井上尚弥 対 ポール・バトラー戦

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Undisputed
井上尚弥 対 ポール・バトラー戦
開催日 2022年12月13日
認定王座 WBAWBCIBFWBO世界バンタム級王座統一戦
リングマガジン世界バンタム級タイトルマッチ
開催地 日本の旗 日本東京都江東区
会場 有明アリーナ
観衆 15,000人
リングアナ ジミー・レノン・ジュニア
放送局 dTV(日本限定)
ひかりTV(日本限定)
ESPN+(全米、実況と解説はラスベガスの特設スタジオからリモート実況)
Main Event(オーストラリア全域)
Kayo Sports(オーストラリア全域)
実況・解説 矢野武(dTV:実況)、長谷川穂積山中慎介(dTV:解説)、魔裟斗(dTV:ゲスト)
ジョー・テシトレ(ESPN+:実況)
ティモシー・ブラッドリー(ESPN+:解説)
クリスティーナ・ポンチェル(ESPN+:実況,副音声)、ジャメル・ヘリング(ESPN+:解説,副音声)[1]
主催 ボブ・アラムトップランク
リチャード・シェイファー(プロベラム
大橋秀行大橋ボクシングジム
本田明彦帝拳プロモーション
ウェブサイト NTTドコモ Presents PXB WORLD SPIRITS WBA・WBC・IBF・WBO 世界バンタム級王座統一戦 井上尚弥 vs ポール・バトラー

井上尚弥 対 ポール・バトラー
Monster(怪物) Baby Faced Assassin (童顔の暗殺者)
比較データ
29歳 年齢 34歳
日本の旗 日本神奈川県座間市 出身地 イングランドの旗 イングランドチェスター
23戦 23勝 (20KO) 無敗 戦績 36戦 34勝 (15KO) 2敗
165cm 身長 168cm
53.45kg 体重 53.50kg
171cm リーチ 165cm
オーソドックス、強打、連打、正確性、スピード、スタミナ、打たれ強さ 特徴 オーソドックス、堅実なガード、フットワーク
井上真吾
大橋秀行
指導者 ジョー・ギャラガー
WBA世界バンタム級スーパー王者WBC世界バンタム級王者・IBF世界バンタム級王者・リングマガジン世界バンタム級王者・WBSS優勝・世界3階級制覇達成 評価 WBO世界バンタム級王者

結果 井上の11回1分9秒KO勝ち
主審 ベンス・コバックス(WBO)
副審 ロナルド・マクネイル(4団体)
イグナシオ・ロブレス(WBA)
フェルナンド・バルボサ(4団体)

NTTドコモ Presents PXB WORLD SPIRITS WBA・WBC・IBF・WBO 世界バンタム級王座統一戦 井上尚弥 vs ポール・バトラー(エヌティティドコモ プレゼンツ ピーエックスビー ワールド スピリッツ ダブリュービーエー・ ダブリュービーシー・アイビーエフ・ ダブリュービーオー せかいバンタムきゅうおうざとういつせん いのうえなおや たい ポール・バトラー)、別名Undisputedは、2022年12月13日、日本東京都江東区有明アリーナで開催されたプロボクシングの試合。WBAスーパーWBCIBF世界バンタム級王者の井上尚弥と、WBO世界バンタム級王者のポール・バトラーが行う4団体王座統一戦。通算で9回目となる4団体王座統一戦となり、バンタム級では初めてとなる4団体王座統一戦となった[2]

試合成立まで[編集]

2022年9月6日から17日までの間、弟・井上拓真、従兄弟・井上浩樹とともにフレディ・ローチが設立したアメリカロサンゼルスのワイルドカードジムで合宿を行い、WBAスーパーバンタム級1位・アザト・ホバニシャン、WBCフェザー級11位・アダム・ロペス、WBCフェザー級5位、WBO6位・ジョエト・ゴンザレスら、世界トップ選手6~7人を相手に計29ラウンドのスパーリングを行った[3]

2022年10月13日、横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズで会見を開き、12月13日に有明アリーナWBAスーパーWBCIBF世界バンタム級王者の井上とWBO世界バンタム級王者のバトラーが世界4団体王座統一戦を行うことを発表した[4]

2022年12月6日、バトラーが来日[5]。なお、英国内便が遅れたため乗り継ぎに失敗し、予定より1日遅れでの来日となった[6]

英国最大のブックメーカーウィリアムヒルオッズでは、井上の勝利に1.02倍がつけられ、バトラーは15倍と大差が付けられた。なお引き分けは26倍が付けられ、井上のKOラウンド予想は1~3回が1.5倍、4~6回が3.75倍、7~9回が13倍、10~12回が21倍となった[7]

計量[編集]

2022年12月12日、計量が横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズで行われ、井上が53.45kg、バトラーが53.50kgで合格した。なお、直前になってデジタル体重計が導入された影響から、井上は最初の計量で30gオーバーするも、5分後に再計量して50gアンダーでの合格となった[8]。 試合に使用するグローブは井上が黒のレイジェス、バトラーが白のRDXに決まり、リングアナウンサーは同月17日にザ・コスモポリタンでのプレミア・ボクシング・チャンピオンズ2022年ラスト興行のリングアナウンスを控えるジミー・レノン・ジュニアとなった。レフェリーはベンス・コバックス(ハンガリー:WBO)、ジャッジはロナルド・マクネイル(アメリカ:4団体)、イグナシオ・ロブレス(パナマ:WBA)、フェルナンド・バルボサ(アメリカ:4団体)の3人が務める事となった。なお採点の途中公開はなし[8]

試合[編集]

2022年12月13日、WBO世界バンタム級王者ポール・バトラーと対戦。終始ガードを固めながらサークリングやバックステップを駆使してチャンスを窺うバトラーに、井上はノーガードや両腕を背中にまわすなど相手の攻撃を誘う場面を交えながら猛攻を仕掛けると、11回に右ボディから左右の連打を浴びせてKO勝ちを収めた。井上はこの試合で新たにWBO王座を獲得、またWBA王座の8度目、WBC王座の1度目、IBF王座の6度目の防衛にも成功し、ボクシング史上9人目、バンタム級及びアジア人として初の四団体統一王者となった。試合後リング上で行われたインタビューでは、スーパーバンタム級への転向を宣言した[9]

試合後[編集]

井上の談話[編集]

久々に11ラウンドの戦いで、攻撃中心だったこともあり疲れた。戦い方は予想通りだったが、想像以上にタフだった。(ノーガードになどの挑発について)苛立っていたわけじゃないけど、倒されなければいいのか、倒しに日本に来てるんじゃないのか、ほんとに勝つ気があるのかと。そういう思いがあった。11ラウンドにしっかりギアを入れて倒し切れた。それが収穫[10]

バトラーの談話[編集]

井上はパンチが強くて正確だった。スピードもあった。ガードが甘くなったところを突こうと思っていて、それができたところもあったが、思っていたほどチャンスはなかった。守りを固めるのではなく、臆病だと思われたくないので、積極的に攻めていこうと思ったが、結果的にダウンしてしまった。(井上のディフェンスについて)井上は攻撃力と打たれ強さがあるがゆえにディフェンスが後回しになっている可能性がある。スーパーバンタム級に上げても失敗はしないかも知れないが、その点が厳しくなると思うので、考えなくてはならないことが増えると思う[11]

その他[編集]

  • 井上のファイトマネーは、ネット有料配信の視聴者数から算出されるインセンティブを除いた最低保証額が約3億円、バトラーが約90万ドル(約1億2150万円)となった[12][13]
  • 試合の模様は日本国内がdTVによる有料会員向けへの独占配信となっていたものの、井上の試合直前に想定以上のアクセスが集中しエラーが発生したため、急遽会員登録なしの無料で配信された[14]

試合カード[編集]

階級 vs. 結果 Round Time Notes
バンタム級 日本の旗 井上尚弥 (c) イギリスの旗 ポール・バトラー (c) KO 11/12 1:09 Note 1
スーパーライト級 日本の旗 平岡アンディ (c) 大韓民国の旗 誼敏虎 TKO 8/12 2:06 Note 2
スーパーバンタム級 日本の旗 武居由樹 (c) オーストラリアの旗 ブルーノ・タリモ TKO 11/12 2:17 Note 3
55.5kg級 日本の旗 井上拓真 フィリピンの旗 ジェイク・ボルネア TKO 8/10 2:48
58.0kg級 日本の旗 清水聡 フィリピンの旗 ランディ・クリス・レオン TKO 2/8 3:00
55.79kg級 イギリスの旗 ピーター・マクレール 日本の旗 三宅寛典 TKO 2/8 2:00

^Note 1 WBA・WBC・IBF・WBO世界バンタム級王座統一戦 ^Note 2 WBOアジアパシフィックスーパーライト級タイトルマッチ ^Note 3 OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級タイトルマッチ

日本ボクシングコミッション
公式採点表
王座:WBA・WBC・IBF・WBO世界バンタム級王座統一戦   主審:ベンス・コバックス(ハンガリー:WBO)   立会人:安河内剛(WBA:日本,JBC特命担当事務局長)
マウロ・ベッティー(WBC:イタリア,WBCインターナショナルタイトルマッチチェアマン,EBU副会長)
ベン・ケイルティー(IBF:オーストラリア,IBFオーストラリア,オセアニア,アジア地区統括本部長)
レオン・パノシリノ(WBO:フィリピン,WBOアジア太平洋地域事務局長)
開催日:2022年12月13日 会場:東京都江東区有明アリーナ 主催:トップランク
プロベラム
井上尚弥 ポール・バトラー 井上尚弥 ポール・バトラー 井上尚弥 ポール・バトラー
RS TS TS RS RS TS TS RS RS TS TS RS
10 1 9   10 1 9   10 1 9
10 20 2 18 9 10 20 2 18 9 10 20 2 18 9
10 30 3 27 9 10 30 3 27 9 10 30 3 27 9
10 40 4 36 9 10 40 4 36 9 10 40 4 36 9
10 50 5 45 9 10 50 5 45 9 10 50 5 45 9
10 60 6 54 9 10 60 6 54 9 10 60 6 54 9
10 70 7 63 9 10 70 7 63 9 10 70 7 63 9
10 80 8 72 9 10 80 8 72 9 10 80 8 72 9
10 90 9 81 9 10 90 9 81 9 10 90 9 81 9
10 100 10 90 9 10 100 10 90 9 10 100 10 90 9
               
副審:ロナルド・マクネイル(アメリカ:4団体) 副審:イグナシオ・ロブレス(パナマ:WBA) 副審:フェルナンド・バルボサ(アメリカ:4団体)
処分:無し 減点:無し 結果:井上の11回1分9秒KO勝ち

脚注[編集]

  1. ^ “[https://www.tapology.com/fightcenter/events/92428-inoue-vs-butler COMPLETED BOXING EVENT Inoue vs. Butler]”. Tapology (2022年12月13日). 2022年12月13日閲覧。
  2. ^ ボクシング井上尚弥、初尽くし全KOで4団体統一王者に 「2023年はスーパーバンタム級に転向」4階級制覇狙う:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 中日新聞東京本社 (2022年12月13日). 2022年12月13日閲覧。
  3. ^ 【ボクシング】井上尚弥にパウンドフォーパウンドNO.1記念盾贈呈。LA合宿詳細も BBM SPORTS 2022年9月20日
  4. ^ 尚弥VSバトラー4団体統一戦の12・13開催を正式発表 有明アリーナでの興行は初 Sponichi Annex 2022年10月13日
  5. ^ WBOバンタム級王者バトラー来日 井上尚弥との4団体統一戦まで1週間 Boxing News(ボクシングニュース)2022年12月6日
  6. ^ バトラー 尚弥との4団体統一に向けて来日「良い練習、準備ができた」 Sponichi Annex 2022年12月13日
  7. ^ 井上尚弥に英ブックメーカー1・02倍“鉄板オッズ“、KOラウンド予想は1~3回が1番人気 日刊スポーツ 2022年12月8日
  8. ^ a b あすバンタム級4団体統一戦 盤石の井上尚弥が歴史作るか、バトラーのアップセットか Boxing News(ボクシングニュース)2022年12月12日
  9. ^ 井上尚弥 11回KOで日本選手初の4団体統一成功 歴史作りS・バンタム級進出を宣言 Boxing News(ボクシングニュース)2022年12月13日
  10. ^ 4団体統一の井上尚弥「11ラウンドにギア入れた」 防御重視のバトラー倒し切り納得 Boxing News(ボクシングニュース)2022年12月13日
  11. ^ バトラー「積極的に攻めようと思ったが…」 井上のスピードと正確なパンチに脱帽 Boxing News(ボクシングニュース)2022年12月13日
  12. ^ 世界よ見たか!これが井上尚弥劇場 ファイトマネー3億円!余裕の挑発〝ラッシュ〟から11Rとどめのラッシュ/ボクシング サンスポ 2022年12月14日
  13. ^ 井上尚弥、スーパーバンタム級進出。モンスターの挑戦はスリル満点 三浦勝夫 2022年12月21日
  14. ^ NTTドコモ、ボクシング井上尚弥戦「無料開放」の誤算 日本経済新聞 2022年12月17日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

先代
ノニト・ドネア第2戦
井上尚弥の試合
2022年12月13日
次代
スティーブン・フルトン戦
先代
ジョージ・カンボソス・ジュニア 対 デヴィン・ヘイニー戦
ボクシング世界4団体王座統一戦
2022年12月13日
次代
エロール・スペンス・ジュニア 対 テレンス・クロフォード戦