交響曲第37番 (ハイドン)

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交響曲第37番 ハ長調 Hob. I:37 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲した交響曲

概要[編集]

第37番という進んだ番号が与えられているが、実際にはハイドンの交響曲の中でもっとも時代の早いものの1つで、チェコチェスキー・クルムロフで発見された筆写譜には1758年と記されている[1]ジェームズ・ウェブスター英語版は、一般に作曲されてから第三者による筆写譜が出現するまでに1年ほどかかるため、1757年頃の作曲としている[2]。おそらくボヘミアのルカヴィツェ(今のプルゼニ州の村)でモルツィン伯爵に仕えていたときの作品と考えられている[2]

編成[編集]

オーボエ2、ホルン2(、トランペット2、ティンパニ)、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンヴィオラ、低音(チェロコントラバスファゴット)。

トランペットやティンパニは真正のものでないとされる[2]。この作品はモルツィン伯爵家時代の研鑽期の作品であるため、大編成のオーケストラは使用できなかった。そのため、厳密な編成はオーボエ2、ホルン2、ヴァイオリン1、ヴァイオリン2、ヴィオラ、ヴィオローネ(8'型でチェロと同一の音域)の8人編成だった説が有力である。常に下線を引いたCがヴィオローネパートに頻出し、グロッソタイプで1オクターヴ下げた音域のパートを難なく演奏できる可能性は低い。

曲の構成[編集]

全4楽章、演奏時間は約18分。後のハイドンの交響曲と同様に、両端の楽章が速い4つの楽章から構成されるが、内側の楽章は第2楽章がメヌエット、第3楽章が緩徐楽章になっている。これはやはり初期の交響曲である第15番第32番、および交響曲『B』(第108番)と共通するが[2]、中期以降では第44番『悲しみ』第68番にしか見られない。

  • 第2楽章 メヌエット - トリオ
    ハ長調 - ハ短調、4分の3拍子。
    メヌエット主部は付点つきリズムを特徴とする。トリオはハ短調で、弦楽器のみにより演奏される。
  • 第3楽章 アンダンテ
    ハ短調、4分の2拍子、ソナタ形式。
    弦楽器のみで演奏される。
  • 第4楽章 プレスト
    ハ長調、8分の3拍子、ソナタ形式。

脚注[編集]

  1. ^ 大宮(1981) p.49,173,表3
  2. ^ a b c d デッカ・レコードのホグウッドによるハイドン交響曲全集第1巻のウェブスターによる解説、1993年

参考文献[編集]

  • 大宮真琴『新版 ハイドン』音楽之友社〈大作曲家 人と作品〉、1981年。ISBN 4276220025 
  • 『ハイドン 交響曲集III(28-40番) OGT 1591』音楽之友社、1982年。 (ミニスコア、ランドンによる序文の原文は1965年のもの)

外部リンク[編集]