青年の環

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青年の環(せいねんのわ)は、野間宏の全5巻6部8000枚に及ぶ長編小説。1947年6月号『近代文学』に「華やかな色どり」として発表されて以来、2回の中断と改作の末1970年に完成した。市役所吏員矢花正行と富家の息子・大道出泉を中心に1939年7月から9月までの大阪を舞台とし、100名をこえる人物が登場する。1971年谷崎潤一郎賞受賞。1973年アジア・アフリカ作家会議の制定したロータス賞を受賞。

野間が提唱した「全体小説」の実践であり、事実に基づいたフィクションで、野間自身が大阪市職員としてかかわった被差別部落解放運動を、恋愛や性、戦争とからめて描く。

年表[編集]

  • 第一部
    • 「華やかな色どり」「炎に追われて」「魂の煤煙」『近代文学』1947年
    • 「現実嫌悪」『近代文学』1948年2-5月
    • 「過去のなかから」『近代文学』1948年6-7月
    • 「炎に追はれて」『近代文学』1948年8月
    • 「盛り場の店」『近代文学』1948年12月
  • 1949年 第一部「華やかな色彩」刊行(河出書房)
  • 1950年 第二部「舞台の顔」刊行
  • 1962年3月‐63年12月「青年の環 第一編」『文藝』(第三部)
  • 1964年1月‐4月「青年の環 第二編」『文藝』(第四部)
  • 1966年 第一~第四部を刊行(河出書房新社
    • 第三部「表と裏と表」第四部「影の領域」 河出文化賞受賞
  • 1968年 第五部「炎の場所」を刊行。
  • 1970年 全五巻・六部作を完成。
  • 1971年 谷崎潤一郎賞受賞。
  • 1973年 ロータス賞受賞。
  • 1983-84年 岩波文庫(全5冊、解説篠田一士)で刊行。

関連項目[編集]

関連書籍[編集]

参考[編集]