春の高校伊那駅伝

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春の高校伊那駅伝
長野県高校新人駅伝競走大会
競技 長距離走
大会形式 駅伝競走
開始年 男子の部:1978年
女子の部:1985年
主催 春の高校伊那駅伝実行委員会
長野県
長野県教育委員会
長野県高等学校体育連盟
長野陸上競技協会
信濃毎日新聞社
(公財)信毎文化事業財団
伊那市
伊那市教育委員会
開催国 日本の旗 日本
開催地 長野県伊那市
開催期間 毎年3月
参加チーム 約200チーム
前回優勝 男子:洛南
女子:仙台育英
最多優勝 男子:西脇工業(9回)
女子:立命館宇治(15回)
公式サイト
www.ina-ekiden.jp
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春の高校伊那駅伝(はるのこうこういなえきでん、長野県高校新人駅伝競走大会)は、毎年3月に長野県伊那市で開催される駅伝大会[1]。伊那駅伝とも呼ばれる。

春の高校伊那駅伝実行委員会、長野県、長野県教育委員会、長野県高等学校体育連盟、長野陸上競技協会、信濃毎日新聞社、信毎文化事業財団、伊那市、伊那市教育委員会 主催。

1978年に長野県高校新人駅伝競走大会として男子の部が初めて開催され、1985年に女子の部が開催された。

当初は上伊那陸上競技協会が主管して長野県高校新人駅伝競走大会として始まったが、近年では長野県の新人大会の枠を超えて全国各地から全国高等学校駅伝競走大会(都大路)常連校やインターハイ強豪校などが参加し、男女合わせて約200チームが熱戦を繰り広げる全国規模の大会に発展している。

概要[編集]

毎年3月に長野県伊那市で開催される本大会は、高校生の年間大会スケジュールにおいて12月の都大路の次に開かれる全国規模の駅伝大会となる。木曽山脈と赤石山脈をつなぐ起伏の多いコースが特徴で女子の部は5区間、21.0975kmのコース、男子の部は6区間、42.195kmのコースで競われる。

出場できるのは高校1・2年生に限られることから、ほとんどのチームにとって3年生が抜けたあとの新チームが最初に経験する全国レベルの駅伝大会となる。このことから実質的に都大路に向けた駅伝の新人戦であり、年末の都大路までの勢力図を占う意味でも重要なレースとなる。

大学駅伝や実業団で活躍する多くの陸上長距離選手が伊那駅伝を走っており、春の伊那路を制するものが都大路を制する[2]とも言われ、都大路やその先の大学駅伝を目指す選手たちにとって登竜門となっている。

大会の開催日が高校の春休みと重なることから、全国各地から集まったチームが大会後も伊那市周辺で合同合宿[3]を行うのも伊那駅伝の恒例となっている。

全国の強豪校が出場する一方で、予選大会や参加標準記録の設定が無いことも特筆すべき特徴であり、その門戸の広さから参加チームは、新型コロナの影響を受けながらも増加傾向にある。

1994年より長野朝日放送が地上波テレビ中継を開始[4]し、2016年からテレビ放映権が長野放送に変更[5]。 2017年[6]からはBSフジで全国生中継がされている[7]

コース[編集]

女子[編集]

女子の部は、伊那市陸上競技場から伊那北を折返し、西春近柳沢を折返す5区間、21.0975kmのコース。

大会記録は第40回大会で仙台育英が出した1時間09分20秒。

距離 区間 区間記録 区間記録保持者
第1区 5.9km 伊那市陸上競技場〜いなっせ 18分51秒(2016年) 加世田梨花(成田)
第2区 2.6km いなっせ〜伊那バス 7分54秒(2015年) 樺沢 和佳奈(常盤)
第3区 4.3km 伊那バス伊那食品工業本社 14分06秒(2022年) カリバ カロライン(神村学園)
第4区 4.7km 伊那食品工業本社〜小出三区公民館 15分20秒(2024年) 細川 あおい(仙台育英)
第5区 3.5975km 小出三区公民館〜伊那市陸上競技場 11分48秒(2012年) 矢野 栞理(北九州市立)

※各区間の距離、記録は第23回大会で行われたコース変更以降の記録。

※女子区間では、1区以外の区間で外国人留学生の出場が可能。

男子[編集]

男子の部は伊那市陸上競技場から高遠町商店街折返す6区間、42.195kmのコース。

大会記録は第45回大会で佐久長聖が出した2時間06分43秒。

距離 区間 区間記録 区間記録保持者
第1区 7.98km 伊那市陸上競技場〜伊那市保健センター 22分54秒(2023年) 飯田 翔大(出水中央)
第2区 7.52km 伊那市保健センター〜みぶの里 22分28秒(2024年) 増子 陽太(学法石川)
第3区 7.2km みぶの里〜オートパル上伊那東部中央給油所 22分22秒(2024年) 飯田 ケビン(小林)
第4区 9.1km オートパル上伊那東部中央給油所〜伊那市役所 25分12秒(2014年) ポール カマイン(世羅)
第5区 5.1km 伊那市役所〜いなっせ 13分56秒(2024年) ガユ サミュエル(札幌山の手)
第6区 5.295km いなっせ〜伊那市陸上競技場 16分01秒(2008年) 佐々木寛文(佐久長聖)

※各区間の距離は過去に複数回変更が行われており、区間記録は、コース変更以降(1区・2区/第44回、3区/第39回、4区/第30回、5区/第32回 6区/第30回)の記録。

※男子区間では、5区で外国人留学生の出場が可能。

優勝校[編集]

開催日 男子 女子
回数 出場校数 優勝校(都道府県) 優勝回数 優勝タイム コース変更 回数 出場校数 優勝校(都道府県) 優勝回数 優勝タイム コース変更
1978年3月19日 1 19 岡谷南 (長野) 初優勝 1時間41分28秒 (女子の部は1985年から実施)
1979年3月18日 2 23 岡谷南 (長野) 2回目 1時間40分13秒 ⚪︎
1980年3月16日 3 28 伊那北 (長野) 初優勝 1時間40分17秒
1981年3月15日 4 33 伊那北 (長野) 2回目 1時間39分58秒
1982年3月13日 5 37 岩村田 (長野) 初優勝 1時間40分15秒
1983年3月13日 6 31 上伊那農業 (長野) 初優勝 1時間39分11秒
1984年3月11日 7 34 上伊那農業 (長野) 2回目 1時間40分05秒 ⚪︎
1985年3月17日 8 30 飯田 (長野) 初優勝 1時間39分02秒 ⚪︎ 1 18 赤穂 (長野) 初優勝 58分35秒
1986年3月16日 9 40 上伊那農業A (長野) 3回目 1時間39分14秒 2 22 伊那北 (長野) 初優勝 58分23秒
1987年3月15日 10 40 中京商業 (岐阜) 初優勝 1時間35分15秒 3 19 赤穂 (長野) 2回目 57分54秒
1988年3月13日 11 45 報徳学園 (兵庫) 初優勝 1時間32分58秒 4 20 宇治 (京都) 初優勝 52分40秒
1989年3月12日 12 48 西脇工業 (兵庫) 初優勝 1時間33分05秒 5 20 宇治 (京都) 2回目 53分24秒
1990年3月18日 13 50 西脇工業 (兵庫) 2回目 1時間31分43秒 6 27 宇治 (京都) 3回目 51分11秒
1991年3月17日 14 51 上野工業 (三重) 初優勝 1時間34分04秒 ⚪︎ 7 31 宇治 (京都) 4回目 55分26秒 ⚪︎
1992年3月15日 15 50 報徳学園 (兵庫) 2回目 2時間15分12秒 ⚪︎ 8 32 宇治 (京都) 5回目 1時間12分21秒 ⚪︎
1993年3月20日 16 46 西脇工業 (兵庫) 3回目 2時間12分13秒 9 32 宇治 (京都) 6回目 1時間12分17秒
1994年3月20日 17 52 西脇工業 (兵庫) 4回目 2時間12分09秒 10 36 市立船橋 (千葉) 初優勝 1時間12分48秒
1995年3月19日 18 59 報徳学園 (兵庫) 3回目 2時間11分48秒 11 38 須磨学園 (兵庫) 初優勝 1時間12分47秒
1996年3月24日 19 53 報徳学園 (兵庫) 4回目 2時間13分22秒 12 34 市立船橋 (千葉) 2回目 1時間12分04秒
1997年3月24日 20 56 西脇工業 (兵庫) 5回目 2時間10分45秒 13 33 立命館宇治 (京都) 7回目 1時間13分16秒
1998年3月22日 21 54 西脇工業 (兵庫) 6回目 2時間10分07秒 14 34 夙川学院 (兵庫) 初優勝 1時間12分25秒
1999年3月21日 22 55 西脇工業 (兵庫) 7回目 2時間10分00秒 15 41 立命館宇治 (京都) 8回目 1時間12分51秒
2000年3月19日 23 64 大牟田 (福岡) 初優勝 2時間10分40秒 16 37 市立船橋 (千葉) 3回目 1時間13分09秒
2001年3月18日 24 67 大牟田 (福岡) 2回目 2時間11分16秒 17 28 須磨学園 (兵庫) 2回目 1時間11分20秒
2002年3月24日 25 79 佐久長聖 (長野) 初優勝 2時間10分00秒 18 31 立命館宇治 (京都) 9回目 1時間12分44秒
2003年3月23日 26 81 佐久長聖 (長野) 2回目 2時間11分55秒 19 41 須磨学園 (兵庫) 3回目 1時間11分33秒
2004年3月21日 27 74 西脇工業 (兵庫) 8回目 2時間11分13秒 20 41 立命館宇治 (京都) 10回目 1時間11分43秒
2005年3月20日 28 79 報徳学園 (兵庫) 5回目 2時間11分03秒 21 37 須磨学園 (兵庫) 4回目 1時間10分38秒
2006年3月19日 29 77 佐久長聖 (長野) 3回目 2時間10分54秒 22 33 諫早 (長崎) 初優勝 1時間13分13秒
2007年3月18日 30 81 佐久長聖 (長野) 4回目 2時間09分06秒 ⚪︎ 23 46 立命館宇治 (京都) 11回目 1時間10分57秒 ⚪︎
2008年3月23日 31 81 佐久長聖 (長野) 5回目 2時間06分45秒 24 49 立命館宇治 (京都) 12回目 1時間10分28秒
2009年3月22日 32 78 世羅 (広島) 初優勝 2時間10分40秒 ⚪︎ 25 56 須磨学園 (兵庫) 5回目 1時間11分46秒
2010年3月21日 33 74 西脇工業 (兵庫) 9回目 2時間10分27秒 26 57 秦野 (神奈川) 初優勝 1時間11分45秒
2011年3月20日 34 東日本大震災により中止 27 東日本大震災により中止
2012年3月18日 35 95 豊川工業 (愛知) 初優勝 2時間08分14秒 28 53 立命館宇治 (京都) 13回目 1時間10分16秒
2013年3月24日 36 114 伊賀白鳳 (三重) 初優勝 2時間10分45秒 29 53 立命館宇治 (京都) 14回目 1時間11分18秒
2014年3月23日 37 121 伊賀白鳳 (三重) 2回目 2時間10分14秒 30 59 大阪薫英女学院 (大阪) 初優勝 1時間09分54秒
2015年3月22日 38 128 世羅 (広島) 2回目 2時間10分00秒 31 57 常磐 (群馬) 初優勝 1時間11分17秒
2016年3月20日 39 118 倉敷 (岡山) 初優勝 2時間09分57秒 ⚪︎ 32 47 大阪薫英女学院 (大阪) 2回目 1時間11分27秒
2017年3月19日 40 126 佐久長聖 (長野) 6回目 2時間10分17秒 33 50 西脇工業 (兵庫) 初優勝 1時間10分29秒
2018年3月18日 41 110 佐久長聖 (長野) 7回目 2時間10分23秒 34 65 長野東 (長野) 初優勝 1時間10分44秒
2019年3月24日 42 109 世羅 (広島) 3回目 2時間10分58秒 35 59 仙台育英 (宮城) 初優勝 1時間10分48秒
2020年3月22日 43 新型コロナウイルスの感染拡大により中止 36 新型コロナウイルスの感染拡大により中止
2021年3月21日 44 69 洛南 (京都) 初優勝 2時間07分38秒 ⚪︎ 37 34 大阪薫英女学院 (大阪) 3回目 1時間11分52秒
2022年3月20日 45 83 佐久長聖 (長野) 8回目 2時間06分43秒 38 37 神村学園 (鹿児島) 初優勝 1時間10分13秒
2023年3月19日 46 124 須磨学園 (兵庫) 初優勝 2時間07分48秒 39 64 立命館宇治 (京都) 15回目 1時間10分41秒
2024年3月24日 47 127 洛南 (京都) 2回目 2時間06分56秒 40 54 仙台育英 (宮城) 2回目 1時間09分20秒
  • 出場チーム数は、オープン参加を含む
  • 赤太字は大会記録

伊藤国光杯[編集]

春の高校伊那駅伝に出場した長野県内の最優秀選手、男女各1名に授与される。

10000m、マラソンの元日本記録保持者、長野県伊那市出身である伊藤国光の名を冠し、男子第20回記念大会を契機に創設された。

脚注[編集]

  1. ^ 公式サイト
  2. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2022年3月17日). “【長野放送・アナウンサーコラム】小川功二「激走!春の高校伊那駅伝」”. 産経ニュース. 2023年8月18日閲覧。
  3. ^ 駅伝合宿校のごみ拾いに感謝 いちご贈呈|ニュース|伊那谷ねっと”. ina-dani.net. 2023年8月18日閲覧。
  4. ^ 男子レースを生中継で放送し、女子はハイライトで数分だけ放送
  5. ^ 長野朝日放送制作時代は正午から14:30までの生中継だったが、2015年については13:55からテレビ朝日系列全局同時ネット番組である女子プロゴルフ中継を放送することになったためレースの途中で放送打ち切りとし、時間を改めて16:20から「総集編」と称してダイジェスト版を放送した。このようにゴルフ中継と伊那駅伝の時間が重なれば完全中継は不可となることがあることから、長野朝日放送は2015年大会を最後にテレビ中継から撤退した。
  6. ^ 男子第40回記念大会として開催
  7. ^ 伊那駅伝 - BSフジ

外部リンク[編集]