任侠沈没

ウィキペディアから無料の百科事典

任侠沈没
ジャンル ヤクザ漫画
漫画
作者 山口正人
出版社 日本文芸社
掲載誌 別冊漫画ゴラク
レーベル ニチブンコミックス
発表号 別冊漫画ゴラクNo.549 - 別冊漫画ゴラクNo.572
巻数 全3巻
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

任侠沈没』(にんきょうちんぼつ)は、山口正人漫画作品。

概要

[編集]

別冊漫画ゴラクNo.549から572まで連載(552号は休載)。単行本はニチブンコミックスより全3巻が刊行されたが絶版。現在は電子書籍で配信されている。

ポストアポカリプス極道を掛け合わせた娯楽劇画である[1]マフィア梶田は「トンデモ娯楽劇画」と呼称している[1]

大地震によって荒廃し、無法地帯と化した日本を舞台に、妻子を殺されたヤクザの幹部・大紋寺龍伍の復讐の旅を描いた作品。任侠道を貫かんとする男を主人公に据え、ヤクザ漫画の基本は踏襲しつつも、その枠を超えた破壊的なスケールとエンターテインメント性を持つ。主な舞台は伊豆半島沿岸部から国内にとどまらず、荒唐無稽な作品世界が展開する。

2011年にOV(オリジナルビデオ)作品として映像化された。

2015年に発売されたコンビニコミックでは描き下ろしでエピローグエピソードが収録されている[1][2]

あらすじ

[編集]

ヤクザの若頭・大紋寺龍伍は、多額の損失を出した組長の実子を、ケジメをつけるため斬った。自宅に帰った龍伍が見たものは、妻と娘の惨殺死体と、そのそばにおちていた組長のライターだった。妻と娘は組長からの報復のため殺されたと理解した龍伍は、部下たちの前で親(組長)殺しを宣言。その直後、日本列島が未曾有の大地震に襲われる。龍伍は、生き残ったわずかな部下とともに、組長を殺るための旅を開始する。自衛隊との戦闘、ミカン畑での農作業などを経て、龍伍たちは東京に到着。そこでは想像を絶する事態が起きていた。

登場人物

[編集]

主人公とその一行

[編集]
大紋寺龍伍(だいもんじ りゅうご)
主人公。中央部播堂会粟侍連合系・赤竜流(せきりゅう)組[3]・若頭。白いスーツと黒いシャツに身を包んだ、凛々しくも迫力ある顔立ちのヤクザ。組長を殺るため、富士山付近から東京まで旅を続ける。極限状況下の被災地において、なおも任侠道を邁進する漢(おとこ)。血液型はB型。
頻用するセリフ
「邪魔する奴はぶった斬る!」
敵味方問わず使用され、敵の場合は名刀・村主(すぐり)で斬る。人のみならず火山弾まで切断したことがある。
なお単行本1巻の帯には「隕石だろうとぶった斬る!」というアオリが記載されていた。
「知ったことかぁ!」
上記と同様、斬るときの掛け声。普通の会話中でも使用される。
「任侠道の風上にもおけねぇ!」
卑怯者に対して使用される罵倒句。相手がヤクザでなくても、日本人でなくてもよい。
清川四郎太(きよかわ しろうた)
赤竜流組若頭補佐。清水太郎の弟。黒髪長髪で丸サングラスをかけたインテリ風のクールな男。龍伍に適宜助言を与える。カポエラの達人。アイススケート英会話もたしなむ。
佐藤 米七(さとう よねひち)
通称ヨネ。龍伍を兄貴と呼ぶ赤竜流組舎弟頭。博打の腕に覚えがある。左腕が義手で、その義手にはビルを2つ3つ破壊できるほどの爆薬が仕込まれているという。
風野又三郎(かぜの またさぶろう)
第6話から登場。赤竜流組構成員。龍伍の下で働いていた鉄砲玉。すでに末期ガンで死期を悟っている上に、龍伍への恨みから、顔つきと言動が狂気を帯びている。攻撃手段は噛みつき。血液型はA型。
清水 太郎(しみず たろう)
赤竜流組筆頭。清水四郎太の兄。

道中の協力者

[編集]
小谷鐵太郎(こたに てつたろう)
中央部播堂会塩麦連合系蟷螂組若頭。恋人岬で追い剥ぎをしていた、坊主頭で体格のいい男。龍伍とは渡世上の兄弟に当たる。
大日向あきら(おおひなた あきら)
小谷が保護している幼稚園児。所属は桃組[4]
瀬能(せのう)
松崎町で出会った、蝦老(エビラ)組の組長。龍伍と同じく、任侠を貫く極道。

[編集]
粟侍 我竜(あわじ がりゅう)
赤竜流組組長。龍伍の渡世上の親。龍伍の妻子を殺害した犯人と目される。
わらしべお蝶(わらしべ おちょう)
本名不詳。かつて龍伍と愛し合っていた女。現在は組長の愛人。
芋橋源左衛門(いもはし げんざえもん)
赤竜流組最高幹部。中学生のとき科学部だった知識を活かし、さまざまな策を弄する。
安出 徹(あんで とおる)
人呼んで「アンデッド」。フランケンシュタインの怪物を思わせる大男で、痛覚がない殺人鬼。
渋谷 亀吉(しぶや かめきち)
日本公共放送(MHK)新宿地区スタッフ。
梅本 薫(うめもと かおる)
暴走族・西伊豆鎖僧(チェーンソー)四代目総長。

単行本

[編集]
  • 山口正人:原作『任侠沈没』 日本文芸社〈ニチブン・コミックス〉、全3巻
    1. 2007年7月10日発行 ISBN
    2. 2007年9月10日発行 ISBN
    3. 2007年11月10日発行 ISBN
  • 山口正人:原作『任侠沈没スペシャル』 日本文芸社(Gコミックス)、全1巻
  • 2015年3月7日発行 ISBN 978-4-537-16148-9
    • ニチブンコミックス全3巻分と新規書下ろしを掲載

OV(オリジナルビデオ)

[編集]

予告編の公開は2011年2月で、セルのリリースは東日本大震災の翌月(2011年4月)であった。

キャスト

[編集]

スタッフ

[編集]
  • 監督・脚本 - 増本庄一郎
  • 製作 - 及川次雄
  • 原作 - 山口正人「任侠沈没」日本文芸社刊
  • 企画 - 青鹿敏明、伊藤秀裕
  • プロデューサー - 鷲頭政充
  • 撮影 - 中尾浩嗣
  • 照明 - 合田崇
  • 録音 - 西岡正巳
  • 美術 - 京極友良
  • 音楽 - Mass C.Rivers Project
  • 編集 - 目見田健
  • 音響効果 - 丹雄二
  • 助監督 - 佃謙介
  • 制作担当 - 稲葉裕紀
  • アクション監督 - 鈴村正樹
  • 劇画 - 日下雄一朗
  • 題字 - 権田文夫
  • ポストプロダクションプロデューサー - 金子尚樹
  • 協力プロデューサー - 旭正嗣
  • 監督助手 - 白石真弓、杉岡知哉
  • 衣裳スタイリスト:水野美樹子
  • ヘアメイク:水野みゆき
  • 持ち道具:多田和江
  • アクションコーディネーター:河本直弘、福嶌徹
  • 脚本協力:藤森俊介
  • スチール:コイケタカ
  • 制作進行:渡邊大樹、伊波あゆみ
  • アシスタントプロデューサー:山崎美春
  • 制作協力:エクセレントフィルムズ
  • 製作:コンセプトフィルム

脚注

[編集]