1961年フランスグランプリ

ウィキペディアから無料の百科事典

フランス 1961年フランスグランプリ
レース詳細
1961年F1世界選手権全8戦の第4戦
ランス・サーキット(1954-1972)
ランス・サーキット(1954-1972)
日程 1961年7月2日
正式名称 XLVII Grand Prix de l'A.C.F.
開催地 ランス・サーキット
フランスの旗 フランス ランス
コース 公道コース/レース施設
コース長 8.302 km (5.158 mi)
レース距離 52周 431.704 km (268.248 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー フェラーリ
タイム 2.24.9
ファステストラップ
ドライバー アメリカ合衆国の旗 フィル・ヒル フェラーリ
タイム 2.27.1 (20周目)
決勝順位
優勝 フェラーリ
2位 ポルシェ
3位 ロータス-クライマックス

1961年フランスグランプリ (1961 French Grand Prix) は、1961年のF1世界選手権第4戦として、1961年7月2日ランス・サーキットで開催された。

レース概要[編集]

気温が摂氏39度(華氏102度)、路面温度は摂氏50度(華氏120度)の炎天下で行われた本レースは大番狂わせに湧いた。

ワークスフェラーリ勢がマシントラブルで次々と消え去り、ポルシェのワークス2台(ダン・ガーニーヨアキム・ボニエ)とプライベートチームのFISA[1]からフェラーリを走らせた新人ジャンカルロ・バゲッティが残った。これがF1デビュー戦となるバゲッティは冷静な判断で、ガーニーにわずか0.1秒差で優勝を手中に収めた[2]

バゲッティはF1世界選手権最初のレース(1950年イギリスGP)で優勝したジュゼッペ・ファリーナ以来2人目[3]のF1デビュー戦での優勝となったが、ファリーナはF1最初のレースで全員がデビュー戦となるため実質的には初めての快挙で、実質唯一の記録となっている。また、フェラーリのプライベートチームが優勝した唯一のレースでもある。以後、バゲッティが表彰台に立つことは二度となかった。

エントリーリスト[編集]

チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン
イギリスの旗 クーパー・カー・カンパニー 2 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム クーパー T55 クライマックス FPF 1.5L L4
4 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン
イギリスの旗 チーム・ロータス 6 イギリスの旗 イネス・アイルランド ロータス 21 クライマックス FPF 1.5L L4
8 イギリスの旗 ジム・クラーク
48 ベルギーの旗 ウィリー・メレス
西ドイツの旗 ポルシェ・システム・エンジニアリング 10 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ ポルシェ 718 ポルシェ 547/3 1.5L F4
12 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー
オランダの旗 エキュリー・マールスベルゲン 14 オランダの旗 カレル・ゴダン・ド・ボーフォール
西ドイツの旗 ハンス・ヘルマン 1
ポルシェ 718 ポルシェ 547/3 1.5L F4
イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC 16 アメリカ合衆国の旗 フィル・ヒル フェラーリ 156 フェラーリ Tipo178 1.5L V6
18 アメリカ合衆国の旗 リッチー・ギンサー
20 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス
イギリスの旗 オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 22 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM P48/57 クライマックス FPF 1.5L L4
24 イギリスの旗 トニー・ブルックス
イギリスの旗 R.R.C. ウォーカー・レーシングチーム 26 イギリスの旗 スターリング・モス 2 ロータス 18/21 クライマックス FPF 1.5L L4
イギリスの旗 UDT・レイストール・レーシングチーム ロータス 18 クライマックス FPF 1.5L L4
28 ベルギーの旗 ルシアン・ビアンキ
アルゼンチンの旗 ファン・マヌエル・ボルデウ 3
18/21
30 イギリスの旗 ヘンリー・テイラー
イタリアの旗 スクーデリア・セレニッシマ 32 フランスの旗 モーリス・トランティニアン
イタリアの旗 ジョルジオ・スカルラッティ 4
クーパー T51 マセラティ 6-1500 1.5L L4
34 イタリアの旗 ジョルジオ・スカルラッティ
フランスの旗 モーリス・トランティニアン 4
デ・トマソ F1 オスカ 372 1.5L L4
アメリカ合衆国の旗 カモラーディ・インターナショナル 36 アメリカ合衆国の旗 マステン・グレゴリー クーパー T53 クライマックス FPF 1.5L L4
38 イギリスの旗 イアン・バージェス ロータス 18 クライマックス FPF 1.5L L4
イギリスの旗 ヨーマン・クレジット・レーシングチーム 40 イギリスの旗 ジョン・サーティース クーパー T53 クライマックス FPF 1.5L L4
42 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ
イギリスの旗 H&L モータース 44 イギリスの旗 ジャッキー・ルイス クーパー T53 クライマックス FPF 1.5L L4
西ドイツの旗 スクーデリア・コロニア 46 スイスの旗 ミハエル・マイ
西ドイツの旗 ヴォルフガング・ザイデル 5
ロータス 18 クライマックス FPF 1.5L L4
ベルギーの旗 オリビエ・ジャンドビアン 6 エメリソン 61 マセラティ 6-1500 1.5L L4
イタリアの旗 FISA 50 イタリアの旗 ジャンカルロ・バゲッティ フェラーリ 156 フェラーリ Tipo178 1.5L V6
フランスの旗 ベルナール・コロンブ 52 フランスの旗 ベルナール・コロンブ クーパー T53 クライマックス FPF 1.5L L4
イギリスの旗 JBW カーズ 54 イギリスの旗 ブライアン・ネイラー 7 JBW 59 マセラティ 6-1500 1.5L L4
ソース:[4]
追記
  • タイヤは全車ダンロップ
  • ^1 - ヘルマンからド・ボーフォールに交代。
  • ^2 - モスはロブ・ウォーカーとBRPの2チームにエントリーしていたが、ロブ・ウォーカーから出走した。
  • ^3 - ボルデウはTカーのみ使用した。
  • ^4 - トランティニアンとスカルラッティはクーパーとデ・トマソの両方のマシンでエントリーしていたが、トランティニアンがNo.32のクーパー、スカルラッティがNo.34のデ・トマソで出走した。
  • ^5 - ザイデルは練習走行のみ。
  • ^6 - ジャンドビアンからマイに交代。マシンもエメリソンからロータスに変更。
  • ^7 - エントリーしたが、マシンが準備できなかったため出場しなかった。

結果[編集]

予選[編集]

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 16 アメリカ合衆国の旗 フィル・ヒル フェラーリ 2:24.9 1
2 20 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス フェラーリ 2:26.4 + 1.5 2
3 18 アメリカ合衆国の旗 リッチー・ギンサー フェラーリ 2:26.8 + 1.9 3
4 26 イギリスの旗 スターリング・モス ロータス-クライマックス 2:27.6 + 2.7 4
5 8 イギリスの旗 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 2:29.0 + 4.1 5
6 22 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM-クライマックス 2:29.1 + 4.2 6
7 40 イギリスの旗 ジョン・サーティース クーパー-クライマックス 2:29.1 + 4.2 7
8 4 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 2:29.4 + 4.5 8
9 12 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー ポルシェ 2:29.6 + 4.7 9
10 6 イギリスの旗 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 2:29.8 + 4.9 10
11 24 イギリスの旗 トニー・ブルックス BRM-クライマックス 2:29.9 + 5.0 11
12 50 イタリアの旗 ジャンカルロ・バゲッティ フェラーリ 2:30.5 + 5.6 12
13 10 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ ポルシェ 2:30.5 + 5.6 13
14 2 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 2:31.0 + 6.1 14
15 42 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ クーパー-クライマックス 2:31.2 + 6.3 15
16 36 アメリカ合衆国の旗 マステン・グレゴリー クーパー-クライマックス 2:31.3 + 6.4 16
17 14 オランダの旗 カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 2:31.8 + 6.9 17
18 44 イギリスの旗 ジャッキー・ルイス クーパー-クライマックス 2:32.0 + 7.1 18
19 28 ベルギーの旗 ルシアン・ビアンキ ロータス-クライマックス 2:33.4 + 8.5 19
20 48 ベルギーの旗 ウィリー・メレス ロータス-クライマックス 2:35.8 + 10.9 20
21 52 フランスの旗 ベルナール・コロンブ クーパー-クライマックス 2:36.8 + 11.9 21
22 46 スイスの旗 ミハエル・マイ ロータス-クライマックス 2:37.9 + 13.0 22
23 32 フランスの旗 モーリス・トランティニアン クーパー-マセラティ 2:38.8 + 13.9 23
24 38 イギリスの旗 イアン・バージェス ロータス-クライマックス 2:39.7 + 14.8 24
25 30 イギリスの旗 ヘンリー・テイラー ロータス-クライマックス 2:40.8 + 15.9 25
26 34 イタリアの旗 ジョルジオ・スカルラッティ デ・トマソ-オスカ 2:47.1 + 22.2 26
ソース:[5]

決勝[編集]

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 50 イタリアの旗 ジャンカルロ・バゲッティ フェラーリ 52 2:14:17.5 12 9
2 12 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー ポルシェ 52 + 0.1 9 6
3 8 イギリスの旗 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 52 + 1:01.0 5 4
4 6 イギリスの旗 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 52 + 1:10.3 10 3
5 4 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 52 + 1:41.8 8 2
6 22 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM-クライマックス 52 + 1:41.9 6 1
7 10 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ ポルシェ 52 + 3:15.4 13
8 42 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ クーパー-クライマックス 51 + 1 Lap 15
9 16 アメリカ合衆国の旗 フィル・ヒル フェラーリ 50 + 2 Laps 1
10 30 イギリスの旗 ヘンリー・テイラー ロータス-クライマックス 49 + 3 Laps 25
11 46 スイスの旗 ミハエル・マイ ロータス-クライマックス 48 + 4 Laps 22
12 36 アメリカ合衆国の旗 マステン・グレゴリー クーパー-クライマックス 43 + 9 Laps 16
13 32 フランスの旗 モーリス・トランティニアン クーパー-マセラティ 42 + 10 Laps 23
14 38 イギリスの旗 イアン・バージェス ロータス-クライマックス 42 + 10 Laps 24
15 18 アメリカ合衆国の旗 リッチー・ギンサー フェラーリ 40 油圧 3
Ret 26 イギリスの旗 スターリング・モス ロータス-クライマックス 31 ブレーキ 4
Ret 48 ベルギーの旗 ウィリー・メレス ロータス-クライマックス 27 エンジン 20
Ret 14 オランダの旗 カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 23 オーバーヒート 17
Ret 28 ベルギーの旗 ルシアン・ビアンキ ロータス-クライマックス 21 オーバーヒート 19
Ret 20 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス フェラーリ 18 エンジン 2
Ret 34 イタリアの旗 ジョルジオ・スカルラッティ デ・トマソ-オスカ 15 エンジン 26
Ret 2 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 14 油圧 14
Ret 52 フランスの旗 ベルナール・コロンブ クーパー-クライマックス 6 エンジン 21
Ret 40 イギリスの旗 ジョン・サーティース クーパー-クライマックス 4 アクシデント 7
Ret 24 イギリスの旗 トニー・ブルックス BRM-クライマックス 4 オーバーヒート 11
Ret 44 イギリスの旗 ジャッキー・ルイス クーパー-クライマックス 4 オーバーヒート 18
ソース:[6]
ラップリーダー

第4戦終了時点のランキング[編集]

  • : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。

脚注[編集]

  1. ^ Federazione Italiana Scuderie Automobilistiche。後にモータースポーツを統括する国際自動車スポーツ連盟(Fédération Internationale du Sport Automobile。1993年にFIAへ吸収された)とは無関係である。
  2. ^ (林信次 1997, p. 20)
  3. ^ 1950年から1960年までF1世界選手権の一戦に組み込まれていたインディ500を含めると、1950年のインディ500で優勝したジョニー・パーソンズもデビュー戦での優勝となる。なお、この年のインディ500にF1ドライバーの出走はなかったため、こちらも全員がデビュー戦となる。
  4. ^ France 1961 - Race entrants”. statsf1.com. 2018年4月3日閲覧。
  5. ^ France 1961 - Qualifications”. statsf1.com. 2018年4月3日閲覧。
  6. ^ 1961 French Grand Prix”. formula1.com. 2014年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月20日閲覧。

参照文献[編集]

  • 林信次『F1全史 1961-1965』ニューズ出版、1997年。ISBN 4-938495-09-0 

外部リンク[編集]

前戦
1961年ベルギーグランプリ
FIA F1世界選手権
1961年シーズン
次戦
1961年イギリスグランプリ
前回開催
1960年フランスグランプリ
フランスの旗 フランスグランプリ 次回開催
1962年フランスグランプリ