全国高等学校サッカー選手権大会埼玉県大会

ウィキペディアから無料の百科事典

全国高等学校サッカー選手権大会埼玉県大会(ぜんこくこうとうがっこうサッカーせんしゅけんたいかいさいたまけんたいかい)は、全国高等学校サッカー選手権大会埼玉県予選である。埼玉県サッカー協会と埼玉県高等学校体育連盟、テレビ埼玉の主催で行われる。

概要

[編集]

大会には埼玉県高等学校体育連盟に認められた県内の学校が出場する[1]。1次予選では各校をブロックに分けてトーナメント戦を行い、勝者はブロック代表としては決勝トーナメントに進出する[1]。これに、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ関東(プリンスリーグ関東)参加校や高円宮杯U-18サッカーリーグ埼玉県リーグ(Sリーグ)参加校、学校総合体育大会兼高校総体予選ベスト8進出校を加え決勝トーナメントが行われる[1]。高校総体代表校にはラウンド16からの、同予選ベスト8進出校には2回戦からのシード権が与えられ、優勝校には本大会への出場権が与えられる[1]

歴史

[編集]

1950年代から1970年代にかけて浦和高校浦和西高校浦和市立高校浦和南高校といった浦和勢の時代が続き、全国大会で優勝を重ねたことから「浦和を制する者は全国を制する」と評された[2]。なお、埼玉県の単独により代表を送り出すようになったのは第35回から第44回大会、第50回大会以降のことであり[3]、過去には以下のような予選方式が採られていた。

決勝トーナメントの主な会場となるさいたま市大宮公園サッカー場(左側)とさいたま市駒場スタジアム(右側)。かつて大宮サッカー場では決勝戦が開催されていた。
  • 第14回〜第15回は北関東予選[4]
  • 第16回〜第22回は関東予選[5]
  • 第27回は南関東予選[6]
  • 第28回は北関東予選[7]
  • 第29回〜第32回は南関東予選[7][8]
  • 第33回〜第34回は中関東予選[7][9]

また、第45回から第48回大会では予選を行わず、全国高校総体と国民体育大会の上位チームに出場権を与え、残りは地域推薦という扱いで出場校を決定し[10]、第49回大会では地域予選と推薦の併用となった[7]

1970年代には浦和勢および児玉高校など公立勢の優位が続いたが、やがて個人技を全面に押し出した私学の武南高校が頭角を現すようになった[11]。1980年代に入ると武南高校に対して浦和南高校や体育科を併設する大宮東高校が挑む形となり[2]、1990年代中盤に入ると武南に対して古豪の浦和市立高校や新興の浦和東高校などが挑む形となった[2]。2000年代以降、従来の武南や浦和勢に加え西武台高校昌平高校をはじめとした私学勢が台頭するなど多様化を見せている[2][12]

試合方式

[編集]

試合は前後半40分ハーフ。決着がつかない場合は10分ハーフの延長戦を行い、それでも決着がつかない場合はPK戦により勝者を決める[1]

歴代優勝校

[編集]
年度 優勝 出場回数 決勝スコア 準優勝 全国大会 出典
1931 14 埼玉師範 初出場 1回戦
1932 15 埼玉師範 2年連続2回目 1回戦
1933 16 埼玉師範 3年連続3回目 関東予選優勝により出場 準々決勝 [13]
1936 18 埼玉師範 3年ぶり4回目 準決勝
1937 19 埼玉師範 2年連続5回目 優勝
1938 20 埼玉師範 3年連続6回目 準々決勝
1939 21 埼玉師範 4年連続7回目 準々決勝
1940 22 浦和中 初出場 1回戦
1948 27 浦和 8年ぶり2回目 4-0 埼玉 準々決勝 [7]
1949 28 春日部 - 1-0 浦和 北関東予選敗退 [7]
1950 29 春日部 - 1-0(延長) 川越 南関東予選敗退 [7]
1951 30 浦和 3年ぶり3回目 5-0 春日部 優勝 [7]
1952 31 浦和市立 - 2-0 浦和西 南関東予選敗退 [7]
浦和西 初出場 南関東予選優勝により出場 1回戦 [7]
1953 32 浦和西 - 3-2 浦和 南関東予選敗退 [7]
1954 33 浦和 3年ぶり4回目 11-0 深谷商 優勝 [7]
1955 34 浦和 2年連続5回目 3-1 浦和市立 優勝 [7]
1956 35 浦和西 5年ぶり2回目 3-2 浦和 優勝 [7]
1957 36 浦和西 2年連続3回目 4-0 浦和市立 準決勝 [7]
1958 37 浦和 3年ぶり6回目 1-0 浦和市立 2回戦 [7]
1959 38 浦和市立 初出場 1-0 浦和 優勝 [7]
1960 39 浦和市立 2年連続2回目 3-1 浦和西 優勝 [7]
1961 40 浦和市立 3年連続3回目 3-0 浦和西 準々決勝 [7]
1962 41 浦和市立 4年連続4回目 5-0 児玉 準優勝 [7]
1963 42 浦和市立 5年連続5回目 1-0 浦和 準決勝 [7]
1964 43 浦和市立 6年連続6回目 1-0 浦和 優勝 [7]
1965 44 川口工 初出場 2-0 浦和市立 1回戦 [7]
1966 45 浦和南 初出場 国体準優勝により推薦出場 準々決勝 [7]
浦和市立 2年ぶり7回目 総体準優勝により推薦出場 3位 [7]
1967 46 浦和南 2年連続2回目 国体優勝により推薦出場 準々決勝 [7]
浦和市立 2年連続8回目 総体優勝により推薦出場 準々決勝 [7]
1968 47 川口 初出場 関東大会優勝により推薦出場 1回戦 [7]
1969 48 浦和南 2年ぶり3回目 総体、国体優勝により推薦出場 優勝 [7]
1970 49 浦和市立 - 3-0 児玉 関東予選敗退 [7]
浦和南 2年連続4回目 総体準優勝により推薦出場 3位 [14]
1971 50 浦和市立 4年ぶり9回目 2-1 慶應志木 1回戦 [7]
1972 51 浦和市立 2年連続10回目 1-0 児玉 優勝 [7]
1973 52 浦和西 16年ぶり4回目 3-1 児玉 準々決勝 [7]
1974 53 児玉 初出場 4-1 浦和南 3位 [7]
1975 54 浦和南 5年ぶり5回目 3-0 浦和西 優勝 [7]
1976 55 浦和南 2年連続6回目 0-0 (PK6-5) 浦和西 優勝 [7]
1977 56 浦和南 3年連続7回目 4-0 児玉 準決勝 [7]
1978 57 浦和南 4年連続8回目 2-0 浦和市立 2回戦 [7]
1979 58 武南 初出場 1-1 (PK4-2)[注 1] 児玉 2回戦 [7]
1980 59 浦和南 2年ぶり9回目 1-0 武南 準々決勝 [7]
1981 60 武南 2年ぶり2回目 2-2 (PK4-2)[注 2] 浦和南 優勝 [7]
1982 61 浦和南 2年ぶり10回目 3-0 武南 準々決勝 [7]
1983 62 浦和市立 11年ぶり11回目 3-1 浦和西 準々決勝 [15]
1984 63 武南 3年ぶり3回目 4-2 大宮東 準決勝 [15]
1985 64 大宮東 初出場 4-0 浦和 3回戦 [15]
1986 65 大宮東 2年連続2回目 2-1 武南 3回戦 [15]
1987 66 大宮東 3年連続3回目 2-0 浦和学院 2回戦 [15]
1988 67 武南 4年ぶり4回目 2-2 (PK5-4)[注 3] 大宮東 準々決勝 [15]
1989 68 武南 2年連続5回目 1-0 大宮東 準優勝 [15]
1990 69 大宮東 3年ぶり4回目 3-0 浦和南 準々決勝 [15]
武南 3年連続5回目 JFAによる推薦出場 準決勝 [14]
1991 70 武南 4年連続7回目 6-0 川口 準々決勝 [15]
1992 71 武南 5年連続8回目 1-1 (PK4-1)[注 4] 大宮東 準決勝 [15]
1993 72 武南 6年連続9回目 3-0 浦和南 3回戦 [16]
1994 73 大宮東 4年ぶり5回目 2-1 武南 3回戦 [16]
1995 74 浦和東 初出場 2-0 東農大三 1回戦 [16]
1996 75 浦和市立 13年ぶり12回目 2-1 大宮東 準々決勝 [16]
1997 76 浦和東 2年ぶり2回目 2-1 浦和市立 1回戦 [17]
1998 77 浦和東 2年連続3回目 1-0(延長) 武南 2回戦 [17]
1999 78 武南 6年ぶり10回目 4-0 大宮東 1回戦 [17]
2000 79 武南 2年連続11回目 2-0 西武台 準々決勝 [17]
2001 80 浦和南 19年ぶり11回目 2-1(延長) 浦和東 3回戦 [17]
2002 81 武南 2年ぶり12回目 3-0 埼玉栄 2回戦 [17]
2003 82 武南 2年連続13回目 3-1 伊奈学園 3回戦 [17]
2004 83 西武台 初出場 3-2 市立浦和 2回戦 [17]
2005 84 浦和東 7年ぶり4回目 1-0 浦和南 3回戦 [17]
2006 85 武南 3年ぶり14回目 3-0 市立浦和 3回戦 [17]
2007 86 埼玉栄 初出場 1-0(延長) 正智深谷 3回戦 [18]
2008 87 市立浦和 12年ぶり13回目 3-2(延長) 埼玉栄 2回戦 [18]
2009 88 西武台 5年ぶり2回目 2-0 市立浦和 2回戦 [18]
2010 89 西武台 2年連続3回目 6-0 正智深谷 準々決勝 [18]
2011 90 浦和東 6年ぶり5回目 2-1 武南 2回戦 [18]
2012 91 正智深谷 初出場 1-1 (PK5-4)[注 5] 浦和東 1回戦 [18]
2013 92 市立浦和 5年ぶり14回目 1-0 正智深谷 3回戦 [18]
2014 93 昌平 初出場 2-0 市立浦和 1回戦 [18]
2015 94 正智深谷 3年ぶり2回目 1-0 西武台 2回戦 [19]
2016 95 正智深谷 2年連続3回目 1-1 (PK4-3) 浦和南 準々決勝 [20]
2017 96 昌平 3年ぶり2回目 2-1 浦和西 2回戦 [21]
2018 97 浦和南 17年ぶり12回目 2-1 昌平 1回戦
2019 98 昌平 2年ぶり3回目 4-0 西武台 準々決勝 [22]
2020 99 昌平 2年連続4回目 3-0 武蔵越生 準々決勝
2021 100 西武台 11年ぶり4回目 1-0 浦和南 1回戦
2022 101 昌平 2年ぶり5回目 1-0 成徳深谷 3回戦
2023 102 昌平 2年連続6回目 2-0 浦和南 準々決勝

埼玉県選手権優勝回数

[編集]
出典[14]
高校名 優勝回数 優勝年度
市立浦和 14 1952,1959,1960,1961,1962,1963,1964,1970,1971,1972,1983,1996,2008,2013
武南 13 1979[注 1],1981[注 2],1984,1988[注 3],1989,1991,1992[注 4],1993,1999,2000,2002,2003,2006
浦和南 9 1975,1976,1977,1978,1980,1981[注 2],1982,2001,2018
埼玉師範 7 1932,1933,1934,1936,1937,1938,1939
大宮東 7 1985,1986,1987,1988[注 3],1990,1992[注 4],1994
浦和東 6 1995,1997,1998,2005,2011,2012[注 5]
昌平 6 2014,2017,2019,2020,2022,2023
浦和 5 1948,1951,1954,1955,1958
浦和西 4 1953,1956,1957,1973
西武台 4 2004,2009,2010,2021
正智深谷 3 2012[注 5],2015,2016
春日部 2 1949,1950
児玉 2 1974,1979[注 1]
川口工 1 1965
埼玉栄 1 2007

全国大会出場回数

[編集]
出典[23][24]
高校名 出場回数 出場年度
市立浦和 14 1959,1960,1961,1962,1963,1964,1966,1967,1971,1972,1983,1996,2008,2013
武南 14 1979,1981,1984,1988,1989,1990,1991,1992,1993,1999,2000,2002,2003,2006
浦和南 12 1966,1967,1969,1970,1975,1976,1977,1978,1980,1982,2001,2018
埼玉師範 7 1932,1933,1934,1936,1937,1938,1939
浦和 6 1940,1948,1951,1954,1955,1958
昌平 6 2014,2017,2019,2020,2022,2023
大宮東 5 1985,1986,1987,1990,1994
浦和東 5 1995,1997,1998,2005,2011
浦和西 4 1952,1956,1957,1973
西武台 4 2004,2009,2010,2021
正智深谷 3 2012,2015,2016
川口工 1 1965
川口 1 1968
児玉 1 1974
埼玉栄 1 2007

全国大会における主な戦績

[編集]

※ 優勝回数は13回で、47都道府県中2位の成績となっている。

中継放送

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ a b c 両校優勝。PK戦により武南が全国大会出場[14]
  2. ^ a b c 両校優勝。PK戦により武南が全国大会出場[14]
  3. ^ a b c 両校優勝。PK戦により武南が全国大会出場[14]
  4. ^ a b c 両校優勝。PK戦により武南が全国大会出場[14]
  5. ^ a b c 両校優勝。PK戦により正智深谷が全国大会出場[14]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e 大会要項”. 埼玉県高等学校体育連盟サッカー専門部. 2020年2月1日閲覧。
  2. ^ a b c d 全国高等学校体育連盟サッカー部『高校サッカー90年史』講談社、2012年、174頁。ISBN 978-4062177801 
  3. ^ 高体連 1983、146頁
  4. ^ 高体連 1983、54-56頁
  5. ^ 高体連 1983、61-83頁
  6. ^ 高体連 1983、88頁
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap 埼玉県サッカー協会『輝く埼玉サッカー75年の歩み』輝く埼玉サッカー75年の歩み編集委員会、1983年、644-655頁。 NCID BN12610671 
  8. ^ 高体連 1983、95-97頁
  9. ^ 高体連 1983、103-106頁
  10. ^ 高体連 1983、135頁
  11. ^ 「打倒浦和勢からスタートして、全国制覇を果たすまで」大山照人(武南高校サッカー部監督)インタビュー前編”. 埼玉サッカー通信 (2018年5月30日). 2019年1月14日閲覧。
  12. ^ 大山照人(武南高校サッカー部監督) 「埼玉サッカーには明るい未来がある」”. 埼玉サッカー通信 (2018年5月22日). 2019年1月14日閲覧。
  13. ^ 會務報告” (PDF). 『蹴球』第2巻1号. 大日本蹴球協会. p. 42 (1934年2月). 2016年12月9日閲覧。
  14. ^ a b c d e f g h オーレ埼玉編集部『オーレ!埼玉 2016 第95回埼玉県高校サッカー選手権大会』イシクラ、2016年、196頁。ISBN 978-4-902607-13-0 
  15. ^ a b c d e f g h i j 「凱歌再び武南に 延長PK戦 "4年前の再現"制し全国へ」『埼玉新聞』 1992年11月17日 11面。 
  16. ^ a b c d 「名門浦和市立復活V 大森が決勝ゴール」『埼玉新聞』 1996年11月18日 12面。 
  17. ^ a b c d e f g h i j 「武南華麗に頂点 力強く3得点 市浦和を圧倒」『埼玉新聞』 2006年11月20日 7面。 
  18. ^ a b c d e f g h 「野村度肝抜く先制オーバーヘッド 昌平初V 市浦和の連覇阻む」『埼玉新聞』 2014年11月17日 18面。 
  19. ^ 「正智深谷堅守で3年ぶり2回目V」『埼玉新聞』 2015年11月16日 11面。 
  20. ^ 【高校サッカー速報】正智深谷、2年連続3度目のV”. 埼玉新聞 (2016年11月20日). 2016年11月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月20日閲覧。
  21. ^ <高校サッカー速報> 昌平、3年ぶり2度目の栄冠 森田が決勝ゴール、浦和西に2-1”. 埼玉新聞 (2017年11月19日). 2017年11月19日閲覧。
  22. ^ <高校サッカー>昌平、2年ぶり3度目V 主導権握り西武台に4―0 西沢が先制、須藤と鎌田が追加点”. 埼玉新聞 (2019年11月19日). 2020年2月1日閲覧。
  23. ^ 高体連 1983、272頁
  24. ^ 栄光の記録-過去の大会の優勝校を振り返る”. 埼玉県サッカー協会 2種 高校サッカー. 2017年10月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月1日閲覧。

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]