アートコア
ウィキペディアから無料の百科事典
アートコア(英: Artcore)は、音楽ジャンルのひとつ。当初はハードコア・パンクで用いられていたが、現在はドラムンベースのサブジャンルを指す場合が多い。
概説[編集]
「アートコア」の語は、当初ハードコア・パンクにおけるコンセプチュアルなパフォーマンスを表す語として1980年代に登場した[1]。1986年に発刊されたアートコアの専門雑誌『Artcore』[2]はハードコア・パンクのバンド・レーベル・新人・ベテランに焦点を当ててパンク・ロック運動のグラフィック・デザインによる主張を紹介しており、1980年代のハードコア人気の中で重要な位置付けにあることを表現していた[1]。
ハードコア・パンクにおける上記の動きとは別個に、1990年代頃からGood Looking Recordsを中心にアンビエントの要素を含んだジャングル及びドラムンベースがリリースされ始めた[1]。他のレーベルからも類似の楽曲がリリースされるようになるにつれ、アンビエントやジャズの要素を持ったドラムンベースは「アンビエントドラムンベース」「インテリジェント」、あるいは「アートコア」と呼称されるようになった[3][4][5] 。1995年にイギリスのレーベル・Reactがリリースしたコンピレーション・アルバム『Artcore』では、ジャケットで以下のようにアートコアを定義している。
アートコア:アンビエントからジャズまで、様々なスタイルを融合したジャングル。
アートコア:リズミックで、ヒプノティックで、メロディックで、ディープで、スペイシー。
アートコア:ブレイクビーツを、音の空間を埋めるために、異なる音や楽器として多く使用する。[1] [6]
また、2010年代以降は日本発のエレクトロニック・ダンス・ミュージックのジャンル名としても用いられる。2004年に稼働を開始した音楽ゲーム・beatmania IIDX(10th style)に、楽曲『Narcissus At Oasis(Ryu☆)』がジャンル名を「ARTCORE」として収録された[7]。以降、日本のBEMANIやBMSなど、公式・同人音楽ゲームシーンを発端として「アートコア」という呼称が定着した。 この場合の「アートコア」もドラムンベースを下敷きにしているものの、高速ドラムンベースと様々なジャンルのエレクトロニック・ダンス・ミュージック、インストゥルメンタルなピアノや弦楽器を融合させたジャンルであり[8]、アンビエントやジャズの影響下で発生した90年代の「アートコア」とは大きく異なっている。
主なアーティスト[編集]
アンビエント・ドラムンベースに近いアートコア
音楽ゲーム発祥のアートコア
脚注[編集]
- ^ a b c d GEORGE PALLADEV. “Artcore”. 12edit.com. 2022年6月27日閲覧。
- ^ “ARTCORE”. www.artcorefanzine.co.uk. 2018年6月20日閲覧。
- ^ Ben Murphy. “ドラムンベース2018:“インテリジェント” のレガシー”. www.redbull.com/jp-ja/. 2022年6月27日閲覧。
- ^ Steven Quinn (2002-05). “Rumble In The Jungle: The Invisible History of Drum’n’Bass”. Transformations (3): 1-12 .
- ^ Gilman, Ben. “A short history of Drum and Bass”. 2014年5月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月27日閲覧。
- ^ “Artcore - Ambient / Jungle (1995, CD)”. Discogs.com. 2022年6月27日閲覧。
- ^ “beatmania IIDX 10th style”. 2022年6月27日閲覧。
- ^ “Artcore - Music Genre - Rate Your Music”. rateyourmusic.com. 2022年6月27日閲覧。