甲組の徹

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甲組の徹』(こうぐみのてつ)は、池田邦彦による日本漫画講談社の『モーニング』に連載されていた。

登場人物[編集]

主要人物[編集]

西条徹男(さいじょう てつお)
第1話から登場。本作の主人公。農家の次男だが、兄・和雄が海軍入隊したので父に跡取り息子とされたが、畑から見える機関車に憧れ、高等小学校を卒業(昭和16年春・14歳)すると、国鉄に入社。庫内手(雑用係)から機関助士、機関士への道を進む。
松本(まつもと)
徹男より1歳年上で相棒、徹男のことを何かと気にかける。

庫内手・助士見習い時代[編集]

中村(なかむら)
機関区で修繕を担当する技工。当時は乗務員から格下に見られていたことから、松本曰く機関士の卵を殴って鬱憤を晴らしていたらしい。徹男も機関車扱いの問題で制裁を受けたが、彼のことを理解。中村本人に対しても分け隔てなく接する徹男に困惑しつつも「彼はいい機関士になれる」と見込み、試用期間最後のチャンスを与えた。
武田香子(たけだ きょうこ)
徹男が知り合った糸崎機関区の事務員。彼女の父は徹男たちの指導員であるが、実は戦死した元彼との間にできた子供を宿していた。徹男に子供の父という濡れ衣を着させてしまったことがある。後に真実を明かして、島根の親戚のところへ行くことになった。
武田・父(たけだ ちち)
徹男の機関区での庫出教育を受け持つ指導員。香子の濡れ衣話で徹男に嫌がらせをした。だが、徹男の腕前を認めていて、シャベル落下で不合格になった徹男を直後に機関助士見習いへ通過させた。
正木剛志(まさき つよし)
飛びぬけた運転技術で「甲組」にスピード出世した、伝説の男。徹男を早くから「自分の後継者」として目をかけた。とある「事故」で機関士への道を断たれそうになった徹男と、それと反戦運動の疑いで特高により命が危うくなった阿久沢を救うために、自らの命を投げ出した。
阿久沢次郎(あくさわ じろう)
兄が左翼運動に参加していることから、特高に反戦運動家の疑いをかけられたが、同期の正木に助けられてことなきを得た。

機関助士時代[編集]

吉村昭三(よしむら しょうぞう)
本線乙組で徹男が組んだ機関士。同期の正木から自らが消える前日に、「後継者」である徹男のことを託された。本人は正木に対する嫉妬から「(正木は)いけすかん!」といいつつも、徹男に対しては何かと目をかけている。
川口(かわぐち)
徹男が助士昇格して「入れ替え組」に配属された当初、コンビを組んだ初老の機関士。徹男を見込んでアメリカの機関車図鑑を与えた(その本は磯貝に没収、破壊された)。機関車の重大事故で殉職。
磯貝剛(いそがい つよし)
機関区に配属された舎監。戦時中ガラ軍国主義的な風潮からだろうか、彼のやり方はかなりスパルタで、部下達に「大和魂」をたたき込めば士気が上がるだろうと想うタイプ。川口の死で徹男の怒りが爆発して衝突、機関区を去り軍隊に入隊。
水野・父(みずのちち)
川口の死後、徹男が組んだ機関士。徹男曰く「心やさしい機関士」で、娘が造った弁当を与え、少しだけ運転させてくれる気持ちのいいひと。だが、彼は病気の娘のために毎月の石炭賞(報奨金)を狙っていて、石炭のことになると態度が変わる。
水野芳子(みずの よしこ)
水野の娘、女学校を出て地元で女子挺身隊をしている(慢性貧血のため、呉市の軍需工場勤務を免れた)。父の「工作」を感づいた彼女は、徹男が庇うも逆に真実を知ることになった。

書誌情報[編集]

  • 池田邦彦『甲組の徹』講談社 〈モーニングKC〉、全1巻
    1. 庫内手・機関助士編 2015年11月20日発売 ISBN 978-4-06-388531-6

関連項目[編集]

  • カレチ - 作者が同出版社で連載していた鉄道漫画。昭和40年代から昭和62年3月(国鉄最後の年月)まで大阪・大阪車掌区を拠点に勤務していた車掌(末期は助役補佐に昇進)の物語。

外部リンク[編集]