若葉台検車区

ウィキペディアから無料の百科事典

永山駅側から見た若葉台検車区。この写真が撮られた当時は新宿線直通列車は8連が主体だったため、このように6000系30番台増結車が多く留置されていた。一番左の車両は整備途中の9731Fである。なお、工場は画面左側にある(撮影2006年1月21日)。
若葉台駅ホームから見た若葉台検車区(撮影2008年10月30日)
桜上水派出所

若葉台検車区(わかばだいけんしゃく)は、東京都稲城市(一部は神奈川県川崎市麻生区)に所在する、京王電鉄車両基地鉄道車両の検査・修理のほか、鉄道事故の救助・復旧訓練にも使われる[1]

なお、本稿では派出所である桜上水派出所(東京都世田谷区)および併設されている若葉台工場についても記述する。

沿革[編集]

京王電鉄最大の車両基地である。京王相模原線若葉台駅北西部に、1983年昭和58年)10月1日[2]に開設された。ここで車両の修理や内装更新、検査などを行っている。

開設の経緯[編集]

1926年大正15年)4月28日、北沢車庫前駅(のちの京王車庫前駅、現・桜上水駅)が開業し、駅北側に北沢車庫(後の桜上水検車区桜上水工場)が開設された。

それ以来、京王線系統(京王線京王新線相模原線高尾線動物園線競馬場線)の車両の整備などは、桜上水検車区・桜上水工場および高幡不動駅北側に所在する高幡不動検車区で行われていた。

ところが、相模原線開業や乗客増による長編成化により車両数が増加し、車両も大型化したため、桜上水検車区・桜上水工場は手狭になっていた。このため、当時開発がそれほど進んでいなかった若葉台駅北西部に検車区・工場を新設して検車区・工場機能を移転、桜上水検車区を若葉台検車区の派出所とすることになった。その後、桜上水工場は廃止されている。

若葉台工場の沿革[編集]

  • 1983年昭和58年)10月1日 - 工場新設
  • 1993年平成5年)
    • 車体改修場増設
    • 管理棟2階に食堂新設
  • 1995年(平成7年)
    • 車体塗装ロボット新設
    • 車両床下機器洗浄装置新設
    • 主作業場増築及び現場事務所・詰所新設
    • 主要部品倉庫を新設し、車両部品管理を経理部から若葉台工場へ移管
  • 1996年(平成8年)
    • 主電動機・台車枠・輪軸駆動装置・電気・空制部品各検修ライン化完成
  • 1997年(平成9年)
    • 立体格納庫耐震補強工事完成
    • 編成整備線延伸(10両編成対応)工事完成
  • 1998年(平成10年)
  • 2001年(平成13年)
    • 輪重測定装置・車体高さ測定装置・戸閉機洗浄装置新設
  • 2002年(平成14年)
  • 2007年(平成19年)
    • 受変電設備更新
  • 2011年(平成23年)
    • 富士見ヶ丘作業場主工場改修工事完成
  • 2014年(平成26年)
    • 主電動機検修ライン更新工事完成
  • 2017年(平成29年)
    • 排水処理装置・処理水再利用装置更新
    • 台車検修ライン更新工事完成
  • 2018年(平成30年)
    • 工場内照明設備LED
    • 工場内冷暖房装置(SWIT)新設
  • 2019年令和元年)
    • ピットフラット化設備新設

若葉台検車区の沿革[編集]

  • 1951年昭和26年)- 桜上水検車区として設立
  • 1974年(昭和49年)- 高幡不動検車区若葉台出張所を若葉台高架下に設置
  • 1984年(昭和59年)
    • 若葉台検車庫完成を機に桜上水検車区及び若葉台出張所を廃止
    • 高幡不動検車区桜上水派出所を新設
    • 若葉台工場より修理場が若葉台検車区へ移管
  • 1987年(昭和62年)- 桜上水派出所の所属を高幡不動検車区から若葉台検車区へ変更
  • 1989年平成元年)- 床下型車輪旋盤設置
  • 2001年(平成13年)- 修理業務を京王重機整備(株)に業務委託
  • 2008年(平成20年)- 床下型車両旋盤更新
  • 2012年(平成24年)
    • 車両洗浄装置更新
    • 薬洗噴霧器設置
  • 2017年(平成29年)- エアー搬送ファン設置

設備[編集]

若葉台検車区[編集]

若葉台検車区では、主に車両の月検査、列車検査、車両清掃、車輪の削正を行う。

若葉台駅西側から検車区・工場全施設への引込み線があり、構内入換えで、若葉台駅4番線の横にある線まで車両が出てくることもある。なお、入出庫も含め、構内は全て平面交差である。

まず、西側に留置線が6線設置されている。新車撮影の際はこの留置線が使用されることが多い。

そしてその東側に検車庫線(2線)・洗車線(4線)が設置され、洗車線のうち最も北寄りの1線には東側に車輪転削庫が設置されている。また、検車庫には列車検査線側にパンタグラフすり板測定装置、月検査線側に車輪寸法測定装置が設置されている。

その他、若葉台車両基地の北東に修理場がある。

本車両基地における検車区の施設は、主に検車庫、車輪転削庫、修理場、詰所、信号扱所

若葉台工場[編集]

若葉台車両基地の北側に若葉台工場が設置されている。本工場では、主に車両の全般検査、重要部検査、臨時検査、改造工事を行う。

車両は工場に入線する前に床下洗滌庫で床下を洗浄し、入線すると編成を分解して車体作業場に移される。そこで床下機器や台車を取り外し、各作業場で点検される。その後車両は大まかに、入線、車体作業場、改修場、車体作業場へと流れていき、2回目の車体作業場で点検を終えた床下機器や台車を取り付ける。すべての車両の作業が完了次第、車両を連結し編成を組ませている。

車両のリニューアルやVVVFインバータ化、定期検査や重要部検査、全般検査などの業務は一部、京王重機整備(株)が行っている。

また井の頭線の車両の検査業務のうち、車体等以外の部品の検査・整備は富士見ヶ丘検車区にて車体から取り外して若葉台工場へトラックで移送して行われる。このため井の頭線車両も車体に記される検査表記は「若葉台工」となっている。

桜上水派出所[編集]

旧桜上水検車区・桜上水工場。桜上水駅北側及び東側に多くの留置線が設置されている。若葉台への工場移転後、跡地は住宅展示場となった。また、橋上駅舎化に伴って留置線の一部が撤去されている。

脚注[編集]

  1. ^ 【探訪 ググッと首都圏】京王電鉄若葉台車両基地(東京都稲城市)車両分解・検査し組み立て 脱線時訓練「安全安心」磨く日本経済新聞』朝刊2022年11月18日(東京・首都圏経済面)2022年11月26日閲覧
  2. ^ 京王電鉄広報部『京王ハンドブック2016』京王電鉄株式会社、2016年8月。 

参考文献[編集]

  • あいぼりー特別号『京王線・井の頭線 むかし物語』総集編 京王電鉄広報部刊 2009年12月9日発行
  • 若葉台車両基地 見学者向けパンフレット 京王電鉄株式会社 2022年10月発行

関連項目[編集]