トヨタ・WiLL VS
トヨタ・WiLL VS 2ZZ-GE 1.8VVTL-i 2WD | |
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概要 | |
製造国 | 日本国(神奈川県)[1] |
販売期間 | 2001年4月 - 2004年4月 |
設計統括 | 波多野強志[2] |
デザイン | 小野博央[3] |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | ステーションワゴン[1] |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 前輪駆動方式 |
プラットフォーム | MCプラットフォーム[4] |
パワートレイン | |
エンジン | 2ZZ-GE 1.795L 直列4気筒 DOHC |
最高出力 | 140kW(190ps)/7600r.p.m. |
最大トルク | 180N•m(18.4kg•m)/6800r.p.m. |
変速機 | 4速オートマチック 6速マニュアル |
サスペンション | |
前 | ストラット式コイルスプリング |
後 | トーションビーム式コイルスプリング |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,600mm |
全長 | 4,385mm |
全幅 | 1,720mm |
全高 | 1,430mm |
車両重量 | 1,190kg |
その他 | |
累計生産台数 | 14,985台[5] |
各諸元の出典 | 註記なき項目は、製品カタログ(2001年4月版)[6]より2ZZ-GE 1.8VVTL-i 2WDの値を引用した。 |
WiLL VS(ウィル ヴイエス[7])は、トヨタ自動車株式会社(トヨタ)が日本国内で販売した乗用自動車である[7]。製造はセントラル自動車株式会社が担当した[1]。
概要
[編集]異業種7社による合同プロジェクトWiLLは、2年目を迎えるにあたり、それまでの活動からニュージェネレーション層[注 1]の消費行動を捉える切り口として、「リラックス」「エモーション」「クリエイティブ」「クール」を導き出した[9]。そのWiLLの名を冠する2台目の自動車となるWiLL VSは、「クール」にあたる商品の第1弾である[10][11]。2001年1月5日から開催されたロサンゼルスオートショーに参考出品車として展示した[12]のち、2001年4月6日に発売された。販売チャネルはトヨタビスタ店(沖縄県ではトヨタカローラ沖縄株式会社)[7]。
トヨタは本車の開発にあたり、ターゲットである30歳代の独身男性がクルマに何を求めているかを調査、分析した[11]。その結果から「理屈抜きにカッコイイといえるスタイリング」、「クルマで遊びに行くときに友達に文句を言われない必要十分な荷物が積めるスペースとドア数」、「走りの面でエンジン性能もさることながら高速走行時にストレスを感じないことやワインディングを気持ちよく走れるといった高速安定性・操縦性」が求められていることが明らかとなり[11]、このリサーチを基にクルマのコンセプトを煮詰めた[11]。
メカニズム
[編集]プラットフォームはカローラやセリカと共通のMCプラットフォームを採用しており[4][13]、ボディサイズは全長4385mm×全幅1720mm×全高1430mm(4WDモデルは1440mm)で、全幅こそ小型自動車(5ナンバー)の枠をわずかに超えているものの、おおむねコンパクトにまとめられている[13]。サスペンションは、カローラやセリカで定評のある形式を採用し、WiLL VS向けにスポーティな専用チューニングを施した[13]。トランスミッションは当初全モデルとも4速ATで[14]、ATユニットは高効率スーパーフロートルクコンバーターを搭載した「Super ECT」を採用し、ステアリングにはシフトスイッチも備えた[14]。なお、2002年1月のマイナーチェンジで6速MT車も追加されている。
WiLL VSの開発で最も重視されたのはスタイリングで、エクステリアは複数の面を貼り合わせて構成する手法で作られた[15]。フロントビューはクーペのようなスペシャリティ感があり、サイドはワゴン的なイメージを感じさせるデザインで、リアビューは大胆に絞り込まれ、ホームベース型のリアウインドウや鷹の目を思わせるリアコンビネーションランプが特徴的である[15]。
インテリアもエクステリアに負けない個性的なデザインといわれ、インストゥルメンタルパネルは低く構えた塊にウイング形状のアッパーパネルを組み合わせたものだった[16]。カラーは複数のブラックを有機的に組み合わせ、メーターパネル内は艶消しカラーの紫、シフトレバーにはアルミ材が用いられた[16]。メーターは自発光式のオプティトロンメーターで、文字盤は赤色に光り、L字型デザインのシフトレバーは航空機のスロットルレバーをモチーフにしている[16]。
室内空間は大人4人が余裕を持って座れる実用的な広さを持ち、リアシートは6対4の分割可倒式で長物も収納でき、リアシートを倒すとフラットになるよう設計された。これにより、2人乗りワゴンのような使い方も可能だという[16]。
販売
[編集]2001年4月6日、発売。グレード展開はなく、エンジンと駆動方式の組み合わせ別で「1ZZ-FE 1.8VVT-i 2WD」、「2ZZ-GE 1.8VVTL-i 2WD」、「1ZZ-FE 1.8VVT-i 4WD」の3種類を設定。ボディカラーはダークパープルマイカ、ブラック、シルバーメタリック、ダークレッドマイカ、グレイッシュブルーメタリックの5色[6]。
2002年1月9日、一部改良。1.5Lエンジン搭載の「1NZ-FE 1.5VVT-i 2WD 4AT」、6速MT搭載の「2ZZ-GE 1.8VVTL-i 2WD 6MT」を追加。また、「2ZZ-GE 1.8VVTL-i 2WD 6MT」をベースとした数量限定車「レッドスペシャル」を発売[17][18]。ボディカラーには新色としてスーパーホワイトII、イエローマイカメタリック、ブルーマイカメタリックを追加設定。「レッドスペシャル」には専用色としてスーパーレッドVが設定される。なお、6速MT車はすべてインターネット限定販売となる[19][20][18]。
2002年5月9日、「2ZZ-GE 1.8VVTL-i 2WD 6MT」をベースとした数量限定車「ホワイトスペシャル」を発売[21]。
2002年7月30日、一部改良。ボディカラーに新色としてスーパーレッドII、ベージュメタリック2色を追加設定[22]。また、「1NZ-FE 1.5VVT-i 2WD 4AT」の特別仕様車「ホワイトパールリミテッド」を期間限定で発売した[22]。
2002年12月4日、一部改良。「1NZ-FE 1.5VVT-i 2WD 4AT」の環境性能を高め、グリーン税制の自動車税50%軽減対象車とした[23][23]。
2004年5月、ネッツトヨタ店とトヨタビスタ店の統合に伴い販売終了[24]。
車名の由来
[編集]VSの「V」は「Vehicle」の「V」で、ブランド名「WiLL」と繋げて「WiLL Vehicle」とし、ブランド商品群での位置を示しでいる[25]。「S」は「Smart」「Sporty」など、主要ターゲット層としている30歳代の独身男性の嗜好にちなんだ[11][25]。
その他
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c “WiLL VS”. トヨタ自動車75年史. トヨタ自動車株式会社 (2012年). 2024年5月29日閲覧。
- ^ 陶山拓 (2001年4月6日). “【WiLL第2弾デビュー】少量多品種生産、『カローラ』ベースで『VS』低価格化”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー. 2003年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月6日閲覧。
- ^ “【WiLL第2弾デビュー】イメージスケッチそのままの『VS』デザイン”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2001年4月11日). 2003年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ a b 「メーカー&クルマ コラボレーション研究」『ベストカー』第41巻第18号、株式会社講談社、東京、2018年9月26日、40-51頁、全国書誌番号:00044935、2024年5月29日閲覧。
- ^ “トヨタ自動車東日本株式会社”. トヨタ自動車75年史. トヨタ自動車株式会社 (2012年). 2024年5月29日閲覧。
- ^ a b “カタログ_WiLL VS H1304新~_1.xdw”. 旧車カタログダウンロード. トヨタ自動車株式会社 (2001年4月). 2024年5月29日閲覧。
- ^ a b c 『異業種合同プロジェクト『WiLL』の新型車 第2弾 『WiLL VS』を発売』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2001年4月6日 。2024年5月29日閲覧。
- ^ 滝本優枝「WiLLはなぜ失敗したのか」『大阪経済法科大学経済学論集』第35巻第1号、大阪経済法科大学経法学会、八尾、2011年12月20日、17-36頁、ISSN 0386-0329、全国書誌番号:00030489。
- ^ 『異業種合同プロジェクト『WiLL』に江崎グリコ(株)が参画』(プレスリリース)アサヒビール株式会社,花王株式会社,近畿日本ツーリスト株式会社,江崎グリコ株式会社,コクヨ株式会社,トヨタ自動車株式会社,松下電器産業株式会社、2000年6月22日 。2024年5月29日閲覧。
- ^ 高木啓 (2001年4月6日). “【WiLL第2弾デビュー】メガウェブでデビューした『VS』、これがクールなんですよ”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー. 2003年7月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ a b c d e “【WiLL第2弾デビュー】気になる価格はバーゲンプライス”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2001年4月6日). 2003年7月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ “【ロサンゼルス・ショー2001速報】WiLL第2弾現る!!”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2001年1月5日). 2003年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ a b c “【WiLL第2弾デビュー】カローラベース、だがサスペンションは専用チューン”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2001年4月6日). 2003年7月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ a b “【WiLL第2弾デビュー】エンジンラインナップは2種類、どちらも1.8リットル”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2001年4月6日). 2003年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ a b “【WiLL第2弾デビュー】『WiLL』ならではの過激エクステリア”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2001年4月6日). 2003年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ a b c d “【WiLL第2弾デビュー】過激な外観を見るとちょっと心配なインテリア”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2001年4月6日). 2003年7月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ “要望の多かったアレを設定---トヨタ『WiLL VS』にインターネット限定車”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2002年1月9日). 2003年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ a b 『WiLL VSに1.5リットル車を新設定』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2002年1月9日 。2024年5月29日閲覧。
- ^ “WiLL VS(2002年1月~2002年7月) 2ZZ-GE 1.8VVTL-i 2WD”. トヨタ認定中古車. トヨタ自動車株式会社. 2024年5月29日閲覧。
- ^ “WiLL VS(2002年1月~2002年7月) レッドスペシャル”. トヨタ認定中古車. トヨタ自動車株式会社. 2024年5月29日閲覧。
- ^ “好評だったから第2弾を……トヨタ『WiLL VS』に6MT搭載のネット限定車”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2002年5月9日). 2003年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ a b “トヨタWiLL『VS』に特別仕様車---夏にまぶしいホワイト”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2002年7月30日). 2003年6月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ a b “弟分の『サイファ』には負けない。トヨタ/WiLL『VS』も超-低排出ガス車に”. auto-ASCII. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2002年12月4日). 2003年6月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ “新ネッツ発進…スタートは取扱い21車種”. レスポンス. 株式会社アイ・アール・アイコマースアンドテクノロジー (2004年3月29日). 2004年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- ^ a b “WiLL VSの車名の由来は何ですか?”. お問い合わせ・よくあるご質問. トヨタ自動車株式会社. 2024年5月29日閲覧。
- ^ 小川孔輔「新製品の開発プロセス(教科書的なケース)」『マーケティング入門』株式会社日本経済新聞出版社、東京〈マネジメント・テキスト〉、2009年7月24日、305-330頁。ISBN 978-4-532-13369-6。 NCID BA90843623。全国書誌番号:21635711。
- ^ 小川孔輔 (2019年8月4日). “異業種合同ブランド「WiLL」、誕生20周年記念パーティー@田町”. 小川先生のウェブサイト. 2024年6月6日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]ウィキメディア・コモンズには、トヨタ・WiLL VSに関するカテゴリがあります。
- “WiLL VS”. バーチャル・ベンチャー・カンパニー. 2001年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
- “WILL_VS(TOYOTA)の車両情報”. トヨタ認定中古車. トヨタ自動車株式会社. 2024年5月29日閲覧。
- “WiLL VS”. トヨタ自動車75年史. トヨタ自動車株式会社 (2012年). 2024年5月29日閲覧。
- “WiLL VS:カタログ”. 旧車カタログダウンロード. トヨタ自動車株式会社 (2001年4月). 2024年5月29日閲覧。
- “WiLL VS:カタログ”. 旧車カタログダウンロード. トヨタ自動車株式会社 (2002年4月). 2024年5月29日閲覧。
- “WiLL VS:カタログ”. 旧車カタログダウンロード. トヨタ自動車株式会社 (2002年7月). 2024年5月29日閲覧。
- “WiLL VS:カタログ”. 旧車カタログダウンロード. トヨタ自動車株式会社 (2003年11月). 2024年5月29日閲覧。
- 西本尚恵 (2022年7月11日). “WiLL VSをキッカケに出会い、20年大事に乗り続ける仲良しご夫婦。改めて知るその魅力とは?”. クルマ情報サイトーGAZOO.com. トヨタ自動車株式会社. 2024年5月29日閲覧。