占部都美
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占部 都美(うらべ くによし、1920年2月1日[1] - 1986年7月31日)は、日本の経営学者。経営学博士(神戸大学・論文博士・1961年)(学位論文「現代企業に対する制度論的研究」)。
来歴
[編集]広島県福山市出身[1]。1937年福山盈進商業学校(現盈進高等学校)[1]、1940年横浜専門学校(現・神奈川大学)卒[1]、1943年東京商科大学(現一橋大学)卒業[1]。大学では増地庸治郎ゼミナールに所属。卒業後三菱石油に入社[1]。1945年同退職[1]、1946年財団法人運輸調査局財務調査部勤務[1]。1950-51年ピッツバーグ大学大学院への留学を経て[1]、1952年神戸大学経営学部助教授[1]、1963年教授[1]、1983年定年退官[1]、名誉教授[1]、日本文理大学教授・商経学部長[1]、松山商科大学(現松山大学)教授[2]。1961年「現代企業に対する制度論的研究」で神戸大学より経営学博士の学位を取得[1]。
日本の経営学研究において、1955年頃から事業部制に注目して先駆的著書を出版したり[2]、ドイツ経営学からアメリカ経営学への転換を果たしたり[2]、経営学研究の中心人物として活躍した。ピーター・ドラッガーからは日本を代表する経営学者と評された[2]。
一般読者向けの著作も多く、光文社カッパ・ビジネスシリーズの『危ない会社』(1963年)はベストセラーとなり[2]、続いて『コストダウン』『不況期の経営学』『人件費』『サラリーマンの哲学』等を刊行した。
指導学生に吉原英樹[2][3]、加護野忠男[2][3]、金井壽宏[2][3]、江崎勝久(江崎グリコ社長)など[2][4]。
著書
[編集]- 『公共企業体論 パブリック・コーポレーションの本質・形態とその理論』森山書店 1949
- 『公経営管理』技報堂 1954
- 『近代経営学』白桃書房 1955
- 『経営社会政策 社会的経営体制の実践と理論』森山書店 1955
- 『経営者』ダイヤモンド社 経営全書 1956
- 『近代経営管理論』ダイヤモンド社 1957
- 『経営学原理 第1巻 (経営学の方法)』森山書店 1958
- 『経営学原理 第2巻 (経営形態論)』森山書店 1958
- 『近代経営の解明』ダイヤモンド社 1959
- 『事業部制と近代経営』ダイヤモンド社 1960
- 『経営のイノベーション』日本生産性本部 1961
- 『事業部制の運営』日本能率協会 マネジメント新書 1962
- 『自由化時代の経営』ダイヤモンド社 1962
- 『優良企業の経営診断』毎日新聞社 1962
- 『危ない会社 あなたのところも例外ではない』光文社 カッパビジネス 1963
- 『不況期の経営学 昭和39年「日本の会社白書」』光文社 カッパ・ビジネス 1964
- 『コストダウン 儲けるための吝嗇のすすめ』光文社 カッパ・ビジネス 1965
- 『近代管理学の展開』有斐閣 1966
- 『経営学の基礎理論 近代経営の均衡理論』白桃書房 1966
- 『能力主義 管理者の危機』日本経営出版会 1966
- 『現代企業の人間関係』白桃書房 1967
- 『現代の企業行動』日本経営出版会 1967
- 『人間をつくる会社』日本経営出版会 1967
- 『株式会社』森山書店 1968
- 『企業形態論』白桃書房 1968
- 『経営管理論』白桃書房 1968
- 『経営の究明』日本経営出版会 1968
- 『国際化時代の経営戦略 「効率経営」で武装せよ』日本実業出版社 1968
- 『危ない経営 こんな会社は倒産する!』双葉新書 1969
- 『企業形態論』白桃書房 1969
- 『企業の意思決定論』白桃書房 現代経営学全集 1969
- 『指導力 「長」になったら読む本』光文社 カッパ・ビジネス 1969 のち文庫
- 『事業部制と利益管理』白桃書房 現代経営学全集 1969
- 『近代経営学 新講』中央経済社 専門基礎講座 1970
- 『人件費 賃上げ、人手不足を乗り切る処方箋』光文社 カッパ・ビジネス 1970
- 『リーダーシップと行動科学』白桃書房 現代経営学全集 1970
- 『経営戦略と経営計画』白桃書房 現代経営学全集 1971
- 『現代経営組織論』白桃書房 現代経営学全集 1971
- 『七〇年代の経営指針』税務経理協会 1971
- 『崩壊する日本経営 この危機を乗り切る"杢流"経営法』光文社 カッパビジネス 1971
- 『日本経営の神髄 解説「日暮硯」』日本経営図書 1972
- 『管理者の条件 管理者の原点と自己診断』日本経営図書 1973
- 『経営学総論』白桃書房 現代経営学全書 1973
- 『日本企業の構造革命 経営の知識集約化』税務経理協会 1973
- 『基本経営管理』ダイヤモンド社 1974
- 『近代組織論 1 (バーナードとサイモン)』白桃書房 1974
- 『新経営者論』ダイヤモンド社 1975
- 『曲線的経営法 新時代の企業戦略はこれだ!』PHP研究所 1976
- 『経営学』マネジメント社 経営選書 1976
- 『サラリーマンの哲学 人は,なぜ会社で働くのか』光文社 カッパ・ビジネス 1976 のち文庫
- 『杢流経営法 危ない会社を救う道』光文社 カッパ・ビジネス 1976
- 『経営参加と日本的労使関係』白桃書房 現代経営学全集 1977
- 『経営学入門』中央経済社 1978 改訂増補版 加護野忠男補訂 1997
- 『日本的経営を考える』中央経済社 1978
- 『占部都美著作選集』全3巻 白桃書房
- 第1巻 経営学原理 1980
- 第2巻、経営形態論 1980
- 第3巻、近代管理論 1981
- 『日本的経営は進化する』中央経済社 1984
共編著
[編集]- 『経営スタッフ』編 日本能率協会 1961
- 『新経営学全集』全8巻 古川栄一,宮下藤太郎共編 日本経営出版会 1967-68
- 『企業行動科学』編著 鹿島出版会 1968
- 『戦略的経営計画論』中橋国蔵共著 白桃書房 1968
- 『経営学のすすめ』編 筑摩書房 学問のすすめ 1970
- 『最新公認会計士二次試験講座 第5巻 経営学』田杉競共著 中央経済社 1970
- 『経営情報-決定システム』編著 中央経済社 1972
- 『現代経営とコンピュータ』編著 白桃書房 現代経営学全集 1972
- 『近代組織論 2 (マーチ=サイモン)』坂下昭宣共著 白桃書房 1975
- 『経営意思決定のためのコンピュータ活用ハンドブック』編著 中央経済社 1976
- 『組織のコンティンジェンシー理論』編 白桃書房 1979
- 『経営学辞典』編著 中央経済社 1980
- 『戦略的決定と組織』編 白桃書房 1980
- 『日本的労使関係の探求』大村喜平共著 中央経済社 1983
翻訳
[編集]- M.C.H.ナイルズ『ミドル・マネージメント 指導者としての部課長の在り方』鈴木繁共訳 ダイヤモンド社 1952
- J.アベグレン『日本の経営』監訳 ダイヤモンド社 1958
- マイルス・L.メース『経営者の成長と育成』日本生産性本部 1961
- G.H.リットビン, R.A.ストリンガー 共著『経営風土』監訳 井尻昭夫訳 白桃書房 1974
- J.C.アベグレン『日本の経営から何を学ぶか 新版日本の経営』監訳 森義昭共訳 ダイヤモンド社 1974
論文
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 「占部都美博士略歴・著作目録(占部都美博士記念号)」『国民経済雑誌』第148巻第3号、神戸大学経済経営学会、1983年9月、161-172頁、doi:10.24546/00172845。
- ^ a b c d e f g h i “第16回 占部 都美(うらべ くによし)[1920-1986] - FMふくやま”. FMふくやま. FMふくやま (2022年12月28日). 2023年5月26日閲覧。
- ^ a b c 一橋ビジネスレビュー 2013 Spring(60巻4号)
- ^ 『六甲ひろば』神戸大学創立百周年記念号企画座談会、2002年2月25日[リンク切れ]、2014年12月13日閲覧