長谷川四郎 (作家)

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長谷川四郎(1964年)

長谷川 四郎(はせがわ しろう、1909年明治42年〉6月7日 - 1987年昭和62年〉4月19日日本小説家

来歴・人物[編集]

北海道出身。函館中学卒業。立教大学を経て法政大学文学部独文科卒業。1936年、南満州鉄道株式会社に入社[1]。退社後、現地招集で国境駐屯し、ソ連侵攻により5年に及ぶシベリア抑留[2]となった。

復員後に抑留経験をもとに「近代文学」に作品を発表した。その後、新日本文学会で活躍し、1960年代の同会を花田清輝と共にささえた。この間、1967年3月には、ベイルートで開かれた第3回アジア・アフリカ作家会議に、日本代表団の団長として出席した。1974年に、花田清輝と戯曲『故事新編』(魯迅の同名の作品に基づいたもの)を共同制作した。

親族[編集]

著作ほか[編集]

主な作品は、各・晶文社での刊行で『長谷川四郎全集』(全16巻、1977年 - 1978年)、「全集」以降の著作は『ぼくのシベリアの伯父さん 長谷川四郎読本』(編著、1981年)と『文学的回想』(小著、1983年)が、没後の遺著に『山猫の遺言』(大著、1988年)がある。

2009年8月に、生誕100年記念出版『KAWADE道の手帖 長谷川四郎 時空を超えた自由人』(河出書房新社)が刊行された。

訳書[編集]

アルセーニエフデルスウ・ウザーラ 沿海州探検行』(平凡社東洋文庫、河出書房新社[河出文庫]全2巻)を訳している。黒澤明監督『デルス・ウザーラ』(日ソ合作、1975年)の原作となっている。

著書[編集]

  • シベリヤ物語 (筑摩書房 1952年/旺文社文庫、講談社文芸文庫、ちくま文庫)
  • 鶴 (みすず書房 1953年/集英社文庫、講談社文芸文庫)- 文庫は各・改訂版
  • 無名氏の手記 (みすず書房 1954年)
  • 赤い岩 (みすず書房 1954年)
  • 悪い夢 (ダヴィッド社 1955年)
  • 阿久正の話 (河出新書 1955年/講談社文芸文庫)
  • 遠近法 (パトリア (新鋭作家叢書) 1957年)
  • 通り過ぎる者 (講談社 1958年)
  • 随筆丹下左膳 (みすず書房(みすず・ぶっくす) 1959年)
  • トロワ・コント (実業之日本社 1959年)
  • ベルリン物語 (勁草書房 1961年)
  • 目下旧聞篇 きょうかたるきのうのこと (未來社 1963年)
  • さまざまな歌 詩集・訳詩集 (思潮社 1965年)
  • 長谷川四郎作品集 (全4巻 晶文社 1966年-1969年)- 毎日出版文化賞受賞
  • 模範兵隊小説集 (筑摩書房 1966年)
  • シベリヤ再発見 開かれる自然と詩 (三省堂新書 1968年)
  • 恐ろしい本 (筑摩書房 (ちくま少年図書館) 1970年)
  • ボートの三人 (河出書房新社 1971年)
  • ぼくの伯父さん (青土社 1971年)
  • ダンダン 海に落ちた話 (筑摩書房 (ちくま少年文学館) 1972年)
  • 原住民の歌 (詩集 晶文社 1972年)
  • 知恵の悲しみ わがバリエテ (創樹社 1973年)
  • 中国服のブレヒト (みすず書房 1973年)
  • 長谷川四郎の自由時間 (土曜美術社 1975年)
  • 長谷川四郎全集 (全16巻 晶文社 1976年-1978年)
  • 北京ベルリン物語 (筑摩書房 1976年)
  • 長い長い板塀 (河出書房新社 1976年)
  • よく似た人 (筑摩書房 1977年3月)
  • 九つの物語 (青土社 1980年12月)
  • ぼくのシベリアの伯父さん 長谷川四郎読本 (晶文社 1981年5月)
  • 長谷川四郎詩集 (小沢信男編 土曜美術社 (日本現代詩文庫) 1982年4月)
  • ところで今は何時かね (画文集 大和美術印刷出版部 (きゃらばん文庫) 1982年11月)
  • 文学的回想 (晶文社 1983年6月)
  • 山猫の遺言 (晶文社 1988年4月)
  • ベルリン一九六〇 (講談社文芸文庫 1992年)
  • ちくま日本文学全集46 長谷川四郎 (筑摩書房 1992年)
  • 鶴・シベリヤ物語 (みすず書房大人の本棚、小沢信男編) 2004年)
  • 長谷川四郎集〈戦後文学エッセイ選2〉 (影書房 2006年)

翻訳[編集]

  • パスキエ家の記録 (全10巻 ジョルジュ・デュアメル みすず書房 1950年-1952年)
  • ソヴェト文学入門 (ジャン・ペリュス みすず書房 1952年)
  • グラン・モーヌ ある青年の愛と冒険 (アラン=フルニエ みすず書房 1952年/新装版2004年)
  • ウスリー紀行 世界探検紀行全集10(アルセーニエフ 河出書房 1953年)
  • リルケ読本 (河出新書 1956年)
  • 海 (訳詩集 飯塚書店 1956年)
  • 平和の味 (詩集 ギュヴィク 国文社・ピポー叢書 1957年)
  • 尋問 (アンリ・アレッグ みすず書房 1958年)
  • 三銃士デューマ 講談社(少年少女新世界文学全集) 1963年)
  • コイナさん談義 (ベルトルト・ブレヒト 未來社 1963年)
  • キューバの歌 詩集(ニコラ・ギリェン 国文社・ピポー叢書 1964年)
  • デルスウ・ウザーラ 沿海州探検行 (アルセーニエフ 平凡社東洋文庫 1965年)
    • 「デルスー・ウザーラ」河出文庫(上下) 1995年 - 上巻に「ウスリー紀行」を併録
  • ロルカ詩集(みすず書房 1967年/土曜社 2020年)
  • 世界反戦詩集 (木島始菅原克己共編 太平洋出版社 1970年)
  • 壁に隠れて 理髪師マヌエルとスペイン内乱 (ロナルド・フレーザー 平凡社 1973年/新装版2001年)
  • 風の神の琴 (訳詩集 せりか書房 1973年)
  • コケコッコー (ラインホルト・エーアハルト ほるぷ出版 1976年9月)
  • ヤチのおにんぎょう ブラジル民話より (C.センドレラ ほるぷ出版 1976年9月)
  • オリバーくん (ロバート・クラウス ほるぷ出版 1976年6月)
  • マラルメ先生のマザー・グースステファヌ・マラルメ 晶文社 1977年3月)
  • ブレヒト詩集 (みすず書房 1978年8月/新装版 1998年)
  • シベリアの密林を行く (アルセーニエフ 筑摩書房 1978年2月)
  • 吉備津の釜うらない 雨月物語 (平凡社 1978年9月)
  • おおきくてもちいさくても… (マリア・エンリカ・アゴスティネリ ほるぷ出版 1979年8月)
  • ねずみせんせいのしんさつじかん (イングリット・オルデン ほるぷ出版 1980年6月)
  • 家庭用説教集 (ベルトルト・ブレヒト 野村修共訳 晶文社 (ブレヒト・コレクション) 1981年6月)
  • 子供の十字軍 (ベルトルト・ブレヒト リブロポート 1986年1月/新装復刊 パロル舎 2005年)
  • カフカ傑作短篇集 (福武文庫 1988年3月)- 新版21編

参考文献[編集]

  • 長田弘『詩人であること』岩波書店、1983年8月30日。 

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 北海道立文学館編 『北海道文学大辞典』 (PDF) 北海道新聞社
  2. ^ 長田 1983, p. 166.