ラムダ・キューブ

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ラムダ・キューブの図。上向き軸はパラメトリック多相、奥向き軸は型オペレータ、右向き軸は依存型。

型理論において、ラムダ・キューブ (Lambda cube) とは、8つの異なる型付きラムダ計算の関係を表した図である。これらの計算体系がそれぞれ型(type)と項(term)の間にどのような依存関係を認めるかを整理したもので、単純型付きラムダ計算から、Calculus of Constructions (CoC)英語版を導くフレームワークになっている。数学者ヘンク・バレンドレフトによって1991年に提唱された。

(右図参照)ラムダキューブの原点は、単純型付きラムダ計算に相当する。三つの座標軸は、Y軸=パラメトリック多相、Z軸=型オペレータ、X軸=依存型に対応している。X, Y, Zの三軸線を融合した終点のは、Calculus of Constructionsに相当する。

各頂点は、以下の通りである:

λ→
項に依存した項(単純型付きラムダ計算
一階命題論理
(これを以下全てが含む。)
λ2
型に依存した項(System F
パラメトリック多相
二階命題論理
λω
型に依存した型(System Fω
型オペレータ
弱性高階命題論理
λω
型に依存した型、型に依存した項(System Fω)
型構築子
高階命題論理
λ2とλωの融合
λP
項に依存した型(
依存型
一階述語論理
λP2
型に依存した項、項に依存した型(
依存型
二階述語論理
λPとλ2の融合
λPω
項に依存した型、型に依存した型(
依存型
弱性高階述語論理
λPとλωの融合
λC
型に依存した型、型に依存した項、項に依存した型(
CoC
高階述語論理
λP2とλPωの融合

参考文献[編集]

  • Barendregt, Henk, “Lambda Calculi with Types”, Handbook of Logic in Computer Science, Volume II, Oxford University Press, ISBN 0-19-853761-1, ftp://ftp.cs.ru.nl/pub/CompMath.Found/HBK.ps