラム[7]。体色は白や灰色[5]。オスは陰茎骨があり[8]、陰茎は長く亀頭表面に刺が並ぶ[5]。乳首の数は6個で、脇の下や胸部・腹部に左右に1つずつある[5]。陰核は大型で、陰核骨がある[5]。子宮は左右に完全に分かれる(重複子宮)[5]。
分類
[編集]古くは形態からネコ科に分類されていたこともある[5][8]。
生態
[編集]標高2,600メートル以下の熱帯雨林やサバンナなどに生息する[7]。一方で標高1,500メートル以上でみられることはまれとされる[3]。樹上棲だが[5][8]、地表でも活動する[7]。夜行性だが[8]、昼間に活動することもある[7]。木の股で休むが、洞窟で休むこともある[7]。単独で生活する[5]。足裏全体を接地して移動する(蹠行性)[8]。
キツネザル類や齧歯類・テンレック類などの哺乳類、鳥類、爬虫類、カエル、昆虫などを食べる[5]。獲物を前肢で捕らえ[8]、後頭部や喉に噛みついて仕留める[7]。キツネザル類などの大型の獲物を、2頭で協力して捕らえることもある[7]。
繁殖様式は胎生。9 - 11月に交尾を行う[7]。妊娠期間は90日[5]。シロアリの蟻塚などの中で出産する[5][7]。1回に2頭(まれに3 - 4頭)の幼獣を産む[7]。幼獣は生後16 - 25日で開眼する[8]。授乳期間は約4か月[8][7]。飼育下では3 - 4年で性成熟した例がある[7]。寿命は20年[5][7]。
人間との関係
[編集]和名や英名はマダガスカルでの呼称に由来する[5]。
生息地では食用とされることもあり[5]、部位によっては伝統的に薬用になると信じられている[3]。
民家やテント・家禽小屋に侵入し、家禽を襲うこともある[7]。
森林伐採や農地開発による生息地の破壊、狩猟、害獣としての駆除などにより生息数は減少している[3]。1977年にワシントン条約附属書IIに掲載されている[2]。
飼育施設
[編集]日本では2010年、恩賜上野動物園に初めて来園し、以降つがいで飼育展示していたが、2017年5月に雌が死去[9]、2024年3月に雄が死亡し、国内で飼育されているフォッサはいなくなった[10]。
画像
[編集]- イラスト
- 頭骨
出典
[編集]- ^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng>(Accessed 01/08/2018)
- ^ a b UNEP (2018). Cryptoprocta ferox. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (Accessed 01/08/2018)
- ^ a b c d e f g Hawkins, F. 2016. Cryptoprocta ferox. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T5760A45197189. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T5760A45197189.en, Downloaded on 01 August 2018.
- ^ a b c d W. Christopher Wozencraft, "Order Carnivora". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 532-628.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 祖谷勝紀・伊東員義 「ジャコウネコ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、78-118頁。
- ^ 川田伸一郎, 岩佐真宏, 福井大, 新宅勇太, 天野雅男, 下稲葉さやか, 樽創, 姉崎智子, 横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 小原秀雄 「フォッサ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2001年、161-162頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Chiris Wemmer 「ジャコウネコとジェネット」「フォッサ」古屋義男訳『動物大百科 1 食肉類』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、152-159,161頁。
- ^ "フォッサの「アンバー」とカナダヤマアラシ「ドリ」の死"。東京都ズーネット(2017年7月3日)。2017年7月25日時点のアーカイブ。
- ^ "フォッサの「ベザ」が死亡しました"。東京ズーネット(2024年3月25日)。2024年3月25日時点のアーカイブ。