李信恵

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李 信恵(이(리)신혜[1]、Lee Sinhae り しね、林田リンダ[1]1971年8月18日 - )は、在日朝鮮人[2]2.5世[3]ライター。アメブロのニックネーム欄では「李信恵 / 이(리)신혜 / 林田リンダ」と表記している」[1]東大阪市出身[1][2]

来歴[編集]

大阪芸術大学卒。大学在学中より女性誌や地域情報誌でライターとして活動する。卒業後は、フリーライターとして、インターネットのニュースサイト(アジアプレスサーチナガジェット通信)や、日刊ゲンダイに執筆している。日本国内においての差別問題慰安婦問題教育問題などに関する分野の執筆を主に行う。夕刊紙でSMクラブの連載をもっていたことがあり、「女王様」といつもネタにしていた[4]2014年12月にはやよりジャーナリスト賞を受賞[5]

人物[編集]

  • 2014年8月18日、民族差別的な発言で名誉を傷つけられたなどとして、在日特権を許さない市民の会(在特会)桜井誠元会長および在特会に550万円、保守速報の運営者に2200万円の損害賠償を求める訴訟大阪地裁に起こした[6][7][8][9]。李の訴えによれば、桜井誠は神戸市での街宣活動および短文投稿サイトにて、民族性別年齢侮辱する発言・書き込みを行い、保守速報も民族性を侮辱する書き込みをまとめ記事に掲載した、という[7]。550万円の提訴を受けた桜井誠は「(李信恵による)ネット上でのでたらめな記事について反訴を予定している」とコメントした[10]。2016年9月27日、大阪地裁は「社会通念上許される限度を超える侮辱行為」「在日朝鮮人に対する差別を助長、増幅させる意図が明らか」として、在特会と桜井に対し計77万円の賠償命令を出し、桜井側から起こされた反訴を全て棄却した[11][12][13][14][15]
  • 2017年11月16日には、ネット上の差別的な投稿をまとめサイト「保守速報」に収集して掲載したことで、李信恵に対する名誉毀損・人種差別・女性差別があったとする訴訟に、恣意的な情報収集や表題により内容を強調したことで、「保守速報」運営者に名誉毀損や差別の目的があったと認定し、「引用元の投稿とは別に、憲法13条が認める人格権を侵害した。」として、大阪地裁により、「保守速報」運営者に損害賠償として200万円の支払いを命じる判決が出た[16]。この判決を不服とした両者は控訴したが2018年6月28日、大阪高裁は一審の判決を支持し訴えを棄却した[17][18]。2018年12月11日最高裁判所は被告の上告を棄却、200万円の支払いを命じる判決が確定した[19]
  • 2015年1月には自身の初の著書として『#鶴橋安寧―アンチ・ヘイト・クロニクル』を影書房より出版した[20]。この書のAmazonレビューに、李に対する誹謗中傷が書き込まれる事態となり、影書房からAmazonに対し、削除の要請を行っている[21]。なお、『#鶴橋安寧―アンチ・ヘイト・クロニクル』は李の裁判へのカンパを呼びかけるチラシがはさみこまれて販売されている。

「しばき隊リンチ事件」[編集]

  • 2014年12月16日深夜、李の「反ヘイトスピーチ裁判」関連の集会後に飲みに行った店で、反差別運動に関係する暴行事件が発生した。
  • 事件後、李は聞き取りに対し被害者を一発殴ったことを認め、被害者に謝罪文を提出し反差別運動を自粛していたが、その後活動を再開した。それが後に民事で訴えられる理由になった[22]
  • 李は書類送検された3人に含まれていたが、不起訴処分となった[23]
  • この事件は、2016年4月、週刊実話誌上に「2014年12月、反差別活動に関わっていた仲間の一人に言い掛かりを付け、全治2週間(実際には三か月以上)の重傷を負わせた。その後、周辺が当事件の隠蔽工作を図ったものの、事件に関わった2名は罰金刑に処せられた」として記事にされたことで明らかにされたが、即日で「李信恵氏が『加害者でかかわって』いたという事実はなく誤りでした。李信恵氏に深くお詫び申し上げます」と訂正・謝罪メッセージが出版元のWebサイト上に掲載された[24]西岡研介の項も参照。
  • 2016年5月11日、弁護士・高島章は暴行現場の音声を公開し、「李信恵氏は、リンチ事件の加害者である。」と見解を述べた[25] 。また「重大な事実がこの一言に凝縮されている」として李が被害者に放った「まぁ殺されるんやったら店の中入ったらいいんちゃう?」という言葉を紹介している[26][27]。これに対し李は「警察がそれでもこの録音を詳細に確認して、事実をいろいろ検証したのにおいらを不起訴にしてるんだから」と反論している[28]
  • 2016年7月4日、李は罰金刑になった二人、さらに店に一緒に来ていた二人と併せて、被害者の大学院生から損害賠償を求める民事訴訟を起こされた。この裁判で確定した判決では、李に殴られた、李は暴行を受けた被害者の顔を見ていた、とする被害者·原告側の主張が否定され、李に対する損害賠償は退けられた。この裁判で、李および店にいた二人、それに判決確定後には暴行を加えて賠償請求が認められた一人の代理人弁護士を務めた神原元は、刑事事件の結果と合わせ「李信恵が加害者、首謀者というのはでっち上げ」「しばき隊がリンチ事件を起こしたというのはデマ」として、自分の弁護士事務所HPに「しばき隊リンチ・でっち上げ事件の真相」として公開している[29]
    • この民事訴訟は「リンチの有無」を争うものではない。
    • 後述の鹿砦社·松岡社長との裁判で確定した一審判決には「大学院生集団リンチ事件。以下単に『リンチ事件』という」という箇所がある。
    • 李は被害者に対し「なんやけん!お前!おら!」と怒鳴りつけ、胸倉をつかんだ。
    • 被害者の支援者で在日韓国人の医師、金剛(キム・ガン)氏は「白々しいにも程がある。「殺されるんやったら・・・」の名言が何度でも突き刺さってくるだけだ」「誰かが正義だのといくら喚こうが、こうやって社会的評価は定まるものだ」「そこでいかなる裁定が下されようが、批判すべきことはしなければならず、指摘すべきことはいくらでも指摘するものだ」「「無関係である」などと牽強付会したところで、嘘が真実に化けるわけではない。事実は事実として拡散され、永遠に残される」と厳しく批判している[30][31][32]
  • 当事件に絡み、李信恵のツイートが、李を批判する鹿砦社に対する誹謗中傷にあたるとして、当社の松岡社長より損害賠償と謝罪広告を求めて提訴された(第13民事部・平成29年ワ第9470号)[33]。2018年4月18日、李はこれに対して反訴し、名誉毀損による550万円の賠償金、50万円の弁護士費用と『ヘイトと暴力の連鎖』、『反差別と暴力の正体』、『人権と暴力の深層』、『カウンターと暴力の病理』4冊の販売差し止めを求めた[34]。しかし、同年5月23日に反訴を取り下げ、同日別訴を提起し併合審理を求めたが裁判所は却下、独立した裁判として審理される事になった[35]。鹿砦社が李信恵を訴えた訴訟では、2019年2月13日、大阪地裁は李信恵に10万円の賠償を命じる判決を下したが、双方が控訴した。双方の控訴が棄却され、李信恵は上告したものの最終的に上告を取り下げ、判決が確定した。なお、上記の通り、判決文には「大学院生集団リンチ事件。以下単に『リンチ事件』という」という箇所がある[36]
  • 2018年10月30日、上記裁判に関連し、原告側の代理人弁護士であり、見解を述べた高島章を提訴した[37][38][39]。2020年10月22日の一審判決では、高島に対し、損害賠償88万円の支払いを命ずる判決が下された[40][41]、高島は控訴したが棄却された[42]
  • 李が鹿砦社を訴えた裁判は一審で鹿砦社に対して165万円の支払いとデジタル鹿砦社通信の該当記事の削除を命じる判決が下された[43]が控訴し、控訴審では事実認定が一部変更され賠償額を賠償を110万円に減額された判決となり双方とも上告せず確定した。控訴審の判決変更箇所では李が直接殴打した事実は認められなかったが、被害者の胸ぐらをつかんだ、事件を知りながら放置したと、李が事件に関与、連座したことが認められ「日頃から人権尊重を標榜していながら、金によるMに対する暴行については、これを容認」「道義的批判を免れない」と認定する内容となっている[44][45][46]

活動[編集]

のりこえねっと特派員としての沖縄高江取材[編集]

セックスグッズショップのサイト「ラブピースクラブ[47]」上で、のりこえねっとから5万円の支給を受け、沖縄の高江ヘリパッドへ取材に行った[3]。李はのりこえねっとの市民特派員募集に合格しており、ニュース女子は「外国人である辛淑玉がお金を集めて、日当を払って運動員を沖縄に送り込んでいる」と報道したとして、「嘘ばっかり」「私はまた2月上旬にも沖縄に再度行く予定なので、交通費だけですでに5万円以上。日当どころではなく大赤字だ。」と述べている[3]

主張[編集]

慰安婦像に関する主張[編集]

2014年1月に、ソウルの日本大使館前で行われている水曜集会に参加し、慰安婦像付近で夜明かしする若者に勇気をもらったとし、「彼らを攻撃する一部の団体メンバーに在特会を重ね、やるせなさを感じた。」などと、聯合ニュースのインタビューで語っている[48]

著書[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d マイプロフィール 李信恵/이(리)신혜/林田リンダのブログ
  2. ^ a b やより賞・やよりジャーナリスト賞決定〜ユン・チエンリーさん・李信恵さん
  3. ^ a b c ニュース女子の酷さ。デマはいつかマイノリティを殺す。だから許してはいけない。 李信恵 Love Piece Club 2017.1.28
  4. ^ 0:12 - 2014年10月15日のツイート
  5. ^ 週刊金曜日ニュース» ブログアーカイブ » 第10回やより賞に運建立さん選ばれる
  6. ^ “李信恵さん、在特会と保守速報を提訴 ヘイトスピーチめぐり計2750万円の損害賠償求める”. ハフィントンポスト. (2014年8月19日). http://www.huffingtonpost.jp/2014/08/18/hate-speech_n_5689845.html 
  7. ^ a b “「ヘイトスピーチ、在特会など提訴 在日朝鮮人女性」”. 朝日新聞デジタル. (2014年8月18日). オリジナルの2014年8月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140818123146/http://www.asahi.com/articles/ASG8L4RH7G8LPTIL00V.html 
  8. ^ “ヘイトスピーチ:大阪の女性が提訴…「歯止めにしたい」”. 毎日新聞. (2014年8月18日) 
  9. ^ “ヘイトスピーチ:ネット発言で在特会提訴へ 在日女性”. 毎日新聞電子版. (2014年8月15日). オリジナルの2014年8月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140815020108/http://mainichi.jp/select/news/20140815k0000m040128000c.html 2015年4月1日閲覧。 
  10. ^ “「ネット人種差別で苦痛」…在日ライターが損害賠償で提訴 大阪地裁”. 産経WEST. (2014年8月18日). http://www.sankei.com/west/news/140818/wst1408180017-n1.html 
  11. ^ “ヘイトスピーチ賠償命令 在特会、ネットで「差別」助長”. 読売新聞大阪朝刊. (2016年9月28日) 
  12. ^ 在特会に賠償命令=在日女性に差別発言-大阪地裁 時事通信2016年9月27日
  13. ^ “在特会のネット上のヘイトスピーチ、「人種差別」と認定 大阪地裁”. 産経WEST. (2016年9月27日). http://www.sankei.com/west/newsref/160927/wst1609270049-n1.html 
  14. ^ 吉野太一郎 (2014年9月5日). “「ヘイトスピーチの再発防止につながれば」李信恵さん、在特会・保守速報を提訴で会見【全文】”. The Huffington Post. 2016年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月13日閲覧。
  15. ^ 【反ヘイトスピーチ裁判】対「在特会・在特会元会長」 一審勝訴!
  16. ^ 「保守速報」の記事掲載、差別と認定 地裁が賠償命じる - ウェブアーカイブ(Wayback Machine、2017年11月17日)
  17. ^ 大阪高裁も差別認定 控訴棄却”. 2018年6月30日閲覧。
  18. ^ 保守速報、高裁でも敗訴。在日女性への差別を認定”. 2018年6月30日閲覧。
  19. ^ 保守速報の上告棄却、李信恵さん「判例が差別解決に役立てばうれしい」”. 2018年12月14日閲覧。
  20. ^ 影書房 書籍紹介”. 影書房. 2016年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月13日閲覧。
  21. ^ アマゾン「カスタマーレビュー」に問題書き込み 出版社が「デマ記載と誹謗中傷」だとして削除要請 J-CAST
  22. ^ 『反差別と暴力の正体』より]
  23. ^ 李による2016年5月11日のツィート [1] "おいらの声の録音とかネットで出回ってるらしいけど。それ編集してなければ。現物を警察が聞いて、おいらが不起訴なら。それだけの話でしょう。"
  24. ^ 週刊実話(2016年5月12・19日合併号(56~57ページ))NEWS SCRAMBLE「政治『暴力事件を増加させそうな自公提出ヘイトスピーチ規制法案のザルっぷり』」
  25. ^ [2]
  26. ^ [3]
  27. ^ https://twitter.com/BarlKarth/status/731110617092751361]
  28. ^ 2016年5月11日のツィート [4]
  29. ^ 「しばき隊リンチ・でっち上げ事件の真相」 武蔵小杉合同法律事務所
  30. ^ 金剛のツィート [5]
  31. ^ 金剛のツィート [6]
  32. ^ 金剛のツィート [7]
  33. ^ 鹿砦社通信(鹿砦社は、大学院生リンチ事件加害者側当事者・李信恵氏を提訴したことをご報告いたします。 株式会社鹿砦社代表取締役 松岡利康)
  34. ^ 李信恵からM君リンチ事件本販売差し止め等を求める「反訴状」が鹿砦社に届く”. 2018年6月30日閲覧。
  35. ^ 対李信恵訴訟 裁判所が「別訴」の併合審理を却下! 李信恵側弁護団、訴訟進行に混乱と遅延をもたらし大失態!  鹿砦社代表・松岡利康”. 2018年6月30日閲覧。
  36. ^ 《対李信恵氏第1訴訟判決解説》この勝訴を突破口に、リンチ被害者M君救済、隠蔽策動を粉砕し真相究明を勝ち取ろう!”. 2020年10月25日閲覧。
  37. ^ 2019年1月16日のツイート[8]
  38. ^ 神原元弁護士の2019年1月16日のツイート[9]
  39. ^ 神原元弁護士の2019年1月16日のツイート[10]
  40. ^ 2020年10月22日のツイート[11]
  41. ^ 神原弁護士の2020年10月22日のツイート[12]
  42. ^ 神原のツイート
  43. ^ 【緊急速報!!】「カウンター大学院生リンチ事件(別称「しばき隊リンチ事件」)」関連対李信恵(第2)訴訟、大阪地裁で、またしても驚愕の不当判決! 2021-01-29 デジタル鹿砦社通信
  44. ^ 【【カウンター大学院生リンチ事件報道訴訟】速報! 対李信恵訴訟控訴審、大阪高裁で一部勝訴判決! 素人目にもわかる事実認定の誤りを修正し165万円から110万円に賠償金大幅減額! われわれの闘いは終わらない! 株式会社鹿砦社/鹿砦社特別取材班 2021-07-28 デジタル鹿砦社通信
  45. ^ 【カウンター大学院生リンチ事件報道訴訟を検証する〈2〉】対李信恵訴訟控訴審判決、李信恵がリンチに連座し関与したことを認定したことが最大の成果! 李信恵らによるリンチが「でっち上げ」でないことを証明 鹿砦社代表 松岡利康 2021-08-07 デジタル鹿砦社通信
  46. ^ 【カウンター大学院生リンチ事件報道訴訟を検証する〈3〉】敗北における勝利! ── 私たちは “名誉ある撤退” の道を選び、上告はしないことにしました 鹿砦社代表 松岡利康 2021-08-11 デジタル鹿砦社通信
  47. ^ のりこえねっとの共同代表をともにつとめる北原みのりが経営
  48. ^ 在日ライター李信恵さん「マイノリティー差別許してはならない」 聯合ニュース 2016/06/13

外部リンク[編集]