ウィンプル
ウィキペディアから無料の百科事典
ウィンプル (英語: wimple) は、12世紀から13世紀ごろの中世ヨーロッパで着用され始めた女性用頭巾である。白やサフラン色の四角い布で、筒型に丸めて髪にピン止めし、頭から首や顎を覆う。
帽子のようにツバを付けたりしたコルネットという改造も行われた。
キリスト教文化圏では既婚女性が髪を出すのが、はしたない事とされ身に付けられた。しかし、近代以降の一般人はガーゼ(ベール)を身に着けるようになり、やがて髪を隠さなくなった。そのため、宗教上の理由により頭に被る必要があった修道女の伝統的な制服としてしか見られなくなった。
キリスト教において
[編集]新約聖書のコリントの信徒への手紙一に、女性は頭を覆うべきであるという記述がある[1]。
11:5「祈をしたり預言をしたりする時、かしらにおおいをかけない女は、そのかしらをはずかしめる者である。それは、髪をそったのとまったく同じだからである。」 11:6「もし女がおおいをかけないなら、髪を切ってしまうがよい。髪を切ったりそったりするのが、女にとって恥ずべきことであるなら、おおいをかけるべきである。」 11:10「それだから、女は、かしらに権威のしるしをかぶるべきである。それは天使たちのためでもある。」
旧約聖書イザヤ書を翻訳した欽定訳聖書には3.22にウィンプルとあるが、ヘブライ語の原文ではカーチフの意である。
出典
[編集]- ^ 『コリント人への第一の手紙(口語訳)#第11章』。ウィキソースより閲覧。
関連項目
[編集]- トンスラ - カソリックの男性が身だしなみとした頭頂部を剃った髪型。
- 宗教服 - 仏教の袈裟など宗教で着る事が義務付けられている服装について
- コアフ - フランスの伝統的な女性用頭巾。教会の儀式、祭礼、婚礼などの際にもかぶる。
- ヒジャブ - イスラム教信徒の女性がかぶる頭巾。
- 裹頭 - 日本の仏教僧がかぶった袈裟。僧兵、上杉謙信、武蔵坊弁慶などの仏教信仰者が戦で用いた。
- 縹帽子 - 日本の仏教僧がかぶった頭巾。もともと一定以上の資格を持つ高僧に限られたが、のちに一般の僧も着用した。
- 御高祖頭巾 - 18世紀から明治期頃までの日本の女性がかぶった頭巾。名称は高祖日蓮上人の頭巾に似ているからという説もあるが、糸として使用した苧屑(オクソ、カラムシの茎)が訛ったもの