高安国世

ウィキペディアから無料の百科事典

高安 国世(たかやす くによ、男性、1913年8月11日 - 1984年7月30日)は、日本歌人ドイツ文学者翻訳家。 専門はリルケで、多くの作品を翻訳している。 短歌結社「」の創設者。

父高安道成は医師、母やす子はアララギの歌人。 三男高安醇画家。 伯父に高安月郊[1]作曲家弘田龍太郎はいとこの夫。

来歴

[編集]

大阪府大阪市道修町出身。

母の影響を受けて短歌を志し、アララギに入会、土屋文明に師事。1954年に『塔』を創刊する[2]

リアリズムに基礎を置きながらも、現実には存在しないものを表現の対象に求めるなど、常に新しい表現を求め続けた。

京都大学短歌会の顧問もつとめ、永田和宏栗木京子を育てた。

略歴

[編集]

著書

[編集]
  • 『若き日のために ドイツ文学断想』(七丈書院) 1944
  • 『新しき力としての文学』(秋田屋) 1946
  • 『物への信頼と意志』(明窗書房) 1948 、のち改題『「魔の山」その他』
  • トーマス・マンとリルケ』(アテナ書院) 1949
  • 『真実』(関西アララギ会高槻発行所) 1949 : 歌集
  • 『Vorfrühling』 1951 : 歌集
  • 『年輪』(白玉書房) 1952 : 歌集
  • 『リルケ』(筑摩書房、世界名詩鑑賞) 1954
  • 『夜の青葉に』(白玉書房) 1955 : 歌集
  • 『抒情と現実 今日の短歌明日の短歌』(第二書房) 1956 : 歌論集
  • 『砂の上の卓』(白玉書房) 1957 : 歌集
  • 『Herbstmond』 1959 : ドイツ語訳歌集。西ドイツにて刊行
  • 『北極飛行』(白玉書房) 1960 : 歌文集
  • 『Ruf der Regenpfeifer』 1961 : ドイツ語訳詞華集。西ドイツにて刊行
  • 『街上』(白玉書房) 1962 : 歌集
  • 『万葉の歌をたずねて』(創元社) 1963
  • 『虚像の鳩』(白玉書房) 1968 : 歌集
  • 『朝から朝』(白玉書房) 1972 : 歌集
  • 『リルケと日本人』(第三文明社レグルス文庫) 1972
  • 『新樹』(白玉書房) 1976 : 歌集
  • 『詩と真実』(短歌新聞社) 1976 : 歌論集
  • 『カスタニエンの木陰』(構造社出版) 1977 : エッセー集
  • 『わがリルケ』(新潮社) 1977 : エッセー集
  • 『一瞬の夏』(沖積舎) 1978 : 歌集
  • 『短歌への希求』(沖積舎) 1980 : 歌論集
  • 『湖に架かる橋』(石川書房) 1981 : 歌集
  • 『詩の近代 - ドイツ文学エッセイ』(沖積舎) 1982 : エッセー集
  • 『光の春』(短歌新聞社) 1984 :歌集
  • 『高安国世全歌集』(沖積舎) 1987
  • 『高安国世アンソロジー』(永田和宏編)青磁社、2009年。ISBN 978-4-86198-132-6

翻訳

[編集]
  • 『ミュゾットの手紙』(リルケ、甲鳥書林、リルケ書簡集4) 1943
  • 『落穂拾ひ ドイツ近代詩抄』(臼井書房) 1946
  • ハイネ抒情詩集』(世界文学社) 1948
  • 『バヴァリアの森から』(シュティフタア、養徳社) 1948、のち改題『荒野の村 / 森の泉』(岩波文庫)、のち改版 2011
  • 『若き詩人への手紙』(リルケ、養徳社) 1949
  • 『キャラバン』(ヴィルヘルム・ハウフ谷友幸共訳、甲文社出版部) 1949
  • 『ドイツの宗教と哲学の歴史』(ハインリッヒ・ハイネ、アテナ書院) 1949
  • 『愛の詩集』(ハインリッヒ・ハイネ、弘文堂アテネ文庫) 1950
  • 『マイヤァ抒情詩集』(マイヤァ岩波文庫) 1951
  • ロダン』(リルケ、岩波文庫) 1952、のち改版 1960
  • 『若き詩人への手紙 / 若き女性への手紙』(リルケ、新潮文庫) 1953、のち改版 1998ほか
  • 『リルケと共に』(ルー・アルベール・ラザール、野村修共訳、新潮社) 1954
  • 『ハイネ詩集』(ハイネ、彌生書房、世界の詩) 1964
  • 『リルケ』(講談社世界文学全集37) 1967
  • 『リルケの言葉』(彌生書房、人生の知恵) 1969、のち新版 1997
  • カフカ』(講談社、世界文学ライブラリー24) 1971 : 短編全12作を収載

評伝

[編集]
  • 『高安国世ノート』(水沢遥子、不識書院) 2005
  • 『高安国世の手紙』(松村正直六花書林) 2013

脚注

[編集]
  1. ^ 松村正直『高安国世の手紙』より
  2. ^ 高安国世『出身県別 現代人物事典 西日本版』p926 サン・データ・システム 1980年

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]