偕老同穴

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偕老同穴(かいろうどうけつ)は、共に暮らして老い、死んだ後は同じ墓穴に葬られること。転じて夫婦の信頼関係が非常にかたいことを意味する。同種の故事成語に「比翼連理」がある。

典拠[編集]

典拠は『詩経』邶風・撃鼓にある「執子之手、與子偕老」(子の手を執りて、子と偕〔とも〕に老いん)、及び同じく『詩経』王風・大車「穀則異室、死則同穴」(穀〔い〕きては則ち室を異にするも、死すれば則ち穴を同じくす)。

使用例[編集]

「偕老同穴の契り」と使用される例が多い。単に「偕老の契り」という言い方もある。

  • 偕老同穴の契り深かりし入道にはおくれ給ひぬ」(『平治物語』上巻第六「信西の首実権の事附たり大路を渡し獄門に懸けらるる事」)
  • 「古来偕老同穴は人倫の至重なるものとして既に已に其習慣を成し、社会全体の組織も之に由りて整頓したることなれば、今俄に変動せんとするも容易に行はる可きに非ず」(福澤諭吉福翁百話』「一夫一婦偕老同穴」(第20話))

この他、落語の中で使用される例が多い。

  • 「いったん偕老同穴のちぎりをむすぶからは、百歳、千歳を経るといえども、かならず変ずることなかれ」
  • 「人は生きている内は陽気盛んにして正しく清く、死ねば陰気盛んにして邪に穢れるものだ、それゆえ幽霊と共に偕老同穴の契を結べば、たとえ百歳の長寿を保つ命もそのために精血を減らし、必ず死ぬるものだ」(三遊亭円朝怪談牡丹燈籠』)

参考文献[編集]

  • 福澤諭吉「一夫一婦偕老同穴(二十)」『福翁百話時事新報社、1897年7月。NDLJP:781922/43 
  • 吉川幸次郎詩経国風』 上、岩波書店〈中国詩人選集 1〉、1958年3月20日。ISBN 4-00-100501-8http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/10/8/1005010.html 
  • 吉川幸次郎『詩経国風』 下、岩波書店〈中国詩人選集 2〉、1958年12月20日。ISBN 4-00-100502-6http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/10/6/1005020.html 

外部リンク[編集]