辻村明

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辻村 明
人物情報
生誕 (1926-10-12) 1926年10月12日
日本の旗 日本静岡県浜松市
死没 2010年8月20日(2010-08-20)(83歳)
出身校 東京大学
学問
研究分野 社会学(社会心理学)
研究機関 東京大学静岡県立大学
学位 社会学博士
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辻村 明(つじむら あきら、1926年10月12日 - 2010年8月20日[1])は、日本の社会心理学者、東京大学名誉教授。日本行動学会理事長。

経歴[編集]

1926年、静岡県浜松市生まれ。東京大学文学部社会学科で学び、1951年に卒業。

1964年、東京大学文学部社会学科助教授に就任。1972年、同教授に昇格。社会学科で社会心理学研究室の講座を担当した。1985年、学位論文『戦後日本の大衆心理:新聞・世論・ベストセラー』を東京大学に提出して社会学博士学位を取得。1986年、静岡県立大学が設立されるのに伴い、準備会座長を務めた。1987年、東京大学を定年退官し、名誉教授となった。その後は、静岡県立大学国際関係学部教授となり、副学長に就いた。1991年、東北女子大学学長に就任。 1993年には、流通経済大学特任教授を務めた。

学界では、日本行動学会理事長を務めた。最晩年は、介護のデイ・サービスを受けつつ体験手記を公刊し、そこでも和歌や唱歌・寮歌軍歌の歴史由来を、分かり易く解説する講話を行っていた。

受賞・栄典[編集]

研究内容・業績[編集]

  • 保守派の論客であり、日本文化会議や知識人懇話会などに参加。産経新聞の「正論」常任執筆者。
  • 研究開始当初は、大衆宣伝が社会に与える影響について考察した。そのうち、ソ連・中国を対象とした研究に移り、社会主義体制での非民主主義性を批判する立場にあった。また、地方文化論、大衆社会批判、日本のマスコミ批判などに関して発言を行っている。
  • 自身については、森田療法不安神経症を乗り切った経験を持つ。その経験は『ノイローゼに克つ法 森田療法による私の体験的アドバイス』にまとめている。
  • 東大時代の教え子の一人には、草野仁がいる。[4]

著書[編集]

単著[編集]

共著編著[編集]

  • 『沖縄の言論 新聞と放送』大田昌秀 至誠堂, 1966
  • 『現代ソヴェト社会論 社会学的分析』 日本国際問題研究所, 1970
  • 『中ソ社会主義の政治動態』徳田教之共編 アジア経済研究所, 1974
  • 『現代ソ連の社会と文化』西村文夫共編 日本国際問題研究所, 1980
  • 『高速社会と人間 果たして人間はどうなっていくのか』 かんき出版, 1980
  • 『日米間のコミュニケーション・ギャップ』生田正輝共編著 慶應通信, 1981
  • 『日本と韓国の文化摩擦 日韓コミュニケーション・ギャップの研究』 出光書店, 1982
  • 『コミュニケーションの社会心理学』水原泰介共編 東京大学出版会 1984
  • 『世界は日本をどう見ているか 対日イメージの研究』 日本評論社 1987
  • 『異文化との出会い』金両基共編 北樹出版, 1988
  • 『コミュニケーション理論の東西比較 異文化理解のパラダイム』D.L.キンケード共編 日本評論社, 1990
  • 『日本人と土地 日本における土地意識とその要因』中村英夫共編著 ぎょうせい, 1990
  • 『体験・森田療法 20人の体験者は、どうやって心の悩みを克服したか』 ごま書房(ゴマ健康ブックス) 1995
  • 『泉は涸れず 丸山勝廣群馬交響楽団林健太郎共編 毎日新聞社 1998

翻訳[編集]

  • 『社会の動きの心理学』(文庫クセジュ) ポール=アンリ・モーコール 田中清助共訳 白水社, 1952
  • 『ソヴェートの世論』A.インケルス 東京創元社, 1955
  • 『煽動の技術 欺瞞の予言者 L.ローウェンタール』N.グターマン 岩波書店, 1959
  • 『大衆社会の政治』ウィリアム・コーンハウザー 東京創元社, 1961
  • 『社会学とは何か』アレックス・インケルス 至誠堂, 1967
  • 『政治と言語』クラウス・ミューラー 松村健生共訳 東京創元社, 1978

論文[編集]

  • 「投票行動における意識構造」 『東京大学新聞研究所紀要』 第8号 1951
  • 「世論と政治宣伝」 『マス・コミュニケーション講座 5. 現代社会とマス・コミュニケーション』河出書房 1955
  • 「宣伝」 『現代心理学 5. 社会と文化の心理学』 河出書房 1955
  • 「ソヴィエトの宣伝」 南博編 『応用心理学講座 4. 宣伝・広告』 光文社 1959
  • 「ソビエトにおける大衆社会状況」 『学燈』 1960年4月号
  • 「ソビエトにおける言論の自由」 『新聞研究』 1961年4月号
  • 「社会体制と放送制度 (1)」 NHK『放送学研究』 第1号 1962
  • 「アメリカにおけるマス・コミュニケーション研究」 『放送学研究』 第5号 1963
  • 「大衆社会とマスコミの将来」 『潮』 別冊 1966年秋季号
  • 「史的唯物論とマルクス主義社会」 『社会学評論』 第17巻 1号 1966
  • 「社会体制と社会心理」 『今日の社会心理学 6. 変動期における社会心理』 培風館 1967
  • 「社会主義社会における情報」 『東京大学公開講座 13. 情報』 東京大学出版会 1971
  • 「社会主義社会と言論の自由」 内川芳美ほか編 『講座現代の社会とコミュニケーション 1. 基礎理論』 東京大学出版会 1974
  • 「漫画にみるソ連の市民生活」 『コミュニケーション-行動と様式 (東京大学新聞研究所創立25周年記念論文集)』 東京大学出版会 1974
  • 「精神分析から森田療法へ」 『コミュニケーションの東西比較』 横浜シンポジウム 1982
  • 「森田療法と性格」 『パッケージ性格の心理 2. 性格の変化と適応』 ブレーン出版 1985
  • 「精神の健康-フロイトの精神分析から森田療法へ」 『社会心理学研究』 第5巻 2号 1990
  • 「社会心理学の軌跡」 日本学術振興会 『学術月報』 1992年7月号

参考[編集]

  • 『日本心理学者事典』クレス出版、2003年、715頁。ISBN 4-87733-171-9 

脚註[編集]

  1. ^ 辻村明氏死去 東大名誉教授、元東北女子大学長 共同通信ヘッドライン 2010年8月20日閲覧
  2. ^ 『官報』号外86号、平成10年4月30日
  3. ^ 『官報』第5405号、平成22年9月28日
  4. ^ 「恩師 辻村明先生」、2009年3月18日 草野仁のブログより 2010年8月20日閲覧