解剖治療化学分類法
ウィキペディアから無料の百科事典
解剖治療化学分類法(かいぼうちりょうかがくぶんるいほう、Anatomical Therapeutic Chemical Classification System)は医薬品の分類に用いられる。普通はATC分類またはATCコードと呼ばれる。
WHOの医薬品統計法共同研究センター (Collaborating Centre for Drug Statistics Methodology) によって管理されており、1976年に発行が開始された[1]。この分類法では、医薬品は効果をもたらす部位・器官、および作用能・化学的特徴によって5つのレベルでグループ分けされる。
分類
[編集]以下の5つのレベルによる分類法が適用される。
- 第1レベル
- 解剖学的部位に基づいた分類で、アルファベット1文字で表される。14のメイングループからなる。
- 第2レベル
- 治療法メイングループによる分類。2個の数字で示される。
- 第3レベル
- 治療法・薬学サブグループによる分類。1個のアルファベットで示される。
- 第4レベル
- 化学・治療法・薬学サブグループによる分類。1個のアルファベットで示される。
- 第5レベル
- 化学構造サブグループによる分類。2個の数字で示される。
用例
[編集]アスピリン(アセチルサリチル酸)を例にとって説明する。ATCコード B01AC06 は解熱薬としての番号である。
- アルファベット B — 血液、および血液を生成する器官に作用することを示す
- 数字 01 — 抗血栓剤サブグループに属すことを示す
- アルファベット A — 抗血栓剤サブグループに属すことを示す。このサブサブグループ名は1つ上位のサブグループ(第2レベル)の名称と同一だが、これは上位グループの全て範囲を包含することを意味するわけではない。抗血栓剤はこれ以上細分化できないためである
- アルファベット C — ヘパリンを除く解熱剤のグループに属すことを示す
- 数字 06 — 活性を持つ基質がアスピリンであることを示す。つまり、ATCコード B01AC06 を持つ全ての医薬品にはアスピリンが含まれることを意味する
アスピリンは鎮痛薬としての機能も持つため、もう1つのATCコード N02BA01 も与えられている。
- アルファベット N — 神経系に作用することを示す
- 数字02 — 鎮痛薬であることを示す
- アルファベット B — 「その他の鎮痛剤および解熱薬」サブグループに属すことを示す
- アルファベット A — サリチル酸またはその誘導体であることを示す
- 数字01 — アセチルサリチル酸であることを示す
ATCvet
[編集]ATCvet(Anatomical Therapeutic Chemical Classification System for veterinary medicinal products)は、獣医学のためのATCコードである。
ATCvetコードは主に人間向け医薬品の分類に使われるATCコードの頭にQを付けて表される。例えば、フロセミドはATCコードでC03CA01、ATCvetコードでQC03CA01となる。また、QIは免疫学薬、QJ51は乳房内で使用する抗菌薬、QN05AX90はアムペロジド、など幾つかのコードは独占的に使用されている[2]。
脚注
[編集]- ^ “ATC/DDD Methodology: History”. WHO Collaborating Centre for Drug Statistics Methodology. 2018年6月19日閲覧。
- ^ “ATCvet”. WHO Collaborating Centre for Drug Statistics Methodology. 2015年2月15日閲覧。
外部リンク
[編集]- ATC公式ウェブサイト(WHO医薬品統計法共同研究センター)
- KEGG BRITE: 解剖治療化学分類 (ATC分類)(金久ラボラトリーズによる日本語訳)