アメベロドン科

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アメベロドン科
地質時代
新第三紀中新世 - 鮮新世
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
: 長鼻目Proboscidea
上科 : ゾウ上科 Elephantoidea
: アメベロドン科 Amebelodontidae
学名
Amebelodontidae Barbour1927

アメベロドン科(アメベロドンか、学名Amebelodontidae)は、長鼻目のうち広義のゴンフォテリウム類に属する哺乳類[1]プラティベロドンに代表されるように、本科の属はシャベル状に特殊化した下顎とを特徴とする[1]

分類[編集]

長鼻目のうちゾウ亜目は大まかに4つの分類群に分けることができ、マムート科英語版ステゴドン科英語版・ゾウ科に加えて広義のゴンフォテリウム類がある[1]。この広義のゴンフォテリウム類は、猪豚亜目のものに類似する典型的な丘状歯をなす発達した臼歯を持ち、丘状の咬頭に補助的な小咬頭が備わり、摩耗した際にシロツメクサに類似した三叉の模様をなすことが多いことが特徴とされ、これを根拠としてゴンフォテリウム科英語版として扱われていた[1]。その後の分岐学的研究では、コエロロフォドン科とアメベロドン科の2科がゴンフォテリウム科から区別されている[1]。アメベロドン科の解剖学的特徴としては、下顎の切歯が扁平でかつ発達していることが挙げられる[2]

アメベロドン科はコエロロフォドン科よりも派生的な分類群とされる[1]。アメベロドン科の起源はアフリカ大陸にあるものの、中新世から鮮新世にかけてユーラシア大陸北アメリカ大陸へ分布を拡大した[2]。特に2000年代以降において中華人民共和国甘粛省からはアメベロドン科の化石が数多く報告されており、中央アジア域における放散過程が明らかにされつつある[2]。アジア域では他にもインドパキスタンミャンマーなどでアメベロドン科の化石が産出している[2]

本科の内部の系統関係としては、プラティベロドンプロトアナンクス英語版は派生的であり、またアルカエオベロドン英語版は基盤的な位置に置かれる[3]

古生態[編集]

かつて、アメベロドン科のシャベル状の歯骨の牙は水草を掬い上げることに寄与していたと考えられていた。しかし、プラティベロドン属の P. grangeriP. barnumbrowni の歯骨歯の摩耗パターンからは、これらの分類群が硬い植物を切断するために特殊化した方法で牙を用いていたことが示唆されている[4]

ギャラリー[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 冨田幸光『新版絶滅哺乳類図鑑』丸善出版、2011年1月30日、220頁。ISBN 978-4-621-08290-4 
  2. ^ a b c d 三枝春生「中部ミャンマーの上部新生界より産出した長鼻類化石の新標本について」『化石』第104巻、日本古生物学会、2018年、35-49頁、doi:10.14825/kaseki.104.0_35 
  3. ^ 仲谷英夫、三枝春生、國松豊、Benjavun RATANASTHIEN「タイ北部中新世哺乳類動物群とその地質年代」『霊長類研究』第18巻第2号、2002年、131-141頁、doi:10.2354/psj.18.131 閲覧は自由
  4. ^ Lambert, W. David (March 1992). “The Feeding Habits of the Shovel-Tusked Gomphotheres: Evidence From Tusk Wear Patterns”. Paleobiology 18 (2): 132–147. doi:10.1017/S0094837300013932. JSTOR 2400995. INIST:5302045.