レディース・アンド・ジェントルメン (ELPのアルバム)

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レディース・アンド・ジェントルメン
エマーソン・レイク&パーマーライブ・アルバム
リリース
録音 1973年-1974年
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル マンティコア
プロデュース グレッグ・レイク
専門評論家によるレビュー
Allmusic link
チャート最高順位
ゴールドディスク
  • Gold(米国・RIAA))
  • エマーソン・レイク&パーマー アルバム 年表
    恐怖の頭脳改革
    (1973)
    レディース・アンド・ジェントルメン
    (1974)
    ELP四部作
    (1977)
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    レディース・アンド・ジェントルメン(Welcome Back My Friends To The Show That Never Ends...Ladies and Gentlemen)は、エマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)が1974年に発表したライブ・アルバム

    解説[編集]

    意図[編集]

    ELPの結成四周年を記念するアルバムで、「海賊盤対策」という特殊な事情でリリースされた『展覧会の絵』を別にすれば、初めての公式ライブ・アルバムである。

    収録日[編集]

    ELPは1973年11月に発表された前作『恐怖の頭脳改革』の発表に合わせて1973年11月から1974年にかけてワールド・ツアーを行った[注釈 1]。本作の音源は、1974年2月10日に22,000人の聴衆を集めたアナハイム・コンベンション・センターで録音された[2]。この録音の為に、ロサンジェルスウォーリー・ハイダー・スタジオから、24トラックのモバイル録音ユニットと40入力を持つコンソールを含む機器とスタッフとが動員された。

    内容[編集]

    本作が発売された当時、グレッグ・レイクやカール・パーマーがインタビューで「ELPの現時点でのライブの全貌である」、「アルバムを最初から順番に聴けば、ライブを全部聴いたのと同じ」という意味の発言をしている通り、本作にはコンサートの本編が演奏順にそっくりそのまま収録されている[注釈 2]。このワールド・ツアーは新作『恐怖の頭脳改革』を宣伝するためのもので、5曲の収録曲のうち「悪の教典#9」「聖地エルサレム」「トッカータ」「スティル…ユー・ターン・ミー・オン」の4曲が演奏されたが、その全てが本作に収録された。他には、「ラッキー・マン」や組曲「タルカス」など、この時点でELPのベスト・アルバムが編集されれば必ず選ばれたであろう、彼らの代表曲が収録された[注釈 3]

    レイクは組曲「タルカス」の「戦場」の最後に、キング・クリムゾンの「エピタフ」の一部分[注釈 4]をほぼ無伴奏で披露。「ピアノ・インプロヴィゼイション」[注釈 5]、「悪の教典♯9 第1印象」でのドラム・ソロなど、ライブの聴き所も収録されている。

    題名[編集]

    原題には、1974年4月18日に行われたウェンブリー・エンパイヤ・プールでのコンサートに於いて、司会者のピート・マーレイが使った紹介の言葉が使われている。この日は、ELPの1年半ぶりのイギリス・ツアーの初日であり、エンパイヤ・プールでは、この日を含めて4日連続でコンサートが行われた[3][注釈 6]

    "Welcome back my friends to the show that never ends" は、『恐怖の頭脳改革』のLPのB面の冒頭に収録されていた「悪の教典♯9 第1印象パート2」[注釈 7]の出だしの歌詞である[注釈 8]

    編集[編集]

    オリジナルLPは三枚組であった。28分近くに及ぶ組曲「タルカス」の冒頭の「噴火」から「戦場~エピタフ」までがB面に、残りの「アクアタルカス」がC面の冒頭に収録された[注釈 9]

    CDは二枚組で、ディスク1がLPのA面からC面までの音源、ディスク2がD面からF面までの音源を、それぞれ収録した。組曲「タルカス」は、全編がディスク1にひとつながりで収録された。

    収録曲[編集]

    A面(ディスク1)
    1. ホウダウン
    2. 聖地エルサレム
    3. トッカータ
    B面(ディスク1)
    1. タルカス
      1. 噴火
      2. ストーンズ・オブ・イヤーズ
      3. アイコノクラスト
      4. ミサ聖祭
      5. マンティコア
      6. 戦場~エピタフ
    C面(ディスク1)
    1. タルカス
      1. アクアタルカス
    2. 石をとれ:スティル…ユー・ターン・ミー・オン~ラッキー・マン
    D面(ディスク2)
    1. ピアノ・インプロヴィゼイション
    2. 石をとれ
    3. ジェレミー・ベンダー~シェリフ
    E面(ディスク2)
    1. 悪の教典♯9 第1印象
    F面(ディスク2)
    1. 悪の教典♯9 第2印象
    2. 悪の教典♯9 第3印象

    チャート[編集]

    イギリスでは最高5位、アメリカでは最高4位まで上昇した。それまでアメリカでの最高位は『トリロジー』の5位であった。従って本作は発売時にアメリカで最も順位が高かったELPのアルバムという事になる。

    脚注[編集]

    出典[編集]

    1. ^ 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.93
    2. ^ Macan (2006), p. 317.
    3. ^ Macan (2006), p. 333.

    注釈[編集]

    1. ^ 1974年3月7日のオクラホマ州タルサでのコンサートで録音された音源はアメリカのラジオ番組「キング・ビスケット・フラワー・アワー」で放送され、その一部が1997年に発表されたCD『キング・ビスケット・ライヴ』に収録された。
    2. ^ ELPの代表曲の一つである「展覧会の絵」は、このツアーではアンコールに演奏された。「ブートレグ・シリーズ」などで確認できる。
    3. ^ 「展覧会の絵」は、おそらく「既に1971年にライブ・アルバムで発表したから」という理由で、本作には収録されていない。
    4. ^ "Confusion will be my epitaph"(「『混乱』は我が墓碑銘となろう 」)から始まる数小節。原曲はレイクがキング・クリムゾンに在籍していた時の作品である。
    5. ^ フリードリヒ・グルダの「プレリュード・アンド・フーガ」と、ジョー・サリバンの "Little Rock Getaway" を含む。
    6. ^ 第一部はイギリスのジャズ・トリオのバック・ドアーが務めた。この時の縁で、メンバーの二人が『ELP四部作』『作品第2番』でパーマーと共演した。
    7. ^ LPレコード盤の収録時間には制限があったので、「恐怖の頭脳改革」のLPでは、「悪の教典#9 第一印象」の前半8分43秒がA面の終わりに「パート1」、後半4分47秒がB面の冒頭に「パート2」として収録された。
    8. ^ 1992年の再結成の後、同年に録音されて翌1993年に発表された『ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール 』では、司会のアラン・フリーマンが "Welcome back..." と紹介したのち、「悪の教典♯9 第1印象パート2」でコンサートが始まった。
    9. ^ 「戦場~エピタフ」はフェード・アウト、「アクアタルカス」はフェード・インする。

    参考文献[編集]

    • Macan, Edward (2006), Endless Enigma: A Musical Biography of Emerson, Lake and Palmer, Open Court, ISBN 978-0-8126-9596-0