弓折岳

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弓折岳
東側の涸沢岳から望む弓折岳(手前)と双六岳(奥)
東側の涸沢岳から望む弓折岳(手前)と双六岳(奥)
標高 2,592[1] m
所在地 日本の旗 日本
岐阜県高山市
位置 北緯36度20分58秒 東経137度35分48秒 / 北緯36.34944度 東経137.59667度 / 36.34944; 137.59667座標: 北緯36度20分58秒 東経137度35分48秒 / 北緯36.34944度 東経137.59667度 / 36.34944; 137.59667[1]
山系 飛騨山脈(北アルプス)
弓折岳の位置(日本内)
弓折岳
弓折岳の位置
プロジェクト 山
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弓折岳(ゆみおりだけ、ゆみおれだけ[2][3])は、岐阜県高山市にある飛騨山脈南部の標高2,592 m。弓折岳を含む飛騨山脈の主な山域は1934年昭和9年)12月4日に中部山岳国立公園の指定を受けている[4]。山頂は台地状[3]花の百名山[5]続ぎふ百山[6]の一つに選定されている。東山腹にある鏡平が、新高山市100景の一つに選定されている[7]

動物[編集]

岐阜県のレッドリストで指定を受けている高山アルプスクロヨトウアルプスヤガナカトビヤガヤツガダケヤガなどの確認記録がある[8]

植物[編集]

花の百名山に選定されている弓折岳周辺では、多くの高山植物が自生している[9]田中澄江の著書『花の百名山』で、弓折岳を代表する花としてムシトリスミレが紹介された[5][10]。山頂付近の稜線の登山道ではウメバチソウシナノキンバイツマトリソウハクサンイチゲハクサンチドリミヤマアキノキリンソウミヤマクロユリミヤマダイモンジソウメタカラコウなどが見られる[10]。小池新道の弓折岳山腹ではウラジロナナカマドオオバミゾホオズキコイワカガミシモツケソウコバイケイソウダケカンバトウヤクリンドウチングルマなど見られる[10][11]。その下部の鏡平山荘周辺ではエンレイソウオオバキスミレキヌガサソウショウジョウバカマサンカヨウタケシマランミツバオウレンなど見られる[10]

抜戸岳方面から望む弓折岳から双六小屋を経て双六岳へ至る稜線伝いの登山道

登山[編集]

1928年(昭和2年)8月に秩父宮雍仁親王が、穂高岳槍ヶ岳笠ヶ岳の縦走の際に登頂し、その際に当時秘境と呼ばれていた鏡平にも立ち寄った[12]

登山ルート[編集]

1955年(昭和30年)に小池義清らにより開設された新穂高温泉を起点とする小池新道が開設されると、入山が容易となった[12]。以下に弓折岳の登山ルートを示すが、弓折岳のみを目的として登頂されることは少なく、笠ヶ岳登頂時などに通過されることが多い[3][13][14]

  • 小池新道:新穂高温泉 - わさび平小屋 - 秩父沢 - シシウドが原 - 鏡平山荘 - 弓折岳
  • 笠新道:新穂高温泉 - 杓子平 - (笠ヶ岳)- 抜戸岳 - 秩父平 - 大ノマ岳 - 大ノマ乗越 - 弓折岳

鏡平山荘[編集]

小池新道から見下ろす鏡平にある鏡平山荘
鏡池と槍ヶ岳

鏡平山荘1964年(昭和39年)に上宝村の村会議員の小池義清にが建設を開始し翌年に開業された。義清から経営を引き継いだ次男の潜は山岳写真家でもあり、小池新道周辺のわさび平小屋鏡平山荘黒部五郎小舎の経営も行っている[15]。山岳画家の中村清太郎が双六小屋をベース基地として鏡平にテントを張って1ヶ月ほど鏡平で創作活動を行っていた[12]。小屋周辺には池塘が点在する[3]

周辺の山小屋[編集]

周辺の登山道上には、登山者用の山小屋キャンプ指定地がある[13][14][16]

画像 名称 所在地 弓折岳からの
方角と距離 (km)
[注釈 1]
標高
(m)
収容
人数
キャンプ
指定地
双六小屋 双六小屋 双六岳と樅沢岳との鞍部

双六池畔

北北東 2.3 2,550 200 60張
鏡平山荘 鏡平山荘 弓折岳南東下
鏡池
東南東 0.8 2,300 100 なし
わさび平小屋 わさび平小屋 蒲田川左俣谷右岸

わさび平

南 4.3 1,402 60 30張
笠ヶ岳山頂方面から望む笠ヶ岳山荘 笠ヶ岳山荘 笠ヶ岳山頂直下北側の肩 南西 5.4 2,820 100 25張

地理[編集]

飛騨山脈の主稜線の樅沢岳から笠ヶ岳へと延びる支尾根上にある。山頂(標高2,592 mの最高点)の西約100 mに三等三角点が設置されている。基準点名が「中平」(標高2,588.37 m)[17]

周辺の山[編集]

樅沢岳と大ノマ岳との間にある[2]。大ノマ岳との間にあるは、大ノマ乗越と呼ばれている。

焼岳から望む弓折岳周辺の山並み、左に笠ヶ岳、右に槍ヶ岳
山容 山名 標高[17][1]
(m)
三角点等級
基準点名[17]
弓折岳からの
方角と距離(km)
備考
弓折岳から望む双六岳 双六岳 2,860.29 二等
「中俣岳」
北北西 2.6 双六小屋
弓折岳から望む樅沢岳 樅沢岳 2,755 北北東 2.2 西鎌尾根
大ノマ岳から望む双六岳と樅沢岳 弓折岳 2,592 (三等)「中平」
2,588.37
0 花の百名山
弓折岳から望む大ノマ岳と抜戸岳 大ノマ岳 2,662 西南西 1.1
笠ヶ岳方面から望む抜戸岳 抜戸岳 2,812.80  三等
「奥笠ケ岳」
南西 3.1 ぎふ百山
小池新道から望む奥丸山と遠景の穂高岳 奥丸山 2,439.46  三等
「犬公望」
南東 3.5
鏡平から望む槍ヶ岳 槍ヶ岳 3,180 東 4.7 日本百名山
抜戸岳から望む笠ヶ岳 笠ヶ岳 2,897.48 二等
「笠ケ岳」
南西 5.6 日本百名山

源流の河川[編集]

以下の源流となる神通川水系河川日本海へ流れる。

  • 双六谷 - 金木戸川(高原川支流
  • 左俣谷、秩父小沢 - 蒲田川(高原川の支流)

交通・アクセス[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 弓折岳から山小屋までの距離は、登山経路上の距離ではなく、2地点の直線距離。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 岐阜県山岳連盟『ぎふ百山(続)』岐阜新聞社、1993年2月。ISBN 4905958059 
  • 徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • 田中澄江花の百名山文春文庫、1997年6月。ISBN 4-16-352790-7 
  • 山と溪谷社 編『花の百名山地図帳』山と溪谷社、2007年6月20日。ISBN 9784635922463 
  • 三宅岳『槍ガ岳・雲ノ平』山と溪谷社〈花の山旅⑥〉、2000年6月20日。ISBN 4635014061 
  • 柳原修一『北アルプス山小屋物語』東京新聞出版局、1990年6月。ISBN 4808303744 
  • 『山と溪谷2011年1月号付録』山と溪谷社〈山の便利手帳2011〉、2010年12月。ASIN B004DPEH6G 
  • 『槍ヶ岳・穂高岳 上高地』昭文社〈山と高原地図2013年版(37)〉、2013年3月15日。ISBN 978-4398758958 
  • 渡辺幸雄、次田経雄、熊澤正幸、中村成勝『上高地・槍・穂高』山と溪谷社〈ヤマケイアルペンガイド19〉、2000年4月。ISBN 4635013197 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]