NGC 1277

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NGC 1277
ハッブル宇宙望遠鏡による
ハッブル宇宙望遠鏡による
星座 ペルセウス座
視直径 1.010 × 0.465 [1]
分類 レンズ状銀河(S0[1])
発見
発見日 1875年12月4日
発見者 第4代ロス伯爵ローレンス・パーソンズ
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  03h 19m 51.488s[1]
赤緯 (Dec, δ) +41° 34′ 24.26″[1]
赤方偏移 0.017044 ± 0.000033[1]
視線速度 (Rv) 5066 ± 10 km/s[1]
距離 2億2000万 光年[2]
物理的性質
直径 1万 光年[2]
質量 1200億 M[2][3]
他のカタログでの名称
LEDA 12434,
MCG+07-07-064,
UZC J031951.6+413425,
Z 540-104,
Z 0316.6+4123,
SA426-11,
2MASX J03195148+4134242,
HDC 219 J031951.48+4134242,
LDC 224 J031951.48+4134242[1].
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NGC 1277は、ペルセウス座の方向に地球から2億2000万光年離れた位置にある小さなレンズ状銀河である[1][2]

NGC 1277の中心部には、2012年になって太陽の170 ± 30億倍という超大質量ブラックホールが発見された[2][3][4][5]。質量は恒星の動きから推定された。これは、活動銀河であるOJ 287の181億M(180億M+1億Mの連星系)に次いで重いブラックホールである。また、銀河系にあるいて座A*のブラックホールの400倍も重い[5]。ブラックホールの直径(シュヴァルツシルト半径の2倍)は1020億kmにもなり、これは海王星軌道の11倍、冥王星の遠日点距離より7倍も大きい。なお、質量は非常に重いが直径も大きいため、事象の地平面付近の重力は地球の88倍、平均密度は1m3あたり61gと、恒星質量ブラックホールと比べれば低い値を示す[6]

ブラックホールはNGC 1277自身の質量である1200億M[3] の14%の重さを持つが、典型的な銀河で中心部の超大質量ブラックホールが占める質量の割合が0.1%の関係にある事を考えると、割合が非常に大きい[2][4][5]。ちなみにバルジ部分だけでは59%にもなる[3][5]。この割合は、NGC 4486Bの11%を上回る、観測史上最大の割合である[3]。NGC 1277は、直径・質量共に銀河系の10%程度の大きさしかない小さな銀河であり[2][3]、それが銀河系の400倍という巨大なブラックホールを有するのは謎である[4]。巨大なブラックホールの重力の影響で、NGC 1277は非常にコンパクトにまとまっており、その進化も早かったと考えられている[2][5]。このような質量の割合を持つ銀河の候補が、NGC 1277以外にも5つ発見されているが、これらは詳細な画像を待たねばならない[4]。いずれにしても、NGC 1277の存在そのものが、銀河と中心部の超大質量ブラックホールの質量割合が大幅にずれており、これは従来の銀河の形成論からは考えられないものであり、もし他の候補も似たような割合を持つとなれば、銀河の形成論を根本的に見直さねばならなくなる[4]

関連項目[編集]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i NGC 1277 -- Galaxy in Group of Galaxies SIMBAD
  2. ^ a b c d e f g h Texas Astronomers Measure Most Massive, Most Unusual Black Hole Using Hobby-Eberly Telescope McDonald Observatory
  3. ^ a b c d e f An over-massive black hole in the compact lenticular galaxy NGC 1277 nature
  4. ^ a b c d e Giant black hole could upset galaxy evolution models Max-Planck-Institut für Astronomie
  5. ^ a b c d e Found: A Supermassive Black Hole That Dominates Its Galaxy Read more: Found: A Supermassive Black Hole That Dominates Its Galaxy - Popular Mechanics Popular Mechanics
  6. ^ 例えば☉の14.8倍の質量を持つはくちょう座X-1の場合、事象の地平面付近の重力は1000億倍、平均密度は1m3あたり84兆tとなる。

座標: 星図 03h 19m 51.488s, +41° 34′ 24.26″