にっぽん丸
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にっぽん丸(にっぽんまる)は、商船三井クルーズが運航する外航クルーズ客船。内閣府が実施する青年国際交流事業「世界青年の船」と「東南アジア青年の船」でも使用されている[1]。
にっぽん丸(初代)
[編集]- 1958年竣工
- 総トン数 : 10,770トン[2]
- 全長:145m[2]
- 幅:20.0m[2]
- 出力:9,000馬力[2]
- 定員:431人[2]
- 研修事業や観光クルーズに用いられていた見本市船「さくら丸」の売船に伴う代替船として、南米航路に就航していた商船三井客船保有のあるぜんちな丸(2代目)を1972年に貨物室を客室に転用するなどといった改装を実施[2]。青年の船友の会による公募で「にっぽん丸」と命名された[2]。
- 船体を白に塗り替え研修船としての利用を想定した5つの研修教室・室内スポーツに対応した集会場の設定、客室の14室増設を施し定員を375名から431名とするとともに浄化装置の取り付けも行った[3]。
- 沿革
- 1972年2月18日 - 3月30日:三菱重工業神戸造船所にて改装工事[2]。
- 1972年4月5日 - 19日:東京発着神戸経由、香港・マニラへの行程で処女航海[2]。
- 1976年12月:老朽化に伴い2代目にっぽん丸が導入され、引退した[4][5]。
- 1977年、解体。
- 改装箇所[2]
- バラストタンク増設
- 糞尿処理装置新設(洗浄水循環方式)
- 客室増設(4人部屋14室増)
- 教室・大集会所設置(アコーディオンカーテン分割式の小教室2室×2、大集会所兼室内体育場1室)
- エコノミー食堂拡張
- 露天運動場設置
- オーガナイザー事務室設置
- 便所・電話機増設、救命艇設置
- 船員区画冷房・レクリエーション室設置
にっぽん丸(2代目)
[編集]にっぽん丸 (2代) | |
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にっぽん丸(2代) | |
基本情報 | |
船種 | 客船 |
船籍 | ブラジル(1962-1975) パナマ(1975-1977) 日本(1977-1992) インドネシア(1992-1998) |
所有者 | ブラジル Companhia Nacional de Navaegacao Costeira(1962-1966) ブラジル Lloyd Brasileiro(1966-1975) パナマ Cosmos Passenger service(1975-1977) 日本 商船三井客船(1977-1992) 日本 澤山汽船(1977-1981) インドネシア PT Kalla Lines(1992-1998) |
運用者 | ブラジル Companhia Nacional de Navaegacao Costeira(1962-1966) ブラジル Lloyd Brasileiro(1966-1975) 日本 商船三井客船(1975-1992) インドネシア PT Kalla Lines(1992-1998) |
建造所 | ユーゴスラビア社会主義連邦共和国 Brodogradiliste Split |
母港 | リオデジャネイロ(Rosa da Fonseca) 東京(にっぽん丸) |
姉妹船 | Anna Nery |
IMO番号 | 5299589 |
改名 | Rosa da Fonseca(1962-1975) セブンシーズ(1975-1977) にっぽん丸(1977-1990) Athirah(1992-1998) |
経歴 | |
竣工 | 1962年 |
就航 | 1962年(Rosa da Fonseca) 1975年(セブンシーズ) 1977年(にっぽん丸) 1992年(Athirah) |
運航終了 | 1975年(Rosa da Fonseca) 1977年(セブンシーズ) 1990年(にっぽん丸) 1998年(Athirah) |
最後 | 1998年インドにて解体 |
要目 | |
総トン数 | 10,444トン(Rosa da Fonseca) 9,745トン(にっぽん丸) |
全長 | 150m |
全幅 | 20m |
喫水 | 5.8m |
機関方式 | ディーゼル |
出力 | 8,100馬力 |
航海速力 | 15.8ノット |
旅客定員 | 最大534名(にっぽん丸) |
- 1962年にユーゴスラビアの造船所にてブラジルの客船「Rosa da Fonseca」として竣工、ブラジル沿岸のマナウス - ブエノスアイレス航路に就航。なお、姉妹船の「Anna Nery」も本船と同様に後にクルーズ船に改装された。
- 1975年7月には三井造船玉野造船所にて改装を受け、パナマ船籍で商船三井客船が定期用船する形で8月より「セブンシーズ」として運航[6]、その後1977年に2代目にっぽん丸として運航を開始した[4]。
- 1990年、3代目にっぽん丸の導入に伴い、引退した[5]。
- 引退後、インドネシアに売船され、「Athirah」として活躍した後、1998年、インドのアラングにて、解体された。
船内設備
[編集]- Cデッキ
- Cクラス客室
- 専用シャワー・トイレ付4名×7室
- 共用シャワー・トイレ付4名×21室・2名×1室
- 診療所
- Bデッキ
- Bクラス客室
- B2客室:共用シャワー・トイレ付2名×11室、3名×2室
- B4客室:共用シャワー・トイレ付4名×37室
- 洗濯室
- Aデッキ
- Aクラス客室(共用シャワー・トイレ付3名×20室、4名×32室)
- 洗濯室
- 事務局
- 自動販売機コーナー
- 印刷室
- 食堂
- 講堂
- プロムナードデッキ
- Sクラス客室(専用シャワー・トイレ付2名×24室)
- デラックス客室(専用シャワー・トイレ付2名×2室)
- 案内所
- 事務長室
- 事務室
- 食堂
- 理容室
- 美容室
- 売店
- ボートデッキ
- ラウンジ
- サロン
- バー(2か所)
- 図書室
- 談話室
- 遊戯室
- ベランダ
- プール
- ブリッジデッキ
- ベランダ
にっぽん丸(3代目・現にっぽん丸)
[編集]にっぽん丸 (3代) | |
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基本情報 | |
船種 | クルーズ客船 |
船籍 | 日本 |
所有者 | 大阪商船三井船舶[7]/商船三井 商船三井客船[7] |
運用者 | 商船三井客船/商船三井クルーズ[7] |
建造所 | 三菱重工業神戸造船所(1188番船)[7] |
母港 | 東京 |
姉妹船 | ふじ丸 |
航行区域 | 遠洋(国際航路)[7] |
船級 | NK 第一種船[8] |
信号符字 | JNNU |
IMO番号 | 8817631 |
MMSI番号 | 431302000 |
経歴 | |
起工 | 1989年10月2日[7] |
進水 | 1990年3月3日[7] |
竣工 | 1990年9月22日[7] |
就航 | 1990年9月 |
要目 | |
総トン数 | 21,903トン(竣工時)[7] 22,472トン[9] |
全長 | 166.65m[7] |
垂線間長 | 147.0m[7] |
全幅 | 24.00m[9][7] |
型深さ | 13.5m[7] |
喫水 | 6.6m[8] |
機関方式 | ディーゼル |
主機関 | 三菱UE 8UEC52LA 2基[7] |
最大出力 | 10,450PS×2[8] |
定格出力 | 8,880PS×2[8] |
最大速力 | 21.6ノット[7] |
航海速力 | 20.0ノット[7] |
航続距離 | 7,500海里[7] |
旅客定員 | 204室・最大607名(竣工時)[8] 202室・最大524名(2010年大改装後)[10] 203室・最大532名(2020年大改装後)[11] |
乗組員 | 160名(竣工時)[7] |
2代目にっぽん丸に代わる客船として、1990年に三菱重工業神戸造船所で建造された[5]。1990年3月に三菱重工業神戸造船所で進水式が執り行われ、紀宮清子内親王による「にっぽん丸」命名と支綱切断が行われ[5]、1990年9月27日に竣工した。
設計
[編集]1989年に就航した多目的客船「ふじ丸」を元にクルーズ要素により力点を置き個人レジャークルーズにも対応できる仕様として、航海速力20ノットから12-13ノットの低速域まで経済的運航を考慮したものとした。公室はふじ丸が乗り込み口レベルに水平配置する下方水平配置だったものを本船は船尾よりの上下配置となるハイブリッド式を採用した。外観はオーソドックスさを基調にスピード感あふれる軽快さに力点が置かれている[8]。
船内設備(2022年改装後)
[編集]- 地下1階
- テンダーゲート
- 1階
- クリニック(診療所)
- スタンダードステートルーム(18室)
- 2階
- 3階
- フォトショップ「ドルフィン」
- ツアーデスク
- 大浴場「グランドバス」
- 自動販売機
- セルフランドリー
- スーペリアツインルーム(54室)
- コンフォートステートルーム(22室)
- 4階
- プロムナードデッキ
- ドルフィンホール
- ドルフィンバー
- スーペリアツインルーム(通常42室・車椅子対応2室・コンセプトルーム1室)
- 5階
- カードルーム
- eカフェ&ライブラリー
- ブティック「アンカー」
- ショップ「ブイ」
- ドルフィンラウンジ
- カジノラウンジ「ビギナーズラック」
- コンファレンスルーム
- デラックスルーム
- デラックスベランダ(14室)
- デラックスツイン(2室)
- デラックスシングル(6室)
- オーシャンビュースイート(2室)
- ビスタスイート(2室)
- 6階
- 7階
- ホライズンラウンジ&ホライズンデッキ
- ホライズンバー
- スパ&サロン
- オアシススタジオ&ジム
- リドテラス
- リドバー&グリル
- プール(全天候天井開閉式)
- スポーツベランダ
- スポーツバー
- スポーツデッキ
- 8階
- サンデッキ(ウォーキングトラック)
改装
[編集]- 2001年1月(第1回改装)
- ステートルームの内装を一新
- 2001年12月(第2回改装)
- スイートルーム・デラックスルームの内装を一新
- 2階エントランスホール、エレベーター内、及び各階エレベーターホールの内装を一新
- CSデジタル放送受信設備を新設
- 2003年2月(第3回改装)
- 6階ピアノラウンジをベランダと一体化してラウンジ「海」に改装
- 6階マーメイドサロンをカジノサロンに改装
- 2階ダイニングルーム「瑞穂」の内装を一新し、座席数を増加
- 5階ブティック「アンカー」の内装を一新
- 5階ショップ「ブイ」を、スポーツマッサージやネイルケアのためのリラクゼーションサロンに変更
- 2階のフィットネスセンターに替え、7階スカイベランダにフィットネスコーナーを設置
- スイートルーム・デラックスルームのトイレにウォッシュレットを設置
- 全客室・主要公室に水噴霧式消火装置を設置
- 2006年1月(小改装)
- ステートルームのトイレにウォッシュレットを設置
- 2階エントランススペースを分煙化、喫煙コーナーを設置
- 2009年11月〜2010年2月(第1回大改装)[1][12]
- 客室を18室増設、デラックス仕様へ変更
- 上級客室25室へのバルコニーの新設
- ステートルームAの内装を一新
- 非接触型ICカードキーシステム導入
- プレミアムダイニング、寿司コーナー、スパ(既存施設の統合)、ビスタラウンジ、ウッドデッキの新設
- バーの増設
- スポーツジムの拡充
- 新型テンダーボートの搭載、及びこれに伴う乗降口の新設
- 船体のカラーを白一色から、濃紺と白のツートンカラーに塗り替え
- 2020年2月~4月(第2回大改装)[13][11][14][10]
- デザインコンセプト「海の女神の復活」「オーシャンビュー」
- 供食設備強化「にっぽん丸SHOWCASE」
- メインダイニング瑞穂に大型モニター設置
- eカフェ&ライブラリーにフローリング張り・可動椅子テーブル・コーヒーサービス設置
- リドテラスに可動式グリルテーブル設置
- 5階ネプチューンバーを移設、7階茶室「吉野」を廃止し「ホライズンバー」に変更
- 新客室設置
- 6人定員スーペリアスイート「コンセプトルーム」1室新設、4階ビスタスポット廃止
- 「オーシャンビュースイート」2室新設、ネプチューンバー廃止
- 「ビスタスイート」2室新設、船首側デラックスベランダ・ツイン各2室廃止
- 全室へのWi-Fi環境整備
- 内装設備のリニューアル
- 主要機器を環境に配慮したものに交換
- 安全対策の強化
- 乗組員個室の増加
- 2022年2月改装[15]
- ステートルーム全面改装
- 室内コンセプト「モダンラグジュアリー」
- プルマンベッド廃止
- TOTO製ユニットバス導入
- USBコンセント導入
- ステートルーム全面改装
撮影
[編集]- 『富豪刑事デラックス』(朝日放送)(「プリンセス美和子号」の設定)
- 『喰いタン2』(日本テレビ)(主人公:高野聖也〈東山紀之〉がイタリアから横浜に帰国するときに乗ってきた。)
- 映画『名探偵コナン 水平線上の陰謀』(エンドロール部分)
- テレビCM『コナカ・ドナートヴィンチ編』(空撮)
- 『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日)(第1期の最終回で大門未知子〈米倉涼子〉が出国するのに乗船。急患が発生し治療する。)
- 『バカリズムの30分ワンカット紀行』(BSテレ東)(第76回 豪華客船「にっぽん丸」をワンカット撮影)
- 『日本⇒インド洋!27000km!巨大客船に乗せてもらいましたSP』(テレビ東京)(2022年12月15日 - 2023年1月31日運航「にっぽん丸で航く モーリシャスプレシャスクルーズ~インド洋を巡る 楽園の船旅~」にて同乗取材。)
テンダーボート
[編集]にっぽん丸に付属した初代のテンダーボートは、かつて独自の名前がつけられていた。右舷側が「あさなぎ」、左舷側が「ゆうなぎ」である。このテンダーボートは日本のクルーズ客船では珍しく、救命艇機能を有さないものであり、そのために漁船に近いフォルムであった。
大改装の際、上級客室へのベランダ設置のため、救命艇を大型化して数を減らすこととなり、この際両側各一艇がテンダーボートの役割を兼ねるため、両船ともにっぽん丸のテンダーボートとしての任務を離れた。救命艇はこの際廃船となったが、「あさなぎ」「ゆうなぎ」は売却されることとなった。
その後、「あさなぎ」は関東周辺を中心に沿海遊覧船事業を営む「ベルクルーズ」に買い取られた。同船は遊覧船「ゆ〜みんアルファ2」に改装されて熱海での遊覧船事業に使用された。その後後継船「ゆ〜みんジャック」の登場により大洗に移籍し、遊覧船「ゆ〜みんパイレーツ」として引き続き使用されている。一方の「ゆうなぎ」は築地川に留置されている。
事故・アクシデント
[編集]- グアム岸壁接触事故
- 2018年12月30日現地時間21時14分ごろ「ニューイヤー グアム・サイパンクルーズ」催行中の本船はグアム・アプラ港出港時に岸壁に接触し船尾右舷下部や米海軍の燃料埠頭に損傷が発生。船体と乗客への危険はなかったものの日本までの航行が困難と判断しグアムで下船の上ニューイヤークルーズを中止し現地での修繕を行うとしており、米海軍の燃料埠頭「デルタ埠頭」の修繕には300万ドルが必要と見積もられている[16][17][18]。また事故後に米当局が事故後に船長のアルコール検査を行った所呼気換算で日本の基準を超える濃度を検知し、船長は「気持ちを落ち着かせるために事故後に飲酒した」と証言している[19]。事故後本船は2019年1月14日に日本に戻り三菱重工業本牧工場にて修理後、1月28日の内閣府「世界青年の船」チャータークルーズから運航を再開した。
脚注
[編集]- ^ “新型コロナウイルス患者ゼロのクルーズ船「にっぽん丸」の感染対策とは?正しいマスクの着け方も公開”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース. 2020年3月16日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 田村俊三「客船"にっぽん丸"改装について」 - 船の科学1972年5月号
- ^ 月刊神戸っ子1972年6月号「海船港/美人がそろった「にっぽん丸」 にっぽん丸を訪ねて」 - 月刊神戸っ子
- ^ a b 茂川敏夫「故旧忘れ得べき 内外客船とぴっく&エピソード・さろん(4)」 - 旅客船 119号(日本旅客船協会 1977年)
- ^ a b c d “にっぽん丸公式ページ : 会社情報 / 沿革 ・ 現在に至る”. 商船三井客船 (2011年). 2012年12月9日閲覧。
- ^ 白い船白い旅 セブンシーズ号(モデル航海)に乗って - 海運1975年8月号(日本海運集会所)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 新造船写真集 クルーズ客船 にっぽん丸 NIPPON MARU 大阪商船三井船舶株式会社・商船三井客船株式会社 - 船の科学1990年12月号
- ^ a b c d e f 三菱重工業株式会社神戸造船所・船舶・海洋設計部「大型クルーズ客船"にっぽん丸"」の概要 - 船の科学1990年12月号
- ^ a b “大型客船2隻、留萌港に にっぽん丸と飛鳥2 物産展で歓迎”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2014年7月14日). オリジナルの2014年7月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 客船「にっぽん丸」の改装工事を実施~就航30周年を迎え、もっと快適な船旅に~ - 商船三井客船(ゆたか倶楽部電子カタログ)
- ^ a b c d 2020年春、にっぽん丸がバージョンアップ! - CRUISE 2019年12月号(海事プレス社)
- ^ “ニューにっぽん丸 横浜・大さん橋お披露目(Youtube動画)”. 神奈川新聞 (2010年3月21日). 2012年12月9日閲覧。
- ^ にっぽん丸2020改装! - 商船三井客船 2019年7月2日
- ^ にっぽん丸、2020年に改装実施 客室3タイプを新設 - WEB CRUISE 2019年7月12日
- ^ にっぽん丸のステートルームがより快適に!2022年2月に全面改装予定 - WEB CRUISE
- ^ にっぽん丸「ニューイヤー グアム・サイパンクルーズ」運航中止の件 - 商船三井客船 2018年12月31日
- ^ <グアムニュース>沿岸警備隊が海洋事故を調査 - サイパンあぐっぱ!(2019年1月2日 So What CREATIVES)
- ^ Cruise Ship Crashes Into U.S. Navy Pier Causing Millions of Dollars in Damage - NEWSWEEK 2019年1月2日
- ^ 豪華客船にっぽん丸、グアムで事故 船長からアルコール - 朝日新聞デジタル(2019年1月8日)